2018年12月28日金曜日

梅棒「超ピカイチ」

2018年12月27日 14時開演 東京グローブ座
作・総合演出:伊藤 今人【梅棒】
振付・監修:梅棒
出演:梅澤 裕介  鶴野 輝一 遠山 晶司 遠藤 誠 塩野 拓矢
櫻井 竜彦 楢木 和也 天野 一輝 野田 裕貴 [以上、梅棒]
千葉 涼平[w-inds.] 納谷 健[劇団Patch] YOU RYO[Beat Buddy Boi]
suzuyaka[Red Print] 一色 洋平 MOMOCA[LUCIFER]
高見 奈央 上西 隆史[AIRFOOTWORKS/ex. WORLD ORDER] マルコ[NEO-Geisha] 雷太
2017年に六本木ブルーシアターでやった「ピカイチ」の再演です。今回は「全日制」「定時制」のキャストを変えての2本立てでした。初演が面白くなかったので、両方見る気になれず、演出変更しているならより変更幅の大きいだろう「定時制」の方だけ見にいきました。
結果は残念ながら面白くありませんでした。このグループは「ただ踊りたいと言う気持ち」が全面的に見えてこないと、単純なストーリー、漫画チックなキャラクターなどが気になって楽しめません。純粋な情熱をわかりやすく表現するのは難しいことなのかもしれません。

2018年12月22日土曜日

東葛スポーツ「平成のいちばん長い日」

2018年12月21日 20時 3331アーツ千代田 ギャラリーB
構成:金山寿甲
出演:菊池明明(ナイロン100℃)、稲継美保、神谷圭介(テニスコート)、木田(ガクヅケ)、篠原正明(ナカゴー)
仕事が急にキャンセルになったので見にいきました。ラップを全面的に採用して芝居をしていくこの劇団では、第一にラップの技術が下手な役者がいるとそれが気になって、集中できません。今回はそんな気になる役者もおらず、それはよかったのですが、それ以降が行けません。注意力が散漫というか、どこにフォーカスしているのかよくわかりません。
ラップも前回の『12時17分、土浦行き』の中のラップがなぜか登場し、さらに悪いことにそれを言葉で紹介するという有様で、印象が散漫なものになってしまいました。
一応、今回は出演している役者がNHKの「おかあさんといっしょ」の出演者に抜擢されるが、契約の文言のために天皇が亡くなると生で第一回の放送をしなければならなくなるかもしれないと言うことで、あたふたすると言うストーリーらしきものがあるのですが、それ自体が説明的すぎて面白みに欠けました。

2018年12月21日金曜日

地点「グッドバイ」

2018年12月20日 19時30分開演 吉祥寺シアター
原作:太宰治
演出:三浦基
音楽:空間現代 
 出演:安部聡子 石田大 小河原康二 窪田史恵 小林洋平 田中祐気 黒澤あすか
地点と空間現代のコラボレーションを見るのは2015年の「ミステリア・ブッフ」以来2回目です。
今回は空間現代の音楽が全体のテンポをきめ、それにのって役者が台詞を言っていくという構成のため、前回よりも見やすいものでした。
そうなると、今度は空間現代の音楽が地点の芝居にとって本当に必要なのかという疑問が出てきます。イェネリク劇では、音楽が芝居の一部でとして必要不可欠なものであると思えましたが、この芝居ではなくてもいいのではないかと思えます。

2018年12月19日水曜日

風姿花伝プロデュース「女中たち」

2018年12月18日 14時開演 シアター風姿花伝
脚本:ジャン・ジュネ
翻訳:篠沢秀夫(白水社)
演出:鵜山 仁
出演:中嶋朋子、コトウロレナ、那須佐代子
私にとってはまた古典と呼べるような芝居を見ました。このような芝居を見にいくきになるのも年を取った証拠だと思います。
「女中たち」は遙か昔に竹邑類の演出でスーパーカンパニーが新宿蠍座で上演したのを見た記憶があります。その時は何をやっているのかさっぱりわかりませんでした。
今回はその時よりもはるかに台本に忠実でわかりやすいものでした。(何しろ、スーパーカンパニーの公演は、男だけで女装した女中が5,6人出てきた記憶があります)
完全に病気の不思議ちゃんにしかみえない中嶋朋子と、中年の俗物根性全開の那須佐代子が素晴らしかったです。
ただ一人残念だったのは、女主人役のコトウレナで、ハーフであるという外見に頼っているだけで、芝居がひどすぎます。女中たちとの対比でかろうじて存在が許されるという感じで、彼女がよければさらに面白かっただろうと思えるのに残念です。

2018年12月7日金曜日

城山羊の会「埋める女~私は正しい~」

2018年12月6日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:山内ケンジ
出演:奥田洋平、坂倉奈津子、福井夏、伊島空、岡部たかし、岩谷健司、金谷真由美
山内ケンジは難しい作家だと思います。彼の書きたいことと私の感覚が近いときには「あの山の稜線が崩れていく」や、「トロワグロ」のような面白い芝居ができますが、ずれているとなんとも言いようのないいいとも悪いとも言いにくい芝居が出てきます。
今回はずれている方で、あまり面白くなかったです。今回で城山羊の会はしばらく休業だそうですが、再開したときは面白い芝居が見たいです。

