2012年9月23日日曜日

2012年第三四半期観劇のまとめ

21012年7月から9月に見た芝居は以下の通り。
7月3日 ままごと「朝がある」
7月4日 オフィスコットーネプロヂュース「コルセット」
7月5日 可児市文化芸術振興財団「高き彼物」
7月10日 悪い芝居「カナヅチ女、夜泳ぐ」
7月11日 範宙遊泳「東京アメリカ」
7月25日 ハイバイ「ポンポン、おまえの自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」
7月26日 ナカゴー「黛さん、現る」
7月30日 中屋敷法仁「露出狂」

8月4日 第16次笑いの内閣「非実在少女のるてちゃん」
8月7日 ロロ「父母姉僕弟君」
8月8日 クロモリブデン「進化とみなしていいでしょう」
8月14日 演劇企画集団ガジラ「Happy Days 幸せな日々」
8月24日 ぬいぐるみハンター「ゴミくずちゃん可愛い」
8月29日 バストリオ「Very Story,Very Hungry」

9月3日 ヨーロッパ企画イエティ#6「ウィークポイントシャッフル」
9月4日 北京蝶々「都道府県パズル」
9月6日 風煉ダンス「ゲシュタル島崩壊記」
9月7日 マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」
9月14日 tsumazuki no ishi「HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD」
9月14日 柿食う客「無差別」

以上の20本。仕事が忙しくなってスケジュールが合わず、見に行けなかった芝居もありました。
そんな中でのベストスリーは、
ハイバイ「ポンポン、おまえの自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」
ロロ「父母姉僕弟君」
マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」
の、3本です。
ハイバイは、相変わらず、岩井秀人の演技が魅力的でした。
ロロは、そのさわやかな語り口が印象的でした。
マームとジプシーは、繰り返し語られる台詞のリズムと波及力が新鮮でした。
次点は、ままごと「朝がある」でしょうか。マームとジプシーにも通じるものがある繰り返しの魅力がありました。

柿食う客「無差別」

2012年9月14日 19時30分開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:中屋敷法仁
出演:七味まゆ味、玉置玲央、深谷由梨香、永島敬三、大村わたる、葉丸あすか、中屋敷法仁
中屋敷法仁の作・演出作品を見るのは、「女体マクベス」、「露出狂」に続いて3本目だが、今回の作品が一番おもしろかった。おもしろかった、主な原因は、台詞のスピード。台詞のスピードが少しゆっくりになったことで、台詞同士がかみ合い、芝居の展開がよりはっきり理解できるようになった。
しかし、喋りすぎではないかとは、やはり思う。あんなに喋らなくても伝わるだろうにと、考えてしまう。あの過剰な台詞は、作者の強迫観念なのだろうか。柿食う客には、キャストを総入れ替えして演じられる、オールシャッフル版という日が必ずあるが、次回は、そちらも見てみたい。

P.S.
この日は、マチネ、ソワレと1日に2本の芝居を見たが、この方法は問題がある。今回は、たまたま1本目がおもしろかったので、何とか2本目も見る元気が出せたが、もし、1本目がつまらなかったら、2本目を見る元気は出なかったと思う。できるだけ、2本観劇はやめるべきだと思う。しかし、このところ、仕事が忙しいので、そうも言っていられないかもしれない。

tsumazuki no ishi「HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD」

2012年9月14日 14時開演 下北沢ザ・スズナリ
作:スエヒロケイスケ 演出:寺十吾
出演:津村知与支、日暮玩具、亜矢乃、西園泰博、松原正隆、宇鉄菊三、大高洋子、佐藤健、中野麻衣、舞山裕子、岡野正一、寺十吾、柿丸美智恵
死んで、ゾンビになった自分の体を、スマホを使ってコントロールしようとしたり、よりよいコントロールのためには、完全同期が必要だと叫んでみたり、なんといい加減なSF設定だと思いながら見ていたら、最後にはすべて一人の少女の妄想であり、彼女が書いていたストーリーだと言うことがわかって、一応、ツジマジがあうようにはなっている。
その最初はわけのわからない状況の中で、自由に動いて芝居をしている、コンビニの店員二人、津村知与支と日暮玩具、ホームレスの二人、寺十吾と柿丸美智恵がおもしろい。
特に、柿丸美智恵は「Happy Days」のシリアスな役柄より、肩の力が抜けて楽しそうだ。あと、妄想の原因となる少女、ワックンを演じた舞山裕子が可愛い。次回作も見てみたい。

2012年9月8日土曜日

マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」

2012年9月7日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター
作・演出:藤田貴大
出演:伊野香織、石井亮介、萩原綾、尾野島慎太朗、斎藤章子、高山玲子、成田亜祐美、波佐谷聡、召田実子、吉田聡子
独特のアクセントで、台詞を繰り返し繰り返し語っていくことで、独特の感覚を客席まで広げていく感じがとてもおもしろいです。
独特のアクセントを使う劇団は、「地点」とか「チェルフィッチュ」などがあるが、この劇団は、その台詞回しに感情を乗せて、それがどんどんエスカレートしていくところがほかとは違うとことろです。100年続いた祖母の家が、区画整理で取り壊された。自分たちが住んでいた、一度は捨てたと思った家が亡くなることの喪失感、悲しみが台詞が繰り返されるたびにだんだん大きくなり、それが次第に観客にも広がっていく。今までに感じたことのない一体感でした。
次回公演も是非、見たいと思います。

