2014年6月22日日曜日

味わい堂々XバジリコFバジオ「怪獣使いの娘たち」

2014年6月21日 14時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:佐々木充郭
脚本協力:岸野聡子
出演:三枝貴志、宮本奈津実、浅野千鶴、岸野聡子、田中嘉治郎、イチキ遊子、阿久澤菜々、橋本昭博、石澤美和、浅野康之、今藤茶、堀靖明、横山莉枝子、植田祥平、佐藤有里子、槇平々、小名木美里、キタラタカシ、今福李寛、澤井祐太、長瀬良嗣
小劇場の舞台で時々見かけて気になっていた浅野千鶴が所属する劇団の公演と言うことで、見にいきました。
ストーリーはいわゆるダークファンタジーで、小劇団がやるとしょぼくて見ていられないものになりがちなものでしたが、今回はそんなこともなく面白く見られました。
それは、ほとんど脚本と演出の力だと思います。作・演出の佐々木充郭は初めてでしたが、結構達者で感心しました。
今回は、味わい堂々とバジリコFバジオ野合同公演ということで、全体のバランスがどうなるのかと思っていたのですが、それも杞憂に終わりました。
まず、味わい堂々の3人が3人姉妹問いことで、しっかり関係性を造り、周りともその関係性をたもってあたっていく形を取ることで、スッキリした仕上がりになっていました。
また、三枝貴志の子供っぽい両主役の熱演も光りました。
味わい堂々、バジリコFバジオそれぞれの単独公演も見てみたいです。

ベッド&迷キングス「南の島に雪が降る」

2014年6月17日 19時30分開演 お台場潮風公園内「太陽の広場」特設テント
原作:加東大介
脚本・演出:福原充則
出演:富岡晃一郎、猫背椿、早乙女友貴、円山厚人、久保貫太郎、加瀬澤拓未、畑中実、矢野昌幸、結城洋平、望月綾乃、佐藤銀平、小林顕作
前回見たときには、唐十郎へのオマージュとも思える作風で面白かったベッド&メイキングスが、テント芝居をすると聞いて、さらなる唐十郎的なものを期待して見にいきましたが、ワタシの勝手な思い込みは見事に外れました。
ずいぶん前になくなった俳優の加東大介が書いた実話を基にした芝居で、太平洋戦争中南方の前線で、兵隊たちが慰問のため芝居をするという話でした。
前半は、その実話から取ったのであろう衣装やカツラを造る苦労話に引きずられて、テンポが悪かったのですが、芝居をすることが舞台公認になった後半は、そんな細かいことにこだわらず、テンポよく面白くなってきました。
実際にも仮設の芝居小屋を造ったようで、そこからテント公演という発想はよくわかるのですが、やってみると今までにやり尽くした手法をまた見せられるだけで、あまり感心しませんでした。
実話に引きずられてどこにも到達できないまま、終わってしまった長い3時間でした。

FUKAI PRODUCE 羽衣「耳のトンネル」

2014年6月16日 19時開演 吉祥寺シアター
作・演出:糸井幸之介
出演:深井順子、日高啓介、鯉和鮎美、高橋義和、澤田慎司、伊藤昌子、西田夏奈子、金子岳憲、並木秀介、加藤律、幸田尚子、内田滋、Sun!!、枡野浩一
2012年の「耳のトンネル」の再演です。2年経って、上演時間も休憩を挟んで3時間という大作になっていました。
初めて見たFUKAI PRODUCE 羽衣がこの「耳のトンネル」で、その時は結構気に入って好印象だったのですが、その後何本か見ていく内に、この劇団は広い舞台が苦手なのではないかという気がしてきました。
基本的に人生と愛を讃えるというのがテーマなので、どうしても二人芝居が多くなります。その時舞台が広いと、役者の力量不足とそれを補う演出がほとんどないため、印象が弱くて、見ている方も退屈してしまいます。
モノローグ芝居でもその他大勢が舞台にいれば、そのようなことはないので、脚本の問題と言うよりは、役者の力量、演出の力量の問題だと思います。
そういえば、広い舞台で唯一面白かったシアターイーストの「サロメ VS ヨナカーン」は、いつも大勢の役者が舞台にいました。
本も独特なものがあるし、曲も独特で面白いので、次回も見にいくと思いますが、できれば、アゴラ劇場くらいの広さのところでやっていただきたいものです。

