2014年12月18日木曜日

チェルフィッチュ「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」

2014年12月18日 19時30分開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
作・演出:岡田利規
出演 : 矢沢誠、足立智充、上村梓、鷲尾英彰、淵野修平、太田信吾、川崎麻里子
チェルフィッチュの芝居を見るのは、2012年4月の「現在地」から約1年半ぶりでした。あいかわらずモノローグ主体の芝居ですが、前回に比べると、台詞の相手が舞台上にいて明確に見えること、BGMのバッハの音楽に合わせた体操ともダンスともつかない動きがあることなどが相まって、わかりやすいものでした。
岡田利規の芝居は、現在をすぱっと切って,その断面を見せるというようなところが持ち味だと思うのですが、その切り口がなんなのかわかれば面白いし、よく見えないと退屈するしかないような気がします。

2014年12月17日水曜日

アナログスイッチ「ツチノコ in escaping'14」

2014年12月17日 20時開演 下北沢OFFOFFシアター
作・演出:佐藤慎哉
出演 : 渡辺伸一朗、廣野喬介、藤木陽一、山本沙羅、秋本雄基、雨宮沙月、板橋優里、浦嶋健太、古崎彩夏、木幡雄太、坂爪葉子
チラシによると2012年に旗揚げした東洋大学出身の劇団だそうです。出身ということは、もう学生ではないということだと思うのですが、内容は学生演劇そのものでした。(悪い意味で)
自分たちが面白いと思うことを,客観的に見ることもなくそのまま舞台にかけているだけです。観客は劇団の身内でもない限り、置いてけぼりにされて行くばかりです。「大学の部室の中で、賞金のかかったツチノコをさがしまわる。」という単純明快なシチュエーションコメディなので、うまい役者とツボを押さえた演出があれば、いくらでも面白くなるのに、ダラダラとテンポも間も悪いまま進んでいくので、苦笑するしかありません。
2014年に福岡県で行われた国際コメディ演劇フェスティバルで、2014ベストコメディアワードを受賞したそうですが、この公演を見た限り、フェスティバルのグレードが心配になりました。

2014年12月10日水曜日

ロ字ック「媚微る」

2014年12月10日 19時30分開演 下北沢小劇場 B1
作・演出:山田佳奈
出演:片桐はづき、川本ナオト、榊菜津美、笹木皓太、小野寺ずる、日高ボブ美、猪俣三四郎、松本亮、泉佑里奈、佐藤英美、サトエ、矢野昌幸、山田佳奈
スケジュールがなかなか合わず見に行けなかった劇団のひとつ、ロ字ックを見にいきました。チラシのイメージからは、若い女性の感性を過激に全面に押し出した芝居かと思い、内心びくびくしながら行ったのですが、見てみると結構普通の芝居で拍子抜けしました。
内容は自分中心的な人々の中で、内気で自分に自信が持てない女性がおどおどと暮らしていると、そこに破壊衝動のある悪賢い女性が入ってきて内気な女性を操り、とりあえず収まっていた人間関係をぶちこわす。そんな話です。
悪賢い女性が内気な女性を操るところが、何となく演出家と役者の関係に見えて勝手に笑っていました。
チラシの印象と実際の芝居をあわせて考えると、「つぱっているが、案外正統派」という感じでしょうか?
このところ、私がよくわからなくて悩んでいる鳥公園や、ワウフラフラミンゴの方が、印象が柔らかいだけ,たちが悪いのかもしれません。

2014年12月5日金曜日

城山羊の会「トロワグロ」

2014年12月5日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:山内ケンジ
出演:石橋けい、古屋隆太、平岩紙、岡部たかし、岩谷健司、師岡広明、橋本淳
「効率の優先」があまり面白くなかったので、今回はどうかなと半信半疑で見に行きましたが、期待以上に面白かったです。普通のホームパーティーのはずが、些細な一言が思わぬ展開を呼び、各々の欲望をむき出しになっていく。洒落た大人の会話劇というには少々えげつない、セクハラ、不倫、夫婦不和、ホモセクシャルまで何でもありで、笑わせてもらいました。最後に死んでしまう太っていた方の斎藤さんは、なぜ、あんなにしてまでパーティーにいたかったのか、それが謎です。
当日パンフレットのプロデューサーの方の文章で、城山羊の会の名前の由来が少しわかりました。プロデューサーの城島和加乃と主宰の山内ケンジから一文字ずつ取って、「城山」、すると残りの「羊」は公演のたびに集められてくる役者たちのことでしょうか?
チャンスがあったら知りたいものです。
来年からは、年二回公演しくれると言うことなので、楽しみです。

2014年11月23日日曜日

4年ぶりのニューヨーク 15 「50 Shades! The Musical」

2014年10月23日
ブロードウエイばかりでなく、オフブロードウエイも見なくてはと思い、選んだミュージカルでしたが、完全な選択ミスでした。
まず第一に、原作の小説「Fifty Shades Of Grey」について全く知らないのに、そのパロディを見せられてもわけがわかるわけがありません。後で調べたところでは、女性向けのエロティックな恋愛小説で、欧米では大ヒットし、映画にもなったようです。そのパロディと言うことで、いわゆる露骨な艶笑コメディミュージカルのようです。観客も中年のカップルや、女性が多く、いわゆるブロードウエイとは少し違った感じでした。
詳しくはわかりませんでしたが、露骨そうな下ネタに、なぜ、あんなに大声で反応するのでしょうか?日頃の抑圧が強すぎて、その反動ではないかと勘ぐってしまいます。

2014年11月17日月曜日

森川弘和×杉山至 『動物紳士』

2014年11月17日 19時30分開演 池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER
振付・出演:森川弘和
装置:杉山至
ダンス評論家の乗越たかお氏が、Twittwerであまりにプッシュするし、装置が知り合いの杉山至氏なのもあって、禁断のダンス公演に、しかもソロダンスに行ってしまいました。結果は、案の定,撃沈。
ユニークな振り、筋肉の動きが美しいとは思うものの、それが面白いとは思えず、修行のような時間を過ごしました。
ひとえに、私が悪いので誰を責めるつもりもありませんが、やはり私にはダンスは無理のようです。

2014年11月14日金曜日

ミクニヤナイハラプロジェクト「桜の園」

2014年11月14日 19時30分開演 西巣鴨創造舎
作・演出:矢内原美邦
出演:笠木泉、鈴木将一朗、光瀬指絵、山本圭佑、川田希、川上友里、菊沢将憲、佐々木至
矢内原美邦については以前、「前向き、ダイモン」という作品を見ただけで、ニブロールというダンス集団を主宰している。本人もダンサーである、どこかの大学の教授だか、助教授らしい。それぐらいしか知識がありませんでした。KAATで2回ほど公演がありましたが、スケジュールがあわずに見ていませんでした。「前向き、ダイモン」のことも忘れていて、見に行きました。
オープニングは、体育館前の野外で3カ所に分かれて同時に始まります。桜の木を守ろうとする人とそれを取材しているらしいジャーナリスト、土地を売りたい地主、開発側の社員と弁護士、それぞれに自分たちの主張を叫びます。一段落して、観客は屋内に誘導されます。
屋内は半分ほどがステージで、残りがひな壇の観客席です。ステージには、一面落ち葉が引き詰めてあり、入場時にマスクが配られたわけがわかりました。役者が動き回るので
観劇中、ずっと埃っぽかったです。
チェーホフの「桜の園」を下敷きにしているのですが、土地を売らなければならない地主と,桜を守りたい人が別々であるという設定が現代的で面白かったです。
ミクニヤナイハラ演劇の最大のポイントは、役者が常にダンスというか体操というか動き続けながら台詞をいうところで、役者の運動量は並大抵なものではありません。これは、矢内原自身が当日パンフに書いていたことによると、「台詞が動きを誘発するのではなく、動きが台詞が誘発するのでもない、動きと台詞が同時に発せられたとき、そこに私の演劇がある。」ということのようです。
おっしゃっていることはわかるような気もするのですが、実際目にするものは、息も絶え絶えに台詞を喋るまくる役者の苦行というようなものです。ミクニヤナイハラ演劇が成立していたかどうかはよくわかりません。