2018年12月5日水曜日

うさぎストライプ『空想科学Ⅱ』

2018年12月4日 19時30分開演 こまばアゴラ劇場
作・演出:大池容子
出演:斉藤マッチュ(20歳の国)、江花明里(劇団天丼/革命アイドル暴走ちゃん)、高橋義和(FUKAIPRODUCE羽衣)、芝博文、松田文香、松村珠子、木村俊太朗、野村美優、亀山浩史(うさぎストライプ)、小瀧万梨子(うさぎストライプ/青年団)、金澤昭(うさぎストライプ)
行きずりの男と女がホテルで一夜を過ごす。朝起きてみるとなぜか男は頭を斧で割られてしんでいる。その後も、女にだけはその男が見え、話しもすることができる。という、小劇場らしいストーリーで楽しめる芝居でした。主役の斧で頭を割られた男を演じた斉藤マッチュが全体のペースメーカーになって、芝居に間延びしたところがなく、面白かったです。劇団名から鳥公園やワウフラミンゴと同じような芝居をするのかと勝手に思っていたので、いい意味で期待が外れました。

2018年11月30日金曜日

シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.11らまのだ『青いプロペラ』

2018年11月29日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
作:南出謙吾
演出:森田あや 
出演:富川一人(はえぎわ)、田中里衣、林田航平、福永マリカ、今泉舞、斉藤麻衣子、井上幸太郎、猪股俊明
三鷹市芸術文化センター星のホールのネクストジェネレーションのかわいいコンビニ店員飯田さん 第7回公演 『 手の平 』と同じようなテーマ(地方都市の過疎化とコミュニティの変化)、おなじようなリアリズムの演技の芝居でびっくりしました。若手の劇団のでは、このような芝居とテーマが私が知らないだけで、はやっていたりするのでしょうか。
このような社会的な問題を訴えるメディアとして、芝居はもはや向いていないと思いますし、このテーマを介して人間に迫りたいと思っているなら、回りくどいことをしないでダイレクトに迫る方法がいくらでもあると思うのですが、どうなんでしょう。

2018年11月29日木曜日

「命売ります」

2018年11月28日 18時30分開演 池袋サンシャイン劇場
原作:三島由紀夫(「命売ります」ちくま文庫)
脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:東啓介、上村海成、馬渕英里何、莉奈、樹里咲穂、家納ジュンコ、市川しんぺー、平田敦子、川上友里、町田水城、ノゾエ征爾、不破万作、温水洋一
長塚圭史、三浦直之と並んで、私の今気になる演出家であるノゾエ征爾の脚本・演出と言うことで、見にいきました。
埼玉ゴールデンクラブでやったモリエールの「病は気から」の時にも感じたのですが、ノゾエ征爾の言葉というのは優しいようで結構癖があるようで、原作の言葉となじんでいない感じがしました。
今回も同じで、三島由紀夫の華麗な台詞に違和感を感じてしまいます。2つの世界が対立するでもなく、ただそこに並んでいる感じがします。
役者では、平田敦子のそこにいるだけで怒っているような肉体が印象的でした。

2018年11月27日火曜日

ロロいつ高シリーズ vol.7「本がまくらじゃ冬眠できない」

2018年11月26日 14時開演 早稲田小劇場どらま館
作・演出:三浦直之
出演:篠崎大悟(ロロ)、島田桃子(ロロ)、大石将弘(ままごと/ナイロン100℃)、端田新菜(ままごと/青年団)
いつ高シリーズも7本目ともなるといつ高ワールドのようなものが形作られて、その回には登場しない人物との人間関係が有形無形に影響して、それが前のことをよく覚えていない私のような頭の悪い客には、閉塞感というか、風通しの悪さとして感じられます。1本目の現実とファンタジーの微妙な間をいくようなさわやかさがなくなっていくのは残念です。

2018年11月19日月曜日

「セールスマンの死」

2018年11月18日 14時開演 神奈川芸術劇場ホール
作:アーサー・ミラー
翻訳:徐 賀世子
演出:長塚圭史
出演:風間杜夫、片平なぎさ、山内圭哉。菅原永二、伊達暁、加藤啓、ちすん、加治将樹、菊池明明、川添野愛、青谷優衣、大谷亮介、村田雄浩
アメリカ現代演劇の傑作とされる「セールスマンの死」ですが、もともと第二次世界大戦後の社会構造の変化に押しつぶされていく人間を描いたものだと思います。それを演出の長塚圭史は、主人公を傲慢なまでの自信過剰と、極端な自己連哀との間で不安定に揺れ動く弱い人間として描くことで、人間性の本質に迫る事にチャレンジしました。このチャレンジはある意味成功していて、その副作用として周りの人々、息子たちや妻のあり方をも明確に浮かび上がらせるという結果も得ました。
先日の「授業」もそうですが、古典を今上演することの意義がここにあると思います。

