2013年9月24日火曜日

Good Morning No.5「ジャンキ−・ジャンク・ヌードット」

2013年9月23日 18時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:澤田育子
出演:藤田記子、MINAKO、佐藤貴史、小椋あずき、野口かおる、佐久間淳也、増野彩夏、大久保見名子、久保田南美、石田周作、脇知弘、澤田育子
実は同じ日のマチネで、「言いたいことを言う。やりたいことをやる。」という、同じような趣旨のメガロザを見ていたのですが、こちらはさすが20年にもなるであろうキャリアのたまもの、同じような趣旨でも、きっちり見られる形にしあげてきたので、1時間半、ほぼ笑いっぱなしでした。もともと、野口かおるめあてで見にいったので、主催者の二人については全く知りませんでした。あとで調べてみたら、拙者ムニエルとカムカムミニキーナの役者で、キャリアも充分、伊達に40歳になっていませんというところでしょうか。ナカミチ円陣の時は、うるさい印象だった小椋あずきも、あのときよりはるかに高いテンションなのに、うるさくなくて面白いし、野口かおるは、女体盛りになるは、芸者髷のカツラに白塗り、衣装はセーラー服で飛ばしまくるはで、大暴れでした。主宰の二人も、負けじと上半身の後ろ姿とはいえ、ヌードになるは、宙づりになるはの、大活躍でした。

メガロザ「アンド ヒア アイム スティル アライブ」

2013年9月23日 15時30分開演 下北沢 OFF- OFF シアター
作・演出:目黒フタエ
出演:田村麻未、岩井由希子、渋谷優史、小田直輝、古澤清貴、加瀬恵、倉垣まどか、大野夏生、太平、目黒フタエ
チラシの裏の推薦文をノゾエ征爾が書いていて、面白そうなので見にいきました。そういえば、鳥山フキの時もノゾエ征爾の推薦文が推薦文がきっかけで見にいって、私には合わないと後悔したことを、観劇後思い出しました。なにげない主催者との関係をさらりと書いて面白そうだと思わせてしまうのはノゾエ征爾の文才であり、その芝居が面白くないのは、ノゾエのせいではありません。
「技術も経験もセンスも関係なく、言いたいことを言おう。やりたいことをやろう。」という趣旨のもと、並べられた寸劇とその間をつなぐ歌や踊りという構成ですが、やはり、言いたいことを言うのには、技術も経験も、そして何よりもセンスが必要なんです。主催者は「キチガイ」を自称していますが、キチガイのふりをしているだけなので、「キチガイの論破できない鉄壁の論理性」はかけらもなく、ただただ、見苦しいだけです。年がもっと近ければ、あのドンキホーテ的な精神に共感できたのかもしれませんが、親子ほど離れていては無理な話です。

遊園地再生事業団「夏の終わりの妹」

2013年9月18日 19時開演 池袋あうるすぽっと
作・演出:宮沢章夫
出演:小浜正寛、松村翔子、やついいちろう、上村聡、牛尾千聖
前々から名前だけは知っていた宮沢章夫の遊園地再生事業団の公演と言うことで、行ってきました。
大島渚の映画「夏の妹」を見て、なぜあんな映画を撮ったのかインタビューしたいと思ったが、住んでいる町にはなぜかインタビュー資格制度があり、それに合格しないと人にものを聞いてはいけない決まりがある。
「3・11以降、みんな聞きたいことがたくさんあるのに、誰もそれに答えてくれない。」という状況をモチーフに、5人の役者がほとんどモノローグで話す舞台でした。
舞台は、縦に五つに分割され、役者は自分のステージから一時的に退場することはあっても、他のステージに移動することはない。ほとんどモノローグで、時々、対話と言うよりは同じ台詞を繰り返すだけ。少々、退屈な舞台でした。
登場人物は、自分自身を演じるという設定なので、4人は、役者らしく自分を客観視して演じていて、すっきりとした雑味のない芝居でしたが、やついいちろうだけはエレキコミックというお笑い芸人なので、自分自身の客観視が甘いというか自分を信じているというのか、なんのてらいもなく喋っていて、その雑音が人物像をより太く、確かな存在としているように見えて、興味深いものがありました。

砂地「Hedda」

2013年9月18日 14時開演 新宿 Space 雑遊
原作 : H・イプセン
構成・台本・演出 : 船岩祐太
出演 :稲葉能敬、小山あずさ、岸田研二、田中壮太郎、小瀧万梨子、如月萌、杉森裕樹
シェイクスピアについで世界中で上演されていると言われるイプセンの戯曲を元に、演出の船岩裕太が構成、台本、演出した舞台でした。元の戯曲は読んでいないので、どのように構成されたのかは全くわかりません。全体の印象としては、イプセンの代表作「人形の家」と同様に、近代の女性の自我の目覚めがテーマのようです。イプセンに全く興味のない私が見にいったのは、前回シアタートラムで見た「disk」が、他の小劇団とは全く肌触りの違う、端正な芝居が気になっていたからでした。今回もその端正さは基本的に変わっていませんでしたが、それよりも、今回の演出の最大のポイントは、「役者の体格」でした。
主役のヘッダを演じる女優は、背も高く、太っていると言うよりもがっしりした体型で厚みもある立派な体格の持ち主でした。それが、ニーハイのハイヒールブーツを履いて、ミニ丈の黒のピーコートを着ているのですから、SMの女王様かと勘違いしてしまいそうです。周りを取り巻く新婚の夫や、昔の恋人は学者で、近代を表していると思われますが、みんな、背が低く、がりがりに痩せていて見るからに頼りない存在です。唯一、ヘッダに対抗できそうな人物は、旧世代を表している判事ですが、体格こそなんとか釣り合っているものの、Tシャツにトレーニングパンツというラフな格好で、ぼんやりした印象が残ります。
話が進んで行くにつれ、体格の差の意味が明確になっていき、なんとわかりやすい演出だろうと思わず、笑ってしまいました。

