2013年2月27日水曜日



ナイロン100℃「デカメロン21あるいは男性の好きなスポーツ」
2013年2月26日 18時30分開演 渋谷シブゲキ
作・演出:ケラーノ・サンドロヴィッチ
映像:上田大樹
出演:みのすけ、松永玲子、新谷真弓、喜安浩平、廣川三憲、藤田秀世、長田奈麻、安澤千草、吉増祐士、植木夏十、眼鏡太郎、皆戸麻衣、猪俣三四郎、水野小論、伊予勢我無、野部青年、小園茉奈、白石廿日、菊池明明、森田甘路、木乃江祐希、内田滋、安藤聖、松本まりか、千葉哲也、熊川ふみ、徳橋みのり、望月綾乃、森本華
ナイロン100℃創立20周年記念公演第一弾として企画された2004年初演の「男性の好きなスポーツ」の再演だそうです。当日パンフレットによれば、諸所の事情により「初演台本をサンプリングし、リミックスした」台本での上演となったようです。実際本番には、それを強調するかのように、突然のブラックアウトや、ラジオの局間ノイズのような効果音、ブラウン管の砂嵐のような映像が繰り返し挿入されていました。
初演を見ていないので比較はできませんが、改訂されたデカメロンはあまり笑えない艶笑コント集のような出来上がりでした。よく言えば、突然出てくる二人の謎の演劇の世界をコントロールしているらしいえらい人の存在を考慮して、メタ演劇とよんでもいいかもしれません。いずれにしても、あまりパワーの感じられないショボい出来でした。
唯一面白いと感じられたのは、映像の使い方でした。プロジェクションマッピングの技術の発達によって可能となった役者の動きと合わせた映像表現が随所に見られ、新鮮でした。プロジェクターの発達により、映像の光だけで、役者の表情や動きまで見えるようになり、照明によってかき消されていた映像のディティールまでしっかり見えるようになりました。今後、映像のわかる演出家と舞台がわかる映像作家の組み合わせにより、舞台上で新しい表現方法が見られる可能性を信じるのに十分な出来栄えでした。
映像プロジェクションのできるムービング機材DL-1がデビューした時に、「照明家が始めて具象性を始めて手にできるチャンスだ。」と思ったことを思い出しました。その後、コストの問題などで普及するには至りませんでしたが、プロジェクションマッピングの登場でまた、可能性が出てきました。将来、すべて映像投影に置き換わるとは思いませんが、照明家と映像作家の住み分けと協力により新しい表現方法が、ドンドン出てくると思います。

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