2013年12月30日月曜日

ポップンマッシュルームチキン野郎「銀色の蛸は五番目の手で握手する」

2013年12月27日 19時30分開演 新宿シアターサンモール
作・演出:吹原幸太
出演:加藤慎吾、小岩崎小恵、サイショモンドダスト★、高橋ゆき、野口オリジナル、渡辺裕太、杉岡あきこ、井上ほたてひも、宮原将護、NPO法人、吹原幸太、CR岡本物語、今井孝裕、山口航太、青山雅士、増田赤カブト、横尾下下、加藤チャック、村上亜利沙、仁田原早苗、小林ピヨ美、田坂啓太、辰巳晴彦、内野聡夢
2回目の観劇でした。1回目の観劇記録を読み返したら、「2度と見ない」と書いてありました。それにもかかわらず、見にいったのはチラシに書いてあった「金のコメディフェスティバルで優勝した」という言葉のせいでした。我ながら権威に弱いと思いますが、いつ面白い芝居をするかわからない若い劇団の場合には、プラス要素の評価は積極的に受け入れていかないて見にいかないと、面白い芝居を見逃す恐れが多分にあります。
そう思って2回目を見にいきましたが、結果はやはり残念なものでした。
当日パンフレットを読むと作・演出の吹原幸太はアニメやテレビの脚本、それに小説も書いているようですが、そのせいか、荒唐無稽な設定をうまくまとめる構成力はあるのですが、肝心なテーマ、「自己犠牲」を新しく魅力的に見せるほどの筆力はありませんでした。最近、新しい感性の芝居が見たいという欲求が増している私にとって、見たくない種類の芝居でしかありませんでした。
新しい感性が感じられるか、使い古されたテーマなら、それを面白く見せてくれるだけの演出力、演技力がある芝居を見たいのです。
結局、2回目の観劇後の感想は、「やはり、だめだ。もう見る必要はない。」です。

2013年12月15日日曜日

北村想作「グッドバイ」

2013年12月13日 19時開演 三軒茶屋シアタートラム
作:北村想
演出:寺十 吾
出演:段田安則、蒼井優、柄本佑、半海一亮、山崎ハコ、高橋克実
その昔、傑作戯曲「寿歌」を書いた北村想の新作と言うことで、見にいきました。沙汰ートラムとはいえ、一月公演のなかばだというのに客席は満員なのは蒼井優のおかげでしょうか。
本も役者も特に目立って悪いところない休憩なしの2時間でした。こういう可もなく不可もない芝居を見ると、私が見たい芝居は、「新しい芝居」なんだと気づかされます。「わけはわからないが面白い」、「無我夢中で、我を忘れる」そんな観劇体験をしたいのだと、そんな芝居を求めて、劇場に通っているのです。だからTwitterの「面白い」につい、騙されてしまうのです。そんな反省をさせてくれる芝居でした。

2013年12月13日金曜日

モダンスイマーズ「死ンデ、イル。」

2013年12月12日 19時30分開演 下北沢ザスズナリ
作・演出:蓬莱竜太
出演:古山憲太郎、津村知与支、小椋毅、西條義将、坂田麻衣、松本まりか、西井幸人、宮崎敏行、高田聖子
前作「楽園」からずいぶん間があきましたが、女優を1名、劇団に加えての公演でした。派手なところはないですが、手堅い構成のしっかりした脚本がこの劇団の強みです。
演出面では、主役の新加入女優の台詞をほとんどプロジェクターから投影することで、彼女の負担を減らし、演技の自由さを確保しているように見えました。
その甲斐あってストーリーの流れがスムーズになり、主人公のイメージも十分広がっていました。
いずれにせよこの劇団の肝は、作・演出の蓬莱竜太であることは代わりありません。

2013年12月12日木曜日

官能教育「三浦直之(ロロ)×堀辰雄「鼠」

2013年12月10日 19時30分開演 六本木音楽実験室・新世界
脚本・演出・構成:三浦直之
出演:望月綾乃、三浦直之
その昔自由劇場だった場所が知らないうちに音楽実験室・新世界としてオープンしていました。内装は最小限の改装という感じで、壁、天井を白く塗り、ステージとオケピット、バーカウンターを作っただけでした。全体に天井が高くなっていたので、少し床面を掘り下げたのかもしれません。
そんな新世界でロロの三浦直之による」朗読劇を見てきました。演劇評論家の徳永京子による「官能教育」というシリーズの一環で、演劇人に自分がエロい思う小説を朗読してもらうというモノでした。知らなかったのですが、過去に私のお気に入りのFUKAI Produceの糸井幸介のやっていたようです。
朗読自体は1時間程度で、出演者自らスタンドライトをつけたり、マイクのセットをしたりという手作り感満載のものでしたが、内容はうまく整理できておらずわけのわからないものでした。この公演で一番面白かったのは、produce lab 89.comにのせた三浦直之の「童貞宣言」ともいうべき文章でした。わけがわからないなりに三浦直之が変わろうとしていることだけは、はっきりわかりました。

小松台東「デンギョー」

2013年12月7日 19時30分開演 高田馬場ラビネスト
作・演出:松本哲也
出演:小林俊祐、永山智啓、中田麦平、尾倉ケント、小笠原健吉、塙育大、竹岡真悟、石澤美和、大竹沙絵子、佐藤達、松本哲也、緑川陽介
劇団名は、「こまつだいとう」ではなく、「こまつだいひがし」と読むそうです。
「デンギョー」というタイトルだけで見にいきました。デンギョーとは、電気工事業者の略です。社長が入院している傾きかけた電気工事業者の職人詰め所を舞台に、義理と人情と過酷な競争がリアルに描かれていきます。笑ったのは、オープニングで職人全員が一斉に缶コーヒーを飲むところでした。職人さんは本当に缶コーヒーが好きでよく飲みます。
昔、私が通っていた建築現場では、缶コーヒーのプルリングを集めて、施設に車いすを2台寄付できたほどでした。
電気工事の内情がよくかけているし、職人達の人物像もリアリティにあふれているので、作者は電気工事業で働いていたことがあると思います。
しかし、私にとっては今更こんな芝居を見せられても意味がありませんでした。単なる「あるある」ものを見ているようでした。

ブラジル「性病はなによりの証拠」

2013年12月7日 19時30分開演 王子小劇場
作・演出:ブラジリィー・アン・山田
出演:辰巳智秋、西山聡、諌山幸治、印宮伸二、堀川炎、金沢涼恵、佐々木千恵、小川夏鈴
2012年の吉川威史 PRESENTS「素晴らしい1日」の脚本を書いたブラジリィー・アン・山田自身の劇団での公演を見ました。「素晴らしい1日」の時に脚本が面白いと思って、ずっと、本人の演出も見たかったのです。
結論的にいえば、「本は達者だが、演出はいまいち。」といったところでしょうか。
特に、最後に二人だけが生き残ってからの幻覚シーンはいただけませんでした。うまい
オチが考えつかず、開き直って松田聖子というのがみえみえで残念です。

城山羊の会「身の引きしまる思い」

2013年12月4日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:山内ケンジ
出演:岸井ゆきの、石橋けい、ふじきみつ彦、成瀬正太郎、原田麻由、岩谷健司、島田桃衣、KONTA
最初に城山羊の会を見た時にこれは不条理劇だと書きましたが、それは私の勘違いだったようです。2回、3回と見ていくうちに、山内ケンジが描きたいのは人間の意識がふとずれる、いわゆる「魔が差す」瞬間なのではないのかと思うようになりました。
亡くなった夫を愛していたはずなのに、初めて会った怪しげな男に心を奪われる。そして、結婚までしてしまう。周りからも認めらる常識的な生き方から、突然スイッチが切り替わったように、別の世界にはいってしまう。そんな瞬間を舞台上に表すことに興味があるように見えます。
そんな役目を負わされて舞台に登っている役者たちは、皆少しだけ自信なさげに見えます。ただ、芝居をするだけでは許されないことが、プレッシャーになっているのでしょうか。その不安が周りを探るような芝居として表れ、いわゆる大人の会話的な雰囲気を醸し出して、城山羊の会の芝居らしさを作っているような気がします。
今回の芝居の最大のポイントは、三鷹市芸術文化センター職員の森元さんでした。彼は、前説として現れ、一般的な諸注意を述べた後、実は、城山羊の会の三鷹市芸術文化センターでの最初の公演の時、自分はすぐ殺される夫の役で出演したと話出します。そこに銃声の効果音。森元さんはまたもすぐ殺される役で出演していたの
でした。その上、ラストでは亡霊となって現れ、そのまま終演の挨拶までしました。
最近見た芝居の導入部としては、最も面白いものでした。

