2013年3月12日火曜日

KAKUTA「秘を以て成立とす」


2013年3月5日 19時30分開演 三元茶屋シアタートラム
作・演出:桑原裕子
出演:吉見一豊、藤本喜久子、清水宏、成清正紀、瓜生和成、原扶貴子、佐賀野雅和、若狭勝也、高山奈央子、野澤爽子、桑原裕子、ヨウラマキ
トムズプロジェクトの「熱風」の時にも思ったのですが、桑原裕子は達者な作家だと思います。謎を含んだまま進んで行くストーリーで観客の興味を引っ張り、最後にスッキリ謎解きをして納得させ、更に明日への希望をさらりと提示して、優しい気持ちで客を帰す。できそうでなかなかできないことだと思います。
ストーリーは、子供の頃、姉を死なせてしまったと思い込んだ医者が、それを超えるため、エリートの医者と、乱暴者の大工を別人格として生み出し、生きていく。家族は、それを秘密として隠して生きことで家の平和を守っていく。しかし、町内のマラソン大会をきっかけに秘密が公になり、もう一度、やり直す決心をする。それ以外にも様々な人の様々な秘密が描かれて行き、人間は実に秘密を抱えながら生きている動物であることが提示される。
秘密というテーマ自体よりも、それを抱えて右往左往する人々が良く描かれていて、実に笑える芝居に仕上がっている。
しかし、自分の病気を自覚した主人公がやり直す決心をするラストで、妻と手を取り合ってマラソンに復帰するのは、あまりにも安直な演出にしか見えませんでした。何か別の意図があったのでしょうか?
最後に、役者としての桑原裕子も特筆すべき存在だと思います。
ブサ可愛いを絵に描いたような演技で、メインストーリーとあまり関係ないところで、芝居を膨らませていました。

0 件のコメント:

コメントを投稿