2014年1月18日土曜日

東京タンバリン「しなやかに踊りましょう」

2014年1月17日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
作・演出:高井浩子
出演:内田淳子、広中麻紀、ザンヨウコ、黒岩三佳、宮下今日子、高山玲子
東京タンバリンというほとんど知らない劇団を見にいく気になったのは、二つの理由があります。一つは、昨年4月頃、「吉祥寺散歩」という吉祥寺の街を歩きながら演劇を見るという企画のチラシを見た覚えがあったことです。参加しようと思うほど、若くはありませんが、面白い試みだとは思いました。もう一つは、こちらの方が大きな理由なのですが、シアタートラムで行われたことです。私の見たことがない、情報もほとんどない劇団の場合、劇場によって当たり外れの確率が大きく異なるような気がします。外れる確率が少ないのが、吉祥寺シアター、シアタートラムで、座高円寺は当たり外れが激しいような気がします。三鷹市民芸術文化センターはその中間でしょうか。
そんな外れの少ないシアタートラムでの今回の観劇は、中当たりといったところでしょうか。町のゴミ集積場を中心に、なにげない日常生活を送る人々のところに行方不明の姉を探しに来た一人の女性の訪問から、さまざまな感情が表れていきます。それはけしておどろおどろしくなく静かに見えてくるだけなのですが、現代人の複雑さを十分示しているといえます。少し気になったのは、登場人物の性格の誇張がオーバー気味で鼻につくところと、登場人物による転換時のダンスというか、動きが照明の点滅の中で行われることです。転換をダンスにすること自体は問題ないのですが、それを照明点滅の中でやられると、ごまかそうとしているのか、恥ずかしいのかと、かえって気になります。

2014年1月14日火曜日

泥棒対策ライト「うん」

2014年1月9日 19時開演 渋谷サラヴァ東京
振付・演出:下司尚美
出演:佐々木富貴子、野口卓磨、藤田善宏、村田正樹、下司尚美
新年最初の観劇は、なぜか苦手なダンス公演になってしまいました。昨年初めて見た時に、私の苦手なダンス特有のストイックさが感じられなくて、面白く感じた泥棒対策ライトの公演があることを、たまたまTwitterで知って見にいきました。
今回は前回に比べて演劇的なストーリーが希薄な分ダンスが前面に出てきていて、そうなるとやはりダンスのストイックさの目立ってきて、気になりました。
私が勝手に思っていたように、ストイックなところがないダンスというわけではなく、ストーリーがストイックさを隠していたようです。
2回見たところ、スケールは違いますが「女性版コンドルズ」といったところでしょうか?
3回目のを見るかどうかは微妙なところです。

2014年1月2日木曜日

2013年第四四半期観劇のまとめと年間の総評

2013年の10月から12月に見た芝居は、以下の通りでした。

10月8日 シンクロ少女「ファニー・ガール」
10月9日 鹿殺し「無休電車」
10月10日 表現・さわやか「ストレンジストーリーズ」
10月19日 快快「6畳間ソーキュート社会」
10月23日 文学座アトリエの会「未来を忘れる」
10月29日 鳥公園「甘露」
11月8日 Carne 「売春捜査官」
11月15日 イキウメ「片鱗」
11月23日 サンプル「永い遠足」
11月27日 トリコロールケーキ「ギョーザ丸、出港す」
11月28日 子供鉅人「ハローヘル!!!」
11月29日 マームとジプシー「モモノパノラマ」
11月30日 リミニ・プロトコル「100%トーキョー」
12月4日 城山羊の会「身の引きしまる思い」
12月7日 ブラジル「性病はなによりの証拠」
12月7日 小松台東「デンギョー」
12月10日 官能教育「三浦直之(ロロ)×堀辰雄「鼠」
12月12日 モダンスイマーズ「死ンデ、イル。」
12月13日 北村想作「グッドバイ」
12月27日 ポップンマッシュルームチキン野郎「銀色の蛸は五番目の手で握手する」
12月29日 DULL-COLORED POP「アクアリウム」

計 21本
第三四半期に続き、忙しい中でよく見にいったと思います。
その中でベスト1は、リミニ・プロトコルの「100%トーキョー」です。ドキュメンタリー演劇と呼ばれていますが、新しい芝居の形がまだあることを教えてくれた作品でした。この形がどのような発展をみせるかは未知数ですが、新しい芝居の可能性を指し示してくれただけでも、私にとって重要な作品でした。
ベスト3の残り2本は、表現・さわやかの「ストレンジストーリーズ」とマームとジプシー「モモノパノラマ」です。表現・さわやかのばかばかしさは、単純に芝居を見ることの面白さを再確認させてくれましたし、マームとジプシーは藤田貴大の才能と感性が益々進化していることを証明してくれました。
一方、シンクロ少女、快快、鳥公園の3本では、若い女性の脚本・演出家の感性が理解できていないのではないかという疑問が生じました。自分に取って「おもしろくない」といいきれるならそれでよいのですが、今ひとつ言い切れない何かがあるような気がします。
年間を通しての観劇数は、93本でした。2年間100本弱の芝居を見てきて、自分の芝居の見方が、決まってきたように思います。
1)いわゆるメジャーな芝居はあまり興味がない。チケット1万円とか高すぎる。
2)チケット代は五千円前後まで。それなら、つまらない芝居も我慢できる。
3)新しい芝居を探すために、芝居を見る。
2014年はそんなところに注意して芝居を見ていきたいと思います。
又、今年は3年ぶりにニューヨークに行ってブロードウェイミュージカルを見たいと思っています。今の計画では、5月に3週間の予定で考えています。何とか実現したいと思います。


DULL-COLORED POP「アクアリウム」

2013年12月29日 15時開演 シアター風姿花伝
作・演出:谷賢一
出演:中林舞、桃花亜希、堀奈津実、渡邉亮、東谷英人、中間統彦、中村梨那、若林えり、大原研二、一色洋平、広田淳一
谷賢一作・演出の芝居を見るのは3回目になるのですが、毎回最初に感じるのは「僕あたまがいいんです。」臭というか、ペダンチックなところです。発想も脚本力も演出力もあるのですが、「頭いい風」に見えてしまうところが若さでしょうか。
今回もシェアハウスとアクアリウムの相似性を生かしつつ、若者の夢と現実を描いていくのはうまくいっているのですが、その相似性を懇切丁寧に台詞で説明するところや、つか芝居のパロディのような刑事コンビをアクセントに、平田オリザ風静かな芝居を展開したりという才気走った演出が嫌みにさえ感じます。才能はあると思うのですが、それが嫌みに見えるのが残念です。それがなくなれば面白い才能だと思うので、今後も注目していきたいと思っています。