2014年10月31日金曜日

「Matilda」

2014年10月31日 Sam S. Shubert Theatre
子役が主役のミュージカル、しかも一人だけでなく子役が集団で出てくるミュージカルで鑑賞に耐える作品を作るノウハウを駆使して作られたミュージカルでした。
どうしても薄っぺらになる歌と踊りは、大人の役者が子供の扮装して参加して厚みを出し、区別のつきにくい子役同士は、人種、性別のバラエティを豊富にすることで、キャラクターを明確にしています。主役のマチルダは子役の中でも一番小さく、念力が使えるという設定なので、顔つきも神秘的な要素を感じさせるインド系の顔で、他の子役とは一線をかくしていました。
それだけの配慮をしても、見え方が単調になるのは、避けられませんでした。どうしても、悪役の学園長や、軽薄なマチルダの両親の方が印象に残ってしまいます。

2014年10月30日木曜日

「Beautiful The Carole King Musical

2014年10月30日 Stephen Sondheim Theatre
Motown The Musicalほどではないにしろ、ポピュラー音楽を題材にした作品は、どうしても歌物真似大会になってしまうのは仕方がないことなのでしょうか?
オリジナルを見たことがある人々が見に来るのですから、歌真似物真似にするのが妥当なところなのかもしれません。
ストーリとしては、キャロルキングの作曲家としてのデビューから、ソロシンガーになり、最初のカーネギーホールコンサートまでを扱っていますが、次々にヒット曲を書き、その間に結婚して離婚する事が、あっさりと描かれています。
ストーリーが単調なだけに、様々歌われるキャロルの曲が気になります。別に物真似が見たいわけではないのですが、似ていないのは論外だとしても、曲がストーリーとシンクロしているように見えないことが問題だと思います。

2014年10月28日火曜日

「Pippin」

10月28日の夜にMusic Box Theatreで、2013年度のトニー賞リバイバルミュージカルアワードを受賞した「Pippin」を見ました。トニー賞を受賞しただけのことはある、見事な出来栄えでした。緞帳が開いた瞬間、サーカスの世界観がしっかり構築されていることが感じ取れ、その上でPippinの成長譚が語られていきます。勇者になろうとしたり、王様になろうとしたり、その過程が、サーカスらしいアクロバットやトリックを使って、わかりやすく展開します。最後に普通の愛にめざめ、衣装もメイクも伴奏もなしで、愛する彼女とアカペラで歌い、静かに去っていきます。しかし、彼らの子供は、一人残り、サーカスの内部や道具を愛おしそうに撫でて、Pippin達とは別の方向に去っていきます。ここは、私の想像では、再演にあたって、新たにつけくわられた演出のように思えました。虚構が簡単に現実を乗り越えてしまう現代では、単に虚構を拒否するだけでは話は済まないと思うからです。
演出的には、4人のアクロバットダンサーと他のアンサンブルの間に違和感がなく、見事な一体感で話を進めていく演出が素敵でした。

2014年10月27日月曜日

4年ぶりのニューヨーク 22「Here Lies Love」

2014年10月27日
Public Theatreの3階の、ちょうどザ・スズナリぐらいのスペースで、イメルダ・マルコスをモチーフにしたミュージカルを見ました。元Talking HeadsのDavid Byrneが製作に加わっているのが主な動機でした。長手方向の手前と奥にステージがあり、壁沿いにステージを繋ぐ通路があり、部屋の真ん中にもぐるぐる回るステージがあります。観客は、スタッフの指示で動くステージをよけながら、様々なところで行われる芝居を見たり、一緒に踊ったりする趣向です。最近、
舞台と観客の新しい関係性を求めてこのような演出が増えてきたような気がしますが、「Wyra」のように、大がかりな装置の転換が必要で、そのために観客も移動せざるをえないという状況なら受け入れられやすいのですが、たんに演出の都合だけで移動させられるのは,違和感が残ります。

