2018年11月30日金曜日

シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.11らまのだ『青いプロペラ』

2018年11月29日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
作:南出謙吾
演出:森田あや 
出演:富川一人(はえぎわ)、田中里衣、林田航平、福永マリカ、今泉舞、斉藤麻衣子、井上幸太郎、猪股俊明
三鷹市芸術文化センター星のホールのネクストジェネレーションのかわいいコンビニ店員飯田さん 第7回公演 『 手の平 』と同じようなテーマ(地方都市の過疎化とコミュニティの変化)、おなじようなリアリズムの演技の芝居でびっくりしました。若手の劇団のでは、このような芝居とテーマが私が知らないだけで、はやっていたりするのでしょうか。
このような社会的な問題を訴えるメディアとして、芝居はもはや向いていないと思いますし、このテーマを介して人間に迫りたいと思っているなら、回りくどいことをしないでダイレクトに迫る方法がいくらでもあると思うのですが、どうなんでしょう。

2018年11月29日木曜日

「命売ります」

2018年11月28日 18時30分開演 池袋サンシャイン劇場
原作:三島由紀夫(「命売ります」ちくま文庫)
脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:東啓介、上村海成、馬渕英里何、莉奈、樹里咲穂、家納ジュンコ、市川しんぺー、平田敦子、川上友里、町田水城、ノゾエ征爾、不破万作、温水洋一
長塚圭史、三浦直之と並んで、私の今気になる演出家であるノゾエ征爾の脚本・演出と言うことで、見にいきました。
埼玉ゴールデンクラブでやったモリエールの「病は気から」の時にも感じたのですが、ノゾエ征爾の言葉というのは優しいようで結構癖があるようで、原作の言葉となじんでいない感じがしました。
今回も同じで、三島由紀夫の華麗な台詞に違和感を感じてしまいます。2つの世界が対立するでもなく、ただそこに並んでいる感じがします。
役者では、平田敦子のそこにいるだけで怒っているような肉体が印象的でした。

2018年11月27日火曜日

ロロいつ高シリーズ vol.7「本がまくらじゃ冬眠できない」

2018年11月26日 14時開演 早稲田小劇場どらま館
作・演出:三浦直之
出演:篠崎大悟(ロロ)、島田桃子(ロロ)、大石将弘(ままごと/ナイロン100℃)、端田新菜(ままごと/青年団)
いつ高シリーズも7本目ともなるといつ高ワールドのようなものが形作られて、その回には登場しない人物との人間関係が有形無形に影響して、それが前のことをよく覚えていない私のような頭の悪い客には、閉塞感というか、風通しの悪さとして感じられます。1本目の現実とファンタジーの微妙な間をいくようなさわやかさがなくなっていくのは残念です。

2018年11月19日月曜日

「セールスマンの死」

2018年11月18日 14時開演 神奈川芸術劇場ホール
作:アーサー・ミラー
翻訳:徐 賀世子
演出:長塚圭史
出演:風間杜夫、片平なぎさ、山内圭哉。菅原永二、伊達暁、加藤啓、ちすん、加治将樹、菊池明明、川添野愛、青谷優衣、大谷亮介、村田雄浩
アメリカ現代演劇の傑作とされる「セールスマンの死」ですが、もともと第二次世界大戦後の社会構造の変化に押しつぶされていく人間を描いたものだと思います。それを演出の長塚圭史は、主人公を傲慢なまでの自信過剰と、極端な自己連哀との間で不安定に揺れ動く弱い人間として描くことで、人間性の本質に迫る事にチャレンジしました。このチャレンジはある意味成功していて、その副作用として周りの人々、息子たちや妻のあり方をも明確に浮かび上がらせるという結果も得ました。
先日の「授業」もそうですが、古典を今上演することの意義がここにあると思います。

2018年11月15日木曜日

good Morning No.5「祝杯ハイウエイ」

2018年11月14日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:澤田育子
音楽:金子隆博
出演:藤田記子、澤田育子、中村 中、鳥越裕貴、小椋あずき、千代田信一、久保田南美、野口裕樹、石田周作、藤沢大悟、田村優依、チカナガチサト、清水宏、MINAKO(米米CLUB)
やりたいことをポジティブに完遂するとこんなに芝居が面白くなると言う見本のような芝居でした。あの狭い駅前劇場を車で暴走すると言うことを、オモチャとはいえ10台以上の車を舞台に乗せて実現した、それだけで十分面白い芝居でした。

good Morning No.5「看護婦の部屋~白の魔女~」

2018年11月14日 16時開演 下北沢駅前劇場
脚本:井上ひさし 脚色・構成・演出:澤田育子
音楽:金子隆博
出演:藤田記子、澤田育子、中村 中、鳥越裕貴、小椋あずき、千代田信一、久保田南美、野口裕樹、石田周作、藤沢大悟、田村優依、チカナガチサト、清水宏、MINAKO(米米CLUB)
井上ひさしがストリップ劇場フランス座にいたときに書いた脚本を、多分忠実に再現したと思われる芝居でした。ただし、生身のおっぱいが出てくるわけでもないので、陳腐なストーリーとへたくそな演技であまり面白いモノではありませんでした。この芝居で特筆すべきは、主役の婦長をやった清水宏です。あの人の芝居の熱量と汗の量はやはり尋常ではないものがあります。
自身の主戦場であるスタンダップコメディでは、ただひたすら燃えまくるだけで客が取り残され、ただ唖然とみているという状態になることがしばしばありますが、芝居のストーリーの中に組み込まれ、他者の演出で演技していると、あの人の怪物感がより良くわかります。それが芝居にうまく合うと芝居の面白さが倍増しますし、合わなくても清水宏のインパクトだけは印象に残ります。

2018年11月2日金曜日

SPAC「授業」

2018年11月1日 13時30分開演 静岡芸術劇場
作: ウジェーヌ・イヨネスコ
翻訳: 安堂信也、木村光一
演出: 西 悟志
共同演出: 菊川朝子
出演:貴島 豪、野口俊丞、布施安寿香、渡辺敬彦
池田有希子とチョウソンハの二人でやった「マクベス」で非常に面白い演出をした西悟志が演出するということを知り、急遽静岡まで見にいきました。
不条理劇の傑作とされるこの芝居は、個人授業を受けに来た女生徒を教授が怒り心頭に発してメタメタにするという話ですが、西はまず教授を性格別に3人の役者に振り分けて演じさせることで、ただひたすらに罵倒されるサンドバックのようだった女生徒にしっかりした人格を与え、主体的な人間にしました。また、女中の役を舞台監督にすることにより、教授の振る舞いを客観的に見る視点を導入しました。
これにより、「授業」は新しい芝居に生まれ変わったと言えるでしょう。