2014年4月21日月曜日

シベリア少女鉄道「あのっ、先輩…ちょっとお話が… …ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?」

2014年4月17日 14時開演 座・高円寺1
作・演出:土屋亮一
出演:篠塚茜、加藤雅人、竹岡常吉、川田智美、小関えりか、岸茉莉、雨宮生成
実に大胆というか、人を食った設定の芝居でした。ビフォートークと称して、演出家とよくシベリア少女鉄道に出演しているが、今回はスケジュールの都合で参加できなかった役者3人が、つまらない話をしてから芝居が始まります。ストーリーはよくある学園物で、「なんだこれは」と思っていると、ビフォートークに出演した役者が勝手に舞台に登場し始めます。最初は、遠慮がちでしたが、だんだん大胆に成り、学園物の出演者に絡んだりします。本来の出演者は笑いを一生懸命こらえながら、なんとか芝居を続けようと懸命の努力を続けます。乱入者3人は、「俺たちだって舞台に出たい」との思いがエスカレートして、ラストには「進撃の巨人」の大きな着ぐるみを着て学園物の登場人物に襲いかかります。ひとしきり、格闘シーンがつづいて、ラストにやたらと長いタイトル名を叫んで暗転、お終い。タイトル自体がオチでしたというわけです。
ある構造に全く関係のない別の構造が突然挿入されてくる。その混乱と、戸惑いをドタバタ風に描き、最後はわかりやすいパロディでしめる。その基本構造は面白そうなのですが、実際の舞台はそんなに面白くはなりませんでした。ひと味足りない物は、いくら足してもおいしくならないと言うことでしょうか。

2014年4月17日木曜日

江古田のガールズ「仮面音楽祭」

2014年4月16日 19時開演 赤坂レッドシアター
作・演出:山崎洋平
出演:瓜生和成、内野聡夢、恩田隆一、小林光、幸野紘子、荒川佳、藻田留理子、増岡裕子、うらじぬの、大村わたる、長瀬みなみ、斉藤祐一
開演前の前説を作・演出の山崎洋平自ら行っていたが、その段階から薄ら寒さ全開でそのまま、寒い芝居が2時間続いてしまいました。
「観客にただただ楽しんでもらいたいだけだ。」という芝居だそうですが、その思いに嘘はないものだとしても、お笑いにはセンスや才能が何よりも必要であり、それがないとどうしようもないことが証明されたということでしょう。この「江古田のガールズ」は、何度もチラシは見かけたのですがタイミングが合わずなかなか見られなかった劇団ですが、見てがっかりの劇団でした。見るまでにかかった時間の分だけがっかり度も大きかったのかもしれません。
深夜のカラオケボックスでの合コン、「最初からうまくいかない男女の思いをカラオケにのせて替え歌で歌いまくる。」というアイディアは悪くないと思うのですが、誰でも思いつきそうなプランだけに、作・演出のセンスが重要だと思います。それを、どこかで見たことがあるような安直な演出に終始し、加えて役者の歌が下手すぎときては救われません。演出も歌がもたないという自覚はあるらしく、振付やコーラス、合いの手などを入れてくるですが、ダンスも下手、合いの手を入れるために出入りするのもうるさいだけという有様で、救われません。

2014年4月13日日曜日

東京乾電池「そして誰もいなくなった」

2014年4月10日 19時開演 下北沢本多劇場
作:別役実
演出:柄本明
出演:柄本明、柄本時生、伊東潤、山地建仁、麻生絵里子、血野滉修、重村真智子
東京乾電池の芝居を見るのはこれで3本目になるのですが、またしても面白くない芝居を見る羽目になりました。戯曲は、アガサ・クリスティの同名小説「そして誰もいなくなった」を元に、なぜか集められた10人が順番に不条理な理由で殺されていくと言うストーリーになっています。本多劇場のこけら落としに、別役実が書き下ろしたものだそうです。
「人が殺されたことにより周りにかける迷惑」を理由に殺されていく、まさに不条理なナンセンスな話なのですが、それを声高に喋りまくるだけで、不条理に従わざるを得ない人間の悲しみや空しさに注意を払わないがさつな演出にがっかりしました。
前回見た「真夏の夜の夢」の時にも感じたのですが、細かいニュアンスを無視していくような演出方法に魅力はありません。
若い頃、今はなき渋谷のジャンジャンで見た「ストーリーは全く頭に残らないが、ただただ面白かったという印象だけがのこる。」東京乾電池はなんだったのでしょうか?
不条理の罠にはまって、頭でっかちになり、体力もなくなるとあのような結果になるのでしょうか。とても残念です。