2014年11月12日水曜日

競泳水着「別れても好きな人」

2014年11月12日 14時開演 駒場アゴラ劇場
脚本・演出:上野友之
出演:相楽樹、村上誠基、亀田梨沙、篠原彩、須田彩花、武子太郎、福永朱梨、松木大輔、松下仁、谷田部美咲、すがやかずみ
このブログを始めた最大の動機は年ともに物忘れが激しくなって、前に見た劇団でも良くも悪くも印象が薄いと忘れてしまい、Twitterでの評判を信じて見に行って、以前見たことがある劇団だったと後悔することを避けるためでした。
それでも、見る本数が増えるにつれ、チェックをし忘れて見てしまうことが起きました。この劇団もそうでした。以前のブログで、「二度とみることはないでしょう。」とまで書いたのに、また見てしまいました。そして、やはり後悔しています。
年のせいもあると思いますが、もはや、恋愛がそんなに重要なこととは思えません。なのにこの作者は、その恋愛感情にのみこだわっているのです。しかも、初期作品の再演ということで、若書きの恥ずかしさまでプラスされて、とても退屈な時間を過ごすことになりました。

2014年11月11日火曜日

入江雅人「狼たち」

2014年11月11日 19時開演 中野MOMO
作・演出:入江雅人
出演:清水宏、入江雅人
気になる役者の一人である清水宏が、一人芝居を続けている入江雅人とタッグを組んで、二人芝居に挑戦するというので、見に行きました。
結果は、芝居中の清水宏の言葉、「あなたは異常に細かくだめ出しする癖に、本番になるとどうしてそんなに自由なの。私は、もう対応できないよ。」に象徴されるように、二人ならではの相乗効果は見られませんでした。これは、初日に行ってしまったかもしれません。楽日なら、別の印象になったのかもしれません。
何もない舞台で最小限の衣装だけで芝居をすると,どうしても説明台詞が多くなってしまいます。一人の時は、その人の語り口ということであまり気になりませんが、二人でそれをやると、結構うざいです。
あと、最後まで気になったのは、入江雅人の芝居が見た目は全然男前でもないのに、すごく二枚目なことです。これで、入江雅人の一人芝居に対する興味がなくなりました。

2014年11月10日月曜日

ベッド&メイキングス「サナギネ」

2014年11月10日 12時開演 成体サイド 17時開演 幼生サイド 青山円形劇場
原作:小池竹見
上演台本・演出:福原充則
成体サイド出演:清水葉月、富岡晃一郎、玉置玲央、富森ジャスティン、三土幸敏、町田マリー、野口かおる
幼生サイド出演:岸井ゆきの、野口かおる、町田マリー、中丸シオン、玉置玲央、井筒大介、中村たかし、佐伯新、片岡礼子
青山円形劇場をカーテンで真っ二つに区切り、その両サイドで
一人の女性の幼い頃の話と、成人してからの話が同時進行で演じられていく芝居です。観客は、どちらか片方の芝居しか見られず、反対のサイドは時々台詞が漏れ聞こえてくる程度です。
ものすごく計算された脚本で、円形劇場以外で上演するのは難しいでしょう。
ベッド&メイキングスは前回の「南の島に雪が降る」があまり面白くなかったので、あまり期待もせず、野口かおる目当てで見に行きました。最初は、野口かおるの出演が多いであろうと予想した成体サイドのみのつもりでしたが、それでは作者に失礼だろうと思い直し、両方とも見ることにしました。それでも、2回目の幼生サイドを見る前は、半分以上ネタバレの状態で見て退屈しないか心配でしたが、それは杞憂に終わりました。どちらかといえば、両方見ることを前提に作ってあるような気がします。
お目当ての野口かおるも面白く、堪能しました。やはりこの人は、主役をやるよりも,脇役で自由にやった方が光ると思います。
ラストは、予想通りカーテンが開いて両サイドが見える状態になるのですが、開いたからといって両方の芝居が混ざるわけではなく、それがカーテンオープンのカタルシスを損ねているようで、少し残念でした。
あと、富岡晃一郎の「南の島に雪が降る」での大衆演劇チックなしゃべり方を引きずっているような台詞回しと、玉置玲央のドライで現代的な台詞の喋り方が,対照的で面白かったです。

2014年11月9日日曜日

CHAiroiPLIN「マッチ売りの少女」

2014年11月9日 14時開演 日暮里d-倉庫
作:別役実
演出・構成・振付:スズキ拓朗
出演:清水ゆり、池田仁徳、加藤このみ、ジョディ、長嶺安奈、増田ゆーこ、まひる、鳥越勇作、NIWA、荒木亜矢子、スズキ拓朗
爽やかな感動を与えてくれたTamago PLI
Nの公演がなかなかないので、同じ演出家の主宰するCHAiroiPLINの公演を見に行きました。ニューヨークで体調を崩して、必ずしも調子がよいわけではなかったのですが、少し無理して見に行きました。
この鈴木拓朗という演出家の作品を、TamagoPLINの「最愛レシピ,シェイクスピア」、青蛾館の「星の王子さま」、今回のCHAiroiPLIN「マッチ売りの少女」と3本見たことになるのですが、この人の特徴は、「性善説」です。どの作品も「人間の本質は善なるものである」という感覚に満ちあふれているように感じられます。その感覚が,素直な感動を呼ぶのだと思います。この作品では、9人ものマッチ売りの少女が出てきて、口々に台詞を喋ります。だいたい、踊りながら台詞を言うということ自体、不条理なわけですから、不条理に不条理を重ねて訳がわかりません。
当日パンフレットに、「初めてこの戯曲を読んだとき、演劇の台詞というより、ダンスの台詞だと思った。」とスズキ拓朗が書いていましたが、ダンスにとって、言葉は邪魔な存在だと思っていた私には、さらに訳がわかりません。訳はわかりませんでしたが、見終わって不自然な感じは受けなかったので、作品として成立はしているのだと思います。
私の知らないうちに、ダンスが言葉と仲良くなったのか、それとも、台詞付きダンスという新しいジャンルが生まれたのでしょうか?

2014年10月31日金曜日

「Matilda」

2014年10月31日 Sam S. Shubert Theatre
子役が主役のミュージカル、しかも一人だけでなく子役が集団で出てくるミュージカルで鑑賞に耐える作品を作るノウハウを駆使して作られたミュージカルでした。
どうしても薄っぺらになる歌と踊りは、大人の役者が子供の扮装して参加して厚みを出し、区別のつきにくい子役同士は、人種、性別のバラエティを豊富にすることで、キャラクターを明確にしています。主役のマチルダは子役の中でも一番小さく、念力が使えるという設定なので、顔つきも神秘的な要素を感じさせるインド系の顔で、他の子役とは一線をかくしていました。
それだけの配慮をしても、見え方が単調になるのは、避けられませんでした。どうしても、悪役の学園長や、軽薄なマチルダの両親の方が印象に残ってしまいます。

