2012年8月30日木曜日

バストリオ「Very Story,Very Hungry」

2012年8月29日 19時30分開演 横浜 BankArt Studio NYK
作・演出:今野裕一郎
出演:狗丸トモヒロ、橋本和加子、八木光太郎、深川奈緒美、伊藤羊子、平石はと子、秋山莉紗、今野裕一郎、児玉悟之、酒井和哉、石田美生、砂川佳代子、萬州通擴、小林光春
海外で芝居でも見ようと入ったら、それが前衛的な芝居だったりして全く訳がわからず、せめて言葉がわかれば少しは理解できておもしろいかどうかの判断くらいはできるのに、それもかなわず意味不明のまま劇場を後にするという経験が何度かありましたが、日本でも同じ目に会うとは思いませんでした。
もちろん、台詞は日本語なのでいっていることはわかりますが、台詞が理解できたところでおもしろくなるものではないことがよくわかりました。おもしろいと思うことと、台詞の意味が理解できることは、別の次元の話なんですね。
稽古の時に、演出家は役の性格や、位置づけ、なぜこのような台詞の言い方をするのか説明しながら芝居を作っていき、役者はそれを受けて役作りをしていったと思うのですが、舞台に現れたものは、棒読みの台詞と、意味不明の動作、全くつながらず何のイメージも広がらない細切れのシーンの羅列でした。
会場もこの芝居にはよくなかったと思います。昔の倉庫をそのままホールにしたので、コンクリート打ちっ放しの床、壁、柱には「坪荷重 20t」と大きく赤字で書かれている実にリアリティあふれる空間です。ここでは、すべての演技が嘘にしか見えません。普通の劇場でやった方が、まだ意味ありげに見えたかもしれません。実にお尻が痛いだけの90分でした。

2012年8月25日土曜日

ぬいぐるみハンター「ゴミくずちゃん可愛い」

2012年8月24日 14時30分開演 王子小劇場
作・演出:池亀三太
出演:浅利ねこ、満間昂平、川本直人、江幡朋子、佐賀モトキ、富山恵理子、石黒淳士、猪股和麿、平舘宏大、竹田有希子、浅見紘至、工藤史子、橋口克哉
2回目のぬいぐるみハンター観劇。相変わらず、ポップでポジティブ、前向きな作風は好感が持てます。残念だったのは、モノローグがものすごく多くて、それがブレーキとなって、スピード感がなかったことです。モノローグはどうしても説明的になってしまうので、退屈してしまうし、景色が広がらないので苦手です。
役者としては、漫画の「お坊ちゃま君」を彷彿とさせるゴウトクジの浅見紘至や、その秘書クニマツの工藤史子、ボディガードのコムスビ、橋口克哉がおもしろかったです。とくに橋口克哉はその体のでかさで、演技力以前に独特の存在感を醸し出していました。
この劇団の魅力は、ポップ、ポジティブ、スピードだと思うので、そのうちの一つがかけたこの公演は、少々残念です。

演劇企画集団ガジラ「Happy Days 幸せな日々」

2012年8月14日 19時開演 笹塚ファクトリー
作・演出:鐘下辰男
出演:千葉哲也・柿丸美智恵・とみやまあゆむ・皆戸麻衣・山口航太・寺十吾・塩野谷正幸
小劇場界のベテランのがっぷり四つ相撲に若い俳優が力を振り絞って挑む、見応えのある舞台でした。びっくりしたのは、直接的な身体接触(髪の毛を引っぱる、つかみかかる、投げ飛ばす)の多さと、その迫力です。もちろん演技でやっているのでしょうが、その荒々しい迫力は、先日のナカゴーの乱闘シーンがままごとに思えるくらいでした。
演技は楽しめたのですが、ストーリーがいまいちよくわかりませんでした。

2012年8月12日日曜日

クロモリブデン「進化とみなしていいでしょう」

2012年8月8日 19時30分開演 赤坂レッドシアター
作・演出:青木秀樹
出演:奥田ワレタ、ゆにば、久保貫太郎、花戸祐介、佐藤みゆき、武子太郎、手塚けだま、森下亮、幸田尚子、小林義典、渡邊とかげ、金沢涼恵
おしゃれな町赤坂のおしゃれなレッドシアターで、メジャーを目指す気ありありのSFのような芝居でした。自分の空想と現実が入り乱れてドタバタコメディになっていきます。台詞のきれもよく、なかなかおもしろく話は進んでいくのですが、ラストシーンで突然、国家権力による統制社会というイメージが前面に出てきて、それに対するプロテストという感じでかっこよく終わります。
ワタシは、そこで完全にしらけてしまいました。この劇団は、かっこよければ何でもよいような印象を受けたからです。
元々この劇団のメジャー指向に抵抗があったせいもあると思います。私のいうメジャー指向とは、過去作品のDVD販売、Tシャツなどの物品販売に熱心だということを指します。一つの作品から様々な形で収入を得ようとするのは、制作の力があることの印でしょうし、劇団を続けていく上でかなりの助けになることは理解できますが、そこまで気が回らない、もしくはそんなことに興味がない不器用な劇団に好感が持てます。
一回見たら十分という感じで、次回作は見ないと思います。

