2013年1月21日月曜日
30 Years Godo Project「ゴドーを待ちながら」
2013年1月19日 18時開演 上野ストアハウス
作:サミュエル・ベケット
演出:鈴木ハルニ
出演:鈴木ハルニ・須貝英・小玉久仁子・渡辺芳博・河野真紀
多分、世界で一番好きな戯曲「ゴドーを待ちながら」の公演があるというので、嬉しさ半分、心配半分で見に行ってきました。古くは、紀伊國屋ホールで 今の野村万之上、萬斎の父親の野村兄弟のものや、パブリックシアターでの、柄本明、石橋蓮司が出演したものとかも見ましたが、どちらも今ひとつでした。そういえば紀伊國屋ホールも、パブリックシアターも、演出は佐藤信でした。いまいちだったのは、佐藤信のせいだったのでしょうか?
今回の30 Years Godot Projectの「ゴドーを待ちながら」も、イマイチ、いや、いまさんくらい残念でした。何よりも翻訳の硬い日本語がこなれていないので、台詞が浮いてしまうシーンが多々あったことがとても気になりました。寓話のような話なので、台詞がこなれていないと全くの絵空事になってしまいます。また、台本から離れて暴走するところも、見当違いのところへ行こうとしているように見えてしまいます。収穫は、ポッツォ役の小玉久仁子でした。戯曲では成金風の中年のおじさんというような設定ですが、女優が髭を描いて、軍人のような衣装で演じるという設定で演じることにより、自由さを手にして生き生きと演じて、ただ一人光っていました。ウラジミールと、エストラゴンももっと自由にやれば、良いのにと思ってしまいます。
昔から、この芝居は役者が演じるより漫才コンビがやった方が面白いと言われていて、古くは、星セント・ルイス、コント55号、ツービートなどの名前があがっていました。言葉遊びで時間を潰すシーンなどをみると、確かに漫才コンビの方が面白そうだと思ってしまいます。
名前にうたっているとおり、30年に渡って「ゴドーを待ちながら」を上演し続けるプロジェクトのようですから、今後に期待したいと思います。とりあえず、演出が変わったら、また見に行こうと思います。
ナカミチ円陣「三人獅子舞」
2013年1月19日 14時開演 下北沢シアター711
作・演出:福田転球
出演:小椋あずき・佐伯太輔・シューレスジョー・大堀こういち・中道裕子
作・演出も出演者も誰一人知らないのになぜ見る気になったのか思い出してみたら、Webで中道裕子を検索したとき、誰かのブログで(確か、後藤ひろひとのような気がするのですが)中道裕子を紹介していて、それが結構面白かったからのような覚えがあります。実際に見てみると、始まった途端にこれは面白くならないという確信が100%持てるという、哀しくも腹立たしい芝居でした。シアター711のようなごく狭い空間での芝居では、演技しているとは思えないほど自然に見えるか、役者の地だと錯覚するくらい当て書きにするとか、何か一つ飛び道具的に武器を持つとかしないと、普通に芝居しても演技しているのがバレバレで、さみしい気分になるだけです。全員、演出家の指示を忠実に守って動いていることがミエミエで、面白い訳がありません。
チラシの裏の挨拶文によると、今まで知り合った人を集めて芝居がしたかっただけのようも読めます。もう少し、この戯曲をやりたいとか、この演出家とやってみたかったとか、具体的な目標がないとピントが甘くなって、面白くなりにくいと思います。
主宰の仲道裕子はよくいそうな小劇場の脇役タイプで、普通の舞台なら地道に舞台を支えて、芝居をキュッと締めることもできそうな感じでしたが、狭いところで台詞を言っただけで観客の関心を集めてしまうことに慣れていないのか、なかなかエンジンがかからないようでした。もう一人の女優、小椋あずきは、小さい体に大きな声、よく喋り、よく動く、飛び道具的なタイプで、狭いところではうるさいだけでした。男優陣は、全員、芝居がヘタなのに、あまりその自覚もないように見えました。
なかなかの残念な1時間半でした。
後日、中道裕子のプロフィールを検索したら、「特技 獅子舞」とありました。ひょっとしたらこれが飛び道具のつもりだったのかもしれませんが、見事に不発でした。
2013年1月14日月曜日
長塚圭史「音のいない世界で」
2013年1月13日 11時開演 初台新国立劇場小劇場
作・演出:長塚圭史
出演:首藤康之・近藤良平・長塚圭史・松たか子
タイトルと出演者から、無言劇+モダンダンスの公演かと勝手に想像していったら、子供から大人までを対象とした童話劇でした。貧しい夫婦のもとに、悪魔にそそのかされて泥棒兄弟が蓄音機を盗みに入ります。盗まれてしまった夫婦は、何か大切なものがなくなったと思い、それぞれそれを探しに旅に出ます。様々な人に会い、少しづつ大切なものを探し当てます。最後に、無事蓄音機を見つけて、めでたしめでたし。ストーリーは、簡単にいうとこんなところです。
それより新鮮だったのが、ダンサーである首藤康之の台詞回しの良さ。全くたくらまず、自分の言葉として発声していて、無理をしていない。その分素直に言葉がこちらの心に入ってくる。ダンサーは、動きを第一の表現と考えているから、台詞は苦手というこちらの思い込みを見事に覆してくれました。近藤良平は、コンドルズの公演でコントのようなこともしているから、台詞を喋ることに違和感はありませんでしたが、主藤康之については、踊るところしか見たことがなかったので、驚きでした。
松たか子は、どんなセリフを言っても肉体がついてくるというか、抽象的なセリフでも実感を込めて喋れるところが、素晴らしいです。それにいつも可愛いし。
長塚圭史として、難しいことを考えずに素直に作って見ましたというところでしょうか?