2014年10月30日木曜日

「Beautiful The Carole King Musical

2014年10月30日 Stephen Sondheim Theatre
Motown The Musicalほどではないにしろ、ポピュラー音楽を題材にした作品は、どうしても歌物真似大会になってしまうのは仕方がないことなのでしょうか?
オリジナルを見たことがある人々が見に来るのですから、歌真似物真似にするのが妥当なところなのかもしれません。
ストーリとしては、キャロルキングの作曲家としてのデビューから、ソロシンガーになり、最初のカーネギーホールコンサートまでを扱っていますが、次々にヒット曲を書き、その間に結婚して離婚する事が、あっさりと描かれています。
ストーリーが単調なだけに、様々歌われるキャロルの曲が気になります。別に物真似が見たいわけではないのですが、似ていないのは論外だとしても、曲がストーリーとシンクロしているように見えないことが問題だと思います。

2014年10月28日火曜日

「Pippin」

10月28日の夜にMusic Box Theatreで、2013年度のトニー賞リバイバルミュージカルアワードを受賞した「Pippin」を見ました。トニー賞を受賞しただけのことはある、見事な出来栄えでした。緞帳が開いた瞬間、サーカスの世界観がしっかり構築されていることが感じ取れ、その上でPippinの成長譚が語られていきます。勇者になろうとしたり、王様になろうとしたり、その過程が、サーカスらしいアクロバットやトリックを使って、わかりやすく展開します。最後に普通の愛にめざめ、衣装もメイクも伴奏もなしで、愛する彼女とアカペラで歌い、静かに去っていきます。しかし、彼らの子供は、一人残り、サーカスの内部や道具を愛おしそうに撫でて、Pippin達とは別の方向に去っていきます。ここは、私の想像では、再演にあたって、新たにつけくわられた演出のように思えました。虚構が簡単に現実を乗り越えてしまう現代では、単に虚構を拒否するだけでは話は済まないと思うからです。
演出的には、4人のアクロバットダンサーと他のアンサンブルの間に違和感がなく、見事な一体感で話を進めていく演出が素敵でした。

2014年10月27日月曜日

4年ぶりのニューヨーク 22「Here Lies Love」

2014年10月27日
Public Theatreの3階の、ちょうどザ・スズナリぐらいのスペースで、イメルダ・マルコスをモチーフにしたミュージカルを見ました。元Talking HeadsのDavid Byrneが製作に加わっているのが主な動機でした。長手方向の手前と奥にステージがあり、壁沿いにステージを繋ぐ通路があり、部屋の真ん中にもぐるぐる回るステージがあります。観客は、スタッフの指示で動くステージをよけながら、様々なところで行われる芝居を見たり、一緒に踊ったりする趣向です。最近、
舞台と観客の新しい関係性を求めてこのような演出が増えてきたような気がしますが、「Wyra」のように、大がかりな装置の転換が必要で、そのために観客も移動せざるをえないという状況なら受け入れられやすいのですが、たんに演出の都合だけで移動させられるのは,違和感が残ります。

2014年10月26日日曜日

4年ぶりのニューヨーク 21「Gentlemaen's Guide To Love & Muder」

2014年10月26日
今年のトニー賞のミュージカル作品賞を取った「Gentlemaen's Guide To Love & Muder」を見ました。
20世紀初めのイギリスで、貴族に成り上がろうとする男が捕らえられて、回想録を書いている。その回想シーンが舞台中に設けられたもう一つの舞台で、オペレッタ風に演じられて行く。
このミュージカルの見所は、その主人公の生き様よりは、その相手役として様々な役柄で登場するJefferson Maysの演技です。ぎりぎりまで下品でアクの強い芝居で,清水宏を思い出させるような演技で楽しませてくれます。清水宏と違うのは、地ではなく、演技としてやっているところです。歌もちゃんと歌えるし,真面目な芝居もできます。その分、安心してみていられますが、スリルがないとも言えます。

2014年10月25日土曜日

4年ぶりのニューヨーク 18「IF/THEN」

2014年10月25日
Wickedでトニー賞のミュージカル主演女優賞をとり、一躍注目を浴びたIdina MenzelがNext To Normalのクリエーターチームとタッグを組んだ注目の作品なのだそうですが、圧倒的に目立つのは、Menzelの歌唱力。彼女が歌い出すと、もうそれだけで十分で他に何も必要ないだろうと思えてしまいます。歌手としての実力に加えて、役者としての説得力も兼ね備えた、希有な存在です。
翻って、ミュージカルとしてはと考えると、ニューヨークに生きる若者の様々な生き方を描いて、現代を切りとると言うことなのでしょうが、Menzelの存在なしには、こつぶな作品という印象はぬぐえません。
Idina Menzelのブロードウエイデビューは、あのRENTだということを後から知りました。

2014年10月24日金曜日

4年ぶりのニューヨーク 17「Lennon」

2014年10月24日
オフブロードウエイの観劇2本目は、「Lennon」にしました。これもどんな内容だか、全く知らずに、ビートルズのジョン・レノンが題材と言うだけで選びました。中身は、オーストラリア出身のミュージカル俳優が、ピアノと自分で弾くギターだけで、コンサートのようにジョン・レノンの曲を歌い、曲間で喋るという構成でした。今回もほぼ、何を喋っているのか理解できなかったし、曲のアレンジも、歌い方も面白いとは思えなかったので,退屈な時間でした。オフブロードウエイだから、実験的なことをやっているだろう、実験的だから面白いだろうというのは、勝手な思い込みでしかありませんでした。

2014年10月22日水曜日

4年ぶりのニューヨーク 12「Wolfgang Steak House」と「Fuerza BrutaのWyra」

2014年10月22日
今日のランチは、Wolfgang Steak HouseのTribeca店に行きました。一発で入れましたが、出てきたステーキはボリュームが今ひとつで、少しがっかりしました。味は、確かにPeter Luger系の塩胡椒のしっかりした物でおいしかったです。これは、早めに本家のPeter Lugerに行って、確認する必要があります。
夜は雨の中、Fuerza BrutaのWyraをUnion SquareのDaryl Royh Theatreに見にいきました。初めて、Today Tixでチケットを手配した演目でもありました。Today Tixは当日でもディスカウントチケットが手に入るというサービスで、支払いはWeb上でカード決済ですが、チケットの配布は本番30分前に劇場前で手渡しという,デジタル+アナログのハイブリッドな新興ダフ屋です。チケット1枚の手数料10$ですが、毎日、30本近くの演目に対してコンシェルジュと読んでいるチケット配布要員を手配する必要があるのですが、採算はとれるのでしょうか?
Fuerza BrutaのWyraはとてもおもしろかったです。美しいとさえ言えます。
Wyraで3作目となりますが、1作目の特製ハーネスを使ったフライングでの壁走りの衝撃は今でも覚えています。
2作目は、前作にプラスしての、ベルトコンベア、壁面激突、巨大団扇の振り回し、空中プールなどがありましたが、壁走りのインパクトに比べると小物感がぬぐえず、少々、がっかりでした。
そして、4年ぶりの3作目、これは傑作といってもよいでしょう。今までの出し物に追加しての新作は、エアドームです。会場いっぱいに広げられた厚手のビニール幕に送風機で風を送り込んで膨らまし、その上をアクターが歩き回るという趣向でした。ビニールは透明なので、アクターがよく見えて、空気圧だけでささえられているので、歩く姿も不安定で、スリルもあります。圧巻は、ドームに空けてある丸穴の蓋を取って、手をさしのべながら、空気の抜けてくる勢いで下がってくる二人のアクターのシーンは、天使の光臨を思わせる美しいシーンでした。