2013年9月23日月曜日

財団、江本純子「常に最高の状態」

2013年9月17日 20時開演 渋谷ギャラリー  LE DECO 5F
作・演出:江本純子
出演:千葉雅子、松本まりか、佐久間麻由、荻野友里、柿丸美智恵
当日パンフレットに「今回の公園の評判が良くても悪くても、何年か後に再演したい。」書いてありましたが、その言葉の通り、実に良くできた構成の芝居でした。ハッチャケられるベテラン女優と二人と若くて魅力のある若手女優三人がいれば、若手のキャラクター付けさえ間違えなければ、面白く出来上がること間違いなしという芝居でした。
おにぎりの「トークトワミー」の時にも思ったことですが、脚本家としての江本純子は、結構構成力もあり、少し意地悪な人間観察力に裏打ちされた人物像型も面白いのですが、少々、エンディングが弱いのが気になっていました。演出力は、更に雑なところが目につきます。松本まりかの役などは、もう少し整理してあげればさらに面白くなるはずなのに、役者の好きにさせすぎでとっちらかった印象になっていて勿体無いです。佐久間麻由は、普通に可愛くて、個人的には一番好みでした。その分、荻野友里が割を食ったというところでしょうか。
ベテランの千葉雅子と 柿丸美智恵は、さすがの貫禄でこの二人の安定感で若手が多少滑っても全く気になりませんでした。
「ヤバレー」で、私の中ではかなり評価を下げた江本順子でしたが、この芝居を見て毛皮族の次回作も見に行こうかという気になりました。

2013年9月17日火曜日

悪い芝居「春よ行くな」

2013年9月11日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:山崎彬
出演:呉城久美、池川貴清、大河原瑞穂、大塚宜幸、山崎彬、植田順平、宮下絵馬、北岸淳生、森井めぐみ
父親の蒸発や、恋人がいなくなると言う突然の人間関係の断絶を受け入れずに、前のイメージをキープしようとする物語。やがて、父親が帰ってきた男は、イメージと実際の父親との差に耐えきれず父親を殺してしまい、恋人のイメージを追い続けた女は、昔の恋人を演じてくれる新しい男を見つける。しかし、周囲からその間違いを指摘されると男を殺してしまう。
しかし、私がもっとも気になったのはストーリーではなく、演出としていわゆるチャライ若者のチャライ会話を大幅に誇張して話させ、それにあわせて大げさな身振りをあたかもダンスのように役者にさせていたことだ。それはきっと、昔からある人間関係に新しいアプローチをしてみたいという演出家の思いから出た者だと思うが、それなら、最後までそれを貫いてほしかった。時間が経てば経つほど、単なるシリアスな台詞のやりとりになっていって、見ていてつらいものがあった。
若い劇団を複数回見ていくと、最初は着想のおもしろさや目新しさで興味が持てるのだが、回を重ねるごとに、欠点や演技力の不足が目についてくる。それでも、見続ける魅力を持つには、一貫した方針をもつしかないと思う。それが見えてこない劇団や、揺らいでいる劇団は、やがて見にいかなくなる。

2013年9月11日水曜日

玉田企画「臆病な町」

2013年9がつ9月3日 19時30分開演 三鷹市民藝術センター 星のホール
作・演出:玉田真也
出演:木下崇祥、大山雄史、玉田真也、飯田一期、墨井鯨子、島田桃衣、海津忠、永井秀樹
去年「はえぎわ」や、「マームとジプシー」など面白いラインナップで楽しませてくれた MITAKA NEXT GENERATION SELECTION の今年のシリーズのトップバッターということで見にいきました。
いわゆる「青年団」系のグループで、青年団所属の役者も何人か出ていました。
ストーリーは、中学の卓球部の夏合宿の話なんですが、その中学生を演じる役者の芝居が恥ずかしくてほとんど直視できず、ほとんど下を向いていました。
なかなか断定的な言い方ができず、つい小さな声で相手をうかがうような言い方をしてしまい、改めて言い直す優柔不断な大人達(卓球部顧問の教師や、同棲中の男女など)と、何も考えないでストレートな物言いをする子供(中学生)の対比が芝居の基本構造なのですが、その前に中学生役の演技のひどさにしらけるばかりで、構造のことなど考える気にもなりません。
役者が自分とかけ離れた役を演じるときには、なみはずれた演技力か、モダンスイマーズの「楽園」のときのような演出上の工夫が必要だと思います。