2018年11月15日木曜日

good Morning No.5「祝杯ハイウエイ」

2018年11月14日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:澤田育子
音楽:金子隆博
出演:藤田記子、澤田育子、中村 中、鳥越裕貴、小椋あずき、千代田信一、久保田南美、野口裕樹、石田周作、藤沢大悟、田村優依、チカナガチサト、清水宏、MINAKO(米米CLUB)
やりたいことをポジティブに完遂するとこんなに芝居が面白くなると言う見本のような芝居でした。あの狭い駅前劇場を車で暴走すると言うことを、オモチャとはいえ10台以上の車を舞台に乗せて実現した、それだけで十分面白い芝居でした。

good Morning No.5「看護婦の部屋~白の魔女~」

2018年11月14日 16時開演 下北沢駅前劇場
脚本:井上ひさし 脚色・構成・演出:澤田育子
音楽:金子隆博
出演:藤田記子、澤田育子、中村 中、鳥越裕貴、小椋あずき、千代田信一、久保田南美、野口裕樹、石田周作、藤沢大悟、田村優依、チカナガチサト、清水宏、MINAKO(米米CLUB)
井上ひさしがストリップ劇場フランス座にいたときに書いた脚本を、多分忠実に再現したと思われる芝居でした。ただし、生身のおっぱいが出てくるわけでもないので、陳腐なストーリーとへたくそな演技であまり面白いモノではありませんでした。この芝居で特筆すべきは、主役の婦長をやった清水宏です。あの人の芝居の熱量と汗の量はやはり尋常ではないものがあります。
自身の主戦場であるスタンダップコメディでは、ただひたすら燃えまくるだけで客が取り残され、ただ唖然とみているという状態になることがしばしばありますが、芝居のストーリーの中に組み込まれ、他者の演出で演技していると、あの人の怪物感がより良くわかります。それが芝居にうまく合うと芝居の面白さが倍増しますし、合わなくても清水宏のインパクトだけは印象に残ります。

2018年11月2日金曜日

SPAC「授業」

2018年11月1日 13時30分開演 静岡芸術劇場
作: ウジェーヌ・イヨネスコ
翻訳: 安堂信也、木村光一
演出: 西 悟志
共同演出: 菊川朝子
出演:貴島 豪、野口俊丞、布施安寿香、渡辺敬彦
池田有希子とチョウソンハの二人でやった「マクベス」で非常に面白い演出をした西悟志が演出するということを知り、急遽静岡まで見にいきました。
不条理劇の傑作とされるこの芝居は、個人授業を受けに来た女生徒を教授が怒り心頭に発してメタメタにするという話ですが、西はまず教授を性格別に3人の役者に振り分けて演じさせることで、ただひたすらに罵倒されるサンドバックのようだった女生徒にしっかりした人格を与え、主体的な人間にしました。また、女中の役を舞台監督にすることにより、教授の振る舞いを客観的に見る視点を導入しました。
これにより、「授業」は新しい芝居に生まれ変わったと言えるでしょう。

2018年10月26日金曜日

かわいいコンビニ店員飯田さん 第7回公演 『 手の平 』

2018年10月25日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:池内 風
出演:青木友哉(MU)、荻野祐輔(東京エスカルゴ。)、工藤さや(カムヰヤッセン)、小林 樹(カムヰヤッセン)、高川裕也、辻 響平(かわいいコンビニ店員飯田さん)、永宝千晶(文学座)、若松武史
えっと驚くほどのリアリズムで芝居が進行していきます。地方都市の道路再開発に直面し立ち退きを迫られる電気屋の主人と、わざわざ東京からUターンして役所に就職し、立ち退き交渉にあたる息子を巡る物語です。なぜ、今そのようなストーリーをリアリズムでやらなければならないのか、意味がよくわかりません。最終的に息子が役所を辞め、新しいコミュニティの拠点を作るべく民宿を始める計画を話し、周囲の賛同を得るのですが、それを芝居にする意味もよくわかりません。
セットも電気屋の居間のリアルな一杯セットなのですが、息子のマンションのシーンはソファ周りのサス処理、役所での上司との会話シーンは縁側の前でサス処理となり、そこに行く経過説明もなく、芝居の質も変わらないので、違和感が残ります。
三鷹芸術市民センターが毎年やっている「ネクストジェネレーション」という若い劇団を紹介するシリーズの1つとして、このような芝居が選ばれたことが驚きでした。

2018年10月14日日曜日

宮部と宮部ら「『お見合い』ーそこに愛はあるのかなー」

2018年10月12日 19時30分開演 新宿眼科画廊スペースO
作・演出:宮部純子
出演:宮部純子、山村麻由美、小田原直也、西田麻耶、黒田大輔
舞台上の挙動不審者、宮部純子による作・演出の公演。実際に自分が体験したお見合いを元にしているらしい。これが予想よりもかなり面白かった。
宮部純子はいつも舞台上で不安そうである。「私はここにいてよいのか?」「台詞をわすれたらどうしよう」とかいつも心配しているように、おどおどして見える。そこがよいのだが。
今回も前半のうまくいかなかったぎこちない会話のお見合いも、そのリベンジとしてのぞんだ妄想の居酒屋のお見合いでも、その不安さが芝居を支えていたような気がする。
あと、顔芸がすごい。お見合いのリベンジを言い出すまでの顔の変化がこの世の者とは思えないほどすごかった。

