2014年8月22日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:柴幸男
出演 : 生駒元輝、坂本彩音、佐藤まい、西片愛夏、西田心、札内茜梨、山田菜々緒、吉田圭織、吉田恵、吉永夏帆
現役女子高生をオーディションで選抜して(男子も一人いますが)稽古して、上演する形で作られた芝居でした。
どこかで聞いたことがある話だと思って検索したら、今をさかのぼること20年前、1994年に青山円形劇場の企画公演で、平田オリザ作・演出の「転校生」が同じ形で上演されていました。この公演は私も見ていて、素直に感動したことを覚えています。丁度平田オリザの芝居を続けてみていたときで、この「転校生」、緑魔子主演の今はなき渋谷のシードホールで上演された「思い出せない夢のいくつか」、青年団の「S高原より」を見た覚えがあります。
緑魔子の「思い出せない夢のいくつか」はもちろんおもしろかったのですが、芝居としては「転校生」の方が全体のできがよかった記憶があります。いちばんできがよくなかったのが「S高原より」で、自分が主宰している劇団の芝居がよくないなんて、作・演出にとって、劇団って何だろう、どんな意義があるのだろうと疑問に思ったことも覚えています。
今回、検索した結果、この「転校生」に劇団KAKUTAの桑原裕子が出演していたことも知りました。あのおばさんも20年以上のキャリアがあるのかと知って、少しびっくりしました。
色々昔のことを思い出させてくれた「わたしの星」ですが、今素直におもしろいといえる芝居になっていました。決して芝居がうまいわけでもない、エキセントリックな性格の子をコント的に演じるのは中々うまいのですが、普通の性格、少しドジで、引っ込み思案で、コンプレックスを抱えている役などは結構ぐずぐずになってしまったりしていたのですが、それも台詞に救われたりして、気にならないできあがりでした。
現役女子高生(男子も一人いますが)には、何か魔法のような力があるのでしょうか?
あるとしても、それに気づき、引っ張り出した柴幸男の才能は(20年前の平田オリザも)すばらしいものがあります。
ままごとはなかなか東京での公演がありませんが、あれば是非見たいと思います。
2014年8月25日月曜日
オフィス鹿プロデュース「山犬」
2014年8月13日 19時開演 座・高円寺1
作・演出:丸尾丸一郎
出演 : 鳥肌実、森下くるみ、オレノグラフィティ、山岸門人、ISOPP、丸尾丸一郎
葉月チョビの留学後、2本目の公演になります。1本目の「ジルゼの事情」が評判がよかったようなので見に行きました。
結論から言うとほとんど普通の小劇場の芝居で、鳥肌実の中二病全開の演技と、本来ならチョビがやるであろう役を、かわいい森下くるみが下手なりに健気に演じていたのがおもしろかったくらいで、あの鹿殺しで私が好きだった無謀ともいえるぎらぎらした上昇志向は、葉月チョビに由来するところが大きかったのだと,よくわかりました。
「ジルゼの事情」は再演されるようですが、チョビが帰ってくるまで見に行く必要はないようです。
作・演出:丸尾丸一郎
出演 : 鳥肌実、森下くるみ、オレノグラフィティ、山岸門人、ISOPP、丸尾丸一郎
葉月チョビの留学後、2本目の公演になります。1本目の「ジルゼの事情」が評判がよかったようなので見に行きました。
結論から言うとほとんど普通の小劇場の芝居で、鳥肌実の中二病全開の演技と、本来ならチョビがやるであろう役を、かわいい森下くるみが下手なりに健気に演じていたのがおもしろかったくらいで、あの鹿殺しで私が好きだった無謀ともいえるぎらぎらした上昇志向は、葉月チョビに由来するところが大きかったのだと,よくわかりました。
「ジルゼの事情」は再演されるようですが、チョビが帰ってくるまで見に行く必要はないようです。
東京乾電池 ET X 2「ゴドーを待ちながら」
