2014年2月27日木曜日

M & O playsプロデュース「サニサイドアップ」

2014年2月24日 19時開演 下北沢本多劇場
作・演出:ノゾエ征爾
出演:荒川良々、赤堀雅秋、小野寺修二、町田水城、竹口龍茶、富川一人、山口航太、ノゾエ征爾
私が勝手に「小劇場童貞派」と呼んでいる内の一人、はえぎわのノゾエ征爾が外部で作・演出するというので見にいきました。(ちなみに残りの「童貞派」は、ままごとの柴幸男とか、ロロの三浦直之です。特徴は、恥ずかしいほどのナイーブさ。基本的に人生を肯定的にとらえていて、それを素直に表現するところ。)
荒川良々演じる嵐山鯛の人生を、エピソードに切り分けて時系列ばらばらに演じていく。それに関わる人々の人生も同じように切り分けて演じられていく。どのエピソードも、同じような重さで演じられ、様々な人生が肯定されていく。それに色々なおもしろ小ネタや、小道具が飽きずに出てくる。プロデュース公演と言うことで、制作的によゆうがあるのか、やってみたかったネタをできるかぎり詰め込んだような印象がある。
はえぎわでのノゾエ征爾に比べると、スケベすぎるだろうとすら思えてしまう。

2014年2月23日日曜日

tamagoPLIN「さいあいシェイクスピア・レシピ」

2014年2月21日 20時開演 三軒茶屋シアタートラム
作・演出・振付:スズキ拓朗
出演:柴田千絵里、石井友樹、清水ゆり、一平杏子、本山三火、中井沙織、鳥越勇作、川越美樹、平井千尋、浅井裕子、ジョディ、長嶺安奈、スズキ拓朗
コンドルズのダンサー スズキ拓朗とパフォーマンス集団・たまごが合体したのがtamagoPLINだそうですが、もちろん全く知りませんでした。名前の面白さに惹かれて見にいきましたが、これが大当たり。文句なく面白い1時間30分でした。
アスファルトを割って生えてくるど根性野菜たちに、母親を事故で目の前でなくした女子中学生がシェイクスピアを教えるというストーリーなのですが、なにしろありとあらゆる癖球をコントロールを気にせず投げ続ける勢いにあっという間に飲み込まれて、笑って泣いての1時間半でした。けして、一人一人の演技やダンスはうまくないのですが、それがうまく組み合わさって、シルクドソレイユの見事さではなく、サーカスの楽しさに魅了されました。

MONO「のぞき穴、哀愁」

2014年2月20日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:土田英生
出演:水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、森谷ふみ、古籐望、高橋明日香、松永渚
初めて見る劇団の芝居を面白いと思い、公演があるたびに見にいくようになる。すると、だんだんその劇団の特徴や持ち味がわかってきて、それに慣れてくる。次に来るのは、面白いのだけれども、飽きてくくるのだ。MONOも3回目となり、そろそろ飽きてきたようだ。20年以上の歴史がある劇団なので、いきなり新しいことを始める訳もないこともよくわかるのだが、新しい芝居が見たいという最近の私の気分からすると、物足りないことは否めない。本もよく書けているし、演出もあざといくらいうまい。でも、いつものMONOとかわりない。というところが実に残念だ。
いや、実は大きな変化はあった。過去2回の公演は、男性だけのキャスティングだったのが、今回は女優が3人も入っていた。でもそれが劇団にとって大きな変化であったようには全く見えなかった。

2014年2月18日火曜日

玉造小劇店「洋服解体新書」

2014年2月8日 14時開演 座・高円寺
作:演出:わかぎゑふ
出演:うえだひろし、谷川未佳、若松武史、曾我廻家八十吉、佐藤誓、桂圭一、浅野雅博、西牟田恵、伊東孝明、小椋あずき、山藤貴子、浅野彰一、江戸川卍丸、荒木健太朗、谷畑聡、山内庸平、長橋遼也
何十年かぶりの東京の大雪の日に見にいきました。わかぎゑふの作・演出を見るのは初めてでしたが、わりと構成のすっきりした見やすい芝居でした。特に印象に残ったのが舞台転換で、前のシーンと後のシーンの登場人物が転換をするのですが、その動きがうまく整理されていてスムーズに次のシーン移行できていました。
また、関西人のせいか天皇制に対する親近感が東京より強い感じがしました。

