2013年5月26日日曜日

トリのマーク(通称)「湖畔の探偵 全六話」

2013年5月25日 16時開演
台詞・演出 : 山中正哉
出演:柳澤明子、原田優理子、大畑麻衣子、藤田早織、小田さやか、山中正哉
チラシの「シュールな話」という言葉と、マークだけで、呼び方がなく、通称トリのマークと呼ばれているという劇団名に惹かれて見に行きました。
結果は、あまりにシュール(?)で、理解も何もできませんでした。
話はどうやら、依頼を受けた探偵とマスコットらしいぬいぐるみのギロンが、湖畔の駅に到着するところから始まるようなのですが、探偵が二人いたり、マスコットが二つあったり、不動産屋らしい2人組がいたりするのですが、それらが出たり入ったりするだけで、何かが始まる前に終わってしまった感じです。何がしたいのか、何が面白いのか全くわかりませんでした。
お手上げです。

ポップンマッシュルームチキン野郎「仏の顔も三度までと言いますが、それはあ くまで仏の場合ですので」

2013年5月24日 19時30分開演 新宿サンモールスタジオ
作・演出 : 吹原幸太
出演:サイショモンドダスト★、吹原幸太、今井孝祐、小岩崎小恵、仁田原早苗、CR岡本物語、井上博之、加藤慎吾、小田伸泰、太田守信、高橋ゆき、青山雅士、杉岡あきこ、NPO法人、横尾友幸、橘麦、野口オリジナル、増田赤カブト、跳川雄大、渡辺祐太
ど派手なメイクのチラシに惹かれて、見に行きましたが、「ふざけた名前の劇団の芝居は面白くない。」という法則がまた、当てはまってしまいました。
思いついた面白そうなことを脈絡なくぶち込んだごった煮のような芝居で、そのごった煮が美味しければ結果オーライなのですが、けしてオーライになっておらず、しょぼい決幕を迎えるという情けない状態でした。妖怪たちの着ぐるみも、頑張っているのですが相乗効果をもたらすこともなく、不発に終わっていました。あまりにも、御都合主義なストーリーは苦笑するしかありません。
次回は、見ないと思います。

「いやむしろわすれて草」

2013年5月22日 19時開演 青山円形劇場
作・演出 : 前田司郎
出演:満島ひかり、伊藤歩、福田麻由子、菊池亜希子、大山雄史、能島瑞穂、黒田大輔、志賀廣太郎
前田司郎の芝居は五反田団の公演を2本ほど見て、これはどれを見てもみんな同じだと感じて、あまり触手が動かなかったのですが、「100万回生きた猫」で好演した満島ひかりが主演ということで、円形劇場に足を運びました。
病気がちの三女三樹(満島ひかり)を中心に、四姉妹の交流がさりげない日常の会話を通して静かに描かれて行きます。単に仲の良いだけでない、死をみじかに感じて相手を思いやる気持ちからかえってギクシャクする関係が、リアリティを持って心に迫ってきました。
この芝居が成功した主な要因は、キャスティングにあると思います。一見、バランスの悪そうな四姉妹の役者が微妙な距離感を、見事に表していました。
五反田団とは全く違う演出で、前田司郎の才能を再認識しました。

ハイバイ「て」

2013年5月21日 19時30分開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出 : 岩井秀人
出演:猪股俊明、岩井秀人、平原テツ、佐久間麻由、富川一人、上田遥、永井若葉、高橋周平、奥田洋平、小熊ヒデジ、青野竜平、用松亮
Twitterでの評判では、「岩井秀人の自伝的戯曲にして、最高傑作。何度見ても号泣。」「どうしてこの戯曲で岸田戯曲賞が取れなかったのか。」などと書かれていますが、私には今ひとつピンときませんでした。どうも私は、この戯曲や、「ポンポン………」などよりも、「霊感少女ヒドミちゃん」や、「ある女」のような映像を使ったポップな作品の方が好みのようです。
話は、久しぶりに全員集まった家族が前半は次男の視点から、後半は母親の視点から描かれています。舞台上のレイアウトもそれに合わせて、180度ひっくり返ります。同じ話が視点を変えることで、違った側面を見せることになるという演出は面白いのですが、別にそれで謎解きになるというわけでもなく、それがどうしたという印象は拭えません。
確かにリアルなんでしょうけれども、カタルシスを感じられないところが、納得いかないのだと思います。