2014年10月26日日曜日

4年ぶりのニューヨーク 21「Gentlemaen's Guide To Love & Muder」

2014年10月26日
今年のトニー賞のミュージカル作品賞を取った「Gentlemaen's Guide To Love & Muder」を見ました。
20世紀初めのイギリスで、貴族に成り上がろうとする男が捕らえられて、回想録を書いている。その回想シーンが舞台中に設けられたもう一つの舞台で、オペレッタ風に演じられて行く。
このミュージカルの見所は、その主人公の生き様よりは、その相手役として様々な役柄で登場するJefferson Maysの演技です。ぎりぎりまで下品でアクの強い芝居で,清水宏を思い出させるような演技で楽しませてくれます。清水宏と違うのは、地ではなく、演技としてやっているところです。歌もちゃんと歌えるし,真面目な芝居もできます。その分、安心してみていられますが、スリルがないとも言えます。

2014年10月25日土曜日

4年ぶりのニューヨーク 18「IF/THEN」

2014年10月25日
Wickedでトニー賞のミュージカル主演女優賞をとり、一躍注目を浴びたIdina MenzelがNext To Normalのクリエーターチームとタッグを組んだ注目の作品なのだそうですが、圧倒的に目立つのは、Menzelの歌唱力。彼女が歌い出すと、もうそれだけで十分で他に何も必要ないだろうと思えてしまいます。歌手としての実力に加えて、役者としての説得力も兼ね備えた、希有な存在です。
翻って、ミュージカルとしてはと考えると、ニューヨークに生きる若者の様々な生き方を描いて、現代を切りとると言うことなのでしょうが、Menzelの存在なしには、こつぶな作品という印象はぬぐえません。
Idina Menzelのブロードウエイデビューは、あのRENTだということを後から知りました。

2014年10月24日金曜日

4年ぶりのニューヨーク 17「Lennon」

2014年10月24日
オフブロードウエイの観劇2本目は、「Lennon」にしました。これもどんな内容だか、全く知らずに、ビートルズのジョン・レノンが題材と言うだけで選びました。中身は、オーストラリア出身のミュージカル俳優が、ピアノと自分で弾くギターだけで、コンサートのようにジョン・レノンの曲を歌い、曲間で喋るという構成でした。今回もほぼ、何を喋っているのか理解できなかったし、曲のアレンジも、歌い方も面白いとは思えなかったので,退屈な時間でした。オフブロードウエイだから、実験的なことをやっているだろう、実験的だから面白いだろうというのは、勝手な思い込みでしかありませんでした。

2014年10月22日水曜日

4年ぶりのニューヨーク 12「Wolfgang Steak House」と「Fuerza BrutaのWyra」

2014年10月22日
今日のランチは、Wolfgang Steak HouseのTribeca店に行きました。一発で入れましたが、出てきたステーキはボリュームが今ひとつで、少しがっかりしました。味は、確かにPeter Luger系の塩胡椒のしっかりした物でおいしかったです。これは、早めに本家のPeter Lugerに行って、確認する必要があります。
夜は雨の中、Fuerza BrutaのWyraをUnion SquareのDaryl Royh Theatreに見にいきました。初めて、Today Tixでチケットを手配した演目でもありました。Today Tixは当日でもディスカウントチケットが手に入るというサービスで、支払いはWeb上でカード決済ですが、チケットの配布は本番30分前に劇場前で手渡しという,デジタル+アナログのハイブリッドな新興ダフ屋です。チケット1枚の手数料10$ですが、毎日、30本近くの演目に対してコンシェルジュと読んでいるチケット配布要員を手配する必要があるのですが、採算はとれるのでしょうか?
Fuerza BrutaのWyraはとてもおもしろかったです。美しいとさえ言えます。
Wyraで3作目となりますが、1作目の特製ハーネスを使ったフライングでの壁走りの衝撃は今でも覚えています。
2作目は、前作にプラスしての、ベルトコンベア、壁面激突、巨大団扇の振り回し、空中プールなどがありましたが、壁走りのインパクトに比べると小物感がぬぐえず、少々、がっかりでした。
そして、4年ぶりの3作目、これは傑作といってもよいでしょう。今までの出し物に追加しての新作は、エアドームです。会場いっぱいに広げられた厚手のビニール幕に送風機で風を送り込んで膨らまし、その上をアクターが歩き回るという趣向でした。ビニールは透明なので、アクターがよく見えて、空気圧だけでささえられているので、歩く姿も不安定で、スリルもあります。圧巻は、ドームに空けてある丸穴の蓋を取って、手をさしのべながら、空気の抜けてくる勢いで下がってくる二人のアクターのシーンは、天使の光臨を思わせる美しいシーンでした。

