2012年6月28日木曜日

競泳水着「Good night」

2012年6月26日 14時30分開演 王子小劇場
作・演出:上野友之
皆本朋和、竹井亮介、吉野みのり、黒木絵美花、黒田聡志、澤田慎司、清水遙、篠原彩、皆本亮、瀬川英次、皆本純子、岡田あがさ、藤原けい、川村紗也、堺万里子、阿久澤菜々、平市朗、菅野貴夫、大林つかさ、大川翔子
つぶれかけのレストランで、昔アルバイトで働いていた女の子が転勤で北海道に行くので送別会が行われる。そこに現れるいろいろな人々。けんか別れしたオーナーの弟、兄二人を心配する妹。間違えて誘われた元予備校の講師。融資の返済を催促しにきた銀行員。
水道管の破裂事故が起こり送別会はお流れとなり、みんな様々な思いを抱えて、去ってゆく。
「日常のささやかな出来事を優しくすくい上げて、しっとりと提示してみました。」的な、最近よくある芝居でしたが、年寄りの私には、全く共感できずおもしろくなかったです。
いつも思うのですが、この手の芝居には、役者の力量と、演出のナイーブでしたたかな演出力がないかぎり、おもしろくなるのは難しいのではないでしょうか。
今回の芝居では、間違って呼ばれた元予備校講師が、無駄に明快な発声で現れる様々な問題に解答を与え、ストーリーを展開していくのは、ルール違反という気さえします。
次回公演は、見ないと思います。

2012年6月22日金曜日

長塚圭史「南部高速道路」

2012年6月21日 14時開演 三軒茶屋シアタートラム
原作:フリオ・コルタサル 構成・演出:長塚圭史
出演:安藤聖、植野葉子、梅沢昌代、江口のりこ、黒沢あすか、真木よう子、赤堀雅秋、梶原善、加藤啓、小林勝也、菅原永二、ジョンミョン、横田永司
原因不明の渋滞に巻き込まれ、高速道路の上で立ち往生する人々。なぜか渋滞はいっこうに解消されず、日常から切り離された人々は、高速道路の上で生きていくことを余儀なくされる。四方が客席の真ん中舞台で、美術と言えば、壁面に取り付けられた4本のナトリウム灯だけ。後は、役者が持つ車を表す傘と、バック類だけというほとんど何もない舞台で、繰り広げられる不思議な時間感覚の物語でした。
最初のうちは日常と同じ時間が流れているのに、知らないうちに少しゆっくりなどこか風通しのよいような不思議としか言いようのない時間の流れに、舞台も観客席も巻き込まれていました。それは、あまりにも自然な変化だったので、最後に渋滞が解消されて人々が動き出して、初めて自覚できるような繊細な感覚でした。まるで、うたた寝から覚めて夢を見ていたことに気づくような、少し幸せな感覚。
実におもしろい2時間の演劇体験でした。
長塚圭史、恐るべし。次回の長塚作品も、是非見たいと思います。

2012年6月21日木曜日

ネオゼネレイタープロジェクト2012「THE ICEBREAKER」

2012年6月20日 19時30分開演 下北沢「劇」小劇場
作・演出:大西一郎
出演:石丸だいこ、井上英行、猪股敏明、今井勝法、碓井将仁、木村健三、小林麻子、中山朋文、畑中葉子、保倉大朔、森口美樹、依田朋子
どうも自ら「B級」と名のる芝居とは、相性が悪いような気がする。「あひるなんちゃら」とか「コーヒーカップオーケストラ」と同じように、私には楽しめない芝居だった。
私の中では、「普通の芝居」である。特にうまいわけでもない演技と、普通な演出。私が見たいのは、荒削りかもしれないがそこにしかない個性、発想、情熱なのだと思う。
「普通の芝居」と書いてみたが、「普通の芝居」=「新劇」というイメージが私の中にはあるようだ。しかし、彼らの芝居は「新劇」ではないだろう。
正確には、私の中の「平均点以下の芝居」ということだ。「平均点以下」とは何かと言えば、要するに「おもしろくなかった」と言うことだ。
「B級SFホラー」と称しているが、最後に神様が出てきてオチをつける話は、SFではなくてファンタジーだと思う。
次回公演は、見ないと思う。