作品によって、スタンスを変えてくるところが、賛否両論を生む原因の一つかもしれません。今年も、彼からは目を話さず、追っかけて行きたいと思います。
2013年1月12日土曜日
生前葬「笑ってタナトスくん」
2013年1月12日 14時30分開演 江戸川橋ギャラリー絵空箱
作・演出:モラル(犬と串)
出演 : 藤尾姦太郎、椎木樹人、一色洋平、二階堂純子
昨年末風邪で行けなかったバナナ学園純情乙女組の主宰、二階堂純子が出演するというので、見る気になったのだが、久しぶりにひどい芝居を見た。チラシによれば、小劇団のイケメンが三人集まって、一波乱起こそうと企んだところから始まった企画だそうで、三人に絡む謎の女優が、二階堂純子なのだそうだ。蓋を開けてみれば、いうほどイケメンでもなく、笑のセンスも乏しい三人組が声を張り上げてドタバタやっているだけの100分間。なかなかの苦行であった。
二階堂純子のセレクトも、多分、NGの少なそうな女優というのが選考理由だったような気がする。二階堂純子の芝居自体も他の三人に比べれば、性根が座っていてスッキリとしたものだったが、まだ、演技力がとか存在感がとか語れるレベルではないと思う。
作・演出に関しては、妄想の中に生きて最後に自殺しようとするのを、山葵寿司の食べ比べとか、乳首相撲とか、顔面小麦粉まみれとかいう、実際の我慢比べで思いとどまらせる着想が多少面白いとは思った。
次回作hq、もちろん見ないし、名前だけは聞いている劇団犬と串の公演も見る気がなくなった。
2013年1月11日金曜日
東京デスロック「東京ノート」
2013年1月10日 19時開演 こまばアゴラ劇場
作:平田オリザ
演出:多田淳之介
出演 : 夏目慎也、佐山和泉、佐藤誠、間野律子、松田弘子、秋山健一、石橋亜希子、高橋智子、山本雅幸、長野海、内田敦子、大川潤子、大庭裕介、坂本絢、宇井晴雄、田中美希恵、永栄正顕、成田亜祐美、波佐谷聡、李そじん
私の知らない理由で、4年間も東京での公演を休止していた東京デスロックの久しぶりの東京公演。それなりに力の入った公演のようで、劇場はいちめんに白のフェイクファーを敷き詰め、とことどころに同じく白のフェイクファーのベンチ、壁面上部には6面のスクリーンやモニターが設置され、映像加工された場内映像や、テキストが投影される。観客は好きなところに座り、その間を役者が歩きながら台詞を語る。場内全体が美術館のロビーという設定だ。
その昔、青年団の東京ノートを見たことがあって、どうしてもそれと比べてしまうのだが、青年団の方はワイドレンズで人物と背景を一度にとらえていて、しかも、その両方にピントがしっかり合っている印象だった。それにより、何気ない日常会話に遠いヨーロッパでの戦争という社会情勢が、様々な影響を及ぼしているという関係がはっきりと見えた。今回の芝居は、より人物をクローズアップしている演出で、それにより背景がぼけてしまっている感じがする。その結果、日常的な会話がどうでもよいものに聞こえて、印象が薄い。
演出家は、この観客と役者を同一レベルにおくという演出を選んだときに、観客の存在をどのように考えていたのだろうか?装置の一部として考えていたのなら、観客に対して失礼な話だと思うし、観客と役者の相互作用を目指していたのなら、もっと積極的な仕掛けが必要だったと思う。
もう一つ、オープニングで、スクリーンに投影された「Where did you come from?」「When did you come here?」というテキスト(一部うろ覚えだが)に答えるように、役者達が自分の経歴を口々に喋るシーンはなんだったのだろうか?
私は、寺山修司の「書を捨てよ、町に出よう」という映画に同じようなシーンがあったのを思い出してしまったが、演出家の意図がよくわからなかった。役者の衣装が、その後の劇中と違っていたから、地の部分での語りだったことは間違いなさそうだが。
全体に、演出の頭の中だけが先走っていて、舞台に具現化されていない消化不良な作品という印象だった。
作:平田オリザ
演出:多田淳之介
出演 : 夏目慎也、佐山和泉、佐藤誠、間野律子、松田弘子、秋山健一、石橋亜希子、高橋智子、山本雅幸、長野海、内田敦子、大川潤子、大庭裕介、坂本絢、宇井晴雄、田中美希恵、永栄正顕、成田亜祐美、波佐谷聡、李そじん
私の知らない理由で、4年間も東京での公演を休止していた東京デスロックの久しぶりの東京公演。それなりに力の入った公演のようで、劇場はいちめんに白のフェイクファーを敷き詰め、とことどころに同じく白のフェイクファーのベンチ、壁面上部には6面のスクリーンやモニターが設置され、映像加工された場内映像や、テキストが投影される。観客は好きなところに座り、その間を役者が歩きながら台詞を語る。場内全体が美術館のロビーという設定だ。その昔、青年団の東京ノートを見たことがあって、どうしてもそれと比べてしまうのだが、青年団の方はワイドレンズで人物と背景を一度にとらえていて、しかも、その両方にピントがしっかり合っている印象だった。それにより、何気ない日常会話に遠いヨーロッパでの戦争という社会情勢が、様々な影響を及ぼしているという関係がはっきりと見えた。今回の芝居は、より人物をクローズアップしている演出で、それにより背景がぼけてしまっている感じがする。その結果、日常的な会話がどうでもよいものに聞こえて、印象が薄い。
演出家は、この観客と役者を同一レベルにおくという演出を選んだときに、観客の存在をどのように考えていたのだろうか?装置の一部として考えていたのなら、観客に対して失礼な話だと思うし、観客と役者の相互作用を目指していたのなら、もっと積極的な仕掛けが必要だったと思う。
もう一つ、オープニングで、スクリーンに投影された「Where did you come from?」「When did you come here?」というテキスト(一部うろ覚えだが)に答えるように、役者達が自分の経歴を口々に喋るシーンはなんだったのだろうか?