2013年12月4日水曜日

リミニ・プロトコル「100%トーキョー」

2013年11月30日 15時開演 池袋東京芸術劇場プレイハウス
作・構成:リミニ・プロトコル(ヘルガルド・ハウグ、シュテファン・ケーギ、ダニエル・ヴェッツェル)
演出:ダニエル・ヴェッツェル
出演:統計に基づき選出された100名の人々
東京都の統計に基づいたいろいろな年齢、性別、国籍、住所の人が100名集められ、「イエス、ノー」で答えられる簡単な質問に答えていくことで、今のトーキョーを浮かび上がらせようとする試み。
世界各国で上演され、様々な反響を巻き起こしてきたそうですが、ここトーキョーではいかに。
結論を言えば、新鮮でとても面白かったです。舞台上で繰り広げられる普通の人々(役者ではない)の生き生きとした様に、涙さえ流しました。
そして、上演中ずっと、日本人と欧米の人の差について考えていました。外国のパフォーマンスアートを(私の場合は、ほとんどアメリカのものですが)見ると、「くどい」、「しつこい」、「このシーンはわかったから早く次のシーンにいってほしい」と思うことがよくあります。なぜあんなにしつこいのか長年疑問だったのですが、この芝居を見て少し理由がわかったような気がします。
日本人は、「一を聞いて十を知る」ことを喜ぶ傾向があると思います。芝居でもそれはよくあって、短い印象的なシーンをつなげて言いたいことを表現しがちだと思います。少し丁寧に追いかけていくと、説明的だと言われたりします。それに比べて、欧米人は、はるかに論理的です。「1+1=2」というような公理から始まって、理屈を組み立て、「だから、結論はこうです」という形が身についているようです。
その過程を日本人の私は、「くどい」、「しつこい」と感じてしまうのでしょう。
今回の公演のポイントは二つです。一つは、統計に基づいて選出されたという客観性(統計学的には、900万人に対して100人では、サンプル数が少なすぎて正しい統計とはいえないと思いますが、これは学問ではなくて演劇なので問題にならないと思います)、もうひとつは選出された人が次の人を紹介していくという関係性。これにより、見ている人は100人の人を一つの集団として見ることがたやすくなります。出演者同士にも連帯感が生まれているようでした。
このように、客観性とシンパシーを与えられた人々に、様々な質問を与え、答えさせる。
あたかも
単純な論理を繋いでゆき、その結果、単純な足し算の結果をはるかに上回る感動を作り上げる。
極めて実験的な作品と言われつつも、実は欧米的な演劇の作り方を忠実に行っていった結果の作品だと思います。


2013年11月30日土曜日

マームとジプシー「モモノパノラマ」

2013年11月29日 19時30分開演 横浜芸術劇場大スタジオ
作・演出:藤田貴大
出演:石井亮介、伊東茄那、荻原綾、尾野島慎太朗、川崎ゆり子、成田亜佑美、中島広隆、波佐谷聡、召田実子、吉田聡子
この劇団独特の語り口も回を重ねていくうちに気にならなくなって、内容がすんなり入ってくるようになりました。又、今回は四方客席のため、同じシーンを視点を変えて繰り返す手法も四方の客へのサービスともなって、有効性が上がっていました。
今回のテーマは「生きる」でした。猫のモモの生涯が周りの人間の生死と平行して語られていきます。けんかしたり、恋愛したり、自殺してしまったりする人間の傍らで、「ただ、生きている。」だけの猫。じんわりと、感動が押し寄せてくるいい作品でした。
少し気になったのは、途中で役者のうちの何人かが感情オーバーになって、涙声になってしまうことでした。個人的には、クールな視点をキープした方がこの演出にはふさわしいという感じがします。前はそれができていたのに、今回できなっかたのはなぜでしょう。演出の考え方に変化があったのか?役者の質の問題でしょうか?
少し、
気になります。

2013年11月29日金曜日

子供鉅人「ハローヘル!!!」

2013年11月28日 19時30分開演 池袋シアターグリーンビッグツリーシアター
作・演出:益山貴司
出演:影山徹、キキ花香、億なつき、益山寛司、小中太、岡野一平、小嶋海平、クールキャッツ高杉、山西竜矢、三ツ井秋、地道元春、山本大樹、小林欣也、益山U☆G、松原進典、ミネユキ、永沼伊久也、花本ゆか、東ゆうこ、藤澤賢明、PIKA☆、呉山夕子、BAB、グレコワ・タテュー、デグルチーニ、益山貴司
前の日に見たトリコロールケーキがあまりにひどかったので、それと無意識のうちに比べてしまうせいか面白く見られました。
初めて見たときは、「芝居が派下手だが、熱意と勢いはある。ただ、その方向がばらばらでうるさいだけだ。」というような印象でしたが、今回は勢いの方向性がそろってきて見やすくなっていました。
前回の記録を読み返してみたら、「まったく、受け付けない。」とまで書いてありました。今回、そんな拒否反応が出なかったのは、脚本、演出が整理されて見やすくなっていたからだと思います。
役者的には、大鬼役のでかい外人のバリトンサックス吹きとサタン役のわけのわからない人(多分、歌手)が、役者には出せない存在感で面白かったです。

2013年11月28日木曜日

トリコロールケーキ「ギョーザ丸、出港す」

2013年11月27日 20時開演 新宿眼科画廊・スペース地下
企画・原案:鳥原弓里江
脚本・演出:今田健太郎
出演:鳥原弓里江、古田彩乃、今田健太郎、藤野帆奈美、河村美沙、川口雅子、長谷川一樹、南綾希子、モリサキミキ
久しぶりに全く面白くない芝居を見てしまいました
。このところ、若手女性作・演出家の芝居で「理解できない」作品が何本か続いていましたが、それらは「何かありそうだが、それがなんなのか私には理解できない=言葉にできない」ものでした。
しかし、この芝居は違います。まったくなにもありません。演技は超へたくそで、高校演劇にも劣るレベルですし、演技の下手さをカバーする熱意も全く感じられません。ストーリーはシュールではなく、単なるご都合主義しかすぎず、そのご都合主義も苦笑すらできないものでした。役者も可愛い女の子やかっこいい男子が一人もいないので、芝居中目を開けていることすら辛い有様でした。
これだけいいところがないと、かえってあっぱれといえるのかもしれません。
私も大きな声で、「二度と見ない。」ときっぱり言い切ることができます。

2013年11月25日月曜日

サンプル「永い遠足」

2013年11月23日 14時開演」にしすがも創造舎
作・演出:松井周
出演:久保井研、野津あおい、羽場睦子、坂倉奈津子、古屋隆太、奥田洋平、稲継美保、坂口辰平
当日パンフレットによると、オイディプス王を下敷きにした家族の変態の物語とのことです。この変態とは、いわゆる異常者のことではなく、周囲の状況により変わっていく人という意味だと思います。母親との間にできた娘は養子に出され、やがてそれを知らされて当然のようにぐれます。何日も家に帰らず、その間売春したりもします。養父母はそんな娘にどう接してよいかわからず、おかしな指導者に言われるままに性転換したり、犬になったりします。ラストで真実を知った父親は、オイディプスの話のとおり自分の両目をつぶしてしまうのですが、この意味が私にはよくわかりません。目をつぶすと言うのは、世界の否定でしかないと思います。オイディプスは世界の汚れを取り除くためと称して様々な悪行をなし、最後に本当の汚れが母親と姦通した自分であることを知るわけです。その自分を否定するのではなく、世界の方を否定するのはなぜでしょう。一度、ちゃんと原作を読まなければいけません。
電気自動車の荷台に張り出し舞台を乗せて、ぐるぐる回りながら転換していく装置は紙芝居みたいで面白かったです。

2013年11月20日水曜日

イキウメ「片鱗」

2013年11月15日 19時開演 青山円形劇場
作・演出:前川知大
出演:ハマダ信也、安井順平。伊勢佳世、盛隆二、岩本幸子、森下創、大窪人衛、清水葉月、手塚とおる
イキウメにおける前川知大のテーマはこのところ一貫して、「集団に異物が入ってくることにより起こる集団の変化」です。その異物が、宇宙人だったり、モノリスだったり、超能力者だったするのですが、焦点は「集団の変化」にあります。そして今回はホラーと言うことで、ゾンビというか化け物が現れ、人にとりつきやがては死んでしまうということになっています。原因は引っ越してきた少女で、彼女の初潮が始まって以来住んでいる町内にゾンビが現れるようになり、それが原因でその家族は引っ越しを繰り返していたのでした。
道具立ては完全にホラーですが、ホラー的な脅かしの演出があるわけではないので少しも怖くありませんし、集団の変化についても町内がゴーストタウン化してしまうだけなので、印象に残るシーンもありませんでした。名前や人間関係、職業などの設定がしっかりしていることからくる構成力はさすがイキウメという感じですが、結果としては不満がのこる舞台でした。
今回、もっとも印象に残ったのは、装置でした。9尺×9尺の4尺高の二重が四つ、3尺ずつ離れておいてあるだけの装置ですが、二重が各家庭の部屋として使われ、間の3尺の通路が人々の行き交う道として設定されていました。各家がどの二重と決めないでシーン、シーンで役者が3尺幅を飛び越えて展開していくスピード感は快感でした。

2013年11月12日火曜日

Carne 「売春捜査官」

2013年11月8日 19時30分開演 下北沢 OFF - OFF シアター
作:つかこうへい
演出:黒川麻衣
出演:野口かおる、なだぎ武、植木潤、宮下雄也
気になる女優の一人である野口かおるが主役の舞台ということで見にいきました。いつものはちゃめちゃさが主役と言うことで、どうなるのかという興味が一番にあったのですが、とりあえず主役の役目は果たしていたとはいえましょう。
この芝居は、主役の木村伝兵衛が強面やしおらしさやずるがしこいときなどをめまぐるしく変えていくことで緩急をつけ、話を進めていく構造なので、野口もはちゃめちゃよりは、しっかり芝居をして主役のつとめを果たしていました。それはそれで面白かったのですが、私が見たい野口かおるとは違ったようです。はちゃめちゃなまま、危うい綱渡りで話が進んでいく。そのスリルこそが野口かおるだと思うのです。あの芝居なら、もっとうまくやれる役者がきっといることでしょう。そうではなく、野口かおるにしかできない木村伝兵衛が見たかったのに少し残念です。
植木潤は絶妙な距離感を保って、はげでホモの警官を演じていました。それに比べて、なだぎ武は芝居が堅く、一本調子なのが気になりました。なだぎと野口の距離がもっと柔軟であれば、野口の芝居ももっと面白くなったと思います。

