2015年6月27日土曜日

NewYork 2015 No.14 Broadway Musical 「On The 20th Century」

2015年6月21日 14時開演 American Airlines Theatre
約40年ぶりの再演になるミュージカル・コメディで、「On The Town」などと同じ時代の作品です。典型的なミュージカル黄金時代の作品で、絵に描いたような要素がちりばめられていました。ショー・ビジネスのバック・ステージ物で、はったり屋の落ち目のプロデューサー、頭の弱い女優、怪演をきわめる老女優などなど、面白さてんこ盛りなのですが、新しい物はひとつもないのが残念です。それが気になります。リバイバルといえども、新しい切り口がな寝れば、面白いとはいえなのではないでしょうか。

NewYork 2015 No.13 Broadway Musical 「The King And I」

2015年6月20日 20時開演 Vivian Beaumont Theater
2015年のトニー賞のミュージカル主演女優賞を受賞したケリー・オハラが出演している「King And I」を見ました。受賞直後ということもあるのか、彼女が登場しただけで拍手がおきるほどで、彼女の人気がうかがえます。何度もノミネートされた末の受賞ですから、本人もさぞ嬉しかったことでしょう。
日本人としての興味はどうしても、王様役の渡辺謙の演技ですが、これは微妙なものがあります。シャムの王様といえば、日本人にとってもエキゾチックな物だと思うのですが、渡辺謙の演技は、けしてうまいとはいえない英語を喋りながらくさい芝居をしているとしか見えません。しかし、ケリー・オハラとのダンスシーンはとても素敵だったので結果、よかったのではないでしょうか。
芝居のラスト近くで、シャムの補佐役が苦々しくつぶやく、「She destryed KIng」という台詞に象徴しているように、この芝居には西洋文明が東洋を滅ぼしていくというストーリーが基本的に流れています。そしてそれを肯定しています。初演当時はそれでよかったのかもしれませんが、現代に上演するときにはそれでよいのでしょうか?
同じリンカーン・センターのリバイバル・シリーズとして上演された「南太平洋」の人種差別の扱い方の時も感じたのですが、さしたる反省もなくそのまま上演する体制は疑問が残ります。

2015年6月23日火曜日

NewYork 2015 No.12 Broadway Musical 「aladdin」 again!

2015年6月20日 14時開演 New Amsterdam Theatre
16日に見た「Aladdin」ですが、トニー賞ミュージカル助演男優賞の実力が見たくて、急遽,チケットを予約して見にいきました。ジェームス・モンロー・イングルハートが出演するかどうかもわからないのに、プレミヤム・チケットに300ドル以上も払って、賭にでました。公演日まで日にちがなくてe-Ticketsしか選択できず、慌ててGoogle翻訳を駆使して説明を繰り返し読み、、iPhoneに新しいアプリを入れたりなどして、焦りました。
当日は早めに行って恐る恐るプレイビルを開け、今日の出演者一覧の紙を見ると、そこにはジェームス・モンロー・イングルハートの名前がありました。愛でたし、愛でたし。
当然のことながら、スタンバイの人と台詞も同じ、やる小ネタも同じですが、会場に流れる空気が微妙に違います。ジェームスが会場をコントロールしていることがかっきりまかります。観客も安心してその流れに乗って楽しんでいることがよくわかりました。どこが違うとは言えませんが、明らかに違う。それが実力の差なのでしょう。
前から3列目のほぼセンターという至近距離でしたが、マジックカーペットの仕掛けはわかりませんでした。ただ、カーテンコールのスタンバイのため、カーペットが下手から上手に移動するのが文字の隙間から見えたので、基本的には吊っているのだとは思います。