ゴールド・アーツ・クラブ「病は気から」

2018年10月4日 15時開演 埼玉芸術劇場大ホール
原作:モリエール
脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:ゴールド・アーツ・クラブ(太陽組)
ゲストキャスト:岡田 正、飯田邦博、井内ミワク、竹口龍茶、富川一人、成田亜佑美、岩坪成美、坂辺一海、井上夕貴、髙橋英希
〈1万人のゴールド・シアター2016〉から派生した、60歳以上のための芸術クラブ活動 〈ゴールド・アーツ・クラブ〉の第一回公演。
良くも悪くのジジイとババアの学芸会、それ以下でもそれ以上でもない。ただ子供は演技をしようとして台詞を言うわけではなく、それがよいところだが、ジジイとババアは何十年も生きてきてなまじ知恵があるだけに芝居をしようとする。それが見ていて煩わしい。
よって、「病は気から」の本編部分はほとんど見ていて恥ずかしくなるだけだ。演出のノゾエ征爾が付け加えた自分の言葉で話す部分は、素直に心に入ってくる。ほとんど、結婚年数と、相手への感謝の言葉だけだが。
学芸会なので知り合いが多数見に来るわけだが、何しろ出演者が多いので(多分、400人弱)、「誰々さんはあそこかしら。メイクしてるからわかりにくいわ。」と、客席が常にうるさい。自分のように演劇的な関心で見に来た者の法が少数派な感じだ。

2018年9月17日月曜日

東葛スポーツ「カニ工船」

2018年9月16日 18時開演 浅草九劇
構成:金山寿甲
出演:長井短、宮部純子(五反田団)、森本華(ロロ)、椎橋綾那、川﨑麻里子(ナカゴー)、板橋駿谷(ロロ)、森一生(阿佐ヶ谷スパイダース)、玉田真也(玉田企画)
客入れ中に流れる映像は、山村聡初監督作品の「蟹工船」、1953年の発表で今見ると古くさい、左翼臭満載のプロパガンダにしか見えない。
オープニングは、なぜか役者が蟹網をひくという状況のなか、漁猟長の板橋駿谷が客のキャンセル、青年団や、小劇場の現状をディスりまくるというもので、板橋のパワーで押し切って面白い物でした。
本編にはいると、話はピースボートで世界一周の旅に出るという設定で、カンボジア、シリア、ブラジルなどを回ります。
珍しくストーリーのような物があります。
しかし、役者のラップのリズム感が悪くて、切れがありません。何度も出演していてそこそこできるはずの森本華もぱっとしません。
今回は全員がワイヤレスマイクで、ケーブルの絡みを気にすることもなく集中できるはずなのに、盛り上がりに欠けます。
機材の向上が芝居の質の向上に必ずしも貢献しないという典型的な例でした。

2018年8月29日水曜日

ヤリナゲ「みのほど」

2018年8月28日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作:越 寛生
構成・演出:(劇)ヤリナゲ
出演:阿岐之将一、秋本雄基(アナログスイッチ)、浅見臣樹((劇)ヤリナゲ)、大田彩寧(しあわせ学級崩壊)、Q本かよ、小寺悠介(青年団)、小林義典(クロムモリブデン)、澤原剛生(劇団普通)、塩原俊之(アガリスクエンターテイメント)、田久保柚香、田中健介(しあわせ学級崩壊)、豊田可奈子、中山まりあ

三鷹市芸術文化センター WEBサイトより引用。

<お客様へ>

(劇)ヤリナゲ『みのほど』は昨日、8月24日(金)に幕を開けました。
8月18日(土)の発表のとおり、越寛生さんは病気で演出を担うことができなくなったため、本作品は、構成・演出:(劇)ヤリナゲとして上演をしております。今回の『みのほど』は、越さんの執筆時の構想、集めた資料、また過去の越さんの短編作品を中心に、構成し創作した作品です。

なお、上記のような構成に変更されたことと、越さんの不在により、相談のうえ、國吉咲貴さん、三澤さきさんは出演を辞退されることになりました。本公演は國吉さん、三澤さんの代役は立てずに13人で上演しております。
今回の國吉咲貴さん、三澤さきさんの決断は、作品や創作へ向き合う誠実な姿勢であり、お二人に非のある行動ではありません。

越寛生演出による新作本公演『みのほど』を心待ちにしてくださった皆様、また國吉さん・三澤さんの出演を楽しみにしてくださった皆様には深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありません。

公演は9/2(日)まで続きます。出演者・スタッフ一同、誠心誠意最後まで創作を続けてまいります。
より多くのお客様に現在の(劇)ヤリナゲの作品をご覧いただけますと幸いです。ぜひ劇場に足をお運びくださいませ。