2014年10月21日火曜日

4年ぶりのニューヨーク 11「On The Town」

2014年10月21日
どうも今回のニューヨークは、ランチに恵まれていなくて、今日はThe Clamという店にパスタを食べようと、わざわざHudson st.までCity Bikeでいったら、オープンしている時間のはずなのに、店内で大々的にビデオ撮影をやっていてはいれず、次のBuvetteも満員で外まで人があふれている状態で、即、断念しました。
結局、Lafayette st.まで歩いて、Ed's Lobsterでまたもやロブスターロールを食べました。中々、新しいお店に行けていません。
夜は、「On The Town」をLyric Theatreで見ました。ニューヨークに来る直前に、ジャニーズの坂本昌行、長野博、井ノ原快彦の三人でやった日本初演の仕込についたので、本場ではいかがと見てみることにしました。
日本版の装置がコンセプトは同じでも、旅用に極力シンプルにしたためにその力をほとんど発揮できていなかったことがよくわかりました。
演出は、三人の水夫よりも、相手役の女優の個性と演技や,歌や、ダンスをフューチャーし、自立する女性を描くことに、力を注いでいました。水夫の中では、ゲイビーのみがソロのバラードもあり、ダンスもあり(そんなにうまくはありませんでしたが)の主役扱いですが、残りの二人は完全な脇役でした。日本では、そんなわけにもいかないことは、よくわかりますが、女優陣が割を食ったということでしょうか。
一幕ラストの「ブロードウェイ・バレエ」とラストの「イマジナリー・コニーアイランド」は、完全にダンスでだけで見せる演出で(装置がほとんどなくなり、ほとんど素舞台に近い状態でダンスのみで見せる演出でした)、ジェローム・ロビンソンの振付満載で踊るのですが、ダンスだけでは厳しいものががあります。もっとわかりやすい歌とかがないと印象が薄くなってしまいます。ブロードウェイでは再再演になるのですが、ロングランは難しいと思います。

2014年10月19日日曜日

4年ぶりのニューヨーク 08「Motown The Musical」

2014年10月19日
2本目のミュージカルは「Motown The Musical」。
劇場は、Lunt-Fontanne Theatre。
これは、モータウンの創始者、ベニー・ゴーディの自伝を基にした、モータウン25周年までの歴史のミュージカルにした物です。
自伝なのでベニー・ゴーディを、ブラック・ミュージックを世界に広めた偉い人、ダイアナ・ロスを育て愛した人として描かれています。何度も破産の危機に会いながら、信念と統率力で乗り切ってきた男の中の男というわけです。
このミュージカルの見所は、そんなベニー・ゴーディではなく、モータウンゆかりのアーティストの物まねオンパレードです。スモーキー・ロビンソン、テンプテーションズ、コモドアーズ、シュープリームス、リトル・スティビー、マーヴィン・ゲイなどなど、知ってる人も知らない人もいましたが、何しろ皆歌がうまいので楽しめました。
中でも、観客が一番盛り上がったのは、ジャクソン5でした。ただし、マイケル役の子役もがんばっていましたが、当たり前ですが本物には全く及ばず、マイケル本人の天才ぶりが改めて確認された格好になりました。

2014年10月18日土曜日

4年ぶりのニューヨーク 03「The Smith」

2014年10月17日
時差ボケが全く治らないので、朝早くから3rd. Ave.のThe Smithにフレンチトーストを食べに行きました。
ボリュームはかなりありますが、見かけほどくどくはなく、あっさりした甘さで完食しました。平日の朝8時30分頃だったので、店内もすいていました。結構おいしいので、週末は混みそうです。
そのまま、Aster PL.からE 4th st.を抜けてEast Villageに戻り、Essex Dard Shopで、封筒とメモ帳とボールペンを買いました。封筒は、毎日のレシートを分けて保存するためです。


昼は、アパートの近くのNorthen Spy Food Co.に行ってみました。ここで名物だというラムバーガーを注文してみましたが、これが失敗でした。上のチーズがしょっぱすぎて、おいしくありません。パテ自体は粗挽きで食感はよかったのですが、いかにせん、塩辛すぎました。
食後、Webをブラウズしようしたところ、iPhoneもiPad miniもつながらないことがわかりました。あわててアパートに帰り、試行錯誤したところ、AT&Tのプロファイルが入っていないことが判明し、ネットワーク設定をリセットして無事つながることができました。昨夜、時差ボケと戦いながら設定し、一度はオーケーになったように見えましたが、最後の詰めが甘かったようです。
そして、そのまま、時差ボケにまたもや負けて、寝てしまいました。

4年ぶりのニューヨーク 02 Village House East Village

2014年10月16日 その2
宿泊場所は、4年前と同じ、ヴィレッジハウスのイーストヴィレッジになりました。色々探したのですが、スケジュールが合わなかったり、値段が高かったりして、結局ここになりました。長期間ニューヨークに滞在するときに、節約すべきはホテル代だと思います。ホテル代を絞れば、節約の効果が一番出ると思います。とはいえ、この年になると、YMCAやドミトリーは無理があります。個室と専用バス・トイレは欠かせません。となると、ヴィレッジハウスのイーストヴィレッジは悪くない選択だと思います。到着してみると、奇しくも4年前と同じ部屋でした。ここは、1階で裏庭に出られるドアがあります。裏庭と行っても掃除もされていないただの空き地ですが、出るだけで気分転換になります。
チェックインして、ランチは近くのMotorinoに、ピザを食べに行きました。ここは12$でピザとサラダが食べられます。今回は少し焦げすぎでしたが、それでもおいしくいただきました。
食後は、Bed Bath & Beyondにメリタとフィルターペーパーを買いに行きました。帰りにUion Sq.のWhole Foods Marketでコーヒー粉を買いました。
帰ってから調べたら、メリタもペーパーもありました。完全に時差ボケです。
その時差ボケに負けて、夕方には寝てしまいました。

4年ぶりのニューヨーク 01 成田からJFK

2014年10月16日
マイルも貯まっていたので、4年ぶりにニューヨークに来ました。本当は、昨年中に会社を辞めて、還暦のお祝いとフリーになったお祝いをかねて来たかったのですが、ぐずぐずしている内に時間は経ち、フリーになったのが今年の3月、そこから季候のいい時期のニューヨークにということで、10月になってしましました。
多分、ニューヨークは仕事を含めて13回目になると思います。こんなに繰り返し来ているのは、ある程度土地勘があり不安材料が少ないというのもありますが、私の理想の休暇に一番近いからだと思います。
私の理想の休暇とは、
1)日常生活から距離的、心理的に離れていて、自動的に非日常の状態になれる。
2)昼間の娯楽、夜の娯楽両方ある。ニューヨークの場合は、昼は美術館、夜はミュージカル。
3)ある程度長期間滞在しても、不自由のない生活が送れる。(都市文化のあるところ)
この三つが基本的な条件が満たせる場所です。
成田に行くのには、いつも成田エクスプレスを使っています。品川で乗り換えれば、1本で行けるのが魅力ですが、今回、Yahoo乗換で検索したところ、京成線の方が安くて、早いことがわかりました。しかし、重い荷物を持って乗換を何回もするのも辛いので、いつもの成田エクスプレスにしてしまいました。
飛行機は、全日空のNH10便です。ユナイテッド航空のコードシェア便で成田を11時に出発し、ニューヨークには同日の10時45分に到着です。当然、エコノミーです。


まず、驚かされたのは、空港のチェックインシステムです。Web上で予約したのですが、当日までボーディングパスが送られてくるわけでもなく、不安に思っていたところ、現れたのはATMのようなマシーン、これにパスポートをかざしてからいくつかの質問に答えていくと搭乗券を発券してくれるというシステムでした。何となく今までのように行き先別のカウンターでチェックインというイメージでいた私は、どうしてよいかわからず係員に聞いてしまいました。確かにこのシステムなら行き先別のカウンターは不要になり、効率的です。後は、手荷物カウンターに荷物を預けるだけです。