写真は開演前の緞帳です。ここから、少し透けてから振り落とされると、砂漠の真ん中にジニーが立っていて,始まり始まりです。

2015年6月21日日曜日

NewYork 2015 No.11 Broadway Musical 「An American In Paris」

2015年6月19日 20時開演 Place Theatre
1951年のジーン・ケリー主演の映画を基に作られたミュージカルで,今年のトニー賞に12部門でノミネートされました。結局、受賞したのは、振付、編曲、装置デザイン、照明デザインの4部門でした。
何しろ主役の二人とも現役のバレー・ダンサーで、男性のリチャード。フェアチャイルドは、ニューヨーク・シティ・バレーのプリンシパル、女性のレニー・コープはロイヤルバレエ団所属なのですから、最初から最後まで踊る、踊る、芝居があって普通なら歌い出すところで、踊り出すという感じです。そのかわり、芝居と歌はそこそこというかんじでしょうか。ダンス好きならたまらない作品と言えるでしょう。ダンスが今ひとつ苦手な私には、純粋なダンス作品よりは見やすかったですが、今ひとつな感じでした。
この作品で特筆すべきは、最近はやりのプロジェクションマッピングの技術の高さです。
単純にプロジェクションするのではなく、わざわざ建物の切り出しパネルに投影して、後ろの空のプロジェクションと遠近感を見せたり、パースの奥の方の絵をボケ気味に暗く映してパース感を補強したりして、プロジェクションマッピングの最大の欠点、どうしても平面的に見えることをうまくカバーしていました。また、主人公が画家なので、プロジェクションの開始をスケッチ風の輪郭線から始めて、次第に色がついてくことで転換時間を持たせる工夫など、トニー賞に選ばれるにふさわしいと思えました。
ただ、ラストの15分にも及ぶバレー・シーンは、ダンスの質は別にして、モンドリアン風の衣装と装置は,今となってはレトロモダンなだけでいかがな物でしょう。映画に習ったなら、仕方がないのかもしれませんが、もう少しやり方があったような気がします。

NewYork 2015 No.10 Broadway Musical 「Book Of Mormon」

2015年6月18日 19時開演 Eugene O'Neill Theate
2011年度のトニー賞ミュージカル作品賞を始め、9部門を受賞したミュージカルです。モルモン教というキリスト教系の新興宗教を徹底的に茶化した内容で、よくも教団側がオーケーを出したと思うのですが、「宣伝になる」と一発オーケーだったそうです。この辺はアメリカ的功利主義の現れだと思います。
内容は、モルモン教の宣教師になる訓練センターをダントツの成績で卒業した男が、なぜかだめな嘘つき男と組まされてアフリカはウガンダに派遣されることになります。到着してみると、先輩宣教師たちの成績はゼロ。しかし、嘘つき男が適当なことを言って,村人に洗礼を受けさせることに成功してしまいます。知らせを受けた本部の監督官が喜んで視察に来た,その目の前で、村人たちが著しく曲解したモルモン教の教えを芝居仕立てで披露してしまいます。当然、布教所は即閉鎖、宣教師たちには帰国命令が出ます。しかし、アフリカへの愛に目覚めた宣教師と村人は,新しい宗派を開き布教活動を始めて、愛でたし、愛でたし。
このミュージカルの原案者はアニメ「サウス・パーク」の制作者で、それからすれば、この内容もさもありなんというところでしょう。また、「茶化しはすれど、否定はしない」、このレベルがアメリカにおける表現行為の限界でもあるのでしょう。
このミューカルの演出・振付をしたキャシー・ニコローは、ディズニーの「Aladdin」の演出・振付も担当しました。そういえば、ここぞというところで、あらゆるアイディア、手法を放り込んでくるスタイルはそっくりです。
私が見た日は、平日のソワレにもかかわらず、嘘つき男の役がアンダー・スタディでした。アンダー・スタディの出番は、水曜マチネーのみという不文律があったような記がすすのですが、今ではなくなったのでしょうか。

2015年6月20日土曜日

NewYork 2015 No.9 FUERZA BRUTA 「WAYRA」

2015年6月17日 20時開演 Daryl Roth Theatre
昨年のニューヨークの時にも見たFUERZA BRUTAですが、再び見にいきました。私としては珍しいことです。有名な人がでているわけでもなく、大きな場所でやっているわけでもありませんが、長年のロングランはすごいことだと思います。
一言で言えば、パワープレイ系のシルク・ドゥ・ソレイユとでもいいましょうか、高い身体能力と技術で超人的な技をいとも簡単に決めてくるシルク・ドゥ・ソレイユに比べて、一般人に近い俳優が体力と勢いだけを頼りにパフォーマンスする舞台だと思います。
パーフェクトに近いシルク・ドゥ・ソレイユにはほとんど興味を引かれませんが、FUERZA BRUTAは大好きです。きっと、あの必死さに惹かれるのだともいます。