2014年8月9日 19字開演 下北沢ザ・スズナリ
作:サミュエル・ベケット
演出:戸辺俊介
出演 : 柄本佑,柄本時生、山根博、綾田俊樹、荒川楽
柄本明の息子たち、佑と時生が「ゴドーを待ちながら」をやるというので、見に行きました。前評判も高いらしく、満員で補助席まで出る騒ぎでした。
正直言ってスズナリの狭い椅子で3時間弱の芝居を見るのはかなりの苦行です。特に1幕は何度も寝そうになりました。
演出は,1幕を日常として描き、2幕を悲劇として描くというオーソドックスなものでした。
2幕は基本的に1幕の繰り返しであり、それが観点を変えて悲劇的に描かれるわけで、わかりやすくおもしろいのですが、問題はやはり1幕です。
ゴドーを待つということが日常として描かれ,それも延々と続いている訳ですが、ポッツォが出てくるまで、ほとんど何も起こりません。何も起こらないことに意味があるのですが、退屈です。
ベテランの漫才コンビがお互いの芸に飽き飽きしているのですが、話し出すとおもしろい。そんな感じで出来ればいいのにといつも思うのですが、若いETの二人には望むべくもありません。
毎年とはいいませんが、何度もチャレンジしてくれたら、嬉しいです。
作:サミュエル・ベケット
演出:戸辺俊介
出演 : 柄本佑,柄本時生、山根博、綾田俊樹、荒川楽
柄本明の息子たち、佑と時生が「ゴドーを待ちながら」をやるというので、見に行きました。前評判も高いらしく、満員で補助席まで出る騒ぎでした。
正直言ってスズナリの狭い椅子で3時間弱の芝居を見るのはかなりの苦行です。特に1幕は何度も寝そうになりました。
演出は,1幕を日常として描き、2幕を悲劇として描くというオーソドックスなものでした。
2幕は基本的に1幕の繰り返しであり、それが観点を変えて悲劇的に描かれるわけで、わかりやすくおもしろいのですが、問題はやはり1幕です。
ゴドーを待つということが日常として描かれ,それも延々と続いている訳ですが、ポッツォが出てくるまで、ほとんど何も起こりません。何も起こらないことに意味があるのですが、退屈です。
ベテランの漫才コンビがお互いの芸に飽き飽きしているのですが、話し出すとおもしろい。そんな感じで出来ればいいのにといつも思うのですが、若いETの二人には望むべくもありません。
毎年とはいいませんが、何度もチャレンジしてくれたら、嬉しいです。
サードステージ「朝日のような夕日をつれて2014」
2014年8月5日 19時開演 新宿紀伊國屋ホール
作・演出:鴻上尚史
出演 : 大高洋夫、小須田康人、藤井隆、伊礼彼方、玉置玲央
今をさかのぼること40年以上昔、手伝いに行っていた早稲田の劇団が稽古場を共用していたので、鴻上尚史さんとは2,3回挨拶をしたような記憶があります。ちょうど、彼が第三舞台を立ち上げる少し前くらいだったと思います。それから40年以上がたち、今回初めて彼の作品を見ました。今まで見なかった理由は、会ったときの印象が、「ずるがしこい男」「好きになれない」という、私の勝手な好き嫌いが主な原因だったような気がします。
今なら、本人の性格と作品は別物だとわかりますが、若いときは本当に単純でした。
今回、見に行く気になったのは、この作品が「ゴドーを待ちながら」を下敷きにしていると知ったからでした。ゴドー好きとしては、見ないわけにはいきません。
見た結果を一言で言えば、「やはり好きになれない」という物でした。
何回も再演された演目にもかかわらず、2014年現在にうまくアップデートされていますし、構成も演出もスピーディで鮮やかなものでした。芝居として十分おもしろいものだと思うのですが、例えば、ダンスのうまくない役者のためにゆっくりした振付であらが見えないようにする工夫とかが、本当はかっこよくないのにかっこよく見せようとする考え方が、生理的にだめなのだと思います。
今後、鴻上尚史の芝居を見に行くことは二度とないと思います。
作・演出:鴻上尚史