2014年2月9日日曜日

秘密結社ブランコ「独占!女の70分」

2014年2月7日 20時開演 ムーブ町屋ハイビジョンルーム
1.「町屋の火事」
作:ふじきみつ彦 演出:鎌田順也
出演:中島真央、水野伽奈子、鶴まき、はしいくみ
2.「たまたま」
作:新井友香 演出:飯田こうこ
出演:はしいくみ、宇野なおみ、徳元直子
3.「センチメンタル嘔吐物」
作:福原充則 演出:飯田こうこ
出演:土田由有未、深澤千有紀、野々山椿、田村朋世
4.「こし…」
作・演出:鎌田順也
出演:女優たち
またまた残念というか、はっきり言ってひどい芝居を見てしまいました。芝居を集中的に見るようになって3年目、もっともひどい芝居だったかもしれません。
まず第一に、演技がひどすぎます。客が40人くらいしか入らない視聴覚教室のようなところで、新劇をひどくしたような芝居をされても観客としてはどこを見てよいのかわからず、困ってしまします。まるで普通の劇場のような目線で芝居をされるとこの人たちには観客が見えていないのではないかと思えてしまいます。
次に、構成と演出がひどすぎます。4本の短編を4人の作家が書いて二人の演出家が演出するという形ですが、4本目の「こし…」を書き演出した鎌田順也が全体をまとめてオチをつけるという役目を負わされていたようですが、自分の好きなゾンビ話に持ち込んで好きなようにやっているだけでした。前の3本にゾンビの伏線があるわけもなく、無理矢理全てを台詞で説明するという前代未聞の台本になっていました。あまりにひどいできに、悲しみや怒りを通り越して、笑うしかないような状況でした。
脚本的には、3本目の「センチメンタル嘔吐物」がおもしろく、うまく展開していけば30分物のテレビドラマが作れそうなネタでしたが、それもゾンビの出現で台無しです。
この惨劇の主な犯人と思われる鎌田順也の関わった芝居を今までに2本(ナカゴー「黛さん、現る」と、野鳩+ナカゴー「ひとつになれた」)
見ましたが、どちらも残念なできでした。私にとっては鬼門なのかもしれません。

モモンガ・コンプレックス「ご多分にもれず、ふつう 再」

2014年2月6日 19時30分開演 横浜STスポット
構成・演出・振付:白神ももこ
出演:北川結、臼井梨恵、夕田智恵
舞台美術の人々:内海正考、榎本純子、小野正彦、新宅一平、鈴木燦、中本章太、村上聡一
ダンスがよくわからないのに、見にいくのはなぜでしょう。「日常的な仕草を美しい動きに昇華する」といわれているらしいモモンガ・コンプレックスを見ましたが、やはりよくわかりません。多少、台詞があり、それを英語の字幕やアナウンスでも提示するやり方から、日本だけでなく、世界を意識していることはわかります。
メインの3人以外に7人のダンサーが出演しているのですが、その陰に隠れて板付きしていたりしていたので、彼らを「舞台美術の人々」と呼んでいるのもわかります。
しかし、演出、振付家が何を言いたいのか、ダンサーがどのような感情で踊っているのかを言葉にすることができません。
ただ、その時間が退屈であったか、そうでなかったという感想は残ります。その点で言えば、退屈なところもありましたが面白かった1時間だったと言えると思います。その面白さを言葉にできないところがもどかしいところです。

2014年2月6日木曜日

ロリータ男爵「しのび足のカリン」

2014年2月5日 19時30分開演 下北沢 OFF-OFFシアター
作・演出:田辺茂範
出演:橘花梨、大沢ラーク、はまい海、ボッチン、足立雲平、たにぐちいくこ、高橋未希、清水くん、矢頭睦、北村泉、丹野晶子、横塚真之介
今年に入ってから芝居の当たり外れが極端な気がします。傑作か、見るんじゃなかったと始まったとたんに後悔するほどの駄作か、どちらかしかなかったような気分です。
このロリータ男爵は、残念ながら外れの方でした。何しろ演技がひどい、今時の高校演劇の方がはるかにうまいだろうと思えるほどのひどさでした。台詞は棒読み、動きはぎこちない。まともに見る気になれませんでした。そして、脚本もひどい。「ガラスの仮面」と「オペラ座の怪人」と映画「ゴースト」を適当に混ぜ合わせて、最後に芝居への愛を叫ばれても、それはないだろうとしか思えません。
ロリータ男爵という面白そうな劇団名につられて見にいきましたが、完敗でした。

