2019年1月29日火曜日

鳥獣戯画「三人でシェイクスピア」

2019年1月28日 19時開演 池袋シアターグリーン Box in Box Theatre
作: Jess Winfield,Adam Long,and Daniel Singer
訳:小田島雄志、長谷川仰子
演出: 知念正文
出演:赤星昇一郎、石丸有里子、ちねんまさふみ
劇団鳥獣戯画が17年以上にわたって、飛び飛びロングランと称して断続的に公演を行っている「三人でシェイクスピア」を観ました。300回以上、同じメンバーで上演しているそうで、さすがに手慣れた芝居になっていました。
キャッチフレーズは、「3人で、90分で、シェイクスピアの全37作品を上演する」と言うことですが、頭に「ハムレット」をさらっとやって、途中は演じると言うよりはおもしろおかしく説明するだけです。「真夏の夜の夢」などの喜劇16本はストーリーが皆同じとしてまとめるし、リチャード3世などの歴史劇は王様の形態模写だけで済ますなど。時短の為の工夫が一杯です。
ラストに「ハムレット」を持ってきて、オフェーリアのフロイト的分析と称して客を巻き込んで、イド、エゴ、スーパーエゴをやったりして、終わるという構成でした。
とにかく脚本がよくできています。客を飽きさせないように、しかもしっかり見たという満足感も与えるように、とてもよく考えられています。また、ヒロイン、ジュリエットやオフェーリア、クレオパトラに至るまで、演じるのが怪優赤星昇一郞というのも大きなポイントで、とにかく出てくれば「つかみはオーケー」なのも、大きいです。
やはり恋いったパロディ物は、欧米の方がおもしろいものがあるような気がします。400年以上のシェイクスピアをやり続けてきた、厚みと裾野の広がりのなせる技でしょうか。


2019年1月27日日曜日

CHAiroiPLIN 踊るシェイクスピアII 「TIC-TAC~ハムレット~」

2019年1月26日 13時開演 新大久保東京グローブ座
原作:W.シェイクスピア
振付・構成・演出:スズキ拓朗
出演:●エリザベス・マリー、清水ゆり、ジョディ、ジントク、増田ゆーこ、スズキ拓朗(CHAiroiPLIN )
ゲスト出演:柏木俊彦 、鳥越勇作、NIWA、野坂弘、福島梓、碧さやか、青木萌 、浅井裕子、岡村樹、小川しおり、折浜かじき、、小林らら、鈴木彩乃、多賀栞里、中井沙織、長岡ありさ、ニノ戸新太、葉月娃伊、松下高士、みぞぐちあすみ、森陽菜、伊藤凜音、飯塚 シオン、小口響郁、内山日奈加、白井安美、仲本詩菜、塚越光、吉田裕貴
香取直登(コンドルズ)山本光二郎(コンドルズ)
特別映像出演:近藤良平(コンドルズ)
久しぶりのCHAiroiPLINの公演はシェイクスピアのハムレットでした。歌と映像でストーリーの説明をして、心象風景をダンスで表すという構成でした。後半になるほどシリアスさがまして、いつものCHAiroiPLINの軽やかさが薄くなっていったのが残念です。シリアスになればなるほど、群舞のレベル差が目立ったのも気になりました。

2019年1月24日木曜日

コンプソンズ「ぶっ飛ぶ夢をしばらく見ない」

2019年1月23日 19時開演 下北沢OFFOFFシアター
脚本・演出:金子鈴幸
出演:金子鈴幸、星野花菜里、細井準、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑、つかさ、善長まりも、シオザキ、並木雅浩
つかさと善長まりもはダブルキャスト
久しぶりに自分が理解できる芝居だったので、安心してみられました。理解できたからといって面白かったわけではなく、逆にだめなところが目につきました。もっとも気になったのは、のべつ幕なしに繰り広げられるギャグというか、だじゃれです。いっている本人も自信がないのか、突然早口の大声でだじゃれが挟まります。そのリアクションを受けるまもなく何事もなかったかのように芝居は続いていきます。衝撃的と言えば衝撃的ですが、それが続くと単にうるさいだけのノイズです。脚本に扇子は感じられる野ですが、その扇子を生かす方法を追求する前に、思い切りよく捨ててしまっていることが残念です。物語の多重構造を台詞で説明しすぎだと思います。それを減らせば、スマートに上演時間も短くできると思います。

