2015年9月3日木曜日

「転校生」

2015年9月1日 19時開演 六本木ZEPPブルーシアター
作:平田オリザ
演出:本広克行
出演:逢沢凜、秋月三佳、芦那すみれ、生田輝、石山蓮華、石渡愛、伊藤優衣、伊藤沙莉、今泉玲奈、折館早紀、川面千晶、堺小春、坂倉花奈、桜井美南、清水葉月、多賀麻美、永山香月、藤松祥子、南佳奈、森郁月、吉田圭織
客席に入ると、舞台にはスクール机と椅子が並び、正面奥には役者達が座っている控え椅子がずらりと並んでいました。その上には大きなスクリーン、上下にも一回り小さなスクリーンがぶら下がっています。舞台前方には白い窓枠が上下にひとつづつ吊られていました。見た途端にいやな印象を持ちましたが、始まるとそれは最悪の形で現実の物となりました。なんと、正面スクリーンには一部では有名なあの平田オリザの3段台本が投影され続けるのでした。ご丁寧に今喋っているところが、明るくなってどの台詞をいっているのかすぐにわかる工夫までされていました。上下のスクリーンには、上袖、下袖のカメラからのアップがずっと映されていました。
確かに平田オリザの3段台本は会話同士が重なることがよくあり、台詞が聞き取れないこともあります。その対策としての親切心からの演出なのかもしれませんが、私は最後まで舞台に集中できず、最悪の観劇経験になりました。
できることなら、演出の本広克行に詰め寄って釈明を求めたいほどです。
21年前の初演も見ているのですが、会話がかぶって聞き取れないことなど全く気にならず、彼女たちと一緒の教室にいて微妙な心境の変化をともに感じ、ラストシーンの触れるか触れないかぎりぎりの指先に将来への不安を感じて涙したのに、今回のようにがっちり握手されて、その上それを天井からのカメラでクローズアップにされては台無しです。
KAATの大石さんが言っていたように、「映画監督が舞台の演出をすると、絵に落とし込んで解決しようとする。」、その最悪の例がこの芝居だと思います。
1400名あまりが参加したオーディションを勝ち抜いてきた21名の若い女優にとっても、不幸な出来事と言うしかありません。

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