2013年3月12日火曜日

アマヤドリ「月の剥がれる」


2013年3月5日 14時開演 座高円寺1
作・演出:広田淳一
「散華」と言えば、私の世代だと高橋和巳の小説「散華」ということになるのですが、この劇団にとっては、どんな意味を持つのでしょう。本来の意味は仏教で法要時に花をまいて場を清め、悪霊を祓うということらしいですが、その後、戦死の婉曲的表現として使われるようになったようです。
ストーリーとしては、散華と称する平和運動が起こる。これは、自国の軍隊が人を殺すたびに、会員は一人づつ自殺していくという運動。運動はやがて世界中に広まるが、最終的に大量殺戮兵器が使われ、会員の大量自殺が起こり、運動は崩壊する。
それを反省して、その国では「怒り」を放棄することで、平和を目指すことを選択する。ざっとまとめるとこのようなストーリーなのだが、私には、どこにも共感できるところがありませんでした。
と、ここまで書いたところで、時間となったにでソワレで劇団KAKUTA「秘を以て成立とす」を見ました。KAKUTAの感想はまた別稿で書きますが、見てわかったことがあります。それは、アマヤドリの役者の芝居が下手でそれに共感できなかったので、散華の考え方に共感できなかったわけではないということです。共感以前の問題で、下手な芝居にうんざりしただけだったのです。
演出家にもその自覚があったようで、ダンスをいれたり、コロスのような人が場面場面で、外から見ているという演出を多用したりしていました。しかし、私には更に意味不明度を増しているだけのように思えました。
次世代を担う劇作家の一人と期待されているという前評判を聞いて、見に行ったのですが、残念な結果となりました。

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