2019年1月23日水曜日

どらま館ショーケース 2019

2019年1月21日 15時開演 早稲田どらま館
ゆうめい「粘土ごと」
脚本:池田亮
 作・演出・出演・美術:新井秀幸、池田亮、五島ケンノ介、小松大二郎、関彩葉、田中祐希、的場裕美、山﨑洋司

スペースノットブランク「共有するビヘイビア」
演出・出演:小野彩加、古賀友樹、中澤陽

関田育子「柊魚」
作・演出:関田育子
出演:青谷奈津季、黒木小菜美、小久保悠人、長田遼、我妻直弥

様々な芝居をサンプル的にみせていくイベントです。2017年から始まっているそうなので、今回で3回目のはずです。
全体の印象としては、「創作の途中」を見せられている感じです。3本ともオチがないというか、まだまだ成長途中というか、観ていて落ち着きません。
ゆうめい「粘土ごと」は教授のパワーハラスメントを告発している芸大の学生と、告発におびえ酩酊してお漏らしをしてしまう教授を並べることで、観念と実体の位相の差を明らかにして見せたところは面白かったです。
2本目のスペースノットブランク「共有するビヘイビア」は、あるダンスの振付稽古を再現するというかたちで、ダンスと芝居の融合のかたちをかんがえるというような趣旨に見えました。試みとして面白かったし、観ていて退屈するようなところもありませんでしたが、演出の言葉がペダンチックすぎて少々、恥ずかしかったです。
最後の関田育子「柊魚」は、最近観た「新聞家」にも通ずるような、「台詞に付随する動きや感情を極力排除して、言葉を裸にする」試みに見えました。ゆっくりと反復する動きとともに発せられる台詞は、確かに今までとは違った装いを見せます。しかし、私が面白かったのは、時々はさまる急激な動き、「素早く移動する」、「振り向く」といった動きとともに発せられる台詞は、普通に演劇的感情が入ってしまうところでした。



2019年1月20日日曜日

Ping Chong’s ドキュメンタリー・シアター Undesirable Elements「生きづらさを抱える人たちの物語」

2019年1月19日 14時開演 東京芸術劇場シアターイースト
脚本:Ping Chong(ピン・チョン)
演出:Ping Chong(ピン・チョン)
出演:岩本陽、大橋ひろえ、JuliaOlson、成田由利子、西村大樹、HARMY
今まで70本以上のドキュメンタリー演劇を作ってきたピン・チョン氏の公演ということで見にいきました。
ドキュメンタリー演劇といえば、何年か前に東京芸術劇場で観たリミニ・プロトコルが構成・演出した「100%東京」という演目がとても面白くて、それがドキュメンタリー演劇を観た最初だと思います。
オーディションで選ばれた6人の「生きづらさを抱えた人」が舞台に登場し、年代順に構成された自分の人生を語っていきます。台詞は慎重に並べられ、飽きないよう、だれないよううに演出されています。また、日本語と英語の字幕、手話通訳、手話で話す演者のためにそれを朗読する通訳までいました。
それで立ち上がってきた6人の人生は確かに感動的で、涙も出ました。
しかし、観ているだけの無責任な観客としては、そこからさらに一歩進めてさらなるドラマが見たいとも思いました。
「100%東京」の時には、それは「今の東京」のイメージでした。それに相当するような物が見たかったです。

Theatre Moments「PANIC/遺すモノ~楢山節考より~」

2019年1月17日 19時開演 上野ストアハウス
『PANIC』マレーシア×日本cast 上演時間約40分 英・中・日 字幕
原作:安部公房
構成・演出:佐川大輔
出演:Rorn Liew、Yiky Chew、Syafiq Syazimと、中原くれあ、佐川大輔

『遺すモノ~楢山節考より~』日本cast  上演時間約60分 英・中 字幕
原作:深沢七郎
構成・演出:佐川大輔
出演:青木まさと、今野健太、関谷美香子、ちょびつき雨宮、豊田可奈子、廣瀬正仁、中原くれあ
劇団Webサイトより引用

2018年12月5日~2019年1月6日
THEATRE MOMENTS初のアジアツアー公演決定!