2018年8月25日
公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団

(劇)ヤリナゲ

引用終了

同様の内容のメールが事前に届きました。払い戻しにも応じるとのことでした。
私はヤリナゲの芝居を見たことがなかったので、作・演出家の不在がどの程度の影響を与える劇団なのかもわからないので、そのまま、見ることにしました。ただ、作・演出家の不在にともない二人の役者が出演を辞退したという事実からして、うまくいかないだろうと覚悟はしました。
結果は案の定、久しぶりに見た「頭でっかちな学生演劇」そのものでした。
内容は、過去の作品のシーンをコラージュして一本の作品にし、作・演出家の言いたいことを表現しようする、その試行錯誤の課程も含めて舞台にのせるというものでした。
まあ、今時なら誰でも考えつきそうプランですが、やり方によっては面白くなるかもしれないプランだと思います。
ただ、それを素直だけが取り柄の役者だけでやると、見るも無惨な「学生演劇」になるという見本みたいでした。
やはり、性根の曲がったひねくれた頑固者である演出家の(よく言えば、客観性のある)存在が不可欠なのだと、再確認しました。

2018年8月28日火曜日

入江雅人「ゾンビフェスTHE END OF SUMMER 2018」

2018年8月27日 19時開演 渋谷 GKBKシブゲキ
主宰・構成・作・演出:入江雅人
出演:入江雅人、入手杏奈、オクイシュージ&野口かおる、かもめんたる、坂本頼光、 清水宏、立川志ら乃、塚本功

2018年8月24日金曜日

劇団☆新感線「メタルマクベス Disc1」

2018年8月23日 18時開演 豊洲ステージアラウンド東京
原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より
作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
音楽:岡崎 司
振付&ステージング:川崎悦子
出演:橋本さとし、濱田めぐみ、松下優也、山口馬木也、猫背 椿、粟根まこと、植本純米、橋本じゅん、西岡德馬、山本カナコ、礒野慎吾、吉田メタル、村木 仁、冠 徹弥、富川一人、小沢道成、穴沢裕介、Erica、見目真菜、齋藤志野、鈴木智久、鈴木奈苗、橋本奈美、原 慎一郎、山崎朱菜、山﨑翔太、米花剛史、渡辺翔史、藤家 剛、工藤孝裕、菊地雄人、熊倉 功、あきつ来野良、横田 遼、北川裕貴、紀國谷亮輔

2018年8月23日木曜日

大人の麦茶 第25杯目公演 「おしり筋肉痛」

2018年8月22日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:塩田泰造
出演:池田稔(Wキャスト)、 中神一保(Wキャスト)、 並木秀介、 宮原奨伍 、 岩田有弘 、 辻久三、 佐藤大介 、 宮寺貴也、 浅田光 、 清水佐紀 、 江田恵(ソラカメ)、 石井杏奈(演劇女子部) 、 松田かほり、 和泉宗兵

作・演出の塩田泰造の骨折事故により、約1年前に上演した作品を再演することにしたようです。再演にあたり、演出家によるチェックはほとんどできなかったようで、前半は新しく付け加えたのであろうギャグが浮きまくって、耳障りでした。ギャグが身を潜めた後半は、ストーリーの展開に身をゆだねることができましたが、ご都合主義な設定、STAP細胞事件を思わせる女性科学者が陰のオーナーである小学校を改造した宿泊施設や、他人の腸内フローラを飲むとその人の性格になるなどを押し流していくほどの熱量はなく、なんだか適当なエンディングだなあという感想だけが残ります。
やはり、演出の必要性は高いです。
(この文章は、同じく演出家不在の公演をおこなった劇団ヤリナゲの公演を見て追加しました。)

2018年8月16日木曜日

NICE STALKER「ロリコンのすべて」

2018年8月15日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:イトウシンタロウ
出演:帯金ゆかり、フジタマコト、藤本紗也香、山本光、佛淵和哉、白勢未生(箱庭円舞曲)、南米仁、善雄善雄(ゴジゲン)、宮武佳央(劇団ハーベスト)

したため「文字移植」

2018年8月14日 14時開演 こまばアゴラ劇場
原作:多和田葉子
演出・構成:和田ながら
出演:穐月萌 岸本昌也 菅一馬 多田香織(KAKUTA)

2018年8月11日土曜日

阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」

2018年8月10日 19時開演 吉祥寺シアター
作・演出:長塚圭史
出演:中村まこと、大久保祥太郎、木村美月、坂本慶介、志甫真弓子、伊達暁、ちすん、
長塚圭史、中山祐一朗、藤間爽子、森一生、李千鶴

再劇団化した阿佐ヶ谷スパイダースを初めて見ました。以前の阿佐ヶ谷スパイダースはTVで舞台中継を見た程度なので、前と比べてどうのこうのという感想はありません。全体の印象は、作・演出の無茶ぶりを主演の中村まことが一人で演技で跳ね返して芝居を成立させている、中村まこと、エライ。というところです。
時々、台詞が唐十郎的な過剰な叙情性を帯びるところがありますが、その後はそれを打ち消すような素っ気ない台詞が続きます。あたかも無意識に書いてしまった唐的な台詞にびっくりして、慌てて打ち消しているような感じでした。
唐的な叙情性の影響の大きさを感じました。