NewYork 2015 No.8 Broadway Musical 「Something Rotten!」

2015年6月17日 14時開演 St. James Theatre
最近の人気ミュージカルのパロディを詰め込んだ抱腹絶倒のミュージカル・コメディというイメージで見にいきましたが、私の英語力ではほとんど理解できず、いつもながら
パロディ物を見るのは、難しいことを痛感しました。
しかし、曲の中に一節づつ有名ミュージカルのメロディを混ぜたり、同じ振付を一瞬だけ見せたりするのは、パロディと言えるのでしょうか?
著作権にうるさい昨今では、あれが限界なのかもしれません。
ストーリーは、ご都合主義の塊で、いっそ気持ちがよいくらいです。そんなことは気にせず、ただただ笑い飛ばすための芝居なのだと思います。
話は変わりますが、このSt. James Theatreは行きの飛行機の中で見た「バードマン」で、エオワード・ノートンとエマ・ストーンが屋上から見下ろしていた劇場です。ということは、彼らがいた劇場はMajestic Theatreだということになります。バード満の劇場は客席数800という設定ですから、ロケーションの良さから選ばれただけでしょうが。

2015年6月17日水曜日

NewYork 2015 No.7 Broadway Musical 「Aladdin」

2015年6月16日 19時開演 New Amsterdam Theatre
ディズニーの最新ミュージカル「アラジン」を見ました。残念ながら魔法のランプの精、ジニーは、2014年のトニー賞、最優秀ミュージカル助演男優賞を獲得したジェームス・モンロー・イングルハートではなく、スタンバイのトレバー・ディオン・ニコラスが演じていました。
このミュージカルの肝は、ジニーとその魔法のシーンで、アラジンに呼ばれて三つの願いをかなえるシーンでは、マジック、様々なスタイルのダンス、花火などを使いまくってこれでもかと言うほど盛り上げます。ただし、一番重要なのはジニー役の演技力で、ここで観客の心をわしづかみにして振り回さないと、後が持ちません。トレバー・ディオン・ニコラスはがんばってはいましたが、少し上滑り気味で残念でした。
マジックカーペットのシーンは、LEDの星空の中、本当にカーペットが浮かんでいるように見えるのですが、アラジンとプリンセスにあたっている照明がカーペット上のコロガシしかなくて、暗くて1曲持たない感じでした。
今までのミュージカルの様々な演出方法を駆使して盛り上げるという点では、「ライオンキング」と共通の考え方を感じますが、ただ、羅列しただけの「アラジン」に比べ、「ライオンキング」では全てを新しい切り口で見せていて,今更ながらその革新性に驚きます。

NewYork 2015 No.6 Broadway Musical 「Clinton The Musical」

2015年6月15日 20時開演 New World Stages 4
軒並みブロードウエイ・ミュージカルが休演の月曜日に、Today Tixで選んだのがこのオフ・ブロードウエイ作品でした。
2012年にロンドンとエジンバラで上演され、2014年のニューヨーク・ミュージカル・フェスティバルでも上演された後、オフ・ブロードウエイに移ってきたようです。
健全で知的な大統領と女好きで魅力的な大統領を二人の男優が演じるのがこの作品の肝で、ほとんどの場面で,二人のクリントンが舞台上にいます。しかし、本当の主役はヒラリー・クリントンで、大統領よりも大統領らしい大統領夫人、本当は自分が大統領になりたかったヒラリーを、2008年にミュージカル「キサナドゥ」でミュージカル主演女優賞にノルミネートされたケリー・バトラーがあざとく演じています。
「あざとさ」がこの作品のキーワードで、モニカ・ルインスキー事件もあざとく演じられます。
ケリー・バトラーは非常に歌がうまい女優だそうですが、熱唱すればするほどあざとく感じられてしまい、かえって損しているようです。
このミュージカルを見る2,3日前に、ヒラリーが正式に2016年の大統領選に出馬することを表明しましたが、その効果は全くなかったようで、今月の21日でクローズだそうです。