作品は2013年せんがわ劇場演劇コンクールにてグランプリ・オーディエンス賞・演出賞を受賞した【パニック】。
マレーシアのONZ Productionに招聘され、
マレーシアの俳優3名とTHEATRE MOMENTS主宰の佐川&中原でのコラボ公演!
ツアー地は、クアラルンプール⇒マカオ⇒香港⇒ペナン!

引用終了

アジア4都市でのツアーを受けて、東京凱旋公演としている。
「パニック」は原作を読んだことがないのでどの程度脚色されているかわからないが、極めて寓話性の高い仕上がりになっています。アジアの都市ならどこでも当てはまりそうです。
面白かったのは、使用言語が日本語、英語、中国語、マレーシア語の4言語で、役者が喋った以外の3カ国語の訳が字幕としてでるすが、日本語が喋られていてその意味も理解していても、字幕にでないと「日本語訳がない」一瞬、戸惑ってしまうことでした。字幕込みで芝居だと認識しているようで、いつもは「字幕があると集中できない」と思っていたのに、びっくりしました。
演出は海外進出のお手本のようで、シンプルでわかりやすい台詞と、動きが大きく誰にでも理解できる身振り、手振りを使い、細かいニュアンスを伝えるよりはメインの考え方を伝えるようにできています。
そうなると私がいつも見ている海外進出など考えていない小劇場とは、微妙なラインの差ができて、そこに違和感を感じます。どちらが良い悪いではないのですが、「和」すなわち日本というものを意識的に考えているかどうかの差だと思います。


2019年1月12日土曜日

2018年観劇総括

1月(3本)
 12日 ロロ「マジカル肉じゃがファミリーツアー」
 17日 福原充則演出「秘密の花園」
 31日 泥棒対策ライト「夕暮れメトロノーム」

2月(3本)
 6日 青蛾館「宝島」
 15日 お布団「アガメムノン」
 20日 ハイバイ「ヒッキー・ソトニデテミターノ」

3月(3本)
 3日 烏丸ストロークロック『まほろばの景』
 9日 ガレキの太鼓「地上10センチ」
 15日 Mrs. fictions「再生ミセスフィクションズ2」

4月(3本)
 23日 ままごと「ツアー」
 25日 梅棒「Shuttered Guy」
 25日 CHAiroiPLIN「ERROR」

5月(17本)
 10日 Newyork 2018 Vol.6 BERNADETTE PETERS IN HELLO, DOLLY!
 11日 Newyork 2018 Vol.8 ESCAPE TO MARGARITAVILLE
 12日 Newyork 2018 Vol.9 CINDERELLA BY COMPANY XIV
 14日 Newyork 2018 Vol.10 ME AND MY GIRL
 15日 Newyork 2018 Vol.12 Dear Evan Hanson
 16日 Newyork 2018 Vol.13 COME FROM AWAY
 17日 Newyork 2018 Vol.14 Mean Girl
 18日 Newyork 2018 Vol.16 CAROUSEL
 19日 Newyork 2018 Vol.17 FROZEN
 20日 Newyork 2018 Vol.18 The Band's Visit
 21日 Newyork 2018 Vol.19 Once On This Island
 22日 Newyork 2018 Vol.20 SpongeBob SquarePants Broadway
 23日 Newyork 2018 Vol.21 Harry Potter and the Cursed Child Part1 & 2
 24日 Newyork 2018 Vol.22 Hamilton
 25日 Newyork 2018 Vol.23 My Fair Lady
 26日 Newyork 2018 Vol.24 THE BEAST IN THE JUNGLE
 27日 Newyork 2018 Vol.25 SWEENEY TODD