出演 : 大高洋夫、小須田康人、藤井隆、伊礼彼方、玉置玲央
今をさかのぼること40年以上昔、手伝いに行っていた早稲田の劇団が稽古場を共用していたので、鴻上尚史さんとは2,3回挨拶をしたような記憶があります。ちょうど、彼が第三舞台を立ち上げる少し前くらいだったと思います。それから40年以上がたち、今回初めて彼の作品を見ました。今まで見なかった理由は、会ったときの印象が、「ずるがしこい男」「好きになれない」という、私の勝手な好き嫌いが主な原因だったような気がします。
今なら、本人の性格と作品は別物だとわかりますが、若いときは本当に単純でした。
今回、見に行く気になったのは、この作品が「ゴドーを待ちながら」を下敷きにしていると知ったからでした。ゴドー好きとしては、見ないわけにはいきません。
見た結果を一言で言えば、「やはり好きになれない」という物でした。
何回も再演された演目にもかかわらず、2014年現在にうまくアップデートされていますし、構成も演出もスピーディで鮮やかなものでした。芝居として十分おもしろいものだと思うのですが、例えば、ダンスのうまくない役者のためにゆっくりした振付であらが見えないようにする工夫とかが、本当はかっこよくないのにかっこよく見せようとする考え方が、生理的にだめなのだと思います。
今後、鴻上尚史の芝居を見に行くことは二度とないと思います。
ジョンソン&ジャクソン「窓に映るエレジー」
2014年7月29日 14時開演 渋谷シブゲキ
作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ)
出演 : 大倉孝二、ブルー&スカイ、村岡希美、池谷のぶえ、菊池明明、川原一馬、池田成志
役者が自分のやりたい芝居をするために、ユニットを組むとなると、どうしても池田鉄洋の表現さわやかとか、グッドモーニングNO.5のようにぶっ飛んだ芝居を期待してしまうのですが、それからすると少し期待外れの感は否めませんでした。
チラシの文章は結構過激だったのですが、大倉孝二はまともな演劇人だったということなのでしょう。
最初、コント風に始まった芝居もだんだんとストーリーに収束され、最後には2段オチで終わるという見事な構成、演出といってもいいでしょう。しかし、自分のやりたい芝居がそのような普通の芝居なら、わざわざユニットを立ち上げてまでする必要もないような気がします。
役者的には、池田成志オンステージという感じで、池田の重い鉈でずばずば切っていくような演技が堪能できましたし、池谷のぶえの普通のようでいてどこかおかしい不思議な芝居がスパイスとしてよく効いていました。
とくに、池谷の犬の芝居は最高でした。
作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ)
出演 : 大倉孝二、ブルー&スカイ、村岡希美、池谷のぶえ、菊池明明、川原一馬、池田成志
役者が自分のやりたい芝居をするために、ユニットを組むとなると、どうしても池田鉄洋の表現さわやかとか、グッドモーニングNO.5のようにぶっ飛んだ芝居を期待してしまうのですが、それからすると少し期待外れの感は否めませんでした。
チラシの文章は結構過激だったのですが、大倉孝二はまともな演劇人だったということなのでしょう。
最初、コント風に始まった芝居もだんだんとストーリーに収束され、最後には2段オチで終わるという見事な構成、演出といってもいいでしょう。しかし、自分のやりたい芝居がそのような普通の芝居なら、わざわざユニットを立ち上げてまでする必要もないような気がします。
役者的には、池田成志オンステージという感じで、池田の重い鉈でずばずば切っていくような演技が堪能できましたし、池谷のぶえの普通のようでいてどこかおかしい不思議な芝居がスパイスとしてよく効いていました。
とくに、池谷の犬の芝居は最高でした。
ロロ「朝日を抱きしめてトゥナイト」
