2019年2月18日月曜日

ハイドロブラスト『幽霊が乗るタクシー』

2019年2月11日 14時開演 トーキョーアーツアンドスペース本郷
脚本・演出:太田信吾
出演:川﨑麻里子、宍泥美、森準人、椎橋綾那、昇良樹、大山実音
脚本・演出の太田省吾は映画監督で、チェルフィッチュの芝居に役者として出ています。
「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」にでていたそうですが、どんなひとだったか覚えていません。
東日本大震災の被災地石巻で、ゆうれいを乗せたタクシー運転手や、娘を亡くした母親などへのインタビュー映像とその再現ドラマで構成されているが、一言で言えば、テレビドキュメンタリーとしてもできの悪い作品でしかなく、演劇作品としては成立さえしていないように見える。
現実としての映像と、それを昇華してイメージを膨らませるべきドラマの部分が単なる再現にしか見えなくて、やってる意味が理解できない。

隣屋「あるいはニコライ、新しくてぬるぬるした死骸」

2019年2月10日 20時開演 横浜STスポット
原案:レフ・トルストイ「光は闇の中に輝く」(訳:米川正夫)
脚本・演出:三浦雨林(隣屋/青年団)
出演:永瀬泰生(隣屋)、杉山賢(隣屋)、藤谷理子、宮本悠加
隣屋のWebサイトによれば、

レフ・トルストイ『光は闇の中に輝く』を原案に、新しい宗教と誰もいなくなった土地を描く。音楽と身体表現による生理的な感覚へのアプローチを試みる。2016年に短編として発表した作品をフルサイズで再演。

『光は闇の中に輝く』
大農園の主人ニコライはある日新しい宗教を求め、地位も金も家族も捨て始める。やがて生きるための全てをも打ち捨てようとする彼を、妻と僧侶が説き伏せようとするが…。
(レフ・トルストイ「光は闇の中に輝く」(訳:米川正夫))

ということのようだが、私にはよくわからなかった。劇中でお告げを聞くように携帯に耳をあてるシーンがあったが、あれが新しい宗教なのだろうか。
音楽というのは、俳優の一人がずっとキーボードやバイオリン、パーカッションなどで、BGMやSEのような音を出していたが、あれをさすのだろうか。
身体表現というのは、女優の一人がずっと踊っていたが、あれのことだろうか。
音楽は芝居の一部として理解できたが、踊りは芝居との関わりがよく理解できなかった。

2019年2月12日火曜日

お布団「破壊された女」

2019年2月10日 14時開演 横浜長者スタジオ
作・演出:得地弘基(お布団/東京デスロック)
出演 緒沢麻友(お布団)
キャラクターと称して、初音ミクのようなバーチャルアイドルやバーチャルユーチューバーのようなものにに扮した女優が、人間と架空のキャラクターの異差について喋りまくる一人芝居でした。
無意識のうちに架空のキャラクターというものが人間の延長線上にあるものだと思っていましたが(例えば、初音ミクはアイドルの1バリエーションだと思う)、ここでは人間と対立するもの、人間と異なるものと設定されていて、キャラクターの方から人間を問う構造になっています。ただ、キャラクターとして「私」といい、人間としても「私」と称するので、時々どちらの話をしているのか混乱します。
また、場面によってはプロジェクターで短い質問などのテキストを投影することがあるのですが、それが結構効いていて、質問することで相対化され空間が広がるような効果がありました。