2013年11月6日水曜日

鳥公園「甘露」

2013年10月29日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:西尾佳織
出演:浅井浩介、鳥島明、笹野鈴々音、武井翔子、森すみれ、伊藤俊輔、実近順次
忙しくて鳥公園の芝居を見てから感想を書くまでに、かなり間が空いてしまいました。暇があるときには、内容を思い出して括弧とを頭の中でまとめていたつもりでしたが、時とともに、ここ最近見た若手の女性脚本・演出家の作品との比較で考えるようになりました。いわゆる芝居に一番こだわっているのが、シンクロ少女、芝居から距離があるのが、快快、鳥公園はその間にいるような気がします。
その感覚は特に舞台美術によく表れていて、舞台美術家の考えたエッシャーの階段のように見せたかったであろう舞台美術のシンクロ少女は、成功しているとはいえませんが、十分芝居の範疇にあると思われます。6畳間を四方の上から見下ろすという環境を設定することが一番の目的だと思われる舞台美術の快快は、芝居的な感覚よりも現代美術の日常の中に非日常を持ち込んで、そのインパクトを得ることに満足する感覚に非常に近い気がします。鳥公園の舞台美術は、奈落をセットの一部として使うためにわざわざ通常の客席と舞台を逆転させて使い、パイプ組の二階屋を立てて、その奥の客席部分は公演という感じでベンチと街灯を配するというものでした。セットの考え方は芝居的でしたが、出入り口の処理をしないとか客席壁面がそのままであるなど、ディティールの処理に気がゆかないところは、舞台的というより
美術的な感じがしました。

2013年10月28日月曜日

Golater

久しぶりに使い込んでみたいと思わされるiPhoneアプリにであったので、メモ代わりに書き残しておきます。
「Golater」はEvernoteのノートのうち行ってみたいと思うところのタグに、「g:/」を頭につけて住所を書いておくと、アプリ内の地図にピンを立ててくれるソフトです。出かけた先でアプリを開くと、近くの行ってみたいところを教えてくれるわけです。
じつは3年ぶりくらいに来年の5月か6月にニューヨークに行ってみようと考えています。その時にこれがあれば、長年集めてきた細かいニューヨーク情報を簡単に活用できると思ったのです。
いざやってみると簡単にはいきませんでした。まず最初に、タグ欄に「g:/」と入力してからそのあとに住所をペーストしていったのですが、Evernoteが勝手にタグを「g:/」と「住所」に分割してくれます。しかも住所の途中にカンマが入っていると、そこでもタグが分割されてしまいます。調子よくコピーペーストを繰り返して、アプリの地図を見てみるとほとんどピンが立っていません。使えないのかと思って、1週間ほどほっておいたのですが、暇なときにピンが立っているノートと立っていないノートののタグを比べて、やっとタグの分割に気がつきました。
仕方がないので、いちいちステッキーズにペーストして頭に「g:/」を付け足してから、タグ欄にペーストしていきました。また、他のタグが悪さをしているようなので、他のタグはすべて削除してみました。ついでにWebで検索して、明らかに閉店している店は省いていきました。
結果、閉店していた店は、130弱。残った店が400弱になりました。この状態で、アプリの地図を開いてみると、立っているピンの数は、わずか40弱です。しかも、明らかに住所とピンの位置がずれているものもあります。落ち着いて、地図の拡大縮小を繰り返していると、表示されるピンの数が変化していました。マンハッタン全体を表示刺せると、赤いピン1本になり、それをクリックすると、113ノートと表示されます。
どうも、現在表示されている範囲の情報だけを表示する仕様のようです。その113のノートのリストを見ると、タグ欄に削除したはずのタグが住所に合成された形で残っているものが、ピンの位置が正しくないようです。
Evernoteのバグなのか、Golaterのばぐなのか暇を見つけて確認していきたいと思います。
iPhoneのアプリは無料のものも多いので、気になったものはちょくちょく落としてみるのですが、ほとんどすぐに使わなくなります。使う機会がないからです。Golaterはつかえれば、ニューヨークで楽しめるので、なんとか使えるように原因を探っていくつもりです。

2013年10月24日木曜日

文学座アトリエの会「未来を忘れる」

2013年10月23日 14時開演 信濃町文学座アトリエ
作:松井周
演出:上村聡史
出演:大滝寛、加納朋之、南拓哉、南一恵、藤崎あかね、増岡裕子
松井周の書き下ろし戯曲と言うことで、普段は見にいかない文学座の芝居を見にいきました。文学座といってもアトリエ公演なので、普段の路線とは違い、新しめの戯曲を上演することが多いようです。つかこうへいさんが有名になるきっかけもこのアトリエ公演の熱海殺人事件でした。
ストーリーは、近未来の日本、行き詰まった人間はゴキブリの遺伝子を取り込むことができるクスリを開発し、それを注射して生き延びるか、このまま人間として死んでいくか、選択を迫られる、という「地下室」に続いての少しグロテスクな話でした。グロテスクではあるが、生きると何かということに向かい合った作品だと思いました。
テーマとは別に私が気になったのは、文学座の芝居の質についてでした。
演出は映像を多用したり様式的な動きを取り入れたりして、新しい戯曲を新しい演出で見せようとがんばっているようでしたが、それが逆目に出て演技が薄っぺらく見えて仕方がありませんでした。
以前、仕事で俳優座のゲネプロについたことがあったのですが、その時は久しぶりに見る新劇の演技が、余計な動きをしない、発声がよくていってることがよくわかることにびっくりして、少々感動したことがありました。今にして思えば、あれは、普通の市民会館のサイズと距離感と芝居の質が合っていたことが主な原因だったのではないかと思われます。文学座アトリエは劇場と言うよりスズナリくらいの小劇場です。そこで、7〜800人以上の会場での芝居をされても、余計な動きが少ない分薄っぺらく見えてしまうのでないでしょうか。

2013年10月20日日曜日

快快「6畳間ソーキュート社会」

2013年10月19日 19時30分開演 トーキョーワンダーサイト渋谷
作・演出:北川陽子
出演:野上絹代、山崎皓司、加藤和也
最近感じていることなのですが、年のせいか私が男性だからなのか若い女性の脚本家、演出家の作る芝居に理解や、共感できなくなっているようです。シンクロ少女の時にも感じたのですが、テーマを日常的な事柄に落とし込む、その回路がよく見えなくて化けた印象しか残らない感じなのです。もともとたいしたことのない私の感性が、ますます鈍くなっていると言うことなのでしょう。
21世紀になって未来への夢が見にくくなっている現代で、未来を夢見るとはどういうことなのか。iPhoneや、お腹の中の子供に未来の夢を見ざるを得ない、少しせつないお話しでした。
当日パンフレットに出演者、演出家のインタビューをまとめた小冊子がついてきて、それを読むと制作過程、この芝居のテーマなどがよくわかるのですが、あとから読んで芝居がわかるというのはどうなんでしょうか?
抽象画を解説してもらってわかった気になるみたいで、いまひとつ納得できませんでした。

2013年10月15日火曜日

表現・さわやか「ストレンジストーリーズ」

2013年10月10日 19時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:池田鉄洋
出演:原史奈、佐藤真弓、村上航、いけだしん、岩本靖輝、伊藤明賢、池田鉄洋、大川宗哲
Good Morning No.5を見たときにも思ったのですが、コメディ指向の強い役者はときに全てを忘れて馬鹿に徹した芝居をやりたくなるようです。この芝居も内容は全くなく、ただただコスプレをして馬鹿なことをやり続けるだけです。そしておもしろい。それだけが肝心なことで、残りはどうでもいい。素晴らしいことです。こんな芝居が2,3ヶ月に一度でも見られればとてこ嬉しいのですが、このグループの次回公演は来年だそうで、なかなかうまくはいきません。
モンティパイソンにも影響を受けていそうなこのグループは、大好きです。

2013年10月9日水曜日

鹿殺し「無休電車」

2013年10月9日 19時開演 青山円形劇場
作:丸尾長一郎
演出:菜月チョビ
出演:丸尾長一郎、福田転球、岡田達也、オレノグラフティ、山岸門人、菜月チョビ、美津乃あわ、橘輝、坂本けこ美、円山チカ、傳田うに、山口加菜、鷺沼恵美子、浅野康之、近藤茶、峰ゆとり、有田杏子、越田岬
菜月チョビの海外研修制度による1年間のカナダ留学前の最終公演でした。これをもって鹿殺しは1年間の充電期間に入るそうです。ストーリーは、見ていないのでよくわかりませんが、「電車は血で走っている」の続編のような形で、大阪から出てきて路上パフォーマンスを繰り広げる劇団の話です。ほとんど自分たちのことが元になっていると思われます。
私にとっての鹿殺しの魅力は、今時の若手劇団にしては珍しく上昇志向が強く、それを隠さないところでした。それが着ぐるみショーや、大げさな作り物、むちゃくちゃな殺陣になって現れ、しかも実力が伴わないのでうまくいかない。その意志と実践のギャップが面白かったのです。しかし、この2,3作品では経験を積んだせいか、そこそこうまくいくようになってしまいました。それに比例して、鹿殺しの魅力は薄れていきました。まるで、ひどいブスだけど声だけはチャーミングだった女の子が、整形で顔は美人になったが声の質は普通になってしまったかのようです。しかも、美人としてみるとどう見ても中の下、きれいな人は他にいっぱいいる状況です。
今回の芝居にも、歌舞伎風の派手な衣装で歌い、踊り、殺陣をするシーンがありますが、それならもっとイケメンで歌も踊りもうまい何とかボーイズとかがそこら辺にいそうです。
1年間の充電期間を経て、新しい鹿殺しの魅力を持って帰ってきてほしいものです。