6月(7本)
 11日 モダンスイマーズ『悲しみよ、消えないでくれ』再演
 14日 地点「山山」再演
 20日 東葛スポーツ 『12時17分、土浦行き』
 20日 モメラス「青い鳥完全版」
 21日 地点「忘れる日本人」再演
 25日 Serial Number「Next Move」
 26日 「スワン666」

7月(6本)
 2日 東京デスロック+第12言語演劇スタジオ 『가모메 カルメギ』
 2日 Kawai Project 「ウィルを待ちながら──歯もなく目もなく何もなし」
 12日 成河一人芝居「フリー・コミティッド FULLY COMMOTED」
 17日 劇団献身 『死にたい夜の外伝』
 26日 昇悟と純子「Last Scene」
 31日 ゲキバカ「Death of a Samurai」

8月(10本)
 6日 CHAiroi PLIN 踊る童話「THE GIANT PEACH」
 6日 ロロいつ高シリーズvol.6『グッド・モーニング』
 9日 イデビアン・クルー「排気口」
 10日 阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
 14日 したため「文字移植」
 15日 NICE STALKER「ロリコンのすべて」
 22日 大人の麦茶 第25杯目公演 「おしり筋肉痛」
 23日 劇団☆新感線「メタルマクベス Disc1」
 27日 入江雅人「ゾンビフェスTHE END OF SUMMER 2018」
 28日 ヤリナゲ「みのほど」

9月(1本)
 16日 東葛スポーツ「カニ工船」

10月(3本)
 4日 ゴールド・アーツ・クラブ「病は気から」
 12日 宮部と宮部ら「『お見合い』ーそこに愛はあるのかなー」
 25日 かわいいコンビニ店員飯田さん 第7回公演 『 手の平 』

11月(7本)
 1日 SPAC「授業」
 14日 good Morning No.5「看護婦の部屋~白の魔女~」
 14日 good Morning No.5「祝杯ハイウエイ」
 18日 長塚圭史演出「セールスマンの死」
 26日 ロロいつ高シリーズ vol.7「本がまくらじゃ冬眠できない」
 28日 ノゾエ征爾演出「命売ります」
 29日 シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.11らまのだ『青いプロペラ』

12月(6本)
 4日 うさぎストライプ『空想科学Ⅱ』
 6日 城山羊の会「埋める女~私は正しい~」
 18日 風姿花伝プロデュース「女中たち」
 20日 地点「グッドバイ」
 21日 東葛スポーツ「平成のいちばん長い日」
 27日 梅棒「超ピカイチ」

2018年の観劇数はBroadway Musical 17本を含めて69本でした。国内に限れば52本と少なくなりました。これは仕事が忙しかったせいもありますが、新しい知らない劇団に対する興味が薄れたことも大きな原因だと思います。新しい劇団を見てもまた見たいと思えるような芝居になかなか出会えない。下手でも面白いと思える芝居がない。というか、へたくそな劇団は少なくなりましたが、だからといって面白い芝居ができるわけでもない、と言うことだと思います。
夏過ぎぐらいまで、個々の芝居の印象メモもほとんど書いてありませんでした。それらの多くは、今では内容も思い出せません。
そんな中で、新規で見て印象に残ったのは、
・烏丸ストロークロック『まほろばの景』
・東京デスロック+第12言語演劇スタジオ 『가모메 カルメギ』
・イデビアン・クルー「排気口」
・宮部と宮部ら「『お見合い』ーそこに愛はあるのかなー」
くらいでしょうか。
特に、宮部純子のくだらなさと不安な表情は心に残りましたし、イデビアン・クルーの振りを信じていないような感じは、梅棒のような情熱を前面に出してくるダンスが好きな私には衝撃的でした。多分、「振りを信じていない」というよりはダンサーのテクニックが素晴らしくて、全員が振付を客観視できているという事だと思うのですが、クールに踊りまくるという事ができるということを教えてくれた舞台でした。
同じダンスのグループで言うと、残念だったのは梅棒でした。今年の2作品はどちらも面白いものではありませんでした。というか、「GLOVER」があまりにも面白い感動的な舞台だったのでそれ以降がつまらなく見えてしまいます。ひょっとしたら「GLOVER」は奇蹟の舞台だったのかもしれません。
2018年の新しい傾向としては、現代演劇の古典の作品を見にいくようになったことがあります。イヨネスコの「授業」、アーサー・ミラーの「セールスマンの死」、ジャン・ジュネの「女中たち」の3本だけですが、何十年も生き残ってきただけの理由がそれぞれの戯曲にあるわけで、それと才能ある演出がうまくかみ合うと面白い舞台ができあがる確率はかなり高いものになります。





