私は、寺山修司の「書を捨てよ、町に出よう」という映画に同じようなシーンがあったのを思い出してしまったが、演出家の意図がよくわからなかった。役者の衣装が、その後の劇中と違っていたから、地の部分での語りだったことは間違いなさそうだが。
全体に、演出の頭の中だけが先走っていて、舞台に具現化されていない消化不良な作品という印象だった。
2013年1月10日木曜日
ぬいぐるみハンター「ゴリラと最終バス」
2013年1月9日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:池亀三太
出演 : 片桐はづき、石黒淳士、松下幸史、浅利ねこ、ぎたろー、神戸アキコ、浅見紘至、安藤理樹、竹田有希子、北尾亘、三宅綾子、南陽介、工藤史子、橋口克哉、村上誠基、黒木絵美花
3回目の観劇となったぬいぐるみハンター、「へたくそだけど、疾走感だけはある」作風も、だんだんスピードが落ちてきているように感じるのは、見慣れたせいか、それとも飽きてきたせいでしょうか。
何より気になるのは、テーマ(今回は、家族の絆)を前に押し出し始めたことです。テーマ自体に新鮮みがないし、切り口も真っ向正面からむかっていくだけで新しさもありません。テーマをまじめに語る分、スピードは確実に落ちています。池亀三太の脚本は、テレビのコントのようで、その荒唐無稽さと発想の柔軟さが魅力だったのに、テーマを語り出したことで安いホームドラマの雰囲気が漂いだして、魅力半減です。この劇団にとっては、テーマなんてものは不要だし、あっても観劇後、観客の頭の中でぼんやりイメージされればよいものだと思います。
それと、この劇団最大のトリックスター神戸アキコの扱いも疑問です。サイドストーリーに追いやられて、不照れ腐っているようにも見えました。
司会作は、もう見なくてもよいかもしれないという感じです。
作・演出:池亀三太
出演 : 片桐はづき、石黒淳士、松下幸史、浅利ねこ、ぎたろー、神戸アキコ、浅見紘至、安藤理樹、竹田有希子、北尾亘、三宅綾子、南陽介、工藤史子、橋口克哉、村上誠基、黒木絵美花
3回目の観劇となったぬいぐるみハンター、「へたくそだけど、疾走感だけはある」作風も、だんだんスピードが落ちてきているように感じるのは、見慣れたせいか、それとも飽きてきたせいでしょうか。何より気になるのは、テーマ(今回は、家族の絆)を前に押し出し始めたことです。テーマ自体に新鮮みがないし、切り口も真っ向正面からむかっていくだけで新しさもありません。テーマをまじめに語る分、スピードは確実に落ちています。池亀三太の脚本は、テレビのコントのようで、その荒唐無稽さと発想の柔軟さが魅力だったのに、テーマを語り出したことで安いホームドラマの雰囲気が漂いだして、魅力半減です。この劇団にとっては、テーマなんてものは不要だし、あっても観劇後、観客の頭の中でぼんやりイメージされればよいものだと思います。
それと、この劇団最大のトリックスター神戸アキコの扱いも疑問です。サイドストーリーに追いやられて、不照れ腐っているようにも見えました。
司会作は、もう見なくてもよいかもしれないという感じです。
2013年1月9日水曜日
「100万回生きた猫」
2013年1月8日 19時開演 池袋東京芸術劇場プレイハウス
原作:佐野洋子
脚本:糸井幸之介・成井昭人・中屋敷法仁
演出・振付・美術:インバル・ピント、アブシャロム・ポラック
出演:森山未来・満島ひかり、田口浩正、今井朋彦、石井正則、大貫勇輔、銀粉蝶、藤木孝
BAND : 水野栄治、柳本雅寛、江戸川卍丸、皆川まゆむ、森下真樹、清家悠圭、鈴木美奈子、三東瑠璃
自分へのお年玉として、いつもなら絶対買わない1万円のチケットを購入して見てきました。心の狭い私は、「1万円も出すのだから、ミラクルの一つや二つ見せてみろ。」常々思っているのですが、そんな私でも満足するよい芝居でした。
題名の通り、王様の猫になって戦争で死に、猟師の猫となって海でおぼれて死に、泥棒の猫になって番犬にかまれて死ぬというシンプルなストーリーの繰り返しなんですが、そこにイスラエル人の演出グループの日本人にはない感覚やセンス、動きがいいアクセントとなって退屈することがありません。特に、生きているか死んでいるかわからないおばあさんのシーンでの、背景の家の造形や、動きは日本人では思いつかない感覚で、感心しました。
主演の森山未来も、役が猫だけあって、台詞が少なく、喋っても一言二言がせいぜいというのもよかったと思います。前から、長台詞を喋ると森山未来の「地」が出てくるのが気になっていたのですが、これくらい短い台詞ばかりだと、全く気になりません。幼いことからダンスをしていたせいで、体の動きも切れがよく、ダンサーの動きでもなく、体のよく動く役者とも一線を画す独特なものがあっておもしろかったです。
ラストの白い猫とのラブシーンは、会話がしりとりになっているなどの工夫がされていましたが、二人(森山未来、満島かおり)の感情の盛り上がりがもっと現れていれば、さらによい作品になったのに、結構さらりと終わってしまったのが残念です。
原作:佐野洋子
脚本:糸井幸之介・成井昭人・中屋敷法仁
演出・振付・美術:インバル・ピント、アブシャロム・ポラック
出演:森山未来・満島ひかり、田口浩正、今井朋彦、石井正則、大貫勇輔、銀粉蝶、藤木孝
BAND : 水野栄治、柳本雅寛、江戸川卍丸、皆川まゆむ、森下真樹、清家悠圭、鈴木美奈子、三東瑠璃