2012年9月7日金曜日

風煉ダンス「ゲシュタル島崩壊記」

2012年9月6日 19時30分開演 調布市せんがわ劇場
作:林周一 演出:笠原真志
出演:河内哲二郎、吉田佳世、田中晶、リアルマッスル泉、吉成淳一、荒井クルミ、松尾容子、溝口明日美、南波トモコ、本山三火、荒巻大道、林周一、有馬則純、笠原真志、関根真理
3本も残念な芝居が続いた後だったので、「劇団名もかっこいいし、結構昔からやってるらしいから」と、勝手に期待して見に行きましたが、結果は、「微妙」というところでしょうか。
手作り感満載の段ボールを素材にした装置、小道具、衣装をはじめとして、いい大人が嬉しそうに装置を作り、稽古をして、やがて初日を迎えて、楽しく舞台の上ではしゃぐ。
とてもほほえましく、温かい気持ちにはなるのですが、私には若干の違和感がありました。芝居をする人は、「わかる人だけがわかればいい。これが俺の表現だ。」と言いつつ、「俺の表現を、すべてにの人に理解してほしい。いや、俺の力で理解させてみせる。」という、欲求があると思います。いわゆるハングリー精神というやつです。それが、技術以上に、舞台を輝かせたり、思わぬ感動を呼んだりすることもあると思います。
風煉ダンスは、もっと大人で、本当に好きな人だけが見に来てくれればいいと思っているようです。余分な欲がないというか、芝居を作る課程を楽しみ、舞台の上でそれをお客さんと共有するを楽しむ。すてきなことだとは思いますが、意地悪く見れば、「大人のお遊戯会」ともいえると思います。
その自己満足さ加減が、今の私に違和感を感じさせる原因だと思います。
次回公演を見に行くかどうかは、微妙です。

2012年9月5日水曜日

北京蝶々「都道府県パズル」

2012年9月4日 14時30分開演 王子小劇場
作:大塩哲史
演出:登米裕一(キリンバズウカ)
出演:八木橋達郎、中田麦平、鶴巻公江、渡辺樹里、鴨下亨、田渕彰展、井ノ本慎平、緒方晋、峰仁志、中村靖、宗像志保、高橋悠、阿久津紀夫、岡本篤、瀬古俊樹、森田祐志、薦田二郎、村上誠基
笑いの内閣と同じように、私の嫌いな政治的な問題をテーマとしてディスカッションするような演劇。
どうして新聞やテレビWEB上で書かれているような討論を、舞台で聞かなくてはいけないのか、それがまず理解できません。ストーリーは、「道州制を周知するためのフェスティバルのの内容を決めるため、各地から選ばれた委員が、イベント運営会社のコントロールや、反対派の意見にも惑わされず、福島を救うためにみんなで考えようとする。」といったものなのですが、政治的な意見はどれももっともらしいだけに、その主張だけが耳に入ってきてうるさいだけです。役者の力量がかなりないと街頭演説と変わりないものにしか聞こえません。主張だけが飛び交って、なんのイメージも膨らまない寂しい舞台でした。
北京蝶々は、二度と見ないと思います。
この芝居を含めて、連続3本外れを引いてしまいました。前評判や、劇評などは当てにしないで自分の勘だけで、予約を入れる。芝居は自分で見るまでわからない。と、信じてきましたが、少し弱気になってきました。
次の劇団に期待です。

ヨーロッパ企画イエティ#6「ウィークポイントシャッフル」

2012年9月3日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:大歳倫弘
出演:酒井善史、角田貴志、土佐和成、安藤真理、花本有加、福井菜月、向井咲絵
ヨーロッパ企画という名前は、いろいろな芝居で客演している役者の所属先としてよく聞く名前なので、チケットをとってみました。外部から呼ばれることが多い劇団は、たぶんよい芝居をするだろうという読みでした。
残念ながら、その読みは完全に外れました。慌てて調べてみたら、「イエティ」というのは劇団内ユニットで、本体とは別の人が作・演出されているようです。
芝居は、ザット(that)と呼ばれる怪物が怖くて外出できず、通販で暮らしている4人姉妹の家に、謎の男が車が故障したといって現れるところから恥じます。父親はザットに殺され、唯一ピザの配達人だけがいろいろなものを届けてくれる。という導入部分から、シリアスにも、ホラーにも、サスペンスにもいかず、ひたすら緩く通販の商品を喜々として説明しまくる4人姉妹。
しかし、その4人姉妹を演ずる女優がそろいもそろって、ひどくて見ていられない。台詞は、棒読み、体は動かない。ストーリーがどうのこうのいう前に、見る気が全くしないのです。まあ、ストーリーも突っ込みどころ満載ですが、そこまで気が回りませんでした。
ヨーロッパ企画本体の芝居も見てみたいものです。