2014年2月3日月曜日

梅棒「ウチの親父が最強」

2014年2月1日 17時開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:伊藤今人
振付・構成:梅棒
Team A 出演:梅澤裕介、塩谷拓矢、楢木和也、大村紘望、IG、パイレーツオブマチョビアン、菊池裕太、小坂奈央美、野田裕貴、Mayuka、角田大樹、津田勇輝、美優
一昨年のKAATでの「ダンスレジェンド・ファイナル」でダントツに面白かった梅棒の公演があると知り、飛び込みで見てきました。
梅棒のダンスの特徴はストーリーがあり、それをほとんど全てダンスで表現していくところです。途中一カ所台詞がありますが、99%段だけと言っていいでしょう。当然、当て振りが多くなるわけですが、それをうまく振付の中に解消して飽きさせません。1時間半のダンスを超えせい、演出していく力はたいしたものです。既存の歌詞付きの曲を使うため、曲とダンスの距離感が微妙なところもありましたが、おおむね選曲のセンスもよく、あっという間の1時間半でした。
もちろん、ダンス特有の私の苦手なストイックさはあるのですが、それが前面に出てこないので、さほど気になりません。
このストーリーダンスを初めて見ましたが、芸として完成している感じがしてこれ以上発展していく感じはあまりしません。しかし、1年に一回ぐらいは見たいかなという感じです。

FUKAI PRODUCE 羽衣「女装、男装、冬支度」

2014年2月1日 14時30分開演 座・高円寺1
作・演出・音楽:糸井幸之介
出演:伊藤昌子、大石将弘、澤田慎司、墨井鯨子、浅川千絵、高橋義和、深井順子、鈴木利典、ゴールド☆ユスリッチ、島田桃子、熊川ふみ、日高啓介、鯉和鮎美、代田正彦
FUKAI PRODUCE 羽衣のテーマはいつも同じで「愛」についてなのですが、大きく分けて二つのパターンがあるようです。全体のストーリーがあるものと、オムニバスのような形の二つです。
今回は、「サロメ VS ヨナカーン」と同じようなオムニバス形式でしたが、ちょっと不思議な体験をしました。羽衣は、いつも踊ったり歌ったりの本人達曰く、「妙ージカル」な形なのですが、そのレベルはけして高くありません。こんかいは、それに輪をかけてレベルが低い。歌は音痴すれすれ、客席から失笑が漏れるくらい、ダンスは一切切れがない学芸会といってもいいくらいでした。なのに芝居が進んでいくうちに、ひしひしとこれは傑作なのではないかという気がしてくるのです。
芝居の肝は、様々なカップルの愛の形が、前半と後半で男女が衣装を取り替えて、繰り返すことです。それにより、同じ出来事が重層的でありながら、実は同じであるということが描かれていきます。
歌が下手でも踊りがひどくても、ついでに照明もけしてよいできではありませんでしたが、それでも感動できる舞台ができるというのは素晴らしいことだと思います。

アトリエ・ダンカンプロデュース「有頂天家族」

2014年1月21日 19時開演 下北沢本多劇場
原作:森見登実彦
脚本・演出:松村武
出演:武田航平、渡辺大輔、新垣里沙、佐藤美貴、小手伸也、小林至、成清政紀、奥田努、藤原薫、樹里咲穂、久保酎吉
選択の失敗というか、最近の自分の芝居の指向に反した傾向の芝居を選んでしまった自分が悪いとしか言いようがないのですが、耐えきれず休憩で劇場をあとにしてしまいました。確かに風邪気味で体調も悪かったのですが、地の文を様々な役者が喋って、話を展開していく手法や、狸の話なので主人公が化けた女子高生だったり、男だったり、ぬいぐるみだったり、めまぐるしく変わっていく演出もただただうるさいだけで、一つも面白く感じられませんでした。新しい振りをして実は古い演出が気にいらなっかたのだと思います。