自分へのお年玉として、いつもなら絶対買わない1万円のチケットを購入して見てきました。心の狭い私は、「1万円も出すのだから、ミラクルの一つや二つ見せてみろ。」常々思っているのですが、そんな私でも満足するよい芝居でした。題名の通り、王様の猫になって戦争で死に、猟師の猫となって海でおぼれて死に、泥棒の猫になって番犬にかまれて死ぬというシンプルなストーリーの繰り返しなんですが、そこにイスラエル人の演出グループの日本人にはない感覚やセンス、動きがいいアクセントとなって退屈することがありません。特に、生きているか死んでいるかわからないおばあさんのシーンでの、背景の家の造形や、動きは日本人では思いつかない感覚で、感心しました。
主演の森山未来も、役が猫だけあって、台詞が少なく、喋っても一言二言がせいぜいというのもよかったと思います。前から、長台詞を喋ると森山未来の「地」が出てくるのが気になっていたのですが、これくらい短い台詞ばかりだと、全く気になりません。幼いことからダンスをしていたせいで、体の動きも切れがよく、ダンサーの動きでもなく、体のよく動く役者とも一線を画す独特なものがあっておもしろかったです。
ラストの白い猫とのラブシーンは、会話がしりとりになっているなどの工夫がされていましたが、二人(森山未来、満島かおり)の感情の盛り上がりがもっと現れていれば、さらによい作品になったのに、結構さらりと終わってしまったのが残念です。
2013年1月8日火曜日
「新年工場見学会2013」
五反田団「黒田、演劇やめるってよ」
作・演出:前田司郎
出演 : 金子岳憲、大山雅史、岩井秀人、中川幸子、内田慈、札内幸太、斎藤庸介、前田司郎、師岡広明、立蔵葉子、木引優子、石澤彩美、平塚陽子、成瀬正太郎、西田麻耶、菊川朝子、宮崎晋太郎、平田ハルカ、平田耕太郎、伊東沙保、プーチンズ
ハイバイ「大作映画のニセモノー多分スターウォーズ」
作・演出:岩井秀人
出演 : 平原テツ、植田遙、川面千晶、師岡広明、浅見二加、斎藤庸介、岩井秀人
プーチンズ ライブ
2013年最初の芝居は、予定になかったお年玉的な芝居2本立て+αお気に入りの上田遥が出演するというのでいってみました。
五反田団の「黒田、演劇やめるってよ」は、主役の黒田大輔(シャンプーハット)が喉を潰したため、代役が金子岳憲になり、金子の役を前田司郎が、前田の役を岩井秀人が急遽やるというかなりやっつけの出来上がりにならざるを得ないものでした。
いつもの五反田団の、卑怯者でその場限りの言い訳を延々としゃべり続ける主人公というよりは、ストーリー自体が卑怯と言ってもいいくらいの話でした。
やはり、私には五反田団は向いてないと思いました。
ハイバイの方も、あまり考えていない荒唐無稽な話でしたが、後半、平沢テツのサディスティックな性格全開で、各自にダークサイドな話をさせるところが面白かったです。
プーチンズは、ギターとテルミンの男女2人組ですが、演奏がうまいわけでもなく、コントみたいなことをしても面白いわけでもなく、全く、興味なしです。
黒田の降板に伴い、パンフレットにあった「ポリスキル」は中止でした。
2013年1月1日火曜日
2012年第四四半期観劇のまとめと年間の総評
2012年10月から12月に見た芝居は以下の通り
10月1日 「ファンファーレ」
10月2日 はえぎわ「ライフスタイル体操第一」
10月3日 劇団本谷有希子「遭難、」
10月4日 子供鉅人「幕末スープレックス」
10月7日 岩井秀人「ヒッキーノソトニデテミターノ」
10月7日 劇団鹿殺し「田舎の侍」
10月11日 ブス会「女のみち2012」
10月27日 アトリエダンカン/デラシネラプロデュース「日々の暮らし方」
10月30日 アンファンテリブルプロデュース「愛のゆくえ」
11月9日 ハイバイ「霊感少女ヒドミ」
11月9日 鋼鉄松村「高橋ギロチン」
11月12日 モダンスイマーズ「楽園」
11月13日 ベッド&メイキングス「未遂の犯罪王」
11月15日 猫のホテル「峠越えのチャンピオン」
11月15日 パルコプロデュース「こどもの一生」
11月21日 ポツドール「夢の城」
11月22日 イキウメ「まとめ*図書館的人生(上)」
11月23日 離風霊船「THIRTY大橋編」
11月23日 離風霊船「THIRTY伊東編」
11月25日 「地球空洞説」
12月3日 鳥山フキ個人企画「Rのお出かけ」
12月4日 8割世界「ガラクタとペガサス」
12月5日 城山羊の会「あの山の稜線が崩れていく」
12月17日 ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」
12月20日 中野成樹+フランケンズ「ナカフラ演劇展」
12月27日 ,ナ・ポリプロピレンプロデュース公演「ブレーメンの怪人」
12月30日 俺とあがさと彬と酒と「マボロシ兄弟・ふたりマクベス」
計27本。
その中のベストスリーは、
はえぎわ「ライフスタイル体操第一」
ハイバイ「霊感少女ヒドミ」
ベッド&メイキングス「未遂の犯罪王」の、3本です。
「ライフスタイル体操第一」は、そのさわやかで嫌みのない語り口が新鮮でした。
「霊感少女ヒドミ」は、主演の上田遙が可愛いかったです。
「未遂の犯罪王」は、唐十郎へのオマージュといえる作品ですが、今の世の中では、妄想に殉じて生きることもできない悲しみとあきらめが心を打つ作品でした。