出発前、最後の食事はウナギのだし茶漬けにしました。帰ってくるまで、和食は食べないつもりです。
出国手続きも電子化が始まっていて、その場でパスポートと両人差し指の指紋を登録すると、自動改札を使用できるようになっていました。喜んで登録してしまいましたが、年1,2回の海外ならスタンプの方が後々の記念になっていいかなと反省しました。

機体は、ボーイング777-300シリーズです。エコノミーでも前部座席の背面に液晶ディスプレイが付き、映画などがオンデマンドで見られます。おかげで、日本のライトノベルが原作の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、邦画の「超高速!参勤交代」、「トランスフォーマー/ロストエイジ」の3本も見てしまいました。
日頃ほとんど映画を見ないので3本ともそれなりに面白かったのですが、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のハリウッドらしいご都合主義的なストーリー展開と、それを感じさせないシャープなカット割り、「超高速!参勤交代」の邦画らしい先の読めてしまう日本的なコメディセンス、「トランスフォーマー/ロストエイジ」では、アーサー王の円卓の騎士のイメージを臆面もなく出してくる脚本・監督の面の皮の厚さと、細かいところまでピントの合っているCGのせいでかえってリアリティの感じられない画面などが気になりました。
 最初の食事は、チキンと海鮮のパエリアにしました。
2回目はオムレツ&ベーコンにしてみました。
どちらも特に問題なくおいしくいただきました。


JFKからは、Airtrainに挑戦してみました。AirtrainでHaward Beachまで行き、A-lineに乗り換えて、Broadway JuctionでL-lineにまた乗り換えるという経路です。何しろ、安い。Airtrainが5$、地下鉄が2$50cでマンハッタンまで行けます。時間的には、1時間半見ておけばオーケーというところでしょうか?
最初だったので、メトロカードの買い方がわからなかったり、Airtrainが無人運転なのに驚いたりしましたが、面白い体験でした。
どうしても乗換の時に階段の上り下りが出てくるので、大きな荷物を持った女性だときついかもしれません。また、ラッシュアワー時の使用は難しいと思います。
そこがクリアできれば、最高のマンハッタンへの移動方法だと思います。

4年ぶりのニューヨーク 05 「Cindella」

2014年10月18日 その2
夜はこの旅最初のミュージカル、「Cindella」をBroadway Theatreで見ました。
元々は、1957年にジュリー・アンドリュース主演でテレビ放送のために、リチャード・ロジャースとオスカー・ハーマンスタイン・ジュニアが書いた曲と脚本を基に、舞台版としては制作された物となります。
自分のアイデンティティに悩む王子が国の民主化に目覚め、自分を取り戻して結婚するなど、いわゆる童話の「シンデレラ」と、少しストーリーが変わっていますし、登場人物もかなり増えていました。
この無自覚な者が自我に目覚めて成長するというテーマは、このミュージカルの成り立ちにも重なり、主役の二人にもオーバーラップします、特にシンデレラ役の子は、21歳での主役抜擢、しかも黒人であると言うことで、2重、3重にイメージが重なり、舞台を補強します。
主役の個性のなさは、周りの継母、腹違いの姉妹、魔女、大臣などのキャラクターと、演技力で支えていくという割り切り方は見事で、成功してると思います。
特に、魔女役はあまり必然性もないのに、大げさなドレスへの早替わりをしたり、フライングしながら歌ったりと、大活躍でした。
来年早々のクローズが決まってしまったので、最後のてこ入れのせいかもしれませんが、ブロードウエイのプロダクションの考え方が、よくわかる作品でした。

2014年10月14日火曜日

あうるすぽっとプロデュース「ロミオとジュリエットのこどもたち」

2014年10月2日 19時開演 池袋あうるすぽっと
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:三浦直之
出演:後藤まりこ、永井秀樹、長田奈麻、日高啓介、伊東沙保、田中祐弥、北村恵、重岡獏、島田桃子、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、望月綾乃
マチネの「小指の思い出」に続いて、大作家に挑む若手演出家という図式の、「ロミオとジュリエットのこどもたち」を、同じ日の夜に見ました。
450年前のシェイクスピアなら、直接本人から文句を言われることもないので、いっそ、気が楽かもしれません。
始まってすぐは、ロメオとジュリエットのセリフを荒っぽくなぞるだけで、これはどうなることかと思いましたが、一幕の終わり頃、一通りストーリーをなぞり終わると、突然爆発します。
「金色夜叉」や、「ラブストーリーは突然に」が、カットインしてきて、物語は、新しい方向に舵を切ります。
即ち、「ロミオとジュリエット」を元祖 ボーイミーツガールとして捉え、ボーイミーツガールの大集成を行おうとしたのです。その試みは、大成功とは言えないですが、可能性を見せるという意味では成功していたと思います。現在の三浦直之とロロとしては、これ以外にはあり得ないというような舞台となっていました。前作から目立ってきた三浦直之の演出の力業も、前回同様、良い方向に作用していました。
一応、あうるすぽっとプロデュースでの公演ですが、中身はロロだったと思います。ロロの今後がますます楽しみです。
役者では、伊東沙保が断トツで光っていました。シリアスでも、ファンタジーな演技も素敵でしたが、コメディでも存在感を見せていました。

2014年10月12日日曜日

東京芸術劇場プロデュース「小指の思い出」

2014年10月2日 14時開演 東京芸術劇場プレイハウス
作:野田秀樹
演出:藤田貴大
出演:勝地涼、飴屋法水、青柳いづみ、山崎ルキノ、川崎ゆり子、伊東茄那、小泉まき、石井亮介、斉藤章子、中島広隆、宮崎叶夢、山内健司、山中崇、松重豊
Musician:青葉市子、Kan Sano、山本達久
東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹の作品を若手演出家が演出するシリーズがあるそうで、この「小指の思い出」もその一つらしいです。
受ける方にしたらかなり困難がともなう企画で、なにしろ今や大御所の野田秀樹ですから、ままじ好き勝手なことができるわけもなく、自分色を出し過ぎるわけにもいかず、案配の難しいところだったと思います。
藤田貴大は、実に真面目にに取り組んだと思います。ひょっとしたら、真面目に取り組みすぎたかもしれません。
真面目に取り組んだ結果、明らかになったのは、野田演劇の特徴と魅力は、早口の台詞回しと、野田の特徴ある声に追うところが大きいことがわかります。早口と声色を除いてみると、戯曲の構造は結構唐十郎に似ていること。同じ台詞を繰り返すところが多々見られるが、同じように見える繰り返しでもマームとジプシーと野田作品では全く違うこと。野田作品では、極論すると観客をあおるために繰り返しているように見えるが、マームとジプシーでは、繰り返し自体に意味を見つけ出しているように見えます。
藤田貴大は、野田秀樹から見ると、間に平田オリザを挟んで孫にあたる世代だと思いますが、何かを継承しているようには見えません。大きな意味で言えば、同じ日本で芝居をしているのですから、見たことくらいはあるでしょうが、影響を受けて芝居を造っていった形跡はないと思います。そして、それはとてもよいことだったと思います。

ナイロン100℃「社長吸血記」

2014年10月1日 14時開演 下北沢本多劇場
作・演出:ケラーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅宏城、大倉孝二、みのすけ、喜安浩平、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希実、皆戸麻衣、水野子論、猪俣三四郎、小園茉奈、大石将弘、鈴木杏、岩崎う大、槇尾ユウスケ、山内圭哉
ナイロン100℃の芝居も「デカメロン」、「百年の秘密」に続いて三本目になりましたが、私にはどうしてもこの劇団の芝居が面白いとは思えません。何か、芝居の前提条件と言うか基本的な認識が違っているような気がします。TwitterやBlogで激賞している記事を時々見かけますが、それらを読んでも今ひとつピンときません。
ここは一つ、私にはナイロンの面白さを教えてくれる劇評なり、解説にで出会うまで、見に行くのをやめてみようと思います。
相変わらず、映像の使い方は、居関係ではピカイチだと思いますが、それだけでは積極的に見に行く理由としては弱すぎます。
と、ここまで書いて前の2作品の記事を読んでみたら、両方とも「もう、見ない。」とかそれに近いことが書いてありました。我ながら学習能力の低さに呆れます。