2015年6月15日月曜日

NewYork 2015 No.5 Broadway Musical 「Le Miserable」

2015年6月14日 15時開演 Imperial Theatre
この日は見るミュージカルを決めていなかったので、ニューヨークに来てから Today Tixで「Le Miserable」のチケットを取りました。
新しい演出になったことは知っていたので、どうなったのか知りたかったのもありました。とは言え、私が見たのは遙か昔に帝劇で、主演の滝田栄のくさい芝居と,バリケードの迫力以外ほとんど記憶がありません。全体としての印象は、アンサンブルが主役のような芝居で、日本でも見るに耐えるアンサンブルができるのだというのが最大の印象でした。
新演出になっても、昔のことをほとんど覚えていないので比較もできませんが、アンサンブル重視から、主役クラスの歌重視という変更が新演出のポイントだと感じに見えました。
途中休憩を挟むとは言え、3時間以上とにかく歌う、歌う,歌い上げる。オペラのような暗い照明の中で歌い続けて、ラストのコーダでは、必ずバックサスが明るくついてきてポーズの繰り返しで、疲れました。
今はやりのプロジェクションマッピングも取り入れていましたが、全体の照明が暗すぎて、プロジェクションもそれにあわせるため、何が写っているのかよくわからないという状態になりがちでした。ジャベール警視が身投げするところなど、橋の上からパンで橋桁を過ぎて水に入り,水面を下から見るまでをプロジェクションして面白いのですが、いかにせん、光量が抑え気味で迫力がでません。
プロジェクションマッピング前提なら、それに合わせた全体光量を決める必要があるようです。

NewYork 2015 No.4 Broadway Musical 「Finding Neverland」

2015年6月13日 20時開演 Lunt-Fontanne Theatre
「ピーター・パン」のJ. M. バリーの「ピーター・パン」を書き上げるまでを,背景とともに描いたミュージカルです。原作はジョニー・デップ主演の映画だそうですが、そちらは見ていません。
なかなか台本が書けないJ. M. バリーがピーターパンの基になる少年と公園で知り合い、その自由な発想に刺激を受けて「ピーター・パン」を書き上げ、劇場主や役者のクレームをはねのけて、上演までこぎ着ける。19世紀のイギリスの階級社会の重圧の中で、自由を求めた男の話でもあるし、J. M. バリーの半生記でもあります。
主役のJ. M. バリーを務めたのは、テレビ番組「GLEE」で先生役を務めたマシュー・モリソンで、そんなことを知らない私は、彼が最初に現れたときの客席のどよめきと拍手にびっくりしました。歌もうまいし、芝居も達者でただ単に客寄せのためにキャスティングされたのではないことを証明していました。もう一人、相手役の劇場主を演じたのがケルシー・グラマーで、彼は1993年からアメリカの人気テレビ番組「そりゃないぜ!?フレイジャー」で主役を務めた人物で、当時最高額のギャラをもらっていたことで知られていました。彼も初登場の時には、マシュー・モリソンに劣らぬ拍手をもらっていました。相手役がよいと芝居に広がりと深みが出ます。そこが、「Kinkt Boots」との差になって表れていました。
1幕の最後、J. M. バリーの妄想の中でケルシー・グラマーがフック船長となって現れ、大立ち回りから舞台が海賊船に大転換するところなど、最高でした。
演出は、昨年のトニー賞で最優秀ミュージカル演出賞を取ったダイアン・ポーラスで面白くないわけがありません。子供にもわかりやすい小ネタのばらまき方や、スピーディな転換など,見所満載です。
劇中のフライングシーンも,19世紀という時代背景を考えれば当然ですが、人力で,それがかえって新鮮でした。この制作チームは、これがブロードウエイ初作品と言うことで、かなり力が入っており、プロジェクションマッピングの技術の高さも驚くべきものがあります。
2幕のラストでは、風の力だけできらきら光るフェアリー・ダスト(ラメ)とウエンディのナイトガウンが舞い踊り、母親の死を象徴する見事なシーンが見られました。この技術は、「Air Sculptor(空気の彫刻)」という名称で,担当者がクレジットされていました。
今年のトニー賞のミュージカル作品賞を取った「Fun Home」もそうですが、「Rent」以降、「Next To Normal」など、現実を直視したミュージカルが高く評価される傾向があるようですが、私には納得いきません。
ファンタジーが現実を超えないでどうする。ミュージカルはファンタジーであることに価値があると思います。