シンクロ少女「ファニー・ガール」

2013年10月8日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:名嘉友美
出演:泉政宏、横手慎太郎、中田麦平、名嘉友美、浅野千鶴、満間昴平、坊薗初菜、墨井鯨子、用松亮、あやか、原西忠佑、太田彩佳、赤澤涼太、吉岡そんれい
全体に柔らかい印象の芝居でした。それはよいのですが、装置や照明の弱さ、演出の詰めの甘さが足をひっぱている感じが残念でした。
装置や照明がだめなのは小劇場ではよくあることなのでたいした問題ではないと思いますが、演出の甘さは結構問題です。
会話のつながりがうまく作れなくて、「なぜだかわからないが私の経験と勘によれば、ここはあの二人を追いかけていくべきだ。」と突然役者に言わせたり、(さすがに客席から失笑が漏れていました)ラストでこれも突然「Somebody to love me」と役者全員で歌い踊ったりするのは、あんまりだと思います。しかも、ワイヤレスマイクをつけているわけでもないので、ダンスの体の向きによっては歌詞が聞き取れず、それでなくてもわかりにくい英語がほとんど理解できませんでした。
このシーンが始まったときの第一印象は、「お前はそこまでして救われたいのか?」という思いでした。
「人生にはいろいろなことがあって、それにはそれぞれ理由がある。それを考えていくと、とても大変で、身動きができないこともある。それでも、愛することは素晴らしい。」というのがテーマで、劇中でも語られ、その具体例が芝居の中身という形はわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、あまり広がりが持てないような気がします。
芝居の雰囲気は悪くないのに、あからさまにテーマを言葉にする必要もなかったのではないかと思います。

2013年10月7日月曜日

2013年第三四半期観劇のまとめ

7月2日 ピチチ5「はぐれさらばが"じゃあね"といった」
7月3日 扉座「アトムの伝言」
7月8日 「盲導犬」
7月12日 FUKAI PRODUCE 羽衣「Still on a roll」
7月17日 おにぎり「トークトワミー」
7月18日 「ストリッパー物語」

8月2日 カタルシツ「地下室の手記」
8月3日 INGELプロデュース「鮫に食われた娘」
8月15日 マームとジプシー「COCOON」
8月16日 七里ガ浜オールスターズ「オーラスライン」
8月22日 東京乾電池「真夏の夜の夢」
8月25日 ミクニヤナイハラ プロジェクト「前向き、タイモン」
8月26日 少年王者館「ハニカム狂」

9月3日 玉田企画「臆病な町」
9月11日 悪い芝居「春よ行くな」
9月17日 財団、江本純子「常に最高の状態」
9月18日 砂地「Hedda」
9月18日 遊園地再生事業団「夏の終わりの妹」
9月23日 メガロザ「アンド ヒア アイム スティル アライブ」
9月23日 Good Morning No.5「ジャンキ−・ジャンク・ヌードット」
9月24日 ハイバイ「月光のつつしみ」

第三四半期の観劇数は、21本。割と忙しかった中では、よく見に行けた方だと思います。
ベストスリーは、ハイバイ「月光のつつしみ」、カタルシツ「地下室の手記」、「ストリッパー物語」の3本です。
次点は、財団、江本純子「常に最高の状態」と、Good Morning No.5「ジャンキ−・ジャンク・ヌードット」です。
なんといっても、ハイバイ「月光のつつしみ」の静かな衝撃が印象的でした。

ハイバイ「月光のつつしみ」

2013年9月25日 19時30分 横浜芸術劇場大スタジオ
作:岩松了
演出:岩井秀人
出演:能島瑞穂、松井周、平原テツ、永井若葉、上田遥、坂口辰平
久しぶりに心が震える芝居を見た気がします。今まで、いかに頭で芝居を見ていたかに気づかされました。
大きな「沈黙」の周りを、役者が各々のやり方で歩いたり少し足を踏み入れたりするとてもデリケートな時間が流れている。そんな感じでした。
特に、能島瑞穂と松井周の二人が素晴らしく、松井のさまざまな突っ込みを、あるときは流し、あるときは跳ね返す、またあるときは正面から受け止める能島瑞穂は素敵でした。また、太り、気になる女優が増えました。
前回見た「手」がピンとこなかったので、ハイバイは「ある女」や、「霊感少女ヒドミちゃん」のようなポップな作品のほうが自分にはあっていると思っていましたが、想でもないと考え直しました。
ハイバイの次の作品が楽しみです。


2013年9月24日火曜日

Good Morning No.5「ジャンキ−・ジャンク・ヌードット」

2013年9月23日 18時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:澤田育子
出演:藤田記子、MINAKO、佐藤貴史、小椋あずき、野口かおる、佐久間淳也、増野彩夏、大久保見名子、久保田南美、石田周作、脇知弘、澤田育子
実は同じ日のマチネで、「言いたいことを言う。やりたいことをやる。」という、同じような趣旨のメガロザを見ていたのですが、こちらはさすが20年にもなるであろうキャリアのたまもの、同じような趣旨でも、きっちり見られる形にしあげてきたので、1時間半、ほぼ笑いっぱなしでした。もともと、野口かおるめあてで見にいったので、主催者の二人については全く知りませんでした。あとで調べてみたら、拙者ムニエルとカムカムミニキーナの役者で、キャリアも充分、伊達に40歳になっていませんというところでしょうか。ナカミチ円陣の時は、うるさい印象だった小椋あずきも、あのときよりはるかに高いテンションなのに、うるさくなくて面白いし、野口かおるは、女体盛りになるは、芸者髷のカツラに白塗り、衣装はセーラー服で飛ばしまくるはで、大暴れでした。主宰の二人も、負けじと上半身の後ろ姿とはいえ、ヌードになるは、宙づりになるはの、大活躍でした。

メガロザ「アンド ヒア アイム スティル アライブ」

2013年9月23日 15時30分開演 下北沢 OFF- OFF シアター
作・演出:目黒フタエ
出演:田村麻未、岩井由希子、渋谷優史、小田直輝、古澤清貴、加瀬恵、倉垣まどか、大野夏生、太平、目黒フタエ
チラシの裏の推薦文をノゾエ征爾が書いていて、面白そうなので見にいきました。そういえば、鳥山フキの時もノゾエ征爾の推薦文が推薦文がきっかけで見にいって、私には合わないと後悔したことを、観劇後思い出しました。なにげない主催者との関係をさらりと書いて面白そうだと思わせてしまうのはノゾエ征爾の文才であり、その芝居が面白くないのは、ノゾエのせいではありません。
「技術も経験もセンスも関係なく、言いたいことを言おう。やりたいことをやろう。」という趣旨のもと、並べられた寸劇とその間をつなぐ歌や踊りという構成ですが、やはり、言いたいことを言うのには、技術も経験も、そして何よりもセンスが必要なんです。主催者は「キチガイ」を自称していますが、キチガイのふりをしているだけなので、「キチガイの論破できない鉄壁の論理性」はかけらもなく、ただただ、見苦しいだけです。年がもっと近ければ、あのドンキホーテ的な精神に共感できたのかもしれませんが、親子ほど離れていては無理な話です。

遊園地再生事業団「夏の終わりの妹」

2013年9月18日 19時開演 池袋あうるすぽっと
作・演出:宮沢章夫
出演:小浜正寛、松村翔子、やついいちろう、上村聡、牛尾千聖
前々から名前だけは知っていた宮沢章夫の遊園地再生事業団の公演と言うことで、行ってきました。
大島渚の映画「夏の妹」を見て、なぜあんな映画を撮ったのかインタビューしたいと思ったが、住んでいる町にはなぜかインタビュー資格制度があり、それに合格しないと人にものを聞いてはいけない決まりがある。
「3・11以降、みんな聞きたいことがたくさんあるのに、誰もそれに答えてくれない。」という状況をモチーフに、5人の役者がほとんどモノローグで話す舞台でした。
舞台は、縦に五つに分割され、役者は自分のステージから一時的に退場することはあっても、他のステージに移動することはない。ほとんどモノローグで、時々、対話と言うよりは同じ台詞を繰り返すだけ。少々、退屈な舞台でした。
登場人物は、自分自身を演じるという設定なので、4人は、役者らしく自分を客観視して演じていて、すっきりとした雑味のない芝居でしたが、やついいちろうだけはエレキコミックというお笑い芸人なので、自分自身の客観視が甘いというか自分を信じているというのか、なんのてらいもなく喋っていて、その雑音が人物像をより太く、確かな存在としているように見えて、興味深いものがありました。

