2013年2月27日水曜日
柿食う客「発情ジュリアスシーザー」
2013年2月25日 19時30分開演 青山円形劇場
原作:ウイリアム・シェイクスピア
脚色・演出:中屋敷法仁
出演:石橋菜津美、岡田あがさ、岡野真那美、荻野、川上ジュリア、七味まゆ味、清水由紀、鉢嶺杏奈、葉丸あすか、深谷由梨香、我妻三輪子、渡邊安理
約3週間ぶりの芝居見物だったので楽しみに寒い中でかけましたが、残念な結果に終わりました。中屋敷の演出は最初に見た「絶頂マクベス」は「キャッチーで面白い」と思いましたが、次のパルコの「露出狂」はかなり残念なできだったので、演出手法に飽きてきたのかなとも考えました。それにもめげず見た3本目は、シアターイーストで行われた「無差別」。これは、かなり良い出来で面白いものでした。そして、今回4回目はまたまた残念なパターンでした。彼の芝居は、始まってすぐに面白いかどうかわかるので、面白くない場合は残りの時間を耐えるのが大変です。
中屋敷の演出の基本は、「見得を切る」芝居をし続けることにあると思います。これは時系列的に考えて、つかこうへいの芝居の影響だと思います。そしてつかこうへいのルーツは、大衆演劇の「見得」にあります。大衆演劇において「見得」をきることが許されるのは、その劇団の花形役者だけでした。それは、「見得」をきるためにはその芝居、その劇団を背負うだけの力量と人気が必要だったからです。
つかこうへいの芝居においては、その役者の資質にあった「見得」を見つけるために、あの有名な「口だて」の稽古で、少しづつ台詞を変えながら繰り返し繰り返し稽古が行われました。
中屋敷の「見得」を成立させる方法論は、台詞を厳密に組み合わせて役者同士がより緊密に支え合う構造を作り出し、大上段の見得の連続を成立させていく、というようなものだと思います。それが、うまく回転してテンションが維持、上昇していけば、「絶頂マクベス」や、「無差別」のように面白いものになるし、歯車が何かの原因で狂えば、今回のように残念な結果になるということです。今回などは、頭からストーリーを早口の大声で説明しているだけにしか聞こえず、うんざりしました。
その中での救いは、他とスピードを合わさず自分のテンポを守り通した七味まゆ味と、「見得」を失敗するという荒技で輝いた岡田あがさの存在でした。あの二人がいなければ、90分の芝居がさらに辛いものになっていたことでしょう。
もう一人、ブルータスの奴隷、ルーシアスを演じた我妻三輪子も可愛かったです。私はどうも、狸顏で息が漏れているような喋り方の演技をする女優に弱いようです。
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