国際共同制作『RE/PLAY Dance Edit』東京公演

2019年2月9日 19時開演 吉祥寺シアター
演出: 多田淳之介
振付:きたまり
出演:きたまり、岩渕貞太、Aokid、斉藤綾子、シェリダン・ニューマン(シンガポール)、ソポル・ソー(カンボジア)、カリッサ・アデア(フィリピン)、ジョン・ポール・オルテネロ(フィリピン)
今年に入ってから、集中力の低下が著しく、どの芝居を見ても芝居にピントが合うのに時間がかかってしょうがない。ひどいときにはピントが合う前に終わってしまうことさえある。
この『RE/PLAY Dance Edit』も最初はわけがわからない状態だったが、一人のダンサーに集中することで面白さがわかってきた。私が注目したのは岩渕貞太、舞踏というか武術の型のような動きをするダンサーで、ある意味わかりやすい。
8人のダンサーはそれぞれ違った動きをする。曲にあわせて動き、自分の振りが終わったところで倒れる。やがて起き上がり、同じ振りを始める。曲は繰り返され、繰り返すたびにだんだん音量が上がっていく。
ダンサーは国籍もダンスのルーツもばらばらで、それぞれの振りもバラエティに富んでいて、見ていて飽きない。曲が繰り返されるたび、繰り返される振りと変化していく振りができてくる。曲の音量に合わせて振りが変化していくのを見ていると、不思議な興奮を感じていく。
2015年に「快快」が岩井秀人の演出でオリジナルバージョンを上演したのを見ているが、その時のブログを読み返してみると、全く理解できなくて戸惑っているのがよくわかる。
オリジナルバージョンでは、役者が同じように動き回っていたのだが、その動きのパターンがわかりにくく、混乱しか感じられなかったのだと思う。
この Dance Editでは、各々のダンサーの出自による動き(舞踏、ストリートダンス、モダンダンス、カンボジアの民族舞踊、バレエなど)のバラエティが豊富で見ていてあきないし、わかりやすい。
ひとしきり踊った後、稽古後の雑談のていで、ダンサーたちの会話が始まる。その中で、各自のダンスのルーツ、夢、この演目への関わりなどが語られていく。やがて、また音楽が始まり踊り出すのだが、各自の振りにまるでカーテンコールのように客席に向かって直立する振りが加わっている。
ひとしきり踊り、そして本当に終わる。
オリジナルバージョンにダンスという要素を付け加えることで明確な切り口ができ、様々な国で繰り返し上演されてきたことで、普遍性が上がってきたのだと思う。ダンスが苦手な私にもとても面白い体験だった。

2019年2月9日土曜日

かもめマシーン「しあわせな日々」

2019年2月8日 19時開演 横浜 The Cave
作:サミュエル・べケット
翻訳:長島確
演出:萩原雄太
出演:清水穂奈美、伊藤新(ダミアン)
空間デザイン:白鳥大樹
美術:横居克則、山城裕美
私が一番好きな戯曲はサミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」なんですが、他のベケットの戯曲も観てみたいと思い、見にいきました。
ビルの地下にある会場のThe Caveは、普段はバーかカフェであろう、コンクリート剥き出しの空間にバーカウンターだけが設置してあるところで、その真ん中に現代美術的な鉄の半球が設置してあり、その上に役者が腰まで埋まってうつぶせに倒れています。やがて、非常ベルが鳴り、芝居が始まり、役者が喋りだします。どんどん、喋ります。なぜ、腰まで埋まってしまうことになったのかは一切わかりません。しかし、彼女はそれを嘆くことなく、この現状は「悪くない」と繰り返し話します。時々、その地面の下に住んでいるらしいウイリーという男に話しかけます。男は時々地面から出てきて新聞の求人欄を読み上げます。ウイリーは出てきても彼女の背後に位置し、彼女からは見えません。
やがてウイリーはいなくなります。彼女はそれに気づいているのかいないのか、どんどん喋ります。
一度暗くなりまた明るくなると、彼女は首まで埋まっています。それでも彼女は喋り続け、現状を「悪くない」と言い続けます。
ラストはウイリーが手の力だけで這って入ってきて悪戦苦闘の後、彼女のほほに手を触れるところで終わりです。
役2時間、ほとんど一人で喋り続ける役者の技量と集中力はたいしたものです。
しかし下世話に考えると、定年で一日中家にいる亭主に対して一方的に喋り続ける女房と生返事しかしない亭主のようにも見えます。
喋り続ける女房に愛想を尽かして亭主は出て行きますが、紆余曲折の果て、やはり古女房のもとに帰ってくる。
そんなストーリーに見えなくもありません。

2019年2月3日日曜日

はえぎわ「桜のその薗」

2019年2月1日 19時開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:ノゾエ征爾
出演:井内ミワク、町田水城、鈴真紀史、滝寛式、竹口龍茶、踊り子あり、茂手木桜子、中薗菜々子、川上友里、鳥島明、富川一人、山口航太、ノゾエ征爾
周年記念公演で新作となると、面白くなりにくいというイメージがあります。その上、内容が脚本家の書けない悩みとなると、一層面白くなさそうです。
はえぎわの芝居は好きで何本か観ているつもりでしたが、細かいところはほとんど覚えていないので私の勝手な想像ですが、これまでの作品の様々な場面をつなぎ合わせて川上友里を狂言回しの役にして一本にまとめたのだと思います。20周年記念にふさわしいと言えば言えなくもありませんが、苦し紛れの感は否めません。
ただ、懐かしの名場面集というよりも各役者の現状が透けて見えるような気がするのは気のせいでしょうか。
役者で印象的だったのは、ストーリーを進めるために登場して用が済むとすぐに忘れられるとつぶやく、「脇役」をやった井内ミワクでした。