2014年10月21日火曜日

4年ぶりのニューヨーク 11「On The Town」

2014年10月21日
どうも今回のニューヨークは、ランチに恵まれていなくて、今日はThe Clamという店にパスタを食べようと、わざわざHudson st.までCity Bikeでいったら、オープンしている時間のはずなのに、店内で大々的にビデオ撮影をやっていてはいれず、次のBuvetteも満員で外まで人があふれている状態で、即、断念しました。
結局、Lafayette st.まで歩いて、Ed's Lobsterでまたもやロブスターロールを食べました。中々、新しいお店に行けていません。
夜は、「On The Town」をLyric Theatreで見ました。ニューヨークに来る直前に、ジャニーズの坂本昌行、長野博、井ノ原快彦の三人でやった日本初演の仕込についたので、本場ではいかがと見てみることにしました。
日本版の装置がコンセプトは同じでも、旅用に極力シンプルにしたためにその力をほとんど発揮できていなかったことがよくわかりました。
演出は、三人の水夫よりも、相手役の女優の個性と演技や,歌や、ダンスをフューチャーし、自立する女性を描くことに、力を注いでいました。水夫の中では、ゲイビーのみがソロのバラードもあり、ダンスもあり(そんなにうまくはありませんでしたが)の主役扱いですが、残りの二人は完全な脇役でした。日本では、そんなわけにもいかないことは、よくわかりますが、女優陣が割を食ったということでしょうか。
一幕ラストの「ブロードウェイ・バレエ」とラストの「イマジナリー・コニーアイランド」は、完全にダンスでだけで見せる演出で(装置がほとんどなくなり、ほとんど素舞台に近い状態でダンスのみで見せる演出でした)、ジェローム・ロビンソンの振付満載で踊るのですが、ダンスだけでは厳しいものががあります。もっとわかりやすい歌とかがないと印象が薄くなってしまいます。ブロードウェイでは再再演になるのですが、ロングランは難しいと思います。

2014年10月19日日曜日

4年ぶりのニューヨーク 08「Motown The Musical」

2014年10月19日
2本目のミュージカルは「Motown The Musical」。
劇場は、Lunt-Fontanne Theatre。
これは、モータウンの創始者、ベニー・ゴーディの自伝を基にした、モータウン25周年までの歴史のミュージカルにした物です。
自伝なのでベニー・ゴーディを、ブラック・ミュージックを世界に広めた偉い人、ダイアナ・ロスを育て愛した人として描かれています。何度も破産の危機に会いながら、信念と統率力で乗り切ってきた男の中の男というわけです。
このミュージカルの見所は、そんなベニー・ゴーディではなく、モータウンゆかりのアーティストの物まねオンパレードです。スモーキー・ロビンソン、テンプテーションズ、コモドアーズ、シュープリームス、リトル・スティビー、マーヴィン・ゲイなどなど、知ってる人も知らない人もいましたが、何しろ皆歌がうまいので楽しめました。
中でも、観客が一番盛り上がったのは、ジャクソン5でした。ただし、マイケル役の子役もがんばっていましたが、当たり前ですが本物には全く及ばず、マイケル本人の天才ぶりが改めて確認された格好になりました。