2018年8月10日金曜日

イデビアン・クルー「排気口」

2018年8月9日 19時30分開演 世田谷パブリックシアター
振付・演出・出演:井手茂太
出演:安藤洋子(ザ・フォーサイス・カンパニー)、東さくら、金子あい、斉藤美音子、菅尾なぎさ、中尾留美子、依田朋子、小山達也、中村達哉、佐藤亮介、/原田悠、松之木天辺

2018年8月8日水曜日

CHAiroi PLIN 踊る童話「THE GIANT PEACH」

2018年8月6日 15時開演 池袋あうるすぽッと
原作:ロアルド・ダール「おばけ桃の冒険」
訳:田村隆一訳/N・E・バーカート絵(評論社刊)
振付・構成・演出:スズキ拓朗
出演:エリザベス・マリー、清水ゆり、ジョディ、ジントク、岩坪成美、福島 梓、柏木俊彦、朝比奈尚行、スズキ拓朗、青木萌、岡村 樹、小林らら、西 若菜、二ノ戸新太

2018年8月7日火曜日

ロロいつ高シリーズvol.6『グッド・モーニング』

2018年8月6日 19時30分開演 早稲田どらま館
作・演出:三浦直之

出演:望月綾乃(ロロ)、大場みなみ
早いものでロロの「いつ高」シリーズも6本目です。多分、すべて見ていると思いますが、今回は久しぶりの良作だと思います。1本目、2本目の新鮮さがもっとも印象的でしたが、それに続く作品です。二人芝居というシンプルさがよい結果を招いたような気がします。ただ、望月綾乃が女子高生と言うよりは、おばさんに見えてしまうのが残念です。

2018年8月1日水曜日

ゲキバカ「Death of a Samurai」

2018年7月31日 19時開演 中野テアトルBONBON
作:佐々木智宏
演出:柿ノ木タケヲ
出演:Aチーム 伊藤今人(ゲキバカ)、志村朋春(ゲキバカ)、水原ゆき、富樫世羅、山咲和也、日向みお

2018年7月27日金曜日

昇悟と純子「Last Scene」

2018年7月26日 19時30分開演 三鷹SCOOL
作・演出:大北栄人
出演:古関昇悟、宮部純子

2018年7月19日木曜日

劇団献身 『死にたい夜の外伝』

2018年7月17日 19時開演 下北沢OFFOFFシアター
脚本・演出:奥村徹也
出演者:加瀬澤拓未、木村圭介(以上、劇団献身)、大垣友、古賀友樹、渋谷裕輝、田島実紘(劇団スポーツ) 、タナカエミ(Dr.MaDBOY)、福富朝希、吉田電話(クロムモリブデン)

2018年7月12日木曜日

「フリー・コミティッド FULLY COMMOTED」

2018年7月12日 19時開演 DDD 青山クロスシアター
作:ベッキー・モード
翻訳:常田景子
演出:千葉哲也
出演:成河

2018年7月10日火曜日

Kawai Project 「ウィルを待ちながら──歯もなく目もなく何もなし」

2018年7月2日 19時開演 こまばアゴラ劇場
作・演出:河合祥一郎
出演 :田代隆秀、髙山春夫
「ゴドーを待ちながら」のフォーマットで、シェイクスピアの台詞を二人の役者が言い合うという芝居。
出演者の一人、田代隆秀は「シェイクスピア・シアター」の創立メンバーで、ほとんどのシェイクスピアの芝居をやったことがあるというベテラン。もう一人の髙山春夫は「早稲田小劇場」の出身で、蜷川幸雄の元で数々のシェイクスピアに出演経験があるというベテラン役者。
これくらいのベテランになると、あの形容詞の連続するシェイクスピアの台詞も言い慣れていて違和感がない。
若い役者がシェイクスピアをやるときにいつも感じる「お前は台詞を間違えずに言うのに必死で、内容が全くイメージできてないだろう。」という違和感を感じることはない。
ただ、この芝居の面白さは、「あのシェイクスピアのあの台詞がこんなかたちでつかわれている。」と理解して、にやりとするところにあると思う。
その点、シェイクスピアに暗い私はそんなに楽しめなかった。
たぶん、一番楽しんだのは、この本を書いた河合祥一郎だろう。

2018年7月4日水曜日

東京デスロック+第12言語演劇スタジオ 『가모메 カルメギ』

2018年7月2日 19時開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
原作:アントン・チェーホフ『かもめ』
脚本・演出協力:ソン・ギウン
演出:多田淳之介
出演:夏目慎也、佐山和泉、佐藤 誠、間野律子ソン・ヨジン 、イ・ユンジェ、クォン・テッキ、オ・ミンジョン、マ・ドゥヨン、チェ・ソヨン、チョン・スジ、イ・ガンウク