次点は、劇団鹿殺し「田舎の侍」と、モダンスイマーズ「楽園」です。
「田舎の侍」は、相変わらずのばかばかしさに安心して笑えました。
「楽園」は、戯曲の構成の完成度の高さと、配役の見事さに感心しました。
2012年は、83本の芝居を見ることができました。年の初めに、今年は芝居を見ると決心してそのメモとしてこのブログも始めました。月に7本弱、まあ、まめに見た方だと思います。おかげで、新しい才能を知ることもできました。
はえぎわ、ハイバイ、イキウメ、ロロ、マームとジプシー、並べて書くとおかしな劇団名ばかりですが、それぞれにおもしろい芝居をやっています。
2013年も、さらに新しい才能に出逢うために芝居を見たいと思います。
俺とあがさと彬と酒と「マボロシ兄弟 / ふたりマクベス」
2012年12月30日 15時開演 小竹向原アトリエ春風舎
「マボロシ兄弟」
作・演出:山崎彬 出演:谷賢一・岡崎あがさ
「ふたりマクベス」
作・演出:谷賢一 出演:山崎彬・岡崎あがさ
京都の劇団「悪い芝居」の山崎彬と、劇団「DULL-COLORED POP」の谷賢一が合体したプロジェクト。
悪い芝居は、今年、王子小劇場で行われた公演を見ておもしろかったし、谷賢一は劇団の芝居はまだ見たことがないが名前はあちらこちらでみかけるので、興味を引かれて見にいってきた。
「マボロシ兄弟」は、精神病院に隔離されているらしい兄と、その妹を中心に周りの様々な人々を二人でとっかえひっかえ演じていく形で舞台が進んでいくうちに、誰が実在で誰がマボロシかはっきりしなくなるのがおもしろかった。ラストで兄と妹だけになったところを見ると、すべて二人の妄想だったのだろうか。
「ふたりマクベス」は、マクベスとマクベス夫人の二人が、寝室で繰り広げるマクベスストーリーという形だが、三人の魔女もマクベスの台詞にしか登場しないし、動く森も登場しないので、気弱な年下のマクベスが年上のマクベス夫人に励まされて悪事を働くという形にしか見えない。山崎彬も小劇場百戦錬磨の岡崎あがさの前では、演技の堅さ、未熟さだけが目立っていいところなし。
谷賢一のホームベース「DULL-COLORED POP」の公演を見てみたいものだ。
「マボロシ兄弟」
作・演出:山崎彬 出演:谷賢一・岡崎あがさ
「ふたりマクベス」
作・演出:谷賢一 出演:山崎彬・岡崎あがさ
京都の劇団「悪い芝居」の山崎彬と、劇団「DULL-COLORED POP」の谷賢一が合体したプロジェクト。悪い芝居は、今年、王子小劇場で行われた公演を見ておもしろかったし、谷賢一は劇団の芝居はまだ見たことがないが名前はあちらこちらでみかけるので、興味を引かれて見にいってきた。
「マボロシ兄弟」は、精神病院に隔離されているらしい兄と、その妹を中心に周りの様々な人々を二人でとっかえひっかえ演じていく形で舞台が進んでいくうちに、誰が実在で誰がマボロシかはっきりしなくなるのがおもしろかった。ラストで兄と妹だけになったところを見ると、すべて二人の妄想だったのだろうか。
「ふたりマクベス」は、マクベスとマクベス夫人の二人が、寝室で繰り広げるマクベスストーリーという形だが、三人の魔女もマクベスの台詞にしか登場しないし、動く森も登場しないので、気弱な年下のマクベスが年上のマクベス夫人に励まされて悪事を働くという形にしか見えない。山崎彬も小劇場百戦錬磨の岡崎あがさの前では、演技の堅さ、未熟さだけが目立っていいところなし。
谷賢一のホームベース「DULL-COLORED POP」の公演を見てみたいものだ。
バナナ学園純情乙女組「バナナ学園大大大大大卒業式」
ナ・ポリプロピレンプロデュース公演「ブレーメンの怪人」
2012年12月27日 19時開演 下北沢シアター711
作:細見大輔 演出:大岩美智子(劇団ジュークスペース)
出演 : 陰山泰、有馬自由、有川マコト、細見大輔、加藤敦、山口森広、瓜生和成、野口かおる、生津徹
ベッド&メーキングスの舞台で、素晴らしい芝居を見せた野口かおるが出演していたので、仕事が キャンセルになったこともあり、いってきました。野口かおるの芝居の魅力は、静から動、柔から剛、善から悪までの振れ幅の大きさとそのスピードとダイナミックさにあると思います。その芝居がより輝くためには、周りの役者たちの芝居がぶれないことが必要です。ベッド&メーキングスの舞台ではそのバランスがうまく取れていて、野口かおるの芝居を一層素晴らしいものにしていました。
今回の舞台では、残念ながらうまく行っていません。自分たちが楽しく芝居をしたいという思いが悪い方に働いて、各自の芝居の軸がブレブレで、その中に野口の芝居も埋没しがちで輝きが見られません。だいたい、楽に芝居をすることと楽しく芝居をすることは別の話であるはずなのに、楽しくするつもりで、楽しているようにしか見えませんでした。
ストーリーは、オードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」のパクリで、野口かおるがヘップバーンの王女役なのですが、ラストの王女の務めを自覚して自国に帰るところなどは、ふざけているようにしか見えませんでした。どうみても、野口かおるに純真無垢な役は無理なので、別の演出を考えるべきだったと思います。
ナ・プロピレンの次回作を見ることはないでしょう。野口かおるは、3月に「レモンライブ」という公演があるようなので、もう一度見たいと思います。
2012年12月27日木曜日