2014年10月18日土曜日

4年ぶりのニューヨーク 03「The Smith」

2014年10月17日
時差ボケが全く治らないので、朝早くから3rd. Ave.のThe Smithにフレンチトーストを食べに行きました。
ボリュームはかなりありますが、見かけほどくどくはなく、あっさりした甘さで完食しました。平日の朝8時30分頃だったので、店内もすいていました。結構おいしいので、週末は混みそうです。
そのまま、Aster PL.からE 4th st.を抜けてEast Villageに戻り、Essex Dard Shopで、封筒とメモ帳とボールペンを買いました。封筒は、毎日のレシートを分けて保存するためです。


昼は、アパートの近くのNorthen Spy Food Co.に行ってみました。ここで名物だというラムバーガーを注文してみましたが、これが失敗でした。上のチーズがしょっぱすぎて、おいしくありません。パテ自体は粗挽きで食感はよかったのですが、いかにせん、塩辛すぎました。
食後、Webをブラウズしようしたところ、iPhoneもiPad miniもつながらないことがわかりました。あわててアパートに帰り、試行錯誤したところ、AT&Tのプロファイルが入っていないことが判明し、ネットワーク設定をリセットして無事つながることができました。昨夜、時差ボケと戦いながら設定し、一度はオーケーになったように見えましたが、最後の詰めが甘かったようです。
そして、そのまま、時差ボケにまたもや負けて、寝てしまいました。

4年ぶりのニューヨーク 02 Village House East Village

2014年10月16日 その2
宿泊場所は、4年前と同じ、ヴィレッジハウスのイーストヴィレッジになりました。色々探したのですが、スケジュールが合わなかったり、値段が高かったりして、結局ここになりました。長期間ニューヨークに滞在するときに、節約すべきはホテル代だと思います。ホテル代を絞れば、節約の効果が一番出ると思います。とはいえ、この年になると、YMCAやドミトリーは無理があります。個室と専用バス・トイレは欠かせません。となると、ヴィレッジハウスのイーストヴィレッジは悪くない選択だと思います。到着してみると、奇しくも4年前と同じ部屋でした。ここは、1階で裏庭に出られるドアがあります。裏庭と行っても掃除もされていないただの空き地ですが、出るだけで気分転換になります。
チェックインして、ランチは近くのMotorinoに、ピザを食べに行きました。ここは12$でピザとサラダが食べられます。今回は少し焦げすぎでしたが、それでもおいしくいただきました。
食後は、Bed Bath & Beyondにメリタとフィルターペーパーを買いに行きました。帰りにUion Sq.のWhole Foods Marketでコーヒー粉を買いました。
帰ってから調べたら、メリタもペーパーもありました。完全に時差ボケです。
その時差ボケに負けて、夕方には寝てしまいました。

4年ぶりのニューヨーク 01 成田からJFK

2014年10月16日
マイルも貯まっていたので、4年ぶりにニューヨークに来ました。本当は、昨年中に会社を辞めて、還暦のお祝いとフリーになったお祝いをかねて来たかったのですが、ぐずぐずしている内に時間は経ち、フリーになったのが今年の3月、そこから季候のいい時期のニューヨークにということで、10月になってしましました。
多分、ニューヨークは仕事を含めて13回目になると思います。こんなに繰り返し来ているのは、ある程度土地勘があり不安材料が少ないというのもありますが、私の理想の休暇に一番近いからだと思います。
私の理想の休暇とは、
1)日常生活から距離的、心理的に離れていて、自動的に非日常の状態になれる。
2)昼間の娯楽、夜の娯楽両方ある。ニューヨークの場合は、昼は美術館、夜はミュージカル。
3)ある程度長期間滞在しても、不自由のない生活が送れる。(都市文化のあるところ)
この三つが基本的な条件が満たせる場所です。
成田に行くのには、いつも成田エクスプレスを使っています。品川で乗り換えれば、1本で行けるのが魅力ですが、今回、Yahoo乗換で検索したところ、京成線の方が安くて、早いことがわかりました。しかし、重い荷物を持って乗換を何回もするのも辛いので、いつもの成田エクスプレスにしてしまいました。
飛行機は、全日空のNH10便です。ユナイテッド航空のコードシェア便で成田を11時に出発し、ニューヨークには同日の10時45分に到着です。当然、エコノミーです。