2018年6月27日水曜日

「スワン666」

2018年6月26日 20時開演 北千住BYoY
作・演出:飴屋法水たち
出演:山縣太一、加藤麻季、小田尚稔、飴屋法水

Serial Number「Next Move」

2018年6月25日 20時開演 清澄白河ザ・フレミングハウス
作・演出:詩森ろば
出演:田島亮、佐野功

地点「忘れる日本人」再演

2018年6月21日 19時30分開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
作:松原俊太郎
演出:三浦基
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、麻上しおり、 小林洋平、田中祐気


2018年6月21日木曜日

モメラス「青い鳥完全版」

2018年6月20日 20時開演 横浜STスポット
作:モーリス・メーテルリンク
訳:堀口大學
演出:松村翔子
出演:安藤真理 、井神沙恵、 上蓑佳代、 海津忠、 黒川武彦、 中野志保実、 吉田庸、 和田華子

2018年6月19日火曜日

東葛スポーツ 『12時17分、土浦行き』

2018年6月20日 20時開演 3331アーツ千代田 ギャラリーB104
構成:金山寿甲
出演:田畑菜々子(ナカゴー)、藤本美也子、石井エリカ、雪深山福子、渡辺ひとみ、村上さくら、寺田華佳、高羽快、川井檸檬、森一生(阿佐ヶ谷スパイダース)

2018年6月15日金曜日

地点「山山」再演

2018年6月14日 19時30分開演 神奈川芸術劇場中小スタジオ
作:松原俊太郎
演出:三浦基
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、小林洋平、田中祐気、麻上しおり

2018年6月13日水曜日

モダンスイマーズ『悲しみよ、消えないでくれ』再演

2018年6月11日 19時開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:蓬莱涼太
出演:古山憲太郎 小椋毅 生越千晴 西條義将(以上モダンスイマーズ)/
今藤洋子 伊東沙保 岩瀬亮 / でんでん

2018年6月11日月曜日

トニー賞 2018

2018年6月11日
2018年度のトニー賞の発表がありました。
ミュージカル作品賞は「Band's Visit」でした。
トニー賞の選考には作品の芸術的な質よりも、興業的な要素(今後、最も売りたい作品が選ばれやすいという傾向)が強い事は十分承知していますが、それでも自分が見た作品の中で最も面白いと思ったものが選ばれるのは嬉しいものです。
「Band's Visit」は結構強力で、合計10部門
・ミュージカル作品賞
・ミュージカル主演男優賞 トニー・シャルーブ
・ミュージカル主演女優賞 カトリーナ・レンク
・ミュージカル助演男優賞 アリエル・スタッチェル(ブロードウェイデビュー)
・ミュージカル演出賞 デヴィッド・クローマー
・ミュージカル脚本賞 イタマール・モーゼス(ブロードウェイデビュー)
・ミュージカル照明デザイン賞 タイラー・マイコロウ
・ミュージカル音響デザイン賞 カイ・ハラダ
・オリジナル楽曲賞 デヴィッド・ヤズベック
・編曲賞 ジャムシールド・シャリフィ
で、受賞しました。
主演男優賞のトニー・シャルーブは、日本ではTVドラマの「警部モンク」の潔癖症の警部でおなじみですが、トニー賞チャレンジは3回目、前2回はストレートプレイだったようですが、3回目でミュージカルでの受賞になりました。まあ、ほとんど唄わないので変わりないと言えば変わりないのかもしれません。
主演女優賞のカトリーナ・レンクは素晴らしくて、作品賞受賞の7〜8割はこの人のおかげなのではないかと思います。砂漠の真ん中の何もない町の唯一のカフェの女主人で、「ラジオから聞こえるアラビックソングに自由を感じる。」とつぶやきながら生きていく様に、エロティックなまでになまめかしい、生きていく意志を感じました。
助演男優賞のアリエル・スタッチェルは、女性とみれば「Do you know Chet Berker?」「My funny Valentine 〜♪」と歌い出し、決め台詞は「Your eyes is beautiful」と口説くという古くさいパターンを真面目に演じて笑わせてくれました。今時、Chet Berkerなんて誰が知っているのでしょう。
演出も照明デザインもストレートプレイ畑の人らしく、奇をてらったところのない真面目な演出でこの物語にフィットしていました。
「Next to normal」あたりから顕著になった、ファンタジーと言うよりも現実的な問題を扱ったシリアスなミュージカルは、昨年のトニー賞受賞作「Dear even Hanson」やこの「Band's Visit」に広がり、ブロードウエイミュージカルの新しい波として定着したようです。

2018年6月7日木曜日

地点「山山」

2018年6月6日 19時30分開演 神奈川芸術劇場中小スタジオ
作:松原俊太郎
演出:三浦基
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、小林洋平、田中祐気、麻上しおり

