2015年12月28日月曜日

高校演劇サミット2015 都立六本木高校「墓場、女子高生」都立東高校「走れダメロス」

2015年12月28日 都立六本木高校「墓場、女子高生」14時開演 都立東高校「走れダメロス」15時30分開演 こまばアゴラ劇場
ベッド&メイキングスがやって面白かった「墓場、女子高生」を、現役の女子高生が演じるとどうなるのかという興味で見にいきました。高校演劇大会のルールで行われるため、上演時間は1時間以内という制限があるのですが、面白い戯曲は、半分以下に潤色しても面白いということを実感しました。
何より面白かったのは、制服の着こなしや,立ち振る舞いから「現実の女子高生は,そんなにきれいなものではない」と、無自覚でしょうが、主張しているように感じられる場面が見られたことでした。誰も意図したことではないと思いますが、私にはそこが一番面白かったです。
もう一本の都立東高校「走れダメロス」は、前半は謎のおばあちゃん軍団が走り回り、コンビニでうまい棒を強奪したり、桃色クローバーZ風に唄ったり踊ったりしているうちは楽しかったのですが、後半、セーラー服になって、「私たちが反対の声を上げなかったから、孫が遠くの土地に送られてしまうようになったのか!」と言い出すともう行けません。
今年の安保法案の成立やSEALSの活動の影響から出てきた主張でしょうが、どのような主張も演劇的に成立しなければ、イタイ主張に過ぎないということが未だに理解でいていないのは残念です。高校演劇らしいといえば高校演劇らしいのかのしれませんが、高校演劇の1つの大きな壁を見たように思います。

2015年12月22日火曜日

こふく劇場「ただいま」

2015年12月22日 14時開演 こまばアゴラ劇場
作・演出:永山智行
出演:濱砂崇浩、大浦愛、大迫紗佑里、あべゆう、かみもと千春
宮崎県の地域劇団で、前から名前だけは知っていましたが見るチャンスに恵まれず、今年の年末にやっと見ることができました。
作・演出の永山智行や出演者達についてなんの予備知識もないままに見ましたが、良い意味で「みのほどをわきまえている」ところが素敵でした。
細かいところに違いはありますが、白の長袖シャツに丈が短めの黒ズボン、足は白足袋、手には扇子代わりなのか様々な小渡具として使われる小さな木の枝、転換の移動は能のように腰を少し落としてすり足で歩く。統一された様式が,各々の役者の個性を際立たせるに役立ち、話にテンポを与えていました。
脱サラして豆腐屋を始めた男はなぜか妻に逃げられ、ニーナさんという女性と幻想の中で会話することを励みに豆腐を作り続けている。ある日、義理の妹に店の客とのお見合いを勧め、その話に触発された義理の妹の合唱団仲間の女性は,以前お見合いした男性と結婚する。結構、複雑な日常が淡々と繰り広げられていくのだが、すんなりと話の流れに乗れて、終わった後、なぜかじんわり、目に涙が浮かぶ。
素直に面白い芝居だったと言える作品でした。ただ、途中で幻想の中で戦争の体験が語られるのですが、そこへのつながり方が少々唐突で、違和感があったことが残念です。

2015年12月21日月曜日

文学座アトリエの会「白鯨」

2015年12月21日 14時開演 信濃町文学座アトリエ
原作:ハーマン・メルヴィル
作:セバスチャン・アーメスト
訳:小田島恒志
演出:高橋正徳
出演:小林勝也、中村彰男、沢田冬樹、櫻井章喜、石橋徹郎、川辺邦弘、上川路啓志、藤側宏大、采澤靖起、鈴木亜希子
英語で書かれた悲劇ベストスリーの1つ、「白鯨」の舞台化ということで見にいきました。
時々、意欲的な作品を上演する文学座アトリエの会と言うこともあり、結構期待して見にいったのですが、今回は残念ながらはずれの会でした。
イスや板きれ、ロープや布などを役者が自ら迂遠介しながらストーリーを進めていくという演出は、それ自体葉好感の持てるものでしたが、翻訳調の固い台詞やそれが身についていない言い回しに,違和感をぬぐえませんでした。ラストで、これが白鯨の悲劇を伝える旅回りの一座による芝居であることが明かされるのですが、だからといって,納得できるものでもありませんでした。

