2012年2月3日金曜日

下谷万年町物語


2012年2月2日 14時開演 シアターコクーン
作:唐十郎 演出:蜷川幸雄 出演:宮沢りえ、藤原竜也、西島隆弘 そのほか

突然思いついて見に行ったわりには、2階の前から2列目という見やすい席で見られました。
しかし、長い。休憩が2回あるとはいえ、3時間30分は長いです。立ち見席だったら、途中で帰っていたかもしれません。
やり過ぎと思えるほど、水に落ちながら熱演する藤原竜也の1幕。何度も墜落しそうになりながら、そのたびに高度を上げて持ち直す、スリルあふれる演技の宮沢りえの2幕。ワハハ本舗の梅垣義明を思わせる怪演の六平直政を狂言回しに、爆走する3幕。
なかでも全編を通して、きれいな台詞回しと情感あふれる感情表現で全体を落ち着かせた西島隆弘は、すてきでした。
脇では沢隆二が渋く、いぶし銀の演技で光りました。
しかし、私にとっての唐十郎戯曲の最高の語り部は、やはり、李麗仙であり根津甚八であり、不破万作、大久保鷹をはじめとする状況劇場なのです。
宮沢りえの台詞を聞きながら李麗仙ならなんというだろうとか、藤原竜也をみながら根津甚八ならどうだろうとか、妄想が止まりません。

私にとっての唐芝居は、上野の不忍池水上音楽堂で見た「ベンガルの虎」だったことを改めて自覚しました。若くもなく美人でもないのに平然とヒロインを務める李麗仙、自分の台詞のとちりに自分で吹き出してしまう芝居なんか全然できない根津甚八、一歩間違えば浮浪者にしか見えない不破万作や多く場鷹。多すぎる猥雑な物や余計な物を抱え込んだまま、物語は場面を飛び回り、ラストに向かって爆走する。これが私の唐芝居のイメージです。
やはり、宮沢りえではやらしさが足りない。きれいだし、崇高な感じも十分だが、猥雑さがない。

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