2014年6月20日金曜日

池田鉄洋「BACK STAGE」

2014年6月11日 14時開演 シアタークリエ
作・演出:池田鉄洋
出演:相葉裕樹、植原卓也、新垣里沙、永岡卓也、西ノ園達弘、小野寺大夢、近江谷太朗、鈴木砂羽
昨年の秋、下北沢で見た表現・さわやかの自分がしたいことをするためだけの見事にくだらない芝居を見て、感心した池田鉄洋がなぜかシアタークリエでやるというので、見にいきました。ストーリーは相変わらずくだらないのですが、シアタークリエの普通の観客、中年女性と若手イケメン男優目当てであろう若い女性にもわかりやすく、娘道成寺の鐘の説明なども交えつつ、最後には舞台への愛も叫んで感動を与えたりして、結構バランスのよいところを見せてくれました。
予算があったらやってみたかったであろう盆回しや、ムービングライトの導入など本人も嬉しかったに違いありません。ただ、やっていることの本質はいささかも変わりなく、それが偉いと言えば偉いのですが、だったら、下北で安い料金で見ればよいではないかとも思いました。
日頃、コメディになどやったことがないであろう鈴木砂羽が意外ながんばりで検討していました。

マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------」

2014年6月10日 19時30分開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:藤田貴大
出演:成田亜佑美、尾野島慎太朗、萩原綾、吉田聡子、川崎ゆり子、伊東茄那、波佐谷聡、斉藤章子、中島広隆、石井亮介、召田実子
マームとジプシーの初期作品の再演のようで、私が初めて見た「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」よりも前の作品のようでした。というか、多分、ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」が、この作品を再構成したもののように思われます。せっとは、「モモノパノラマ」のように、細いmくざいで造った四角形を様々に組み合わせて、家や駅、通りを表していくというおしゃれなものでしたが、そこに表れる感情は結構生々しく、独特のテンポで繰り返されていくうちに、コントロールが効かなくなっているのではないかと思われるところもありました。
この劇団は見るたびに、表現が洗練されてきて新しい地平に到達したのではないかと思っていたのですが、この作品を見て、彼らの初期衝動がどんなものであるか再確認できたような気がします。

ブルドッキングヘッドロック「おい、キミ失格!」

2014年6月7日 19時開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:喜安浩平
出演:西山宏幸、篠原トオル、永井幸子、岡山誠、川本成、竹井亮介、森谷ふみ、筒井俊作、傳田うに、小園茉奈、竹内健史、小笠原健吉、浦嶋健太、葛堂里奈、鳴海由莉、二見香帆
三鷹市芸術文化センターの「太宰治に関する演劇」シリーズと、ブルドッキングヘッドロックの組み合わせ。いつも一定レベル以上の芝居を提供してきたシリーズであることと、前回見たブルドッキングヘッドロックの公演が、西山宏幸作であり、今回が通常の喜安浩平の作・演出であることから、興味を持って見にいきました。
結果は、全体にテレビのコント的な安易さはあるものの、おもしろいコメディに仕上がっていました。しかし、全体の流れを悪くする部分があり、それが太宰治に関する部分なのは、「太宰治に関する演劇」としては残念でした。太宰に関するパートがない方が上演時間も短くてスッキリした仕上がりになったのに、無理矢理挿入した感がありありで不満が残ります。
通常舞台で使用する方に客席を組み、プロセミアムアーチのところに後ろを隠すように天井までのセットが組まれていて、その後ろに別なセットが隠されている感じがありありだったのですが、いざそのシーンになると、見えていたセットがズーと後ろに下がり、本来客席である広々とした空間が、多田、おっかけっこをするためだけに表れてのでした。いい意味で裏切られて感じは最高でした。

2014年6月11日水曜日

男肉 du Soleil「ロンリーガール &ブギーロボ」

2014年6月7日 13時開演 下北沢シアター711
団長:池浦さだ夢
出演:江坂一平、クリ太マメ男、小石直輝、高坂勝之、ジャングル、城之内コゴロー、すみだ、吉田みるく、酒井善史、伊勢村圭太、和田聖来
前々からダンスを見にいくのに今ひとつ気乗りしないのは、ダンス特有のストイックさに辛くなるからだと思っていたのですが、いざ、そのストイックさのかけらもない公演を見てみるとそのダンスの下手さ加減に嫌気がさし、見てるのが辛いばかりでした。
ストーリーは漫画のようだし、芝居は芝居とは呼べないほどへたくそ。肝心のダンスも、「踊りたい」という熱い気持ちだけはあるようですが、技術がまったくともなっていないので見苦しいだけでした。
何度も途中で出ようと思いましたが、狭い劇場のためその勇気もでず、最後まで見てしまいました。
劇中で観客をあおる台詞、「心が躍れば、それがダンスだ」は素敵ですが、そのダンスが人様にお見せできるものかどうかは、別物だと思います。
ダンスには、ストイックさが必要です。