砂地「Hedda」

2013年9月18日 14時開演 新宿 Space 雑遊
原作 : H・イプセン
構成・台本・演出 : 船岩祐太
出演 :稲葉能敬、小山あずさ、岸田研二、田中壮太郎、小瀧万梨子、如月萌、杉森裕樹
シェイクスピアについで世界中で上演されていると言われるイプセンの戯曲を元に、演出の船岩裕太が構成、台本、演出した舞台でした。元の戯曲は読んでいないので、どのように構成されたのかは全くわかりません。全体の印象としては、イプセンの代表作「人形の家」と同様に、近代の女性の自我の目覚めがテーマのようです。イプセンに全く興味のない私が見にいったのは、前回シアタートラムで見た「disk」が、他の小劇団とは全く肌触りの違う、端正な芝居が気になっていたからでした。今回もその端正さは基本的に変わっていませんでしたが、それよりも、今回の演出の最大のポイントは、「役者の体格」でした。
主役のヘッダを演じる女優は、背も高く、太っていると言うよりもがっしりした体型で厚みもある立派な体格の持ち主でした。それが、ニーハイのハイヒールブーツを履いて、ミニ丈の黒のピーコートを着ているのですから、SMの女王様かと勘違いしてしまいそうです。周りを取り巻く新婚の夫や、昔の恋人は学者で、近代を表していると思われますが、みんな、背が低く、がりがりに痩せていて見るからに頼りない存在です。唯一、ヘッダに対抗できそうな人物は、旧世代を表している判事ですが、体格こそなんとか釣り合っているものの、Tシャツにトレーニングパンツというラフな格好で、ぼんやりした印象が残ります。
話が進んで行くにつれ、体格の差の意味が明確になっていき、なんとわかりやすい演出だろうと思わず、笑ってしまいました。

2013年9月23日月曜日

財団、江本純子「常に最高の状態」

2013年9月17日 20時開演 渋谷ギャラリー  LE DECO 5F
作・演出:江本純子
出演:千葉雅子、松本まりか、佐久間麻由、荻野友里、柿丸美智恵
当日パンフレットに「今回の公園の評判が良くても悪くても、何年か後に再演したい。」書いてありましたが、その言葉の通り、実に良くできた構成の芝居でした。ハッチャケられるベテラン女優と二人と若くて魅力のある若手女優三人がいれば、若手のキャラクター付けさえ間違えなければ、面白く出来上がること間違いなしという芝居でした。
おにぎりの「トークトワミー」の時にも思ったことですが、脚本家としての江本純子は、結構構成力もあり、少し意地悪な人間観察力に裏打ちされた人物像型も面白いのですが、少々、エンディングが弱いのが気になっていました。演出力は、更に雑なところが目につきます。松本まりかの役などは、もう少し整理してあげればさらに面白くなるはずなのに、役者の好きにさせすぎでとっちらかった印象になっていて勿体無いです。佐久間麻由は、普通に可愛くて、個人的には一番好みでした。その分、荻野友里が割を食ったというところでしょうか。
ベテランの千葉雅子と 柿丸美智恵は、さすがの貫禄でこの二人の安定感で若手が多少滑っても全く気になりませんでした。
「ヤバレー」で、私の中ではかなり評価を下げた江本順子でしたが、この芝居を見て毛皮族の次回作も見に行こうかという気になりました。

2013年9月17日火曜日

悪い芝居「春よ行くな」

2013年9月11日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:山崎彬
出演:呉城久美、池川貴清、大河原瑞穂、大塚宜幸、山崎彬、植田順平、宮下絵馬、北岸淳生、森井めぐみ
父親の蒸発や、恋人がいなくなると言う突然の人間関係の断絶を受け入れずに、前のイメージをキープしようとする物語。やがて、父親が帰ってきた男は、イメージと実際の父親との差に耐えきれず父親を殺してしまい、恋人のイメージを追い続けた女は、昔の恋人を演じてくれる新しい男を見つける。しかし、周囲からその間違いを指摘されると男を殺してしまう。
しかし、私がもっとも気になったのはストーリーではなく、演出としていわゆるチャライ若者のチャライ会話を大幅に誇張して話させ、それにあわせて大げさな身振りをあたかもダンスのように役者にさせていたことだ。それはきっと、昔からある人間関係に新しいアプローチをしてみたいという演出家の思いから出た者だと思うが、それなら、最後までそれを貫いてほしかった。時間が経てば経つほど、単なるシリアスな台詞のやりとりになっていって、見ていてつらいものがあった。
若い劇団を複数回見ていくと、最初は着想のおもしろさや目新しさで興味が持てるのだが、回を重ねるごとに、欠点や演技力の不足が目についてくる。それでも、見続ける魅力を持つには、一貫した方針をもつしかないと思う。それが見えてこない劇団や、揺らいでいる劇団は、やがて見にいかなくなる。

2013年9月11日水曜日

玉田企画「臆病な町」

2013年9がつ9月3日 19時30分開演 三鷹市民藝術センター 星のホール
作・演出:玉田真也
出演:木下崇祥、大山雄史、玉田真也、飯田一期、墨井鯨子、島田桃衣、海津忠、永井秀樹
去年「はえぎわ」や、「マームとジプシー」など面白いラインナップで楽しませてくれた MITAKA NEXT GENERATION SELECTION の今年のシリーズのトップバッターということで見にいきました。
いわゆる「青年団」系のグループで、青年団所属の役者も何人か出ていました。
ストーリーは、中学の卓球部の夏合宿の話なんですが、その中学生を演じる役者の芝居が恥ずかしくてほとんど直視できず、ほとんど下を向いていました。
なかなか断定的な言い方ができず、つい小さな声で相手をうかがうような言い方をしてしまい、改めて言い直す優柔不断な大人達(卓球部顧問の教師や、同棲中の男女など)と、何も考えないでストレートな物言いをする子供(中学生)の対比が芝居の基本構造なのですが、その前に中学生役の演技のひどさにしらけるばかりで、構造のことなど考える気にもなりません。
役者が自分とかけ離れた役を演じるときには、なみはずれた演技力か、モダンスイマーズの「楽園」のときのような演出上の工夫が必要だと思います。

2013年8月29日木曜日

少年王者館「ハニカム狂」

2013年8月26日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作 : 天久聖一
脚色・構成・演出 : 天野天街
出演 : 夕沈、黒宮万里、宮璃アリ、池田遼、小林夢二、織田圭祐、谷宗和、石橋和也、丸山厚人、井村昴
レミングの上演台本を書いた天野天街が主催する少年王者館を見ました。台詞にそこはかとなく感じられる唐十郎の匂いが気になって、観劇後 Web で調べたところ、「小劇場第三世代」と呼ばれている結構古い劇団で、しかも本拠地は名古屋だとのこと、全く知りませんでした。今時珍しいアングラ感いっぱいの舞台は、それなりにおもしろかったのですが、唐十郎を超えようとして考え出されたと思える、「突然のリセットからの芝居の繰り返しの多用」は、「その先にあるのは行き止まりだろう」感も満載で、あらたな地平を感じさせるものではありませんでした。
開演前に行われた「誘導員のかけ声にあわせて、観客が膝半分づつ、真ん中に移動する客席詰め」40年前の人気小劇団では、お約束のように行われていて、観客の一体感を否が応でも高めていたものでしたが、今日では、おとなしく従う客の間には、そんな一体感も特にありませんでした。
いろいろと、昔を思い出させてくれる公演でしたが、今回でしばらくの間は十分という感じでした。

ミクニヤナイハラ プロジェクト「前向き、タイモン」

2013年8月25日 15時開演 駒場東大前アゴラ劇場
作・演出 : 矢内原美邦
出演 : 笠木泉、鈴木将一朗、山本圭祐
第56回の岸田戯曲賞受賞作品ということで、見に行きました。受賞理由として、「止めどなく流れ出る言葉のイメージが、ポジティブに戯曲を成立させている。」というようなことが書かれていたような気がしますが、私の見た限り、止めどなくあふれでる台詞のイメージに役者の肉体がついて行けず、ほとんど息も絶え絶えにもがいているという感じでした。
ポジティブということがキーワードであれば、リンゴ農家役の山本圭祐には、比較的言葉のイメージを膨らましていく余裕があったようですが、タイモン役の鈴木将一朗は、台詞が飛び抜けて多いせいもあってほとんど余裕がなく、喋れば喋るだけ悲観的なイメージだけが感じ取れました。

東京乾電池「真夏の夜の夢」

2013年8月22日 14時開演 浅草5656会館 ときわホール
作 : W・シェイクスピア
演出 : 柄本明
出演 : 西村喜代子、麻生絵里子、宮田早苗、鈴木千秋、田中洋之助、嶋田健太、血野晁修、西本竜樹、沖中千英乃、重村真智子、鈴木美紀、高尾祥子、杉山恵一、岡部尚、高田恵美、吉川靖子、有山尚宏、作間ゆい、飯塚祐介、池口十兵衛、中村真綾、太田順子、島守杏介、深堀絵梨、吉橋航也、川崎勇人、鈴木一希、前田亮輔、松沢真祐美、山口智子、茨木真之介、林摩耶、古屋正明、池田智美、重田未来人、柴田鷹雄、中井優衣、藤森賢治、矢戸一平、井下宣久、宇都宮五月、河野柑奈、川端美郷、庄司知世、本田彰秀、荒川楽、荒川暖
2回目の東京乾電池観劇でした。前回見たときにも思ったのですが、ほとんどおもしろいと思えない芝居なのに、どうしてああも自信たっぷりに演じられるのでしょうか。
なぜか、台詞の頭だけ英語で、そこではづみをつけて、一気に長い台詞をまくし立てる。おかげで、誰が喋っても全く同じに聞こえます。動きも、どたどたと動くだけで、いわゆる洗練されたところは少しもありません。なのに、あそこまで自信たっぷりにやられると、見ている方が間違っているような不思議な気分になってきます。
あれが老舗の力というものでしょうか?
次回作も、積極的に見る気にはなれないけれど、暇があったら見に行ってしまうかもしれません。