離風霊船「マインド2013」

2013年5月20日 19時30分開演 下北沢ザスズナリ
作・演出 : 大橋泰彦
出演:伊東由美子、松戸俊二、倉林えみ、江頭一晃、柳一至、栗林みーこ、祥子、松延春季、生津徹、川崎蘭子、沙織、秋月愛
4回目の離風霊船の芝居ですが、最初の新鮮さが薄れて普通の芝居に感じました。
2本目、3本目の「30」2バージョンが結構残念な出来だったので、「貴方はもっとできる子のはず」と勝手に期待して見に行ったのですが、残念ながら贔屓の引き倒しだったようです。
話は、ある日、珍しく早く帰ってきたお父さんの様子が少し変です。家庭に波風を立てるのを恐れるあまり、昇進を断ってきたと嬉しそうに話します。びっくりしている家族の前に、さらに3人のお父さんが帰ってきます。博愛精神にあふれ、2リットルも献血したり、もっているお金をすべて募金したりするお父さん。目の前の欲望に忠実に、食べたいウナギやトンカツをすべて買ってくるお父さん。ずる賢くて、銀行強盗をするお父さん。どうやら、満員電車の中で足を踏まれ続けたショックで、4人に分裂してしまったようです。
自分達が良しとする提案を勝手にしまくるお父さん達に、混乱する家族。ドタバタあって、結局今のお父さんを選ぶ家族に、選ばれなかったお父さんたちは自分たちの原点、子供の頃に帰ります。そこに、選ばれた今のお父さんも現れるのですが、自ら全く覚えがない(なぜなら、子供の頃には、現れていない資質だから)と言っている場所になぜもどってくることができたのでしょうか。
不思議です。
子供の頃の母親とのやり取りを見て色々思い出すが、結局、今更かんたに変えられないと呟いて、芝居は終わります。
正直な結末だとは思いますが、今、再演するならそれを突き抜けたところまで行って欲しかったです。それとも、これが年を取るということなのでしょうか。

2013年5月21日火曜日

イキウメ『獣の柱 ~まとめ*図書館的人生(下)~』

2013年5月15日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
作・演出 : 前川知大
出演:浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、大窪人衞、加茂杏子、安井順平
前作に続いて、「まとめ図書館的人生」というタイトルがついているので、また、幾つかの作品をつなげたオムニバス的な作品かと思っていたら、丸々一本の作品でした。いわゆる再演ということなのでしょうか?最近になってイキウメを見始めた私にはよくわかりません。
話は、ある日、突然、空から大きな柱が降ってきて、それを見た人間は、意識を失い、硬直してしまう。外部からの刺激がないと目覚めず、目覚めてもその間の記憶がない。ただ、目覚めるととても幸福な気分に襲われる。経済は崩壊し、物流も止まってしまった世界で、人々は何とかそれに適応し、やがて神と崇めるようになる。やがて、何十年もその状況が続くと、柱を見ても気絶しない新しい人間が現れ、自分たちの世界を作るため、旅立っていく。とてもSF的なストーリーでした。その時間お流れと関係性を、プロジェクションで年号を映写することと、同じ役者が自分の子供や孫を演じることで、重層的に表していて面白かったです。
芝居の本質とは全く関係ないことですが、一つとても気になったことがあります。イキウメの一連の作品や、砂地の「disk」の照明デザインは、小劇場の芝居を数多く手がけている松本大介さんがされているのですが、どの芝居も基本的にストイックな芝居で、アクティングエリアを区切ることと、若干の状況的な説明をする照明(夕方とか、夜とか)を組み合わせることで事足りてしまいます。芝居に合わせたストイックな照明と言っていいでしょう。それにフラストレーションを感じるのか、ラストに必ずと言っていいほど、照明的な遊びのあるシーンがありました。「Mission」での虹の七色のビームとか、「disk」でのラストのオーストラリアでのモノローグでの大量の生のライトの方向性で、朝から夕方までを表すシーンとかです。同業者として、気持ちがわかるような気がして、シンパシーを感じてしまいます。

酒とつまみ「もうひとり」

2013年5月14日 15時開演 下北沢 OFF-OFF シアター
作・演出 : 倉持裕
出演:村岡希美、池谷のぶえ
Twitter上での評判は面白かったと思う人しか書き込まないので、当てにならないと重々わかっているのに、ついつい書き込みが多いと気になって見に行ってしまいます。この芝居もそんな気分で予約をいれてしまいました。
Twitterの評判をまとめると、「名女優二人が丁々発止とやりあう報復絶後の爆笑1時間20分」ということになるのですが、そもそも、村岡希美、池谷のぶえの二人が名女優なのかと言われれば、疑問が残ります。確かに芝居はうまいと思いますが、名女優と呼ばれるような女優ならこのような二人芝居で示すであろう「私は名女優なのよ。ほら、こんなに芝居がうまいでしょ。」といういうなケレン味が、あまり見られません。下手をしたら嫌味にしか感じられないような事も、さらりとできる人こそ名女優だと思います。でなければ、時には芝居の枠を外れるくらいの熱演をして欲しいものです。この二人には、残念ながらそれが足りなかったような気がします。全ては想定内の演技といった感じがします。
話は、縁もゆかりもないのになぜかいる居候と、大家という不思議な関係の中年女二人。隣人は大家が洗脳されているのではないかと心配して乗り込んでくるし、大家の婚約者は居候の存在が気になってプロポーズできない。そんな不思議な二人の関係の話でした。
ストーリーで一番気になったのは、途中の居候の息子への電話で明らかになるのですが、どうも、居候の家族は、プロの居候とでもいうべき存在で、本人も夫もその息子も別々の家庭に居候しているらしいということでした。その顛末を芝居にしたら、とても面白そうな気がしました。