2014年6月5日木曜日

DULL-COLRED POP「proof / 証明」

2014年5月29日 19時開演 新宿サンモールスタジオ
作:デヴィッド・オーバーン
翻訳・演出:谷賢一
出演:百花亜希、大家仁志、山本匠馬、遠野あすか
連日同じ芝居を見るのもどうかと思ったのですが、スケジュールの都合でやむなくこうなりました。
と思いながら開演を待っていると、後ろの席から、「マチネで風琴工房を見て、夜はここを見る」といっているお客さんがいて、上には上がいるものだとも思いました。
どうしても風琴工房と比べながら見てしまうのですが、風琴に比べるとこちらの方が全体に渋い仕上がりになっていました。しかし、戯曲の力はすごい物で、2回目にもかかわらず飽きることなく見られました。こちらのキャサリンは、自分の才能が認められないことを、少しあきらめて受け入れている少し年上なかんじで、父親はより厳格で、自分にも周りにもより厳しい印象でした。1つ残念なのは、姉役の遠野あすかで、宝塚出身のせいか、台詞のトーンの切替が極端で、一人だけ大劇場で芝居をしているようでした。
私の中では、このDULL-COLRED POPも風琴工房と同じく「正統派演劇の小劇団」の範疇に入るのですが、2本続けて「正統派演劇」を見ると、私が見たいと思っているのはこのような正統派ではないことがよくわかりました。
決して、正統派を否定するものではありませんが、その道の先には、数多くの名優がおり、それに追いつき追い越すには、とても長い年月がかかることは目に見えています。それをわかって、日々精進いくことは立派なことですが、そうではなく今すぐ自分たちの方法論で自分たちのいいたいことを言いたいという、野心や意地が見てみたいのです。
それと出逢うために、名前の知らない小さな劇団を見ているのだと改めて気づかされました。

風琴工房「proof / 証明」

2014年5月28日 19時30分開演 SHIBAURA HOUSE 5階
作:デヴィッド・オーバーン
翻訳・演出:詩森ろば
出演:清水穂奈美、佐藤誓。金丸慎太郎、李千鶴
全面ガラス張りの芝浦の新しいビル(建築設計は妹島和世のようでした)の5階で、そのガラス面を背景に、中庭のようなセットを組んでの公演でした。カーテンは客入れ時から開けてあり、周りのビルや東京タワーが借景で見えている環境です。この芝居のために場所を探し回り、宙に浮いているような不安定な心情にぴったりということでここでの公演となったようです。
まず第一に戯曲がとてもよく書けていて、飽きのこない構成で2時間以上退屈しないで見ることができました。また、主人公のキャサリン役の清水穂奈美が、認められない天才の葛藤を思い切りのよい演技で演じ、それを優しく受け止める父親役の佐藤誓とのバランスもよく好演でした。
秘湯残念なのは、仮設劇場のため、ガラス面にスポットが映り込んでしまい、せっかくの借景がずっと見えづらいままだったと言うことです。
風琴工房は初めて見ましたが、演技、演出の質も高く、私の中では、小劇団ながら「正統派演劇」の王道をいくという感じでした。

イキウメ「関数ドミノ」

2014年5月27日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
作・演出:前川知大
出演:安井順平、浜田信也、大窪人衛、森下創、伊勢佳世、吉田蒼、新倉ケンタ、盛隆二、岩本幸子
2012年5月以来のシアタートラムでのイキウメ公演を見ました。その時のブログを読み返してみたら、結構感動したようなことが書いてあったのですが、その後、何本かイキウメを見てくると、その「ミッション」がそれほど優れた作品とは思えなくなってきました。
どうも図書館とか、柱とか作品のテーマというか中心におかれた物が、具体的で実在しているか、簡単にイメージできる物の時はわかりやすくて、今回や「ミッション」の時のように超能力という概念の時には、話がぼやけてわかりにくくなってしまうような気がします。それは私の感受性が鈍いだけなのかもしれませんが、今まで見てきた作品を思い返してみるとそのような気がしてなりません。