ハンモック

夏の寝苦しさ対策として、去年から考えていたハンモックを購入しました。最初は単管パイプとジョイント金具でつり枠を作ろうかと考えたのですが、3〜4万円のお金がかかるので、タンスを三つ移動して柱にフックを取り付けました。寝心地は、想像していたものと全く違いました。勝手に、ウォーターベッドのようなふあふあ浮いているような寝心地をイメージしていたのですが、実際には自分の体重でネットが沈み込み、寝返りも簡単にはうてないような状態になります。頭やお尻など体重が重くかかるところは、ネットが深く沈むので、自分でその部分にネットを寄せ集めて沈まないような工夫も必要です。
ハンモックで寝て気持ちがよいのは、ゆっくりとゆりかごのように揺れてくれるところと、敷き布団と触れているところに汗がたまらないところです。

2012年8月8日水曜日

ロロ「父母姉僕弟君」

2012年8月7日 19時30分開演 王子小劇場
作・演出:三浦直之
出演:亀島一徳、島田桃子、望月綾乃、内海正考、田中祐弥、葉丸あすか、多賀麻美、篠崎大悟、山田拓実、小橋れな
前回の笑いの内閣が非常に後味が悪かったので、いっそう魅力的に見えたのかもしれませんが、台詞の一つ一つがさわやかで、とても好感が持てました。
家族という人間関係を再構築するために、忘れたことを思い出したり、再確認したりするストーリーです。
特に、台詞のさわやかというか素直さがすてきでした。
一部,理屈が不明なところもありましたが、それでも素直に聞けたのは、役者の力量と台詞の力だと思います。
残念だったのは、装置が上下の大きなベニヤの東西パネルと正面のベニヤパネルだったのですが、東西パネルに丁番がついているのが見えたりして、ラストにこの東西が閉まって、その間に正面パネルでかくされていたものが現れる大ドンデンがあるだろうことがわかってしまうことでした。
そこは、残念。
次回公演も、是非みたいです。

第16次笑いの内閣「非実在少女のるてちゃん」

2012年8月4日 13時開演 駒場アゴラ劇場
作・演出:高間響
出演:伊集院聖羅、田中浩之、小林真弓、上蔀優樹、鈴木ちひろ、中西良友、由良真介、眞野ともき、藤井真理、合田団地、浪崎孝二郎、キタノ万里、髭だるマン、柾木ゆう、向坂達矢
始まったとたんに、来たことを公開しました。すぐにでも帰りたかったのですが、狭いアゴラ劇場でお客さんの視線を感じながら退出する勇気もなく、しかたなく最後までいました。
東京都の青少年健全育成条例にに反対することをテーマにした芝居ですが、推進派はヒステリックに、反対派は理路整然と心優しく描かれています。どちらの台詞もすべて、今までどこかで聞いたことがあるものばかり。それが学芸会のような芝居と、へたくそな歌で表されていきます。
本当に私の嫌いなパターンの芝居でした。
いいたいことは様々あるでしょうが、その前に芝居としておもしろくなければ、芝居にする必要があるとは思えません。あれなら、街頭演説でもした方がまだ多くの人に聞いてもらえるだけ、ましなんじゃないでしょうか?
芝居としては見るに堪えないし、プロパガンダだとしたら、多くの人に知られないので失敗だと思います。
見に行ったことを、心から後悔しています。

2012年8月3日金曜日

中屋敷法仁「露出狂」

2012年7月30日 19時開演 渋谷パルコ劇場
作・演出:中屋敷法仁
出演:江本時生、遠藤要、入野自由、玉置礼央、畑中しんじろう、磯村洋祐、板橋瞬谷、稲葉友、孔大維、遠山悠介、長島敬三、松田凌、間宮祥太朗、森崎ウィン
中屋敷法仁演出作品を見るのはこれで2回目ですが、早くも飽きました。ダイヤローグ、モノローグの区別なく、短いセンテンスを早口でしゃべりまくる。衣装は、ユニフォームのようにみんな同じ学生服で、誰が誰だか区別がつきにくい。何かに似ているなあと考えたら、AKB48でした。AKBも同じ衣装で、魅力を感じて中に入り込めば、大島優子だの前田敦子だの区別がつきますが、興味がなくて遠目から見たら誰が誰だか見分けるのは難しいです。今回も学生服で喋りまくられて、見分けがつかない中、一人目立っていたのは、柄本時生でした。「黄色い月」の時はわざとらしく耳障りだった台詞回しが、画一的なしゃべりの中では、魅力的に聞こえます。画一的なかっこよさや、安直な動きの中では、ださい独特な仕草が、とても新鮮に見えます。
柄本時生がうまいのは、自分とそのほかの画一的な役者達とを対立構造に持っていかず、あくまでマイペースで芝居を進めていくところです。それにより、画一の海でふわふわ浮いているように見え、他の役者が柄本を押し上げているように見えます。柄本家の血筋のなせる技でしょうか。
中屋敷演出の魅力は、そのスピードで観客を巻き込み、テーマをぶちこわしていく爽快感にあると思います。前回の「女人マクベス」では、その対象がシェークスピアのマクベスでであったわけで、あの大家の大作を清水もこみちもかくやと思えるスピードであらみじんに切り刻み、新しい料理のように見せました。今回の料理は失敗だと思います。もしくは、私が、その味付けに飽きただけでしょうか。
この芝居を見る前に、9月の「柿食う客」公演のチケットを予約してしまいました。
少し後悔しています。