中野茂樹+フランケンズ「ナカフラ演劇展」
2012年12月20日 20時開演 横浜STスポット
「聞いてごらんよ、雲雀のこえを」
原作:シング「谷の陰を」より
誤意訳・演出:中野茂樹
出演 : 村上聡一、福田毅、洪雄大、斎藤淳子
「家族でお食事ゆめうつつ」
原作:ワイルダー「ロング・クリスマス・ディナー」より
誤意訳・演出:中野茂樹
出演 : 村上聡一、福田毅、洪雄大、斎藤淳子
海外の多分小説であろう作品を翻訳、構成した短い芝居の二本立て。一本目は、人里離れた谷間に住む夫が若い妻の不貞を疑って死んだふりをして、それを暴くというストーリー。正直、あまり面白くなかったです。一方的に責め立てる夫の言葉を誰も受け止めようとせず、虚しく時間だけがすぎていく。そんな感じでした。
二本目は、90年の家族の歴史を40分にまとめて、語ってしまうという壮大な試みでしたが、こちらはかなり面白かったです。
クリスマスディナーの席に限定して、時間の流れに沿って、家族が増え、子供達が成長して行き、それぞれに旅立って行き、孫まで生まれてくるという歴史が、淡々と描かれていきます。起伏の少ない台詞回しと、記号化されているかのような細やかな動きが時間の流れを邪魔することなく作用して、落ち着いた気持ちで見ていられました。
ただ、すべてが終わってから、初演の時に作ったというオリジナルソングを歌ったのは、余計だと思いました。どうしても歌いたければ、芝居の中に組み込む工夫があるべきだと思います。
次回作を見に行くかどうかは、微妙です。
劇団ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」
2012年12月17日 19時30分開演 新宿眼科画廊
作・演出 : 三浦直之
出演 : 亀島一徳、島田桃子、篠崎大悟、森本華、小橋れな、崎浜純、板橋瞬谷、望月綾乃、北村恵、大石貴也
当日パンフレットを見たら、今回が3回目の公演で、初演は恥ずかしい台詞を恥ずかしげもなくやり、再演では恥ずかしくないようにやり、今回は、恥ずかしいままに演じましたと、書いてありました。確かに、恥ずかしい台詞満載の1時間でしたが、にもかかわらず、ロロらしい爽やかな舞台でした。成功の第一の原因は、本当に狭い新宿眼科画廊にあったと思います。手を伸ばせば役者に触れる、汗が飛んできても避けられないような近いところで、真剣に愛について語られたら、感動しないわけにはいきません。これがスズナリのような舞台と客席川kれている普通の小劇場だったら、随分印象が違ったものになっていたでしょう。
劇中で胸板と呼ばれていた役者とその相手役の女の子は、必要なかったと思います。また、空の抜け殻と称するマスクと、陽炎が亡くなるシーンの電源コードも、説明のし過ぎだと思います。
もう一つ不思議なのは、配役表にあった大石貴也が登場しなかったことです。何らかの配役変更があったとしても、事前に説明もありませんでした。大石貴也とは、誰だつたのでしょう。
城山羊の会「あの山の稜線が崩れていく」
2012年12月5日 19時30分開演
作・演出:山内ケンジ
出演 : 岸井ゆきの、石橋けい、古屋隆太、岡部たかし、永井若葉、本村荘平、猪野学、
また、面白いのか面白くないのか、判断に困る芝居に遭遇しました。東京乾電池の芝居に続いて今年2回目です。普通芝居を見ると、最初に面白いか面白くないかの判断があって、次にどこが面白いのか、何が面白くないのかの、具体的な理由に進んでいくのですが、この芝居は面白くないわけではないが、何が面白いのかよくわからないのです。慌てて、ネットで観劇記や、劇評を探したら、シュールなコメディとか、不条理な喜劇というような言葉が並んでいました。
これが正しければ、不条理劇だということになりますが、私のイメージする不条理劇とはずいぶん感じが違います。私の知っている不条理劇は、不条理自体は見えないもので、登場人物は、その周りを手探りで進みながら、あるかないかわからない不条理について語っていくというようなイメージだったのですが、この芝居では、最初から不条理がゴロンとそこにあるような感じなのです。登場人物達はそれに多少の抵抗はするものの、最終的には押し流されてしまいます。
ストーリーは、平和な3人家族の家に突然。隣の弁護士夫婦が訪ねてきて、娘の本当の父親が出所してきて、妻と娘を引き取りたいといっていると言い出す。そこへ、とうの父親も現れ、強引に連れて行ってします。妻と娘は、多少抵抗するも最終的には一緒に出て行ってします。孤軍奮闘、腕力までふるった父親は、一人残され、偶然居合わせた娘の家庭教師を、娘に見立てて、ビールを飲むところで終わる。
私のこんなことはあり得ないという常識的な気持ちが、どこがおもしろいのかわからないという気持ちの根底にあるような気もするのですが、ラストシーンの家庭教師とビールを飲むところは、あきらめなのか、ささやかな抵抗なのかもよくわかりませんでした。
2012年12月5日水曜日
8割世界「ガラクタとペガスス」
2012年12月4日 19時30分開演 八幡山ワーサルシアター
作:石原美か子 演出:鈴木雄太
出演 : 佐倉一芯、白川哲次、日高ゆい、中村匡亮、木原敦子、小林肇、石田依己架、橘未佐子、亀山浩史、原裕香、小早島モル、井上千裕、斎藤晴久、鈴木雄太
劇的につまらなかった劇団鋼鉄村松の芝居の中で、唯一おもしろかったアフタートークのゲストが、この8割世界主宰の鈴木雄太でした。