2013年8月18日日曜日

七里ガ浜オールスターズ「オーラスライン」

2013年8月16日 20時開演 新宿SPACE雑遊
作:前川麻子
演出:瀧川英次
出演 : 浅野千鶴、森田ガンツ、有川マコト、野口雄介、本井博之、一色洋平、瀧川英次
アンファンテリブルプロデュース「愛のゆくえ(仮)」で好演した瀧川英次が自身の演出で芝居をする、しかも脚本は前川麻子、これは見るでしょうということで見に行きました。
「オーラスライン」というタイトルと、出演者がほとんどおじさんばかりということから、何となく話の内容は見えてきてしまいますが、実際の話もほとんどその通りで、とあるなんとなく劇団四季をおもわせるミュージカルのオーディション会場に、各々勝手な理由で受けに来たおじさん4人と、まじめに受けに来た若い男女。気が弱くて、4年もオーディションを受けているのに,毎回審査前に帰ってしまう少女を励ますため、おじさんたちが自分勝手な動機を話し出す。
たぶん、当て書きであろうよく書けた台本と、おじさんの適度に力の抜けた演技で終始笑わせてもらいました。
残念なのは、まじめな動機で受けに来た若い男を演じた一色洋平で、極端な
な演技をしすぎて、見事に浮いていました。もっと、普通に演技すればふざけたおじさんたちとの対比で、おもしろくなったのに残念です。
おじさんたちの中では、本井博之の傍若無人さが,一番おもしろかったです。

マームとジプシー「COCOON」

2013年8月15日 19時開演 東京芸術劇場シアターイースト
原作:今日マチ子
作・演出:藤田貴大
出演 : 青柳いづみ、伊東茄那、大岩さや、尾崎紅、尾崎桃子、川崎ゆり子、橘高祐奈、菊池明明、小泉まさ、小宮一葉、中前夏来、鍋島久美子、難波有、長谷川洋子、的場裕美、山崎ルキノ、吉田彩乃、吉田聡子、李そじん、石井亮介、尾野島慎太朗
藤田貴大の演出方法「リフレイン」が進化して、新たな表現域に到達したことを感じさせる公演でした。今までの芝居では、一つの事柄についての「リフレイン」が様々な方向から順番に行われ、イメージが多方面から現れていく,どちらかといえば、静かに物事が進んでいく感じだったのが、「COCOON」では時には、「リフレイン」同士がぶつかり合ったり、突然、前の「リフレイン」が現れたりして、そのことが混沌と恐怖を一層強調していました。
独自のアクセントで語るというと、どうしても早稲田小劇場の「劇的なものを巡って」を思い出してしまうのですが、今のマームとジプシーはそんなことは関係ないオリジナリティを手に入れたと思います。
役者で圧巻なのは、やはり、青柳いづみ
でした。彼女が発する台詞は、口から出た瞬間に独自に存在感を獲得して,空間に存在するようでした。ほかの役者の発する台詞が,その体から離れては存在できないのに、彼女だけだが空間に台詞を置くことに成功しています。
実に不思議な存在です。

2013年8月4日日曜日

INGELプロデュース「鮫に食われた娘」

2013年8月3日 18時開演 渋谷シブゲキ
作・演出:ブラジリィー・アン・山田
出演:櫻井智也、朝比奈慧、高山奈央子、諫山幸治、武藤心平、堤千穂、三科嘉代、守田菜生、藤森祐輔、水野裕介、若松健治、野口かおる、清水宏
最近気になる女優、野口かおるめあてで見にいきました。
野口の役がこの芝居の鍵となる役のため、彼女の振れ幅の大きい独特な芝居を堪能できましたし、その相手役の清水宏の、狂気とも思える芝居で野口の倍音成分の多い演技を正面から受け止める力量には、凄みすらおぼえました。
野口めあてという意味では、ここ最近の出演作の中ではぴかいちのできでしたが、それ以外では、プロデュース公演の欠点が目立つ芝居でした。
まず、演技の質がばらばらすぎて見ていてイライラしました。姉役の朝比奈慧は出てきたときから、宝塚の男役みたいだと思っていたら、本当に宝塚出身でした。若手の女優は、3人とも芝居が下手すぎ。演出家にまともに演出してもらってないみたいでした。ライフセーバー役の武藤心平は、海パン一つでの力演が完全に空回りしていて、それを本人も自覚しているようで、時々、部隊の隅で所在なげに立っている姿だけが印象的でした。
主役の櫻井智也はがんばっていましたが、野口の芝居を正面から受けずにすかしているようなところが、私としては不満です。
あと、高山奈央子は、所属劇団の主宰者桑原裕子に芝居がよく似ていて、思わず笑ってしまいました。

カタルシツ「地下室の手記」

2013年8月2日 19時開演 赤坂レッドシアター
原作:ドストエフスキー
脚本・演出:前川知大
出演:安井順平、小野ゆり子
イキウメの別動部隊、カタルシツの旗揚げ公演は、ドストエフスキーでした。時代を現代に置き換えて、起こっていることは原作とほぼ同じですが、インターネットとかニコニコ生放送とか、現代のツールが様々取り込まれています。それも、ただ漫然と使われているわけではなく、安易なカタルシスに水をぶっかけるために有効に使われていて、面白かったです。安井順平の少しとぼけてクールな語り口を聞いているとついつい納得してしまいそうなところに、ニコ生風の書き込み、「GJ !」、「童貞乙!」などがプロジェクションでカーテンに流れると、はっと我に返って思わず笑ってしまう。
前川知大の緻密な演出力はたいしたものです。
出演者は二人ですが、ほぼ、安井の一人舞台でした。他の登場人物は、フィギアやダルマで表されていましたから、娼婦の役も会話の必要がなければ、フィギアになっていたかもしれません。
イキウメと並んで楽しみな集団が増えました。次回がいつになるかわかりませんが、また、見にいきたいと思います。

2013年7月19日金曜日

「ストリッパー物語」

7月18日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作 : つかこうへい
構成・演出 : 三浦大輔
出演 : リリー・フランキー、渡辺真起子、渋川清彦、安藤聖、古澤裕介、新田めぐみ、米村亮太朗、門脇麦、でんでん
この芝居で三浦大輔は、つか演出の定番である「ミエを切り続ける」演技を一切廃して、通常の会話で押し通します。それを可能にしたのは、シゲ役のリリー・フランキーの存在でした。演技しているとは思えない、どちらかといえばボソボソ喋るリリー・フランキーの言葉は、屁理屈ともいえる「ひも道」も、すんなり違和感なく聞けてしまいます。その分割を食ったのはほかの役者で、特にヒロイン明美の「過剰なけなげさ」も印象の薄いものになってしまいました。
つか演出では、「ひも道」を言いつのらなければいられない男の悲しみがクローズアップされてきて、それが観客のカタルシスにつながるのですが、三浦演出では、シゲは最低のゲス野郎で、本人もそれを自覚しており、そこに救いはありません。唯一の救いは、シゲの娘がニューヨークに留学して、待望のミュージカルの主役を獲得して帰国することですが、それもラストで、明美に「まだ、あなたの番じゃない。」と拒絶されます。そこらへんは、ポツドールらしいといえます。
それにしても、リリー・フランキーは、リリー・フランキーを演じさせたら,超一流の役者でした。

おにぎり「トークトワミー」

2013年7月17日 14時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作 : 江本純子
演出 : 千葉哲也
出演 : 市川しんぺー、池谷のぶえ、村木仁
「毛皮族」の江本純子が、外部にはどんな脚本を書くのか、興味があって見に行きました。いつもがさつな言葉をぶつけ合っている中年夫婦と、妹にしょっちゅう金を無心にくる兄の話。ある日、突然女が入院することになり、自分たちの将来に不安を感じながら(不安は,各の妄想として表れる)、相手を思いやる会話を交わすようになる。江本の脚本は、激しい言葉を使いながら、「毛皮族」でのようなアナーキーさは、影を潜めている。もちろん、ある程度は当て書きの部分もあるだろう。経験豊富な役者と、千葉哲也の手堅い演出でよくまとまっている舞台となっていた。特に、池谷のぶえが時々、短い台詞で空間をびしっと締めていたのが印象的だった。
ラストの、夫に燃やされてしまったと思っていた虎の子の100万円が無事であったが、夫のいたずら心で、すべてテレビカードに変えられていたという、あまりできがよいとも思えないオチが、ぴたっと決まったのは、演出と役者の演技力のおかげでしょう。