2014年4月8日火曜日

ちからわざ「はるヲうるひと」

2014年4月3日 19時開演 下北沢ザ・スズナリ
作:佐藤二朗
演出:堤泰之
出演:大高洋夫、兎本有紀、今藤洋子、笹野鈴々音、野口かおる、大田善也、韓英恵、佐藤二朗
芝居を見終わった後この芝居について考えていると、その前に見た芝居と比較していることに気がつきました。その前の芝居とは、遊園地再生事業団の「ヒネミの商人」のことですが、「ヒネミの商人」がほとんど日常会話で成り立っているのを中村ゆうじの意味ありげな芝居がぶちこわしているという構造だったのに対して、この芝居はほとんど全てを台詞で表現してました。
大高洋夫演じる鬼畜な置屋の経営者のむなしさも、今藤洋子演じる娼婦のいらいらもすべて台詞として書かれています。唯一、そんな台詞のない佐藤二朗演じる大高の腹違いの弟で娼婦たちの世話係も、ラストでは自殺した父親との約束で喋ってはいけない秘密を抱えて生きてきたことを語ってしまいます。
それ故、役者たちの演技は台詞にリアリティをもたせることに主眼が置かれ、ほとんどの台詞が客席に向かっており、会話をしているという感じがありません。実にわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、ソロパートばかりでアンサンブルのない音楽を聴いているようで、違和感がありました。

2014年4月3日木曜日

鳥公園「緑子の部屋」

2014年3月26日 19時開演 3331 Arts Chiyoda B104
作・演出:西尾佳織
出演:武井翔子、浅井浩介、鳥島明
私には今ひとつ理解できない若い女性演出家の芝居に再チャレンジしてみました。ストーリーは、「なぜか死んでしまった緑子のお葬式に、元彼と中学高校の同級生が呼ばれ、話していく内に、緑子の人生が浮かび上がっていく。」というようなことが、チラシに書いてあったような気がしたのですが、実際の芝居では緑子の人生よりも、元彼のどうでもいい今時の若者にありがちな実態が明らかになってきます。この元彼は結構どうしようもない奴で、緑子と同棲中にもバイト先で女の子に手を出したり、緑子に暴力をふるって追い出してりしていたようです。
芝居は淡々と進んでいき、ラストは「絵の中の見守っている女性は私です。」という唐突な台詞で終わりました。
結局、私には何もわかりませんでした。

遊園地再生事業団「ヒネミの商人」

2014年3月25日 19時開演 座・高円寺1
作・演出:宮沢章夫
出演:中村ゆうじ、宮川賢、片岡礼子、ノゾエ征爾、笠木泉、上村聡、佐々木幸子、牛尾千聖、山村麻由美
宮沢章夫の芝居を見るのは「夏の妹」に続いて2本目だったのですが、どうも私には向いていないようで、面白くありませんでした。シェイクスピアの「ベニスの商人」を下敷きにしているようで、三つの箱を選ぶとかそれらしいエピソードが出てきます。どうも、主役の中村ゆうじがシャーロックのようで、ひたすら腹の中では別のことを考えているような芝居をしていました。本当に中村ゆうじは、ある目的を持って芝居をしているように見せる天才で、彼にかかるとなんでも演出意図に沿った芝居をしているようにあからさまにみえるので、それが気になってしょうがありません。