2018年5月28日月曜日

Newyork 2018 Vol.25 SWEENEY TODD

2018年5月27日 14時開演 Barrow Street Theatre

2階席を入れても100名足らずの小さな小屋で、劇場内はロンドンのパイショップの店内。下手にカウンター、センターに2階にいく階段、上手がバンドスペースでバンドは、ピアノとバイオリンとクラリネットの3名だけでした。
観客はパイショップの客として、長テーブルに向かい合って座るという趣向です。
当然、芝居は壁際だけでは収まらず、長テーブルの上、客席通路などあらゆるところを使っておこなわれます。当然、理髪用イスの仕掛けなどはありません。ストーリーも最後までいかず、スイニートッドとラヴェット夫人が人肉入りパイで大もうけしようと唄うところで、突然終わりです。びっくりしました。

Newyork 2018 Vol.24 THE BEAST IN THE JUNGLE

2018年5月26日 20時開演 Vineyard Theatre
スーザンストローマン演出の舞台と言うことで見にいきました。ユニオンスクエアの150人くらいの小さな劇場でした。スーザンストローマンのニューヨーク演出デビューの劇場らしく、劇場設立35周年記念公演シリーズのラストの演目とのことです。
スーザンストローマンの名前を意識したのは、トニー賞を取った「CONTACT」だったと思います。その後、「MUSICMAN」の舞台を見て、振り付け家出身らしいステージングがうまい、流れるような舞台を作る人だなあと言う認識でした。
今回も、主役の3人と6名のダンサーをうまく使って、様々なシーンをよどみなくつなげていくところはらしいと思いましたが、主人公が女性への想いをダイレクトに情熱的に言いつのるところがあって、びっくりしました。

2018年5月27日日曜日

Newyork 2018 Vol.23 My Fair Lady

2018年5月25日 20時開演 Vivian Beaumont Theater
リンカーンセンターは、独自のセレクションでミュージカルのリバイバル公演をおこなっており、「南太平洋」や「王様と私」、始まってすぐ退席した「回転木馬」もここで見ました。
この劇場の大きな特徴は、舞台から見て客席がほぼ180度に広がっており、客席に半円の張り出し舞台が突き出ている構造になっています。この張り出し舞台の下はオーケストラピットになっており、張り出し舞台は奧にスライドすることで、オーケストラピットが見渡せるようになります。
過去の公演では、客入れ時にオケピットが開いていてオーバーチェアを演奏し、その後しまる。もしくは、休憩中に開いて2幕の頭の演奏するオケが見える。のどちらかの演出が必ずありました。
しかし今回は、張り出し舞台の上に大きな盆が組まれていて開きそうにもありません。どうなることかと思って見ていたら、2幕の幕が上がった途端、上手から大きなバンド台が出てきて、その上にフルオーケストラが乗っていました。思わず、笑ってしまいました。
無事、伝統は守られました。
もう一つ、この劇場で不思議なのは舞台装置です。様々な演目に合わせて様々な装置が作られるわけですが、どれも見切れの多い、まるでフルセットを計画したが予算と時間の都合でメインを残して細部をばっさりカットしましたと言わんばかりの姿に見えることです。多分、客席が180度近くに開いているため、かなりの客席から袖中が見えてしまうが、それに細かく対応していると役者のハケや転換ができなくなるので、その対応はばっさりやめた結果だと思います。
さて、肝腎の今回のミュージカルですが、My Fair Ladyといえば映画のオードリーヘップバーンのイメージが強くて、ついつい比べてしまうのですが、比べてしまえば、「残念です」としか言えない状況になります。
特に、訛りも直って舞踏会に出る前夜、正装して登場したイライザが全然キレイに見えないのは、このミュージカル最大の見せ場で滑っているとしか思えないので、誠に残念です。
今の時代性を反映して、訛りを直すのも舞踏会に行くのも、その後のこともイライザが自分の意志で決めていくという演出になっています。
それにしても、ヒギンス教授がほとんど唄わず、リズミカルに喋るだけというのは映画以来の伝統なのでしょうか。


2018年5月25日金曜日

Newyork 2018 Vol.22 Hamilton

2018年5月24日 19時開演 Richard Rodgers Theatre
ここ数年の最大のヒットミュージカル Hamiltonを見ました。

アメリカ建国の父の一人で、合衆国憲法の草案を作り、中央銀行を作り、アメリカ建国当時の財政、外交政策の中心人物で、建国の父の中でただ一人、貧民層の出身だったという人物の伝記ミュージカルです。概略だけ眺めてもドラマチックで、盛り上がる要素が満載です。
ミュージカルとしての最大の特徴は、台詞部分がほとんどラップでできていることです。これにより台詞から歌へ移行するときの違和感がほとんどなくなります。また、全体を通して一定のリズムが感じられ、芝居が前に進んでいく力が強く感じられます。
このミュージカルが大ヒットした背景には、トランプ大統領の登場という事件が大きくかかわっていると思います。トランプの登場に危機感を持った人々が、ハミルトンの政府の考え方、「騎士道的な倫理にたつ政府。すなわち,dignity(威厳)& grace(高雅),intellectuality(知的性),pride(矜持)、justice(正義),morality(道徳性)」に共感したことがヒットの大きな要素だったと思います。