まず、驚かされたのは、空港のチェックインシステムです。Web上で予約したのですが、当日までボーディングパスが送られてくるわけでもなく、不安に思っていたところ、現れたのはATMのようなマシーン、これにパスポートをかざしてからいくつかの質問に答えていくと搭乗券を発券してくれるというシステムでした。何となく今までのように行き先別のカウンターでチェックインというイメージでいた私は、どうしてよいかわからず係員に聞いてしまいました。確かにこのシステムなら行き先別のカウンターは不要になり、効率的です。後は、手荷物カウンターに荷物を預けるだけです。




出発前、最後の食事はウナギのだし茶漬けにしました。帰ってくるまで、和食は食べないつもりです。
出国手続きも電子化が始まっていて、その場でパスポートと両人差し指の指紋を登録すると、自動改札を使用できるようになっていました。喜んで登録してしまいましたが、年1,2回の海外ならスタンプの方が後々の記念になっていいかなと反省しました。

機体は、ボーイング777-300シリーズです。エコノミーでも前部座席の背面に液晶ディスプレイが付き、映画などがオンデマンドで見られます。おかげで、日本のライトノベルが原作の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、邦画の「超高速!参勤交代」、「トランスフォーマー/ロストエイジ」の3本も見てしまいました。
日頃ほとんど映画を見ないので3本ともそれなりに面白かったのですが、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のハリウッドらしいご都合主義的なストーリー展開と、それを感じさせないシャープなカット割り、「超高速!参勤交代」の邦画らしい先の読めてしまう日本的なコメディセンス、「トランスフォーマー/ロストエイジ」では、アーサー王の円卓の騎士のイメージを臆面もなく出してくる脚本・監督の面の皮の厚さと、細かいところまでピントの合っているCGのせいでかえってリアリティの感じられない画面などが気になりました。
 最初の食事は、チキンと海鮮のパエリアにしました。
2回目はオムレツ&ベーコンにしてみました。
どちらも特に問題なくおいしくいただきました。


JFKからは、Airtrainに挑戦してみました。AirtrainでHaward Beachまで行き、A-lineに乗り換えて、Broadway JuctionでL-lineにまた乗り換えるという経路です。何しろ、安い。Airtrainが5$、地下鉄が2$50cでマンハッタンまで行けます。時間的には、1時間半見ておけばオーケーというところでしょうか?
最初だったので、メトロカードの買い方がわからなかったり、Airtrainが無人運転なのに驚いたりしましたが、面白い体験でした。
どうしても乗換の時に階段の上り下りが出てくるので、大きな荷物を持った女性だときついかもしれません。また、ラッシュアワー時の使用は難しいと思います。
そこがクリアできれば、最高のマンハッタンへの移動方法だと思います。