表現・さわやか「The Greatest Hits Of HYOGEN SAWAYAKA」

2014年9月30日 19時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:池田鉄洋
出演:森下亮、佐藤真弓、村上航、いけだしん、岩本靖輝、伊藤明賢、池田鉄洋
スペシャルゲスト:新垣里沙
Good Morning No.5から2日続けての「役者が自分がやりたいことをやるステージ(ただし、コメディに限る)の観劇になりました。
革命アイドル暴走ちゃんも含めると、3本連続となります。比べてみると、表現さわやかの立ち位置と言うか観客との距離感が、今の私に一番ピッタリきました。革命アイドル暴走ちゃんもGood Morning No.5も、自分たちのやりたいことが先走りすぎて、お客に対して押し付けすぎなところが多々あります。Good Morning No.5のほうが経験がある分だけ、押し付け方がマイルドになっていますが、圧力の強さは同じくらいでした。それは決して悪いことではないのですが、時として年寄りの身には堪えます。そんな年寄りにも、表現さわやかは優しかったです。
今回は10周年ということで、今までやったコントから気に入ったものを選び、再構成して一応ストーリーがつながっている形に整えてありましたが、ストーリーがどうのというより、各々のコントが秀逸で笑わせていただきました。特に、オープニングの「山崎パン祭」は上出来でした。
もう一つ、びっくりしたのは佐藤真弓がどの場面でもとても可愛く見えたことでした。今まで色々な芝居で見てきましたが、特に「可愛い」という印象がなかった彼女がなぜかとても可愛く見えました。なかでも、河童は特に素敵でした。

革命アイドル暴走ちゃん「東京デビュー戦 騒音と闇 ドイツ凱旋ver.」

2014年9月29日 20時開演 こまばアゴラ劇場
構成・音楽・演出:二階堂瞳子
出演 : 加藤真砂美、アマンダ・ワデル、高村枝里、相原歩、安藤ゆかり、伊藤彩奈、伊谷亜子、金佳奈美、高麗哲也、小林ありさ、佐賀モトキ、紗弓、鈴木もも、鈴木郁海、染谷彩花、ダイナマイト・バディ夫、竹田有希子、出来本泰史、飛田大輔、橋本考世、廣瀬瞬、藤田一陽、藤本紗也香、宝保里美、堀井和也、森みどり、谷田部美咲、山岡貴之
2012年5月に舞台上での不祥事により解散したバナナ学園純情乙女組が、1年半の時を経て革命アイドル暴走ちゃんとして復活しました。今年の初めに横浜の相鉄本多劇場で公演があったのですが、スケジュールがあわずいけなかったので、復活後初めての観劇となりました。
相変わらずハイスピードで繰り広げられるオタ芸と、全く何を言っているのかわからないマイクパフォーマンス、パワーアップしているのは客席にまかれる水の量と,ワカメや紙吹雪や豆腐の量。それに、多分ドイツ人の女の子(この子はかなりかわいい)。
言っていることは全く変わりがなくて、「あなた方に会えてよかった。私たちの世界に歓迎します。」の一言ですべてが表せると思います。
水もワカメも豆腐も歓迎の印というわけです。
一つ変わったことは、ラストで観客全員を舞台に上げるというパフォーマンスが加わったことでしょうか。歓迎の儀式が一つ増えたというわけです。私は、めんどくさくて、行かなかったら、客席に残ったのが私一人になってしまってかえって目立ってしまいました。
少し気になったのは、舞台に上がったお客さんの多くが喜んでいるというよりは戸惑っているように見えたことです。
初見の時にも書きましたが、私の若い頃にはこのように「観客と舞台の一体感」を創出しようとする試みが、芝居やパフォーマンスや音楽の世界で数多くありました。それらは時には成功もありましたが、時の流れと共に忘れ去られていきました。昔より格段に多い情報が氾濫する現代において、ある程度一体感の創出に成功している革命アイドル暴走ちゃんは、すばらしいと思います。
だけれども、私としては革命アイドル暴走ちゃんの世界の中身をもう少し知りたい。その世界をわかりやすく展開して見せてほしい。その気持ちが強いです。
いつの時代もあのような舞台を造り続けるには、膨大な知力と体力と意思の力が必要です。革命アイドル暴走ちゃんがこのまま走り続けられるのか、方向転換するのか、はたまた、自然消滅するのか,最大の興味はそこにあります。
最後に、前から3列目の真ん中に座ったおかげでジーパンがびしょ濡れになり、帰りの電車で空いているにもかかわらず座れなかったのには参りました。

Good Morning No.5「秋の、死んで貰います祭り!! 地獄の三本同時上演!」

2014年9月27日 19時30分開演 下北沢OFFOFFシアター
作・演出:澤田育子
出演 : 藤田記子、MINAKO、小椋あずき、野口かおる、柿弘美、澤田育子
1年ぶりのGood Morning No.5は、タイトルにもあるとおり三本立てという暴挙でご機嫌伺いに来ました。初見の衝撃が薄れると、面白さより段取りの悪さが目につきます。この手の芝居にそのようなことをいうのも野暮ですが、三本だての無理がたたって転換のドタバタなど、練習不足がが気になりました。2回目ともなると、みんな宙づりが好きなのねとか、野口かおるは裸になるのが結構好きみたいとか、MINAKOはダンサーで話芸はないのねとか、いろいろわかってきます。わかった上で、また見たいかといわれると、微妙なところでしょうか。
見る前は、三本とも見る気満々でしたが、スケジュールの都合で一本しか見られませんでした。一本見た後の感想は、「一本見れば、十分。無理して三本見なくてよかった。」でした。ちなみに私が見たのは、再演の「愛欲の乱」、残りの二本は、藤田記子と若手女優の組み合わせの「愛欲の乱 NEO」と、藤田記子の一人芝居「みっともない」でした。
年に1回のお祭りとして、何も期待しないで見に行けるなら、いいんじゃないでしょうか。