2015年12月10日木曜日

海のサーカス×スーパーエキセントリックシアター「杏仁豆腐のココロ」

2015年12月10日 18時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:鄭義信
出演:佳梯かこ、久ヶ沢徹
役者については何も知らないまま、鄭義信の作・演出ということで見にいきました。後で調べてみると、佳梯かこは北村想のプロジェクトナビの女優さんで、この芝居は10年以上前に佳梯かこが鄭義信に書き下ろしてもらったものでした。
クリスマスイブの夜、もう離婚届も出して別れて暮らすための荷造りもほとんど終わった茶の間で,男と女が話している。女はづぼらで家のことはほとんどしない。でも、弁当屋のパートで男を養っている。男はずっと無職でいわゆるヒモだが、家事はまめにする、主夫である。話していくうちにお互いに大事なことを言えていないことに気づき、それがもとで別れることになったのを知る。ほろ苦く、悲しい後を引くストーリーでした。
若いころの佳梯かこは知らないけれど、今でも十分魅力的な女優です。
どこかで舞台にでることがあれば、見にいきたいです。

ほりぶん「得て」

2015年12月10日 15時開演 ムーブ町屋4F ハイビジョンルーム
作・演出:鎌田順也
出演:墨井鯨子、上田遥、木乃江祐希、川上友里
気になる女優の一人である上田遥が出演するので、作・演出が苦手な鎌田順也なので迷いましたが見にいくことにしました。
ちなみに鎌田順也が苦手な理由は、ぐちゃぐちゃしたストーリーの果てに宇宙人や怪獣が暴れ回って話が終わるという展開があまりに多いことと、役者の演技にあまり興味がないようにみえるところです。
上田遥は、ハイバイの「霊感少女、ヒドミちゃん」の主人公と「ある女」のとなりの部屋の娘の役をやっているのしか見たことがありませんでしたが、妙にハスキーな声で喋る不思議ちゃん系のキャラクターで興味を持ちました。
しかし、上田の今回の役柄は割としっかり系のお姉さん的なもので、そうなると声も少しキンキンしているような気もするし、単なる背の低いおばさんにしか見えず、少々残念でした。
物語は、バイト仲間で行った旅行先で亡くなった川上の1周忌に旅行前に撮ったビデオレター持って同じチェーン店のバイトが訪ねてきて,そのビデオレターを見たところ、亡くなった川上が現実に現れたり、生きままあの世に行ってしまったり、大変な目に遭うというものですが、そのテレビに移った川上友里の顔芸が実に面白い。泣き、喚き、怒り、笑う。その顔のアップが大型テレビ画面いっぱいに映し出されて、滅多に見らレないものを見たという感じがしました。多分、舞台裏で一人でカメラに向かって演じていたのだと思うのですが、目の前に観客がおらず、反応もわからないまま演ずる不安までも移っているようでした。

2015年12月2日水曜日

龍昇企画「平成駅前旅館」

2015年12月2日 14時30分開演 中野スタジオあくとれ
作:前川麻子
演出:塩野谷正幸
出演:龍昇、吉田重幸、冨澤力、藍原直樹、浅野千鶴、畑山佳美、前川麻子、ひらたよーこ、根本和史、桜井昭子、関根麻帆、中村榮美子、よこやまよしひろ、塩野谷正幸
Twitterで浅野千鶴が出演していることを知り、慌てて見にいきました。
浅野千鶴は、味わい堂々や池田鉄洋の表現さわやかの公演に出ているのを見て,前から気に入っていた女優でした。
狭いスタジオあくとれにベテラン、中堅、若手が11人入り乱れての公演でしたが、ベテラン俳優の良いところと悪いところが両方表れた芝居だったように思います。
良いところは、経験豊富なだけに各自が自分のテンポを持っていて、なおかつ相手のテンポにも合わせられて、無理のない気持ちよいテンポを作り出すことができる点が、第一にあげられます。悪い点は、よいところの裏返しにもなるのですが、何でも自分の領域に引きずり込んで処理しがちなところで,これが多すぎると舞台にみずみずしさがなくなってきます。
お目当ての浅野千鶴は、ベテランに遠慮しているのは、比較的サラリと芝居をしていましたが、あまり似ていないビートたけしの物真似が面白かったです。

2015年12月1日火曜日

湯ぶね「愛の水中花」

2015年12月1日 19時30分開演 池袋スタジオ空洞
企画・原案:和田瑠子
作・演出:松本哲也
出演:和田瑠子、久保貫太郎、森谷ふみ、川瀬絵梨、井内ミワク、加瀬澤拓未、森田祐吏
全く知らない女優さんの自主公演でしたが、チラシの推薦文を読むとかなりの天然系のようだったので見にいきました。
物語は、本人の実話を元にしているようで、自閉症の姉とその家族の気持ちの移り変わりを地道に描いたもので、どこといって変なところもないが,面白いかといえば、面白いとは言えない、よくある中途半端な話でしかありませんでした。和田瑠子本人は、ぽっちゃり系のよく言えば癒やし系の女優で、本人にあった役をやればそこそこ面白いかもと思いましたが、きっと根が真面目なんでしょうね、自分の話をしてしまう。小説家は処女作に自分の話を書いて,たいていそれが一番面白い。とよく言われますが、役者にはそれは当てはまらないと思います。