NewYork 2015 No.3 Broadway Musical 「Kinky Boots」

2015年6月13日 14時開演 Al Hirschfeld Theatre
2013年トニー賞:ミュージカル作品賞、オリジナル楽曲賞を受賞
4月の末に、主役のドラッグ・クィーン,ローラ役のビリー・ポーターが戻ってきた「Kinky Boots」を見ました。
ドラッグクィーンとそのエンジェルスが出てくれば、ミュージカルの盛り上げシーンは問題なしという、うまい構成というか、ずるいというか別にして実にうまくできた脚本で,十分楽しめました。
ローラは、いわゆるテレビなどでよく目にする,周りに遠慮しないでずけずけものを言うステレオタイプのオカマではなく、普通に父親との関係に悩み、周りに気を遣う人間として描かれていて、役柄に深みをもたせているところはよく考えられています。
残念なことに、相手役のチャーリーは、恋人との葛藤や、亡くなった父親が自分が靴工場をつがないことを見越して、工場の再開発(コンドミニアムへのリノベーション)に同意していたことのショック、ドラッグクィーン用ブーツを開発することへの工場従業員の反発など、,様々な困難が襲いかかってくるにもかかわらず、金持ちのボンボンにしか見えない線の細さが問題で、ローラとの友情が今ひとつ盛り上がらない原因です。
シンディー・ローパーの楽曲は、オペレッタらしさのすくないポピューラーミュージックにちかいもので聞きやすいのですが、歌う人のエモーションが如実に表れる欠点もあり、エモーショナルでない人が歌うと、R&Bのテンプレート集のように聞こえることがあるのが、残念でした。
ラストでは、ミラノの見本市でモデルが間に合わず、チャーリー自身がスーツ姿に下半身がパンツひとつにブーツを履いてランウエイでよろめいているところに、なぜかローラとエンジェルスが現れて大盛り上がり、挙げ句の果てには、工場従業員全員がブーツを履いてハッピーエンドというお約束のオチとなりました。
それがお寒いシーンにならないところに、脚本のうまさや役者の実力があると思います。
ラストシーンの振付が、パラパラみたいで、日本人には笑えると思います。

NewYork 2015 No.2 Broadway Musical 「Gigi」

2015年6月12日 20時開演 Neil Simon Theatre
「マイ・フェア・レディ」と同じく、はすっぱな少女が貴婦人になって幸せをつかむというストーリー。主役のGigiを演じるのは、ディズニーの「ハイスクール・ミュージカル」で有名になったらしいバネッサ・ハジェンズなのですが、一応、歌えて,踊れて、芝居もできるようなのですが、いかにせん、底が浅くて終幕になっても貴婦人に見えないところが最大の問題です。相手役のガストンを演じるコーレイ・コットも同じようなレベルなので、話はなかなか盛り上がりません。
そんな中で一人で気を吐くのが、マミータ役のヴィクトリア・クラーク、「ライトインザピアッツァ」でトニー賞を取っただけではある歌と芝居で舞台を持って行きます。彼女がいなかったら、とても退屈な舞台になっていたと思います。
話は違いますが、今回からチケットマスターでチケットを予約すると、海外からのオーダーについては、チケットをプリントアウトするように求められます。というか、それしか選択できません。テレチャージでは、プリントアウトかボックスオフィス預けか選択できるのですが。やってみると、プリントアウトならぎりぎりに劇場に駆け込んでもおーけーなので、おすすめです。

2015年6月13日土曜日

NewYork 2015 No.1 Broadway Musical 「Fun Home」

2015年6月11日 20時開演 Circle in the Square Theatre
2015年トニー賞:ミュージカル作品賞・ミュージカル脚本賞・オリジナル楽曲賞・ミュージカル主演男優賞・ミュージカル演出賞の5部門受賞
ニューヨーク到着3日目の夜でしたがまだ時差ボケが治っておらず、いつにもまして集中力がない状態で見てしまい、まったく理解や共感ができないまま90分が終わってしまいました。せっかく2015年のトニー賞、ベストミュージカル作品なのにもったいないことをしました。
見終わってから慌てて粗筋などを探し回ったら、どうも同名のグラフィック・ノベルを元に制作されたらしく、その本の方の粗筋として、『著者と同名の、片田舎の葬儀屋の長女として育てられたアリソンを通して綴る自伝的グラフィック・ノベル。共に同性愛者で、また文学を愛する者として、共感を覚えながらもすれちがい続けた父と娘。とうとう和解を得ないまま父を喪ってしまったアリソンが、互いをつなぐ微かな糸を手繰る様子を、膨大な文学作品を引用しながら繊細な筆致で描く。』というのが載っていました。
本の方も様々な賞を取った有名な作品らしいです。そんな有名な作品なのに,下調べもしないでぼけっと見るのはいかがなものでしょうか?
見た印象だけで言うと、幼少期のアリソンを演じた子役がなかなかすごい。歌もうまいし、芝居もしっかりしているが、子供らしさを失っていないところに,好感が持てます。
全体としては、音楽が難しすぎて素直に聞けないところが気になりました。

