2013年4月25日 20時開演 吉祥寺キチム
振付・演出 : 下司尚美
出演:大庭裕介、近藤彩香、佐々木冨貴子、白倉裕二、下司尚美
ダンスの公演は、その独特のストイックな雰囲気が苦手で積極的に見にはいかないのですが、この公演は急に入ってきた仕事の都合で、観劇のスケジュールを組み直さなければいけなくなった時に、チラシを見て一発で見に行くことを決めました。「あ~あ」という脱力感満載のタイトルのせいかもしれません。結果はとてもゆったりした気分のまま、楽しく1時間を過ごすことができました。これは、振り付け・演出の下司尚美の肝っ玉母さん的な人柄からくるところが大きいと思います。本人自ら、客入れを行い、トイレの心配をし、前説までして、そのまま、本番になだれ込むという大活躍でした。出演者も、ダンスのトレーニングをしていたのは近藤彩香ただ一人で、残りは、下司を含めて正式なダンスレッスンを受けたこともない役者ばかりでした。ダンサーとしてみると、決してうまくはないが、それぞれの頑張りと解釈で踊っていて、面白かったです。特に、背が小さく手足も短い佐々木富貴子が、踊れていないなりに、がんばって工夫している姿は、面白かったです。また、それを良しとしてうまくまとめた下司の力量はたいしたものです。会場も、劇場ではない地下のカフェで、客とダンサーの距離が近く、それが否応無く一体感を醸し出して、楽しめました。
前日に見た「レミング」が、この何十倍ものコストと人間を動員して出来上がっていたのと比べても、満足度としては、こちらの方が上でした。