2013年7月14日日曜日

「盲導犬」

2013年7月8日 19時開演 渋谷シアターコクーン
作 : 唐十郎
演出 : 蜷川幸雄
出演:古田新太、宮沢りえ、小出恵介、小久保寿人、大鶴佐助、松田慎也、堀源起、佐野あい、金守珍、木場勝己、大林素子、ほか
私にとって唐十郎の戯曲は,状況劇場の役者たちと分けがたくつながっているのだということを再認識させられた舞台でした。どの台詞も、李麗仙ならば、不和万作ならば、大久保鷹ならば、全く違って聞こえてきただろうという気持ちが抑えられず、舞台自体を楽しむことが出来ませんでした。この「盲導犬」は、状況劇場で上演されたことは一度もないので、私個人の勝手な思い込みに過ぎないのですが、致し方ありません。
桜社による初演はもちろん、ほかの団体による舞台も見ていないのに、このような感想を抱くのもどうかしていると思うのですが、それだけ、状況劇場のイメージが強いということでしょうか。
唐十郎の戯曲の魅力は、過剰にロマンチックな台詞と共に湧き出してくる雑多なイメージにあると思うのですが、今回の蜷川演出では、台詞のみにこだわってそれに伴うイメージを排除しているように見えました。それが役者の自由さをも封じ込めたため、金切り声の台詞がとびかうだけの寂しい舞台になってしまいました。蜷川演出の肝は、ビジュアルな演出にあると思っていた私には、納得できないものでした。
振り返って見れば、蜷川芝居を見たのは、「身毒丸」、「下谷万年町物語」、そしてこの「盲導犬」の最近の3本だけ、昔の作品は、劇評などから得たイメージだけなのですから、蜷川の変化に勝手に戸惑っているだけなのかもしれません。

FUKAI PRODUCE 羽衣「Still on a roll」

2013年7月12日 19時30分開演 こまばアゴラ劇場
作・演出 : 糸井幸之介
出演 : 深井順子、日高啓介、伊藤昌子、福原冠、澤田慎司、高橋義和、鯉和鮎美、鈴木祐二、新部聖子、森下亮
FUKAI PRODUCE 羽衣の芝居を見るものこれで3本目です。最初は、同じアゴラ劇場で「耳のトンネル」でした。これは、日常的な愛の形がさまざまなイメージに変化し、,最後には大きな愛のイメージが広がるというぶっ飛んだ作品でとてもおもしろく見ました。
2本目は「サロメ VS ヨナカーン」、シアターイーストと会場も少し大きくなって、7組のサロメとヨナカーンによる愛の形をすっきり、整理された形で見せてくれました。3本目の今回は、会場がアゴラ劇場に戻って、対面客席の舞台となりました。そのためか、上下の客席に同じことを繰り返す振付が多くて、あきがきました。また、異常に客席にかける芝居や、振付が多く,少しうんざりです。
3本を通して見ると、最初の「耳のトンネル」が傑作であることがよくわかります。

2013年7月4日木曜日

扉座「アトムへの伝言」

2013年7月3日 19時開演 紀伊国屋ホール
作・演出 : 横内謙介
出演:六角精児、山中崇史、伴美奈子、岡森ねい、鈴木利典、犬飼淳治、高橋麻理、松原海児、松本亮、比嘉奈津子、中原三千代、高木トモユキ、野口かおる、新原武、江原由夏、上土井敦、野田翔太、塩屋愛美
前日に続き昨年秋のベッド&メイキングスでの怪演で私の気になる女優の一人に躍り出た野口かおる狙いで、扉座を見に行きました。
野口かおるは客演なので、客演らしい使われ方、劇中のアクセントというか、鉄砲玉的な使われ方で、お得意のグダグダなアドリブや、女のきたないところも丸ごとさらけ出すような芝居をしていました。しかし、東京初日の緊張からかグダグダアドリブも、「セリフなんか言えなくてもいいのよ。生きてさえいれば。」という域にまではいけず、中途半端なところにとどまっていました。野口かおるを楽しむためには、彼女に余裕ができるであろう後半に行くのが良さそうです。
芝居は落ち目の漫才師とロボットが漫才コンビとして復活するという話なので、劇中、漫才シーンが3回ほどありました。漫才シーンの台本も良くかけているし、テンポ良く喋っているのですが、やはり、漫才と芝居は似ているけれど、違うものだという感を強くしました。芝居では、漫才師の役を演じている役者が漫才をしているのに比べ、漫才師は、半ば無自覚的に自分を演じて漫才をしているのだと思います。その自意識の差が、どうしても越えられない溝として、芝居と漫才を分けているように思えます。

ピチチ5「はぐれさらばが"じゃあね"といった」

2013年7月2日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出 : 福原充則
出演:菅原永二、今野浩喜、野間口徹、植田裕一、三土幸敏、碓井清喜、三浦竜一、広澤草、仁後亜由美、古牟田眞奈、久ヶ沢徹
昨年秋のベッド&メイキングスの公演で、唐十郎ラブな脚本と演出を見せて、今年4月のブルドッキングヘッドロックでは、全体の中心となる主役の演技で芝居をまとめていた福原充則が主宰するピチチ5の芝居を見ました。
三鷹市芸術文化センターの太宰治をモチーフにした演劇シリーズの一環で、私が見るのはままごとの「朝がある」に続いて2本目です。ままごとの場合は、太宰作品の再構成と言った趣でしたが、今回は太宰治本人に注目した作品となっていました。舞台は、太宰が作家デビューする前と、有名になってから一回目の自殺未遂をする前後の2箇所を中心に、様々な時間と空間をシームレスに行ったり来たりします。脚本的にも演出的にも無理なく、わかりやすくシーンがつながって行くのですが、照明が所々つながっていかず、無理な変化をしているのが気になりました。
太宰治も宮沢賢治も、作品の朗読などを絡めて人物像がわかりやすく提示されているのですが、中原中也だけが、人物像が分かり難かったのが残念です。脚本、演出のせいというより演技のせいでしょうか。
出色なのは、貫さんという人物で、造り酒屋の杜氏で象に自分の酒を飲ませるために突進したり、川で鯨を捕まえたりするトリックスター的な人物。太宰治が自分が成りたかった理想像なのでしょう。

2013年6月26日水曜日

2013年第二四半期観劇のまとめ

4月3日 テアトル・ド・アナール「従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行“─およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない”という言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語」テアトル・ド・アナール「従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行“─およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない”という言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語」
4月4日 ブルドッキングヘッドロック「少し静かに」
4月10日 犬と串「左の頬」
4月17日 Straw&Berry 「マリア」
4月22日庭劇団ベニノ「大きなトランクの中の箱」
4月23日水素74%「半透明のオアシス」
4月24日 「レミング」
4月25日  泥棒対策ライト「あーあ」

5月8日ミームの心臓プロデュース公演「focus」
5月9日 少年社中「ラジオスターの悲劇」
5月14日 酒とつまみ「もうひとり」
5月15日イキウメ『獣の柱 ~まとめ*図書館的人生(下)~』
5月20日 離風霊船「マインド2013」
5月21日ハイバイ「て」
5月22日 いやむしろわすれて草
5月24日 ポップンマッシュルームチキン野郎「仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので」
5月25日 トリのマーク「湖畔の探偵全6話」
5月27日 ロロ「ミーツ」

6月10日 千葉雅子×土田英生 舞台製作事業「姐さん女房の裏切り」
6月11日 はえぎわ「ガラパコスパコス」
6月12日 城山羊の会「効率の優先」
6月12日 おぼんろ「ビョードロ」
6月19日 岡崎藝術座「(飲めない人のための)ブラックコーヒー」
6月20日 こゆび侍「きれいなお空を眺めていたのに」

4月から6月の観劇本数は、24本でした。
その中のベストスリーは、青山円形劇場の「いやむしろ忘れて草」、ロロの「ミーツ」、はえぎわの「ガラパゴスパコス」でしょうか。結構ナイーブに人間の情感を描いた作品が心に残っています。
次点としては、テアトル・ド・アナール、庭劇団ベニノ、イキウメなどの、少し癖のある硬派な芝居が気になりました。
この1年間以上、「自分の知らない小さな劇団の芝居を見に行く」ことを、大きなポリシーとしてきましたが、ここにきて少しくたびれてきたようです。全く知らない芝居を見に行って、その出来が残念だっったときのショックが結構大きく響きます。このままでは、芝居を見にいかなくなる恐れも出てきそうです。
7月からは、少し方針を変えて、明確に見たい理由がある芝居を中心に見ていこうと考えています。

こゆび侍「きれいなお空を眺めていたのに」

2013年6月21日 14時開演 王子小劇場
作・演出 : 成島秀和
出演:日暮玩具、佐藤みゆき、小野寺ずる、勢古尚行、墨井鯨子、廣瀬友美、白川哲次、小園茉奈、富山恵理子、鳥口綾、近藤茶、篠原彩
前日に見た岡崎藝術座に比べるとずいぶんオーソドックスな芝居でした。世界の終わりがくるという予感の中で、本当に大切なものは何かということを探るということがテーマでした。それを見つけたところで、本当に終わりがくるという結末なのですが、私たちは、3.11以降世界に終わりがこない、どんなにひどいことが起きても世界は続いていくということを思い知らされたのだと思います。それは、ひょっとしたら終わりがあるよりもさらにひどいことなのかもしれません。その認識がないところが、この芝居が今ひとつ響いてこない原因のような気がします。

