2014年5月18日 13時開演 下北沢OFFOFFシアター
作:サミュエル・ベケット
構成・演出:小倉昌之
出演:高畑加寿子、小倉昌之、関口英司、沢井エリカ、角野竜太、戸澤進
今まで見た「ゴドーを待ちながら」の中で自分が思い描く芝居に最も近い上演でした。ただし、それは方向性が近いということで、できあがりは色々と不満があります。
ポイントは、この芝居を喜劇ととらえて台詞を関西弁とし、帽子のやりとりなどのコメディの体芸をはっきりと際ただせた演出にあります。
関西弁にすることで、会話のリズムがはっきりとし、芝居の流れがスムーズになったことは大きな進歩です。また、テンポがよくなったことで要所要所で繰り返される「ゴドーを待つんだ」という台詞の意味がよりはっきりしてきます。ただし、それにたいするエストラゴン(高畑加寿子)の反応は、大げさなだけでいただけませんが。
さて、方向性が私の好みだということになると、次に気になるのはその到達点です。これは、残念ながら納得できるものではありませんでした。作者のサミュエル・ベケットはバスター・キートンとチャップリンのコンビで上演されることを望んでいたといわれていますし、日本でもツービート、星セント・ルイス、コント55号でやったら面白いのではないかといわれたりするように、漫才やコントの芸人が演じた方がよりよい舞台ができるでしょう。要するに演技を見せるのではなく、「素の自分」を見せているような演技が必要とされているのです。そこが、この芝居の面白いところであり、難しいところです。
多分、私の好きな戯曲 No.1であるこの芝居について、長年思っていたことが間違いではなかったことがわかって、嬉しいです。
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