2013年5月13日月曜日

iPadでブログ編集その後

iPadでブログ編集をする方法ですが、その後、blogger.comの純正APPを見つけて使って見ました。これを使えば、オフラインでテキストの入力、編集もできますし、Wi-Fiでつながっていれば、公開もできます。今のところの問題は、写真の挿入はできるのですが、位置調整ができません。さらなる研究が必要のようです。
その後、いろいろ調べましたが、位置調整は無理のようです。これでは下書き用にしか使えません。やはり、最終調整はMacからやるしかないようです。

少年社中「ラジオスターの悲劇」

2013年5月9日 15時開演 吉祥寺シアター
作・演出 : 毛利亘宏
出演:森下亮(クロムモリブデン)、堀池直毅、井俣太良、岩田有民、甘浦裕介、加藤良子、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、桂亜沙美、中村龍介、松本寛也、川本裕之、江口愛、大山真絵子
芝居を見ながら、この感じは何処かの劇団と似ているとずっと思っていたのですが、途中で「あっ、キャラメルボックスだ。」と、気がつきました。作風とか、演技の質が同じだとかの話ではなく、両方ともエンターテイメント志向で観客を楽しませることに全力を尽くしている、その姿勢がよく似ているのです。しかし、この芝居をエンターテイメントとして見た場合、私が満足できるレベルには達していないと思います。
まず、ダンスが酷い。基本的に踊り慣れていない人たちのようで、振付は平凡、身体のきれもなく、人様に見せられるレベルではありません。
また、脚本は安物のロールプレイングゲームのシナリオみたいで、悲しい限りです。今時、「夢は諦めなければ必ずかなう。絶対に!」と言い切ってしまうなんて、恥ずかしくないのでしょうか。
ここまで書いてきて、自分のエンターテイメントに対するハードルの高さに気がつきました。これは、古くは藤山寛美の松竹新喜劇や、初期の東京乾電池、最近のシルクドソレイユが基準としてあるからでしょう。それらに無意識に比べているように思います。また、エンターテイメント志向というよりは、各々の現実を引きずり、舞台の上でなんとかそれに対峙しようとしている芝居には、シンパシーを感じて採点が甘くなっていると思います。

2013年5月7日火曜日

ミームの心臓プロデュース公演「focus」

2013年5月8日 15時開演 王子小劇場
ハイブリットハイジ座「皮にパンク」
作・演出 : 天野峻
出演:広井龍太郎、羊、城築創、牧俊平、田中裕子、南美櫻、木村圭介、田中亜紀、町田地獄、来栖玄都、櫻谷翔吾、神山慎太郎

ミームの心臓「東の地で」
作 : 酒井一途、演出 : 岩渕幸弘
出演:浦田大地、小林依通子

四次元ボックス「cicada」
作・演出 : 菊池史恩
出演:森山拳、三品優里子、佐藤修作、山口栞、宮崎卓真、朝戸佑飛、渡辺苑衣、曽我祥之、北川まりえ、菊池史恩
ブリットハイジ座ー早稲田大学、ミームの心臓ー慶応義塾大学、四次元ボックスー日本大学芸術学部、学生劇団3団体による合同公演でした。2500円で各々1時間程度の芝居が3本見られるのはお得でしたが、引き換えにお尻の痛みを我慢するという苦行が待っていました。
全体の印象は、よく出来た学芸会以上のものではありませんでした。しいてあげれば、ハイブリットハイジ座には見せ方の工夫という点で、一日の長がありました。テンポの良い台詞運び、トリッキーな動きには、お客をとりあえず楽しませようという努力が見えますが、それも何処かで見たようなものでしかありませんでした。
ミームの心臓は、いわゆる「イタイ」感覚をそのまま、正面切って展開するような芝居で、今更見せられても感想にも困るような代物でした。二人芝居で、女優の方が存在感を発揮していましたがそれも二人を比較した場合の話で、役者としてどうかといえば、スタートラインに立ったところという感じです。
四次元ボックスは、大学8年生で新入会員が6年間もいないオカルトサークルの部長、原田マサオ役の佐藤修作が唯一舞台の上で存在感を発揮していましたが、他の役者が学芸会レベルで目立っていただけでした。せめて、全体のレベルが佐藤修作程度まで上がってこないと、芝居が始まらないという感じでした。
舞台の上に上がったら、学生も、プロも、アマチュアも関係なく、興味はただ一つ、面白いか面白くないかだけです。突然、面白くなることはないので、学生の皆さんは日々、精進していただきたいと思います。
面白いという噂が広まったら、また、見たいと思います。