2012年6月16日土曜日

五反田団「宮本武蔵」

2012年6月13日 15時開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:前田司郎
出演:大山雄史、小河原康二、萩野友里、金子岳憲、久保亜津子、黒田大輔、前田司郎、岸井ゆきの
この劇団は、別の作品をCSのシアターTVで放映されたものを録画して見たら、全く理解できなかったので、一度、生で見なければいけないと考えたのが動機でした。
誰かが五反田団のことを、「脱力系口語体演劇」と呼んでいましたが、言い得て妙でした。「ぼそぼそといいわけじみたことを頑なにしゃべり続ける。」それが、この劇団の基本であり、すべてです。宮本武蔵も、時代劇であることも、たいした意味はありません。過去の作品も次回作もすべて同じだろうと思えてしまいます。
あの語り口に好感が持てれば楽しいのかもしれませんが、特に興味を持てなかった私には、この1本で十分という感じでした。
次回公演は、見に行かないと思います。

2012年6月7日木曜日

タテヨコ企画「鈴木の行方」

2012年6月6日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:横田修
出演:青木柳葉魚、奥田洋平、佐藤滋、西山竜一、館智子、ちゅうり、奈賀毬子、市橋朝子、久行しのぶ、館野完、林ちひろ、大塚あかね、五十嵐明、向原徹
前説に出てきて初めて気がついたのですが、作・演出の横田修さんは、昔、一二度一緒に仕事をしたことがある青年団(元青年団?)の横田さんでした。前説の顔を見て、初めて知りました。
芝居は、中年になり「自分がだんだん消えていくような気がする主人公が、子供時代の親友を散歩の途中で探し始める。」という、自分探しの旅というような、よくあるというか、演劇界不変のテーマの一つというか、まあ、そんな感じでした。
現在と子供時代の回想シーンが入れ替わり立ち現れるのですが、その転換をスムーズにするため、役者が小道具の転換をしたりするのが、すごく気になりました。セットの一部の踏み台から、麻雀卓が出てきたり、犬のぬいぐるみやひよこのぬいぐるみがでてきたり、けんかのシーンでピンポンのボールを大量にぶつけ合ったり、突然、シャワーのような本水の雨を降らしたりして、観客を楽しませようとしていましたが、全部中途半端でご都合主義的に見えてしまいました。回想シーンと現在の違いを衣装で表すため、不自然な退場もしばしば見られ、気になって仕方がありませんでした。
逆に小道具も衣装も最小限に抑えて、ミニマムな形でこの芝居を作ったら、おもしろいんじゃないかと観劇中に考えてしまいました。たぶん、次回公演は見ないでしょう。

2012年6月2日土曜日

温泉キノコ「コアラちゃんの世界」

2012年6月1日 19時開演 下北沢駅前劇場
作・構成・演出:大堀光威、中西広和
出演:佐藤もとむ、井本洋平、大堀光威、中尾ちひろ、たにぐちいくこ、井澤崇行、中西広和、時田愛梨、家納ジュンコ、羽田謙治
九つの短い芝居というか、コントが並べられた作品でした。一貫したテーマがあるわけでもなく、オムニバスではないと思います。
開演前に、突然、コアラのかぶり物をした役者がカラオケで歌い始めるという演出がありました。別にうまいわけでもなく、場つなぎのつもりなのでしょうか。しかし、始まる前から、場つなぎとはなんなんでしょう。
見ている間中、「彼らは、誰に向かって、芝居をしているのだろう。」というのが疑問でした。それぞれの芝居のテーマや笑いは、よくコントでありそうな月並みなものでしたが、それを誰に向かって演じているのか全くわかりませんでした。少なくとも、私の年代や、趣味嗜好には全く響いてこないものでした。
最後の「サウンド・オブ・口臭学」だけは、ミュージカルのパロディとしておもしろかったです。いかにもミュージカル風なメロディに乗せて、歌で説明しなくてもよいことを歌い、ストーリーの進行とともに、同じメロディの変奏曲で歌い上げる。ミュージカルの形式を逆手にとって、思わずクスリと笑ってしまいました。