2014年9月18日木曜日

青蛾館「星の王子さま」

2014年9月12日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターウエスト
作:寺山修司
構成・演出・振付:スズキ拓朗
出演 : 未唯mie、大鶴美仁音、野口和美、森ようこ、山口ルツコ、ジョディ、伴美奈子、七味まゆ味、阿萬由美、新部聖子、万里沙、蜂谷眞味、松山由佳、真弓瞬、清水ゆり、浅場万矢、増田ゆーこ、落合美香、今井夢子、千葉りか子、こもだまり
実はこの芝居を見るかどうかは、かなり迷いました。理由は、今まで寺山の戯曲の上演でおもしろいと思ったことが一度もなかったこと。「男装音楽劇」と銘打ってあり、宝塚のへたくそな真似で、自己陶酔的な芝居を見せられる可能性があること。前から気になっていた若手の劇団ロ字ックの公演が同じ日にあることなどです。
それらのマイナスな要素を振り切って見に行った理由は、ただ一つ、たまごPLINの「最愛!シャイクスピアレシピ」でとても面白い舞台を見せてくれたスズキ拓朗が演出だということでした。
見に行って、大正解。寺山ワールドというよりは、たまごPLINに通ずるところが多々あるスズキワールド全開で、特に前半は、羊ともネズミともつかない着ぐるみを着たコロスが歌うわ、踊るわの大活躍で飽きさせません。
この芝居の寺山的テーマは、「星の王子さまは、見えないものを見るのが大切だというが、それは見えるものを見ないということではないのか。」「星の王子さまがいつまでたっても大人にならないのは、虚構の中に入り浸っているからだ。」というものですが、この芝居でも、点子はラストに「うそだ。この壁のうしろに、青い空だなんて、ある筈がない……。
どうせあるのは、紙の星と、豆電球の天の川!
いつまでも、いつまでも、大人になれない『星の王子さま』!きたないものを見ないふりをするごまかしの童話!
うそでかためたお芝居のホテルの後ろに、ほんものの人生をみせて頂戴!」と叫び、舞台全面に張られていた白い幕が振り落とされて、その後ろで着ぐるみを脱ぎ、私服に着替えた出演者たちが、点子に名前を呼ばれて前に出てきます。そして、本物の星を見るために客席を通って退場していきます。
舞台暗転。
その間、イントレの上で虚構の塊のような女装の野口和美はひたすらうろたえるだけです。それはそうですよね、自分の存在を否定されているのですから。
しかし、舞台は再び明るくなり、点子が戻ってきて「野口和美さん」と優しく呼びかけ、手を伸ばします。それに答えるように手を伸ばす野口和美。
そこで暗転。終演。
ラストを、鈴木拓朗の優しさととるか、主宰者の顔を立てたとととるか、どちらでもかまいませんが、見事な幕切れでした。
確かに、寺山の毒のようなものは表面的にはかなり薄くなったように見えますが、ポリシーはしっかり受け継がれていると思いました。
11月にスズキ拓朗主宰のチャイロイプリンの公演があるようですが、そちらも是非見たいと思います。

2014年9月13日土曜日

葛河思潮社「背信」

2014年9月12日 14時開演 横浜芸術劇場大スタジオ
作:ハロルド・ピンター
翻訳:喜志哲雄
演出:長塚圭史
出演 : 松雪泰子、田中哲司、長塚圭史
なかなかスケジュールが合わないし、あっても人気のようでチケットがとれない長塚圭史演出の芝居ですが、公演が横浜ということもあり、チケットがとれたので見てきました。いってみると、平日の昼間だというのにほぼ満席、やはり、人気があるようです。
内容は私の苦手なシリアスもので、しかも演出がストイックに余計なものを極力そぎ落とし,台詞を立たせることを目指しているようで、なかなかつらい90分でした。
演出としては、余計なことを排除して全体の底上げを狙い、台詞と芝居の構造を明確にすることを目指したのだと思いますが、それが成功するためには、役者の力量が足りないと思います。台詞を聞くだけでイメージが膨らむだけの技量がないと、台詞の意味を理解しようとする努力だけで疲れてしまい、集中が続きません。
私の辛抱のなさもあると思いますが、好みとしてはストイックよりも、1点突破の全面展開を狙う方が好ましいです。
そういう意味で言うと、男の馬鹿さ加減にフォーカスを当てた「わが友ヒットラー」や、ダンスの振付のよな切れのよい一人二役を見せてくれた「醜い男」の方がよく思えてきます。

2014年9月12日金曜日

iPhone6, iPad mini,

iPhoe5を購入したときにブログを書きましたが、その後順調にiPad Retina 64GB Wi-Fiも導入しました。外出にも持ち出して、iPhoneのデザリングでWebにも繋いでみましたが、接続が結構煩わしいこと、何よりも持って歩くには微妙に重くて大きいことが災いして、すぐ、室内専用になりました。外で仕事をする必要があるときには、ノートブックがどうしても必要なので、iPadは仕事の合間の暇つぶしや、情報収集が役割になります。そのためだけに持って歩くには、少々大きすぎ、重すぎでした。
今年の6月頃に、iPhone5のバッテリーが弱りだして使用時間が短くなり出しました。思い切って、バッテリーを交換してもらったのですが、しばらくすると勝手に電源OFFになったりするようになりました。どうも、バッテリー交換が徒になったようです。
その上、老眼のためiPhoneでメールの返信をするのが辛くなってきました。
そこで、メール環境を統一して素早い返信をするため、また、10月にニューヨークに行くことを決めたので、地図を見やすく、今までためたEvernoteのデータも見やすくするためと称して、SIMフリーのiPad miniを7月になって購入しました。Expansysで約9万円でした。プラス、AppleCareを1万円で付けました。
iPhone5はauに下取りしてもらい、差額18000円を払って、ガラケーにしました。
iPad miniは IIJの格安SIMを入れて、月額約1000円、ガラケーもオプションを全て取り払って、月額1000円。今まで、iPhoneだけで6000〜8000円払ってきたことを思えば、かなりのコストダウンになりました。
ただ一つ計算外だったのが、私がガラケーの使い方をすっかり忘れてしまい、電話帳の登録すらもできないことでした。
ほとんど電話をしない私ですが、あまりの使いにくさに、本日SIMフリーのiPhone6を予約してしまいました。月末までには納品されると思うので、されたら速攻、MNPで格安SIMを突っ込んで、使いたいと考えています。

富士山アネット/Manos.「醜い男」

2014年9月11日 20時開演 東京芸術劇場アトリエイースト
作:マリウス・フォン・マイエンブルグ
翻訳:林立騎
構成・演出・振付:長谷川寧
出演 : 板倉チヒロ、中林舞、大原研二、福原冠
20時という遅い開演なので、ゆっくり東京芸術劇場の地下にいったら、シアターイーストには別の芝居のポスターが貼ってありました。劇場を間違えたのかと(過去に一度経験あり)、慌ててWebで検索したところアトリエイーストとのこと。周りを見渡したところ、今まで気がつきもしませんでしたが、シアターイーストの左手にそれらしき受付がありました。中に入ってみると、そこは真っ白い画廊のような空間で椅子が50席くらい並べられていました。
開演前に主宰者の長谷川寧氏の前説で、本体の富士山アネットは、台詞のない演劇的なダンスをする団体であり、今回の富士山アネット/Manos.は、台詞のある演劇を上演する旨の説明がありました。
新聞紙のようなチラシの面白さだけに惹かれて見に来た私にとっては、あまり意味のない情報でした。
ストーリーは、ふとしたことから自分が非常に醜いことを知った男が整形手術を受け、それがあまりに成功したため、真似する者が増えすぎて次第にアイデンティティが崩壊するという、ある種寓話のような話でした。役者は4人だけで、主役の醜い男以外は、一人二役、三役をこなすのですが、その切り替えが、最小限の声色の変化や、動きの変化だけで小気味よく行われ、気持ちがよいものでした。

2014年9月11日木曜日

風琴工房「我が友ヒットラー」

2014年9月10日 19時30分開演 渋谷 TRUMP ROOM
作:三島由紀夫
演出:詩森ろば
出演 : 古河耕史、朝倉洋介、山森大輔、小田豊
前回の「Proof」の芝居がおもしろかったので,見に行きました。まず第一に、その芝居にふさわしいと思える場所を探す情熱に感心します。
「Proof」の時は空に浮かんでいるように見える全面ガラス張りのビルの1室でしたし、今回は渋谷の怪しげな雑居ビルの1室でした。普段は、バーか,クラブとして営業しているであろうアンティークのシャンデリアや、ミラーが所狭しと飾ってある退廃的なムード漂う不思議な空間でした。
その退廃的なムードが背景としてふさわしいと考えて選んだと思われるのですが、その効果が発揮される以前に芝居が残念な結果しか残せていませんでした。
シェイクスピアの作品が典型的ですが作家の書く言葉に力がありすぎる場合、それを言う役者の力量も比例して必要になってくるわけで、それが不足しているときには、今回のように悲しい結果にならざるを得ないということでしょうか。
特に、今回のように本当に役者が目の前で演じていると、演技している役者と一緒に演技していない素の肉体も垣間見えてしらけてしまいます。
考えてみれば、三島由紀夫の戯曲をちゃんと見たのは初めての経験でした。今まで食わず嫌いでしたが、台詞の力強さや構成の巧みさは、さすがな物があります。
次に三島の作品を見るときには、うまい役者の座組で見たい物です。