岡崎藝術座「(飲めない人のための)ブラックコーヒー」

2013年6月20日 19時30分開演 北品川フリースペース楽間
作・演出 : 神里雄大
出演:鷲尾英彰、稲継美保、小野正彦、藤井咲有里、大村わたる
この芝居で一番気になったのは、役者による照明のつけ消しでした。どのシーンも役者が幾つかぶら下がっている照明のどれかのスイッチを引いて始まり、そのシーンが終わると再度スイッチを引いて照明を消すということの繰り返しが基本でした。なぜそうなってしまったかというのは、この公演が始まる前に照明デザイナーと話す機会があって、地方公演があること、それらが通常の劇場空間ではないこと、予算のことなどで、照明がついていかなくても仕込めて、オペレートできるような形にする必要があることなどは知っていましたが、いざ、本番を見てみると文章上に無駄に多くの鍵カッコ「」があるようで、とても気になりました。もっとも、そんなことを気にするのは、照明家だけかもしれません。
岡崎藝術座は、2,3年前に「リズム三兄弟」の公演の仕込とリハに付き合ったことがあって、その時の印象は、「日本語の解体と、再構築により新しい文体を創り出す。」ことを目指しているのかなというものでした。その後の公演はすべてスケジュールが合わず、本当に久しぶりの観劇でした。
今回の内容は、アガサクリスティの「ブラックコーヒー」と、少女誘拐監禁事件と、ボストンマラソンテロ事件を下敷きにしたもので、特徴的なのは、すべて当事者ではなく、その周りの人々の証言という形で構成されていることです。その結果、浮かび上がってくるのは言葉の暴力性や、人間関係の暴力性です。それらの言葉は、時には力強く、時にはいやらしく観客に迫ってくるのですが、どうも演劇の言葉ではないような気がします。脚本を購入して読み込んだ方がより良いのではないのかという気がしてなりません。

2013年6月14日金曜日

おぼんろ「ピョードロ」

2013年6月12日 19時30分開演 日暮里d-倉庫
脚本・演出 : 末原拓馬
出演:末原拓馬、わかばやしめぐみ、高橋倫平、さひがしジュンペイ、林勇輔
今時珍しい丁寧な前説から始まるファンタジーでした。ストレートな愛の物語で、そのストレートさ加減も今時珍しいものでした。丁寧な前説と言い、わかりやすいラブストーリーといい、あまり芝居を見たことのない若い女性客をターゲットにしているように見えます。
しかし、段ボールやペットボトルで手作りした装置を自ら自慢するのはどうでしょう。自虐的すぎて、引いてしまうお客さんもいそうです。
目標は、観客動員を5万人にしてシアターコクーンで1ヶ月公演することだそうですが、頑張ってくださいとしか言いようがありません。

城山羊の会「効率の優先」

2013年6月12日 15時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出 : 山内ケンジ
出演:金子岳憲、松本まりか、岡部たかし、松澤匠、白石直也、吉田彩乃、石橋けい、鈴木浩介、岩谷健司
前回の公演「あの山の稜線が崩れていく」を見た時には、結構骨太の不条理劇という印象だったのですが、今回の芝居は不条理劇としては、線が細すぎて納得できるものではありませんでした。その主な原因は、演技の質にあると思います。登場人物たちの演技が弱くてリアリティが感じられません。それが不条理を成立させていない一番の原因だと思います。あれでは、「なんだかなあ。」という感想が浮かぶだけで、不条理劇特有の不気味な肌触りは、生まれてきません。
いや、ひょっとすると、あれは不条理劇ではなかったのかもしれません。少しづつおかしい登場人物たちが、会社での「仕事」と、個人的な恋愛感情の間で揺れ動いて殺人を冒してしまう。それだけの話なのかもしれません。それにしても、女部長役の芝居が弱すぎて、納得がいきません。そして、ラストのセックスシーン、あれは何だったのでしょうか。舞台であんなに生々しいセックスシーンは始めて見ました。あの演出は何だったのでしょうか。あれこそが不条理です。

はえぎわ「ガラパコスパコス」

2013年6月11日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出 : ノゾエ征爾
出演:柴幸男、井内ミワク、滝寛式、鳥島明、川上友里、踊り子あり、笠木泉、町田水城、ノゾエ征爾、たにぐちいくこ、新名基浩、鈴真紀史、山口航太、竹口龍茶、金珠代、松森モヘー、萩野肇
当日パンフによれば、はえぎわはここ4年間ほど老人ホームでの芝居公演を定期的に行っているようです。その経験がこの芝居の基本的な部分や、前回の公演を見た時に感じた「視線の公平さ」を生み出してるようです。「老い」というものを見つめて、そのまま受け入れるということは実践することも、表現することもかなり難しいですが、この芝居での基調音となってすべてをまとめていいるようでした。
それにしても、「チョークとそれで描ける壁面さえあれば、演劇はできる」という芝居は、初めて見ましたが、実に面白いものでした。徐々にへたうまな絵や、言葉で埋め尽くされて行く壁面が、芝居全体に一種寓話的な雰囲気を与えて面白い効果を与えていました。
ラストの主人公が引きこもりから世の中に出て行く決心をして、ピエロの衣装からスーツにネクタイに着替えるシーンでのボレロの音楽と振りは、ほぼ完全に映画「愛と喝采の日々」のラストシーンでの20世紀バレー団のパクリで、ノゾエ征爾が素直なだけでなく、結構図太い神経の持ち主であることが覗き見えて面白かったです。

2013年6月11日火曜日

千葉雅子×土田英生舞台制作事業「姐さん女房の裏切り」

2013年6月10日 19時30分開演 小竹向原サイスタジオコモネ
原案・出演:千葉雅子
作・演出・出演:土田英生
MONOの土田英生と、猫のホテルの千葉雅子による新ユニット。当日パンフなどを読んでみると、どうも二人芝居を継続的に続けて行くつもりのようです。
それにしても、土田の千葉に対する優しさに溢れた脚本には、少しびっくりさせられました。元々達者な脚本家だとは思っていましたが、対象が一人に絞られるとここまで優しくなれるのかと驚きました。優しすぎて、少し説明しすぎな感じもあったのは、残念です。
千葉は、20年以上自分のせいで隠れて暮らすこととなった年下のダメ男を憐れに思って尽くすが、ある日、ほとほと愛想が尽きる年上女房を頑張って演じていましたが、元々の資質にないのか、あっさりしすぎの感は否めませんでした。それに比べて、土田は、悪人顔なのに中身は全くの子供で相手の気持ちがわからないダメ男を演じて生き生きとしていました。
せっかく始めた新規事業なので、二人芝居の限界を打ち破るような企画に挑戦してもらいたいものです。

ロロ「ミーツ」

2013年5月27日 19時30分開演 こまばアゴラ劇場
作・演出 : 三浦直之
出演:板橋駿谷、亀島一徳、望月綾乃、伊東沙保、工藤洋崇、小橋れな、水越朋
ロロとか、はえぎわで気に入っているところは、語り口の爽やかさだと思います。ロマンチックのふりをして、少しおセンチ、結論があってもなくてもすんなり終わる。そのキレの良さが魅力だと思います。
一部では、ロロらしくないという評判らしい伊東沙保の缶コーヒーを積み上げながらの長セリフも、私には十分素敵でした。しかし、そのシーンのBGMが中島みゆきなのには少しびっくりしました。
テーマは、どなたかがTwitterに書いていた「逢いたいけれど逢えない誰かを想像する(と居る(みたいな気がする)」ということでしょう。
人と人の出逢いというテーマの周りをぐるぐるまわって、様々なアプローチをしているように見えます。そのアプローチが、どれも私にとっては好ましかったり、微笑ましかったりするのが魅力です。

2013年5月26日日曜日

トリのマーク(通称)「湖畔の探偵 全六話」

2013年5月25日 16時開演
台詞・演出 : 山中正哉
出演:柳澤明子、原田優理子、大畑麻衣子、藤田早織、小田さやか、山中正哉
チラシの「シュールな話」という言葉と、マークだけで、呼び方がなく、通称トリのマークと呼ばれているという劇団名に惹かれて見に行きました。
結果は、あまりにシュール(?)で、理解も何もできませんでした。
話はどうやら、依頼を受けた探偵とマスコットらしいぬいぐるみのギロンが、湖畔の駅に到着するところから始まるようなのですが、探偵が二人いたり、マスコットが二つあったり、不動産屋らしい2人組がいたりするのですが、それらが出たり入ったりするだけで、何かが始まる前に終わってしまった感じです。何がしたいのか、何が面白いのか全くわかりませんでした。
お手上げです。

ポップンマッシュルームチキン野郎「仏の顔も三度までと言いますが、それはあ くまで仏の場合ですので」

2013年5月24日 19時30分開演 新宿サンモールスタジオ
作・演出 : 吹原幸太
出演:サイショモンドダスト★、吹原幸太、今井孝祐、小岩崎小恵、仁田原早苗、CR岡本物語、井上博之、加藤慎吾、小田伸泰、太田守信、高橋ゆき、青山雅士、杉岡あきこ、NPO法人、横尾友幸、橘麦、野口オリジナル、増田赤カブト、跳川雄大、渡辺祐太
ど派手なメイクのチラシに惹かれて、見に行きましたが、「ふざけた名前の劇団の芝居は面白くない。」という法則がまた、当てはまってしまいました。
思いついた面白そうなことを脈絡なくぶち込んだごった煮のような芝居で、そのごった煮が美味しければ結果オーライなのですが、けしてオーライになっておらず、しょぼい決幕を迎えるという情けない状態でした。妖怪たちの着ぐるみも、頑張っているのですが相乗効果をもたらすこともなく、不発に終わっていました。あまりにも、御都合主義なストーリーは苦笑するしかありません。
次回は、見ないと思います。