コムルナカ「俳優たちの夜」

2019年1月11日 19時30分開演 原宿VACANT
原作:ミハイル・ゾーシチェンコ
出演:石村みか(てがみ座)、遠藤昌宏、大石貴也、近藤彩香(泥棒対策ライト)、桜一花、友野翔太、中井奈々子、野口卓磨、福原冠(範宙遊泳)、松浦佐知子(FMG)、三橋俊平、森一生(阿佐ヶ谷スパイダース)
野口卓磨、近藤彩香、大石貴也の3人の発案から始まった12人の役者、ダンサーの集団創作による公演というのが一番簡単な概要です。
「コムルナカ」というのは、1920年代のソビエト革命により始まった、都市部への爆発的な人口流入に対応する為のシェアハウスのようなもので、それまでのブルジョアのアパートを細かく区切り台所、風呂、トイレなどは共同で使用する生活形態です。
この共同生活を自分たちの集団創作になぞらえて「コムルナカ」と名付けたようです。
ミハイル・ゾーシチェンコはソビエトの風刺作家で、このコムナルカについて多くの短編を書いた作家です。
公演はこのミハイル・ゾーシチェンコの短編を元にした短いシーンと、皆で作ったダンスや詩の朗読を組み合わせた80分ほどのものでした。
嬉々として演じる役者たちを見ながらずっと考えていたのは、「この人たちはどこに向かおうとしていて、どこにいるのだろう」ということです。
その答えは最後の「めんどくさいゲーム」と名付けられたシーンにありました。これは、芝居の稽古の最初によくおこなわれるお互いをよく知るための「順番に指さしながら、相手の名前を呼び合う」という稽古そのものでした。
そのため全体の印象は、「ああ、この人たちは芝居の稽古場にいて、稽古をしている。ミハイル・ゾーシチェンコの短編もエチュードのための題材に過ぎない」というように見えます。全員がとてもリラックスして演じている様や、転換、音響操作、照明操作も役者自身がおこなっているのもその印象を強めます。
嬉しそうに演じている役者たちはとても好感が持てるものでしたが、芝居の稽古だけを金を取って見せられてもなあという想いも捨てきれない一夜でした。


2019年1月7日月曜日

これは演劇ではない This is not the Theater.新聞家「遺影」

2019年1月6日 19時30分開演 こまばアゴラ劇場
作・演出:村社祐太朗
出演:花井瑠奈、横田僚平
プロンプター:内田涼
「これは演劇ではない This is not the Theater.」という挑発的なタイトルに惹かれて、とりあえず時間の合う新聞家を見ました。
二人の俳優が順番にぼそぼそと切れ切れに言葉を発する。その言葉は文章のようでもあり、イメージの羅列のようでもある。ただ、地点のような独自の発声のメソッドがあるようにもみえず、平文に近いと思います。Twittwerなどによると、その内容はある結婚式について語られたものらしいのだが、私の理解できる範囲ではそのような言葉はなかったと思います。全く集中力のない私には、向いていない演目だと言うことはよくわかりました。公演は25分ほどの短いもので、役者の「ありがとうございました」という言葉で唐突に終わります。
その後、質問会という観客からの質問に答える時間が設けられているのですが、そこでの質問を聴いていると驚いたことにこの演目を成立しているものとして全面的に受け入れて、その上でプロンプターの存在、不在とか、小道具のハンドクリームについてとか細かい質問がされていることでした。
私にとっては、何を意図してこのようなかたちでの公演がなされているのか、何を目的としているのか全く理解できませんし、「何がなされているのかわからないが、面白い」とも言いがたい状況でした。