2014年7月20日 19時30分開演 駒場アゴラ劇場
作・演出:三浦直之
出演 : 伊東沙保、板橋瞬谷、森本華、篠崎大悟、小橋れな、山口航太、大橋一輝、島田桃子、大場みなみ、亀島一徳
私が勝手に「演劇童貞派」と読んでいる三浦直之の新作です。ずいぶん久しぶりだなあと昔のブログを検索してみたところ、なんと1年1ヶ月ぶりでした。
ボーイミーツガール物と称されてきたロロですが、ここに来てそれを推し進めて「ミーツ」物に進化してきたようです。自分が自分に会う、自分が親に会う、他人に会う、世界に会う、そんな世界観を獲得したように見えました。相変わらずの語り口のさわやかさと少々のおセンチはそのままに、新しい世界に出発したようです。秋の、シェイクスピアが楽しみです。
最後に、板橋瞬谷が,若き日の竹内力を彷彿とさせてほほえましかったです。
作・演出:三浦直之
出演 : 伊東沙保、板橋瞬谷、森本華、篠崎大悟、小橋れな、山口航太、大橋一輝、島田桃子、大場みなみ、亀島一徳
私が勝手に「演劇童貞派」と読んでいる三浦直之の新作です。ずいぶん久しぶりだなあと昔のブログを検索してみたところ、なんと1年1ヶ月ぶりでした。
ボーイミーツガール物と称されてきたロロですが、ここに来てそれを推し進めて「ミーツ」物に進化してきたようです。自分が自分に会う、自分が親に会う、他人に会う、世界に会う、そんな世界観を獲得したように見えました。相変わらずの語り口のさわやかさと少々のおセンチはそのままに、新しい世界に出発したようです。秋の、シェイクスピアが楽しみです。
最後に、板橋瞬谷が,若き日の竹内力を彷彿とさせてほほえましかったです。
DULL-COLORED POP「河童」
2014年7月19日 18時開演 吉祥寺シアター
作・演出:谷賢一
出演 : 東谷英人、大原研二、中村梨那、百花亜希、若林えり、天羽尚吾、一色洋平、井上裕明、今村洋一、岩瀨晶子、内田悠一、港谷順、小角まや、澄人、平佐喜子、ドランクザン望、ナカヤマミチコ、浜田えり子、東ゆうこ、山中一美、三津谷亮
今まで2回ほど見た谷賢一の作品は、いずれもシリアスなタッチのものでしたが、今回の作品は打って変わって、コメディタッチというかミュージカルというか、全く変わったできあがりになっていました。芥川龍之介の「河童」を基に、河童独自の合理性から人間の矛盾や、だめなところを浮き彫りにするというのが狙いなんでしょうが、成功していたとは思えませんでした。
当日パンフレットに、「芥川の言葉を使ったのは10パーセント以下で、ほとんど私の創作です。」というようなことが書かれていましたが、それにしては芥川の世界から抜け出ていないのが気になりました。
今ここで、芥川の世界を劇化することに何の意味があるのか?私には全くわかりませんでした。
作・演出:谷賢一
出演 : 東谷英人、大原研二、中村梨那、百花亜希、若林えり、天羽尚吾、一色洋平、井上裕明、今村洋一、岩瀨晶子、内田悠一、港谷順、小角まや、澄人、平佐喜子、ドランクザン望、ナカヤマミチコ、浜田えり子、東ゆうこ、山中一美、三津谷亮
今まで2回ほど見た谷賢一の作品は、いずれもシリアスなタッチのものでしたが、今回の作品は打って変わって、コメディタッチというかミュージカルというか、全く変わったできあがりになっていました。芥川龍之介の「河童」を基に、河童独自の合理性から人間の矛盾や、だめなところを浮き彫りにするというのが狙いなんでしょうが、成功していたとは思えませんでした。
当日パンフレットに、「芥川の言葉を使ったのは10パーセント以下で、ほとんど私の創作です。」というようなことが書かれていましたが、それにしては芥川の世界から抜け出ていないのが気になりました。
今ここで、芥川の世界を劇化することに何の意味があるのか?私には全くわかりませんでした。
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