はえぎわ「ハエのように舞い 牛は笑う」

2014年8月25日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:ノゾエ征爾
出演 : 川上友里、橘花梨、井内ミワク、富川一人、河井克夫、町田水城、笠木泉、竹口龍茶、鳥島明、鈴真紀史、上村聡、踊り子あり、滝寛式、山口航太、ノゾエ征爾
ゾンビ映画のエキストラが主な産業である南の火山島で、様々なエピソードが語られていく。離婚して東京で父親と暮らす妹と一緒にアイスクリームを食べるために牛乳が飲めるようになりたい姉、ゾンビのバイトするために島に流れてきた弟と、自ら記憶喪失になろうとしている兄、大規模なレジャー施設開発の噂におびえるボーリング場オーナーとその右腕、ボーリングのボールが抜けなくなり,悪戦苦闘する二人の男、人間嫌いな自販機飲料補充員、全くかみ合わないカップル、悪事を推奨して落書きをする女、人間でもない動物でもない謎の生物もろた、すべてがどこかでつながっているようでも有り、全く関係ないようでもある。
物語は、それぞれのエピソードを淡々と、しかし十分おもしろく描き、突然、歌と共に終わってしまう。
最後に、口の周りを血だらけにしながら何かを食べている謎の生物もろたと、高校生ながら妊娠しているらしい妹のつぶやきを残して。
まるで、映画のイントロ部分だけか、知らされていなかったシリーズ物の導入部分のようである。この先続きがあるのかどうかもわからないが、それを知るためだけにでも次回作を見たい。

2014年8月25日月曜日

ままごと「わたしの星」

2014年8月22日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:柴幸男
出演 : 生駒元輝、坂本彩音、佐藤まい、西片愛夏、西田心、札内茜梨、山田菜々緒、吉田圭織、吉田恵、吉永夏帆
現役女子高生をオーディションで選抜して(男子も一人いますが)稽古して、上演する形で作られた芝居でした。
どこかで聞いたことがある話だと思って検索したら、今をさかのぼること20年前、1994年に青山円形劇場の企画公演で、平田オリザ作・演出の「転校生」が同じ形で上演されていました。この公演は私も見ていて、素直に感動したことを覚えています。丁度平田オリザの芝居を続けてみていたときで、この「転校生」、緑魔子主演の今はなき渋谷のシードホールで上演された「思い出せない夢のいくつか」、青年団の「S高原より」を見た覚えがあります。
緑魔子の「思い出せない夢のいくつか」はもちろんおもしろかったのですが、芝居としては「転校生」の方が全体のできがよかった記憶があります。いちばんできがよくなかったのが「S高原より」で、自分が主宰している劇団の芝居がよくないなんて、作・演出にとって、劇団って何だろう、どんな意義があるのだろうと疑問に思ったことも覚えています。
今回、検索した結果、この「転校生」に劇団KAKUTAの桑原裕子が出演していたことも知りました。あのおばさんも20年以上のキャリアがあるのかと知って、少しびっくりしました。
色々昔のことを思い出させてくれた「わたしの星」ですが、今素直におもしろいといえる芝居になっていました。決して芝居がうまいわけでもない、エキセントリックな性格の子をコント的に演じるのは中々うまいのですが、普通の性格、少しドジで、引っ込み思案で、コンプレックスを抱えている役などは結構ぐずぐずになってしまったりしていたのですが、それも台詞に救われたりして、気にならないできあがりでした。
現役女子高生(男子も一人いますが)には、何か魔法のような力があるのでしょうか?
あるとしても、それに気づき、引っ張り出した柴幸男の才能は(20年前の平田オリザも)すばらしいものがあります。
ままごとはなかなか東京での公演がありませんが、あれば是非見たいと思います。

オフィス鹿プロデュース「山犬」

2014年8月13日 19時開演 座・高円寺1
作・演出:丸尾丸一郎
出演 : 鳥肌実、森下くるみ、オレノグラフィティ、山岸門人、ISOPP、丸尾丸一郎
葉月チョビの留学後、2本目の公演になります。1本目の「ジルゼの事情」が評判がよかったようなので見に行きました。
結論から言うとほとんど普通の小劇場の芝居で、鳥肌実の中二病全開の演技と、本来ならチョビがやるであろう役を、かわいい森下くるみが下手なりに健気に演じていたのがおもしろかったくらいで、あの鹿殺しで私が好きだった無謀ともいえるぎらぎらした上昇志向は、葉月チョビに由来するところが大きかったのだと,よくわかりました。
「ジルゼの事情」は再演されるようですが、チョビが帰ってくるまで見に行く必要はないようです。

東京乾電池 ET X 2「ゴドーを待ちながら」

2014年8月9日 19字開演 下北沢ザ・スズナリ
作:サミュエル・ベケット
演出:戸辺俊介
出演 : 柄本佑,柄本時生、山根博、綾田俊樹、荒川楽
柄本明の息子たち、佑と時生が「ゴドーを待ちながら」をやるというので、見に行きました。前評判も高いらしく、満員で補助席まで出る騒ぎでした。
正直言ってスズナリの狭い椅子で3時間弱の芝居を見るのはかなりの苦行です。特に1幕は何度も寝そうになりました。
演出は,1幕を日常として描き、2幕を悲劇として描くというオーソドックスなものでした。
2幕は基本的に1幕の繰り返しであり、それが観点を変えて悲劇的に描かれるわけで、わかりやすくおもしろいのですが、問題はやはり1幕です。
ゴドーを待つということが日常として描かれ,それも延々と続いている訳ですが、ポッツォが出てくるまで、ほとんど何も起こりません。何も起こらないことに意味があるのですが、退屈です。
ベテランの漫才コンビがお互いの芸に飽き飽きしているのですが、話し出すとおもしろい。そんな感じで出来ればいいのにといつも思うのですが、若いETの二人には望むべくもありません。
毎年とはいいませんが、何度もチャレンジしてくれたら、嬉しいです。

サードステージ「朝日のような夕日をつれて2014」

2014年8月5日 19時開演 新宿紀伊國屋ホール
作・演出:鴻上尚史
出演 : 大高洋夫、小須田康人、藤井隆、伊礼彼方、玉置玲央
今をさかのぼること40年以上昔、手伝いに行っていた早稲田の劇団が稽古場を共用していたので、鴻上尚史さんとは2,3回挨拶をしたような記憶があります。ちょうど、彼が第三舞台を立ち上げる少し前くらいだったと思います。それから40年以上がたち、今回初めて彼の作品を見ました。今まで見なかった理由は、会ったときの印象が、「ずるがしこい男」「好きになれない」という、私の勝手な好き嫌いが主な原因だったような気がします。
今なら、本人の性格と作品は別物だとわかりますが、若いときは本当に単純でした。
今回、見に行く気になったのは、この作品が「ゴドーを待ちながら」を下敷きにしていると知ったからでした。ゴドー好きとしては、見ないわけにはいきません。
見た結果を一言で言えば、「やはり好きになれない」という物でした。
何回も再演された演目にもかかわらず、2014年現在にうまくアップデートされていますし、構成も演出もスピーディで鮮やかなものでした。芝居として十分おもしろいものだと思うのですが、例えば、ダンスのうまくない役者のためにゆっくりした振付であらが見えないようにする工夫とかが、本当はかっこよくないのにかっこよく見せようとする考え方が、生理的にだめなのだと思います。
今後、鴻上尚史の芝居を見に行くことは二度とないと思います。