4年ぶりのニューヨーク 05 「Cindella」

2014年10月18日 その2
夜はこの旅最初のミュージカル、「Cindella」をBroadway Theatreで見ました。
元々は、1957年にジュリー・アンドリュース主演でテレビ放送のために、リチャード・ロジャースとオスカー・ハーマンスタイン・ジュニアが書いた曲と脚本を基に、舞台版としては制作された物となります。
自分のアイデンティティに悩む王子が国の民主化に目覚め、自分を取り戻して結婚するなど、いわゆる童話の「シンデレラ」と、少しストーリーが変わっていますし、登場人物もかなり増えていました。
この無自覚な者が自我に目覚めて成長するというテーマは、このミュージカルの成り立ちにも重なり、主役の二人にもオーバーラップします、特にシンデレラ役の子は、21歳での主役抜擢、しかも黒人であると言うことで、2重、3重にイメージが重なり、舞台を補強します。
主役の個性のなさは、周りの継母、腹違いの姉妹、魔女、大臣などのキャラクターと、演技力で支えていくという割り切り方は見事で、成功してると思います。
特に、魔女役はあまり必然性もないのに、大げさなドレスへの早替わりをしたり、フライングしながら歌ったりと、大活躍でした。
来年早々のクローズが決まってしまったので、最後のてこ入れのせいかもしれませんが、ブロードウエイのプロダクションの考え方が、よくわかる作品でした。

2014年10月14日火曜日

あうるすぽっとプロデュース「ロミオとジュリエットのこどもたち」

2014年10月2日 19時開演 池袋あうるすぽっと
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:三浦直之
出演:後藤まりこ、永井秀樹、長田奈麻、日高啓介、伊東沙保、田中祐弥、北村恵、重岡獏、島田桃子、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、望月綾乃
マチネの「小指の思い出」に続いて、大作家に挑む若手演出家という図式の、「ロミオとジュリエットのこどもたち」を、同じ日の夜に見ました。
450年前のシェイクスピアなら、直接本人から文句を言われることもないので、いっそ、気が楽かもしれません。
始まってすぐは、ロメオとジュリエットのセリフを荒っぽくなぞるだけで、これはどうなることかと思いましたが、一幕の終わり頃、一通りストーリーをなぞり終わると、突然爆発します。
「金色夜叉」や、「ラブストーリーは突然に」が、カットインしてきて、物語は、新しい方向に舵を切ります。
即ち、「ロミオとジュリエット」を元祖 ボーイミーツガールとして捉え、ボーイミーツガールの大集成を行おうとしたのです。その試みは、大成功とは言えないですが、可能性を見せるという意味では成功していたと思います。現在の三浦直之とロロとしては、これ以外にはあり得ないというような舞台となっていました。前作から目立ってきた三浦直之の演出の力業も、前回同様、良い方向に作用していました。
一応、あうるすぽっとプロデュースでの公演ですが、中身はロロだったと思います。ロロの今後がますます楽しみです。
役者では、伊東沙保が断トツで光っていました。シリアスでも、ファンタジーな演技も素敵でしたが、コメディでも存在感を見せていました。

2014年10月12日日曜日

東京芸術劇場プロデュース「小指の思い出」

2014年10月2日 14時開演 東京芸術劇場プレイハウス
作:野田秀樹
演出:藤田貴大
出演:勝地涼、飴屋法水、青柳いづみ、山崎ルキノ、川崎ゆり子、伊東茄那、小泉まき、石井亮介、斉藤章子、中島広隆、宮崎叶夢、山内健司、山中崇、松重豊
Musician:青葉市子、Kan Sano、山本達久
東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹の作品を若手演出家が演出するシリーズがあるそうで、この「小指の思い出」もその一つらしいです。
受ける方にしたらかなり困難がともなう企画で、なにしろ今や大御所の野田秀樹ですから、ままじ好き勝手なことができるわけもなく、自分色を出し過ぎるわけにもいかず、案配の難しいところだったと思います。
藤田貴大は、実に真面目にに取り組んだと思います。ひょっとしたら、真面目に取り組みすぎたかもしれません。
真面目に取り組んだ結果、明らかになったのは、野田演劇の特徴と魅力は、早口の台詞回しと、野田の特徴ある声に追うところが大きいことがわかります。早口と声色を除いてみると、戯曲の構造は結構唐十郎に似ていること。同じ台詞を繰り返すところが多々見られるが、同じように見える繰り返しでもマームとジプシーと野田作品では全く違うこと。野田作品では、極論すると観客をあおるために繰り返しているように見えるが、マームとジプシーでは、繰り返し自体に意味を見つけ出しているように見えます。
藤田貴大は、野田秀樹から見ると、間に平田オリザを挟んで孫にあたる世代だと思いますが、何かを継承しているようには見えません。大きな意味で言えば、同じ日本で芝居をしているのですから、見たことくらいはあるでしょうが、影響を受けて芝居を造っていった形跡はないと思います。そして、それはとてもよいことだったと思います。