2019年1月29日火曜日

鳥獣戯画「三人でシェイクスピア」

2019年1月28日 19時開演 池袋シアターグリーン Box in Box Theatre
作: Jess Winfield,Adam Long,and Daniel Singer
訳:小田島雄志、長谷川仰子
演出: 知念正文
出演:赤星昇一郎、石丸有里子、ちねんまさふみ
劇団鳥獣戯画が17年以上にわたって、飛び飛びロングランと称して断続的に公演を行っている「三人でシェイクスピア」を観ました。300回以上、同じメンバーで上演しているそうで、さすがに手慣れた芝居になっていました。
キャッチフレーズは、「3人で、90分で、シェイクスピアの全37作品を上演する」と言うことですが、頭に「ハムレット」をさらっとやって、途中は演じると言うよりはおもしろおかしく説明するだけです。「真夏の夜の夢」などの喜劇16本はストーリーが皆同じとしてまとめるし、リチャード3世などの歴史劇は王様の形態模写だけで済ますなど。時短の為の工夫が一杯です。
ラストに「ハムレット」を持ってきて、オフェーリアのフロイト的分析と称して客を巻き込んで、イド、エゴ、スーパーエゴをやったりして、終わるという構成でした。
とにかく脚本がよくできています。客を飽きさせないように、しかもしっかり見たという満足感も与えるように、とてもよく考えられています。また、ヒロイン、ジュリエットやオフェーリア、クレオパトラに至るまで、演じるのが怪優赤星昇一郞というのも大きなポイントで、とにかく出てくれば「つかみはオーケー」なのも、大きいです。
やはり恋いったパロディ物は、欧米の方がおもしろいものがあるような気がします。400年以上のシェイクスピアをやり続けてきた、厚みと裾野の広がりのなせる技でしょうか。


2019年1月27日日曜日

CHAiroiPLIN 踊るシェイクスピアII 「TIC-TAC~ハムレット~」

2019年1月26日 13時開演 新大久保東京グローブ座
原作:W.シェイクスピア
振付・構成・演出:スズキ拓朗
出演:●エリザベス・マリー、清水ゆり、ジョディ、ジントク、増田ゆーこ、スズキ拓朗(CHAiroiPLIN )
ゲスト出演:柏木俊彦 、鳥越勇作、NIWA、野坂弘、福島梓、碧さやか、青木萌 、浅井裕子、岡村樹、小川しおり、折浜かじき、、小林らら、鈴木彩乃、多賀栞里、中井沙織、長岡ありさ、ニノ戸新太、葉月娃伊、松下高士、みぞぐちあすみ、森陽菜、伊藤凜音、飯塚 シオン、小口響郁、内山日奈加、白井安美、仲本詩菜、塚越光、吉田裕貴
香取直登(コンドルズ)山本光二郎(コンドルズ)
特別映像出演:近藤良平(コンドルズ)
久しぶりのCHAiroiPLINの公演はシェイクスピアのハムレットでした。歌と映像でストーリーの説明をして、心象風景をダンスで表すという構成でした。後半になるほどシリアスさがまして、いつものCHAiroiPLINの軽やかさが薄くなっていったのが残念です。シリアスになればなるほど、群舞のレベル差が目立ったのも気になりました。

2019年1月24日木曜日

コンプソンズ「ぶっ飛ぶ夢をしばらく見ない」

2019年1月23日 19時開演 下北沢OFFOFFシアター
脚本・演出:金子鈴幸
出演:金子鈴幸、星野花菜里、細井準、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑、つかさ、善長まりも、シオザキ、並木雅浩
つかさと善長まりもはダブルキャスト
久しぶりに自分が理解できる芝居だったので、安心してみられました。理解できたからといって面白かったわけではなく、逆にだめなところが目につきました。もっとも気になったのは、のべつ幕なしに繰り広げられるギャグというか、だじゃれです。いっている本人も自信がないのか、突然早口の大声でだじゃれが挟まります。そのリアクションを受けるまもなく何事もなかったかのように芝居は続いていきます。衝撃的と言えば衝撃的ですが、それが続くと単にうるさいだけのノイズです。脚本に扇子は感じられる野ですが、その扇子を生かす方法を追求する前に、思い切りよく捨ててしまっていることが残念です。物語の多重構造を台詞で説明しすぎだと思います。それを減らせば、スマートに上演時間も短くできると思います。