そのせいで、見てみようという気になったのですが、結果は結構、残念なものでした。
開場時に、主宰の鈴木雄太と役者の一人が場を暖めようとしてか、前説のようなおしゃべりをしているのですが、芸があるわけでもなく、話術のスキルがあるわけでもないので、場内が暖まると言うよりは、気まずい雰囲気が漂うだけでした。
話は、いわゆるベタなコメディで、途中で多少笑わせて、ラストで涙腺が緩むという定石の構成です。この手の芝居を見ると、どうしても、もっとうまい役者がやれば、もっとおもしろくなるはずなのに、という気持ちがわいてきて気持ちが冷めてしまうのです。ベタなコメディをおもしろくやれるほど、経験もキャラクターもない小劇団なら、それに変わる飛び道具が必要だと思います。飛び道具を潔しとせず、正攻法でいくのなら、それはそれで結構ですが、経験を積んでおもしろくなるまで見続けようと思うほど、シンパシーが感じられる劇団ではありませんでした。
唯一よかったのは、役者の声がでかいことでした。前日の鳥山フキの芝居が全員声が小さかったので、その落差もあって、声のでかさには驚きました。
作:石原美か子 演出:鈴木雄太
出演 : 佐倉一芯、白川哲次、日高ゆい、中村匡亮、木原敦子、小林肇、石田依己架、橘未佐子、亀山浩史、原裕香、小早島モル、井上千裕、斎藤晴久、鈴木雄太
劇的につまらなかった劇団鋼鉄村松の芝居の中で、唯一おもしろかったアフタートークのゲストが、この8割世界主宰の鈴木雄太でした。そのせいで、見てみようという気になったのですが、結果は結構、残念なものでした。
開場時に、主宰の鈴木雄太と役者の一人が場を暖めようとしてか、前説のようなおしゃべりをしているのですが、芸があるわけでもなく、話術のスキルがあるわけでもないので、場内が暖まると言うよりは、気まずい雰囲気が漂うだけでした。
話は、いわゆるベタなコメディで、途中で多少笑わせて、ラストで涙腺が緩むという定石の構成です。この手の芝居を見ると、どうしても、もっとうまい役者がやれば、もっとおもしろくなるはずなのに、という気持ちがわいてきて気持ちが冷めてしまうのです。ベタなコメディをおもしろくやれるほど、経験もキャラクターもない小劇団なら、それに変わる飛び道具が必要だと思います。飛び道具を潔しとせず、正攻法でいくのなら、それはそれで結構ですが、経験を積んでおもしろくなるまで見続けようと思うほど、シンパシーが感じられる劇団ではありませんでした。
唯一よかったのは、役者の声がでかいことでした。前日の鳥山フキの芝居が全員声が小さかったので、その落差もあって、声のでかさには驚きました。
2012年12月4日火曜日
鳥山フキ個人企画「Rのお出かけ」
2012年12月3日 19時30分開演 新宿眼科画廊地下
作・演出:鳥山フキ
出演 : 北村恵、菅谷和美、南綾希子、黒木絵美花、松木美路子、狗丸トモヒロ、渡邊とかげ、
公演チラシの裏に、最近気になる演出家の一人であるノゾエ征爾が推薦文を書いていたので、見てみる気になりました。推薦文で知った「鳥山フキは、ノゾエ征爾と大学の劇研で同期だった」ということ以外何も知りませんでした。
公演を見終わった今も、実は、ワワフラミンゴという劇団を主宰している。今回は、劇団とは別の鳥山フキ個人の企画公演である。ということが追加の知識として加わったくらいです。
ストーリーは、二人の女の子はなぜか殺し屋で、今度、スペインに行って誰かを殺すように依頼を受けます。資料や、地図、室内の見取り図などを検討すると、かなり手強そうなので、同じアパートに住む住民の中から、助手を選ぶために面接をする。というようなものだと思うのですが、ストーリーは全然重要ではないのかもしれません。それより、あげたあめ玉を手から離すまいとする気持ちとか、水草の培養を趣味とする男とのデートの話とか、少し不思議でシュールな感覚の方が重要なのかもしれません。
残念ながら、私は結構ハードで長く続いた現場が終わった次の日で、体力も、集中力もない状態で見てしまったので、舞台に集中できず、(なにしろ、全く声を張り上げることもなく、ほとんど座ったままで話すので動きもほとんどないので集中するのも難しい)約70分の短い芝居にもかかわらず、何度も寝てしまいました。
できれば、このようなタイプの芝居は、疲れていなくて優しい気持ちにあふれているときに見たいと思います。環境も、昼日中の自然光にあふれた場所で、静かに始まり、いつの間にか終わっていると最高だと思います。
作・演出:鳥山フキ
出演 : 北村恵、菅谷和美、南綾希子、黒木絵美花、松木美路子、狗丸トモヒロ、渡邊とかげ、
公演チラシの裏に、最近気になる演出家の一人であるノゾエ征爾が推薦文を書いていたので、見てみる気になりました。推薦文で知った「鳥山フキは、ノゾエ征爾と大学の劇研で同期だった」ということ以外何も知りませんでした。公演を見終わった今も、実は、ワワフラミンゴという劇団を主宰している。今回は、劇団とは別の鳥山フキ個人の企画公演である。ということが追加の知識として加わったくらいです。
ストーリーは、二人の女の子はなぜか殺し屋で、今度、スペインに行って誰かを殺すように依頼を受けます。資料や、地図、室内の見取り図などを検討すると、かなり手強そうなので、同じアパートに住む住民の中から、助手を選ぶために面接をする。というようなものだと思うのですが、ストーリーは全然重要ではないのかもしれません。それより、あげたあめ玉を手から離すまいとする気持ちとか、水草の培養を趣味とする男とのデートの話とか、少し不思議でシュールな感覚の方が重要なのかもしれません。