2015年6月10日水曜日

ロロ「ハンサムな大悟」

2015年6月8日 19時30分開演 駒場東大前アゴラ劇場
作・演出:三浦直之
出演:篠崎大悟、板橋駿谷、亀島一徳、望月綾乃、森本華
ロロ名義としては,約10ヶ月ぶりの公演でした。あうるすぽっとプロデュースの「ロミオとジュリエットのこどもたち」からしても、約8ヶ月ぶりになります。
登場人物も5人と、私が見た中では最少人数です。というか、劇団員だけでやると、この5人でおしまいなのです。
主役の篠崎大悟以外の4人は、様々な役をとりかえひっかえこなしながら、大悟の一代記を語っていきます。また、台詞がほとんどモノローグであることも大きな特徴でしょう。会話は最小限で、物語はほとんどモノローグで語られていきます。
役柄の関係性も大悟との関係だけというシンプルさで、そのシンプルさが役者に大きな自由度を与えています。特にその影響が大きかったのが板橋駿谷で、彼のパワフルさが今まで以上に発揮されて、舞台上で輝いていました。また、森本華のかわいらしさも、十二分にでていました。
一番割を食ったのは、主役の篠崎大悟です。ラストの芝居をしめるモノローグで、力不足が現れて、フィニッシュ失敗の感じは免れませんでした。
装置の大転換、落書きのような線路が書いてある黒地がすりをめくり上げてミラーを見せ、大悟の姿をミラーにも写し込んで台詞を補強する仕掛けにもかかわらず、役者の力不足を補うには足らず、不完全燃焼のようなラストでした。

2015年6月8日月曜日

中野坂上デーモンの憂鬱「六月の家族」

2015年6月7日 18時開演 荻窪小劇場
作・演出:松森モヘー
出演:松森モヘー、向井稜太郎、橋田祐理、三森麻美、安達可奈、鈴木はるか、荻野肇、南帆子
はえぎわで演出助手をやっている松森モヘーの劇団と言うことで見にいきましたが、久しぶりに見たことを激しく後悔しました。
あんなに薄汚い芝居を見たのは初めてでした。全員、へたくそなだけでなく芝居が薄汚いのです。なにか悪い思想にでも犯されているのではないかと思えるほどでした。全体のトーンがその薄汚さで統一されているので,あれがあの劇団のカラーということなのでしょうが、私には耐えられませんでした。
ストーリーはそれなりに複雑で入り組んだものだったのですが、その理由がやっつけで全くリアリティがありません。
最後に役者が叫ぶスローガン、「自由と尊厳をはかりにかける、うんぬん」がテーマということなのでしょうが、それまでのぐちゃぐちゃな芝居と関係があるようには見えませんでした。彼らには、「説明するな、芝居しろ」だけ言いたいです。

城山羊の会「仲直りするために果物を」

2015年6月3日 19時30分開演 池袋東京芸術劇場シアターウエスト
作・演出:山内ケンジ
出演:吉田彩乃、遠藤雄弥、岡部たかし、岩谷健司、東加奈子、松井周、石橋けい
第59回の岸田戯曲賞受賞後の第1作目にあたる作品なので、結構楽しみにして見にいきました。
しかし、残念ながらあまり面白くありませんでした。やってることは受賞作の「トロワグロ」と同じで、ふとした言葉をきっかけに各々の欲望があらわになっていき、えげつない結幕を迎える。しかも今回はえげつなさの究極ともいえる殺人という形で終わる。
でも面白くないのは、きっかけとなる台詞が無理矢理に聞こえるからだと思います。うまくいくときは、その言葉から派生して事態が転がり出し、雪だるま式に膨らんで破滅があるという形がうまく作れているのですが、今回は殺人という結果に向けて無理矢理進んでいこうとするのがあからさまで、面白くありませんでした。
「効率の優先」の時もそうですが、岩谷健司と石橋景のセックスシーンがある芝居は面白くないという印象ができました。