ナイロン100℃「社長吸血記」

2014年10月1日 14時開演 下北沢本多劇場
作・演出:ケラーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅宏城、大倉孝二、みのすけ、喜安浩平、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希実、皆戸麻衣、水野子論、猪俣三四郎、小園茉奈、大石将弘、鈴木杏、岩崎う大、槇尾ユウスケ、山内圭哉
ナイロン100℃の芝居も「デカメロン」、「百年の秘密」に続いて三本目になりましたが、私にはどうしてもこの劇団の芝居が面白いとは思えません。何か、芝居の前提条件と言うか基本的な認識が違っているような気がします。TwitterやBlogで激賞している記事を時々見かけますが、それらを読んでも今ひとつピンときません。
ここは一つ、私にはナイロンの面白さを教えてくれる劇評なり、解説にで出会うまで、見に行くのをやめてみようと思います。
相変わらず、映像の使い方は、居関係ではピカイチだと思いますが、それだけでは積極的に見に行く理由としては弱すぎます。
と、ここまで書いて前の2作品の記事を読んでみたら、両方とも「もう、見ない。」とかそれに近いことが書いてありました。我ながら学習能力の低さに呆れます。

表現・さわやか「The Greatest Hits Of HYOGEN SAWAYAKA」

2014年9月30日 19時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:池田鉄洋
出演:森下亮、佐藤真弓、村上航、いけだしん、岩本靖輝、伊藤明賢、池田鉄洋
スペシャルゲスト:新垣里沙
Good Morning No.5から2日続けての「役者が自分がやりたいことをやるステージ(ただし、コメディに限る)の観劇になりました。
革命アイドル暴走ちゃんも含めると、3本連続となります。比べてみると、表現さわやかの立ち位置と言うか観客との距離感が、今の私に一番ピッタリきました。革命アイドル暴走ちゃんもGood Morning No.5も、自分たちのやりたいことが先走りすぎて、お客に対して押し付けすぎなところが多々あります。Good Morning No.5のほうが経験がある分だけ、押し付け方がマイルドになっていますが、圧力の強さは同じくらいでした。それは決して悪いことではないのですが、時として年寄りの身には堪えます。そんな年寄りにも、表現さわやかは優しかったです。
今回は10周年ということで、今までやったコントから気に入ったものを選び、再構成して一応ストーリーがつながっている形に整えてありましたが、ストーリーがどうのというより、各々のコントが秀逸で笑わせていただきました。特に、オープニングの「山崎パン祭」は上出来でした。
もう一つ、びっくりしたのは佐藤真弓がどの場面でもとても可愛く見えたことでした。今まで色々な芝居で見てきましたが、特に「可愛い」という印象がなかった彼女がなぜかとても可愛く見えました。なかでも、河童は特に素敵でした。