残念ながら、私は結構ハードで長く続いた現場が終わった次の日で、体力も、集中力もない状態で見てしまったので、舞台に集中できず、(なにしろ、全く声を張り上げることもなく、ほとんど座ったままで話すので動きもほとんどないので集中するのも難しい)約70分の短い芝居にもかかわらず、何度も寝てしまいました。
できれば、このようなタイプの芝居は、疲れていなくて優しい気持ちにあふれているときに見たいと思います。環境も、昼日中の自然光にあふれた場所で、静かに始まり、いつの間にか終わっていると最高だと思います。
2012年12月3日月曜日
流山児事務所「地球空洞説」
2012年11月25日 17時開演 豊島公会堂
原作:寺山修司
構成・脚色・演出:天野天街・村井雄・流山児祥
実は39年前の天井桟敷の初演も見ました。道に迷いながらたどり着いた高円寺の公園で、開演直前にもかかわらず、寺山修司がまだ演出していました。内容はあまりにひどかったこと以外ほとんど覚えていません。寺山修司は、短歌や競馬の評論は素晴らしいが、芝居はひどい。書いていることとやっていることが、全く違う。初めての天井桟敷経験がこれだったので、以後、天井桟敷を見るのやめてしまいました。
39年経っての再演は、台詞はちゃんと聞こえるし、唄は音程がずれることもなく、ダンスの振りも全員揃っていましたが、それがどうした、つまらないものはつまらないというのが正直な感想です。
いくらカメハメ波のポーズが完璧にできても、そこに込めるエネルギーがなければ、カメハメ波は、出ません。
流山児祥と大久保鷹が狂言回しとして出ていますが、流山児は相変わらず台詞をかみまくって、そのたびに笑ってしまうし、(それがなぜかとてもいやで、演劇団の芝居を見にいかなくなったのを思い出してしまいました。)
大久保鷹は、劇中、タンスを担いで出てくるという、状況劇場の不忍池水上音楽堂での公演を思い出させるサービスまでしていましたが、あのときの状況が全くない今となっては、モゴモゴと何を言っているかわからないおじいさんでしかありません。
離風霊船「The Thrity」
2012年11月23日 15時開演 大橋編 19時開演 伊東編 中野シアターボンボン
作・演出:大橋泰彦・伊東由美子
劇団30周年記念公演第二弾。同じエレベーター前という設定で、2人の作家が書き競うという、うまくいけば面白くなったかも知れない試みでしたが、結果は残念なものでした。マチネの大橋編は一応まとまってはいたのですが、離風霊船らしい驚かしのシーンも小粒だし、大胆な転換もなしで、肩透かしを食らった感じでした。伊東編は、さらにひどいありさまでした。途中で書けなくなって、過去の作品の場面の抜粋を強引に繋げただけにしか見えません。脚本として完成しておらず、途中で投げだしたように見えます。前回、初めて離風霊船を見た私にとっては、何が面白いのか全くわかりませんでした。
同じ劇団を何回か続けて見ていくと、無意識のうちにそのたびごとに新しいものを見せてくれることを望むようになる。新しいものが見られれば、おもしろいと思い、それがなければ、つまらないと思いやすいものです。
若い劇団は、路線も固まっていないので新しいことも出やすいが、30年も続いている劇団は、劇団のカラーも定まっているので、そればかりを追い求めてもしょうがないと思います。
ベテランの劇団は、そのカラーをげ「芸」だと思って楽しむ意識が必要だと思います。
イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」
2012年11月22日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:前川知大
事前にオムニバスのストーリーが錯綜してわかりにくいという噂が流れてきたので、少し心配しながら見に行きましたが、幸いなことにその心配は杞憂に終わり、心穏やかに楽しく見られました。死んだ人間が成仏する前に立ち寄る図書館。ここにはすべての人の前世、現世、来世が書かれた本があるらしい。ただし、目録はなく、ひたすら読みつづけて、探すしかない。自分の来世を知りたい人、愛する人を探す人、様々な人が訪れる。そんなSF的な設定の元、六つのエピソードがイキウメ特有のデリケートなシーンのクロスフェードを繰り返しながら、語られていく。
賽の河原の鬼の話や、万引きのプロと懸賞で暮らしている女性のラブストーリーなど、ひとつひとつが、共感できやすい優しいエピソードに仕上がっている。前作のミッションが、クールでやもすれば突き放した冷たいともとれる印象だったのに比べ、今回の方がはるかに面白い。
イキウメ得意のSF的な設定も嫌いではないし、次回作も見る気になった。
その後、時々読ませていただいている「6号通り診療所長のブログ」の記事によれば、この作品が今までに上演したオムニバス短編集を再構築したもので、「謎の図書館に出入りした人達が、書架の本を開けた時、その本を読む役者以外の全キャストが、その本の内容を演じる。」という構成になっていることを初めて知りました。以前の公演を見ていないので、先入観なく見たのがよかったのかもしれません。
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