革命アイドル暴走ちゃん「東京デビュー戦 騒音と闇 ドイツ凱旋ver.」

2014年9月29日 20時開演 こまばアゴラ劇場
構成・音楽・演出:二階堂瞳子
出演 : 加藤真砂美、アマンダ・ワデル、高村枝里、相原歩、安藤ゆかり、伊藤彩奈、伊谷亜子、金佳奈美、高麗哲也、小林ありさ、佐賀モトキ、紗弓、鈴木もも、鈴木郁海、染谷彩花、ダイナマイト・バディ夫、竹田有希子、出来本泰史、飛田大輔、橋本考世、廣瀬瞬、藤田一陽、藤本紗也香、宝保里美、堀井和也、森みどり、谷田部美咲、山岡貴之
2012年5月に舞台上での不祥事により解散したバナナ学園純情乙女組が、1年半の時を経て革命アイドル暴走ちゃんとして復活しました。今年の初めに横浜の相鉄本多劇場で公演があったのですが、スケジュールがあわずいけなかったので、復活後初めての観劇となりました。
相変わらずハイスピードで繰り広げられるオタ芸と、全く何を言っているのかわからないマイクパフォーマンス、パワーアップしているのは客席にまかれる水の量と,ワカメや紙吹雪や豆腐の量。それに、多分ドイツ人の女の子(この子はかなりかわいい)。
言っていることは全く変わりがなくて、「あなた方に会えてよかった。私たちの世界に歓迎します。」の一言ですべてが表せると思います。
水もワカメも豆腐も歓迎の印というわけです。
一つ変わったことは、ラストで観客全員を舞台に上げるというパフォーマンスが加わったことでしょうか。歓迎の儀式が一つ増えたというわけです。私は、めんどくさくて、行かなかったら、客席に残ったのが私一人になってしまってかえって目立ってしまいました。
少し気になったのは、舞台に上がったお客さんの多くが喜んでいるというよりは戸惑っているように見えたことです。
初見の時にも書きましたが、私の若い頃にはこのように「観客と舞台の一体感」を創出しようとする試みが、芝居やパフォーマンスや音楽の世界で数多くありました。それらは時には成功もありましたが、時の流れと共に忘れ去られていきました。昔より格段に多い情報が氾濫する現代において、ある程度一体感の創出に成功している革命アイドル暴走ちゃんは、すばらしいと思います。
だけれども、私としては革命アイドル暴走ちゃんの世界の中身をもう少し知りたい。その世界をわかりやすく展開して見せてほしい。その気持ちが強いです。
いつの時代もあのような舞台を造り続けるには、膨大な知力と体力と意思の力が必要です。革命アイドル暴走ちゃんがこのまま走り続けられるのか、方向転換するのか、はたまた、自然消滅するのか,最大の興味はそこにあります。
最後に、前から3列目の真ん中に座ったおかげでジーパンがびしょ濡れになり、帰りの電車で空いているにもかかわらず座れなかったのには参りました。

Good Morning No.5「秋の、死んで貰います祭り!! 地獄の三本同時上演!」

2014年9月27日 19時30分開演 下北沢OFFOFFシアター
作・演出:澤田育子
出演 : 藤田記子、MINAKO、小椋あずき、野口かおる、柿弘美、澤田育子
1年ぶりのGood Morning No.5は、タイトルにもあるとおり三本立てという暴挙でご機嫌伺いに来ました。初見の衝撃が薄れると、面白さより段取りの悪さが目につきます。この手の芝居にそのようなことをいうのも野暮ですが、三本だての無理がたたって転換のドタバタなど、練習不足がが気になりました。2回目ともなると、みんな宙づりが好きなのねとか、野口かおるは裸になるのが結構好きみたいとか、MINAKOはダンサーで話芸はないのねとか、いろいろわかってきます。わかった上で、また見たいかといわれると、微妙なところでしょうか。
見る前は、三本とも見る気満々でしたが、スケジュールの都合で一本しか見られませんでした。一本見た後の感想は、「一本見れば、十分。無理して三本見なくてよかった。」でした。ちなみに私が見たのは、再演の「愛欲の乱」、残りの二本は、藤田記子と若手女優の組み合わせの「愛欲の乱 NEO」と、藤田記子の一人芝居「みっともない」でした。
年に1回のお祭りとして、何も期待しないで見に行けるなら、いいんじゃないでしょうか。