2015年10月20日火曜日

木ノ下歌舞伎「心中天の網島」

2015年10月5日 19時開演 こまばアゴラ劇場
作:近松門左衛門
監修・補綴:木ノ下裕一
演出・作詞・音楽:糸井幸之介
出演:伊東沙保、小林タクシー、島田桃子、武谷公雄、西田夏奈子、日高啓介、若松朋茂
洋の東西を問わず、古典を演じるのは難しいことだと実感しました。
杉原邦生があまり好きではないので見にいかなかった木ノ下歌舞伎ですが、今回、演出がFUKAI PRODUCE 羽衣の糸井幸之介であること、伊東沙保が出演していることで見にいきました。
今回の上演では現代語と七五調の台詞、さらに歌まであって、観客を楽しませてくれるのですが、問題は七五調の台詞です。役者に古典の素養があるか、もしくはそれに変わる何かがないと,ただ怒鳴ったり上滑りなったりするだけで、台詞が聞こえてきません。その点、合格なのは伊東沙保と武谷公雄の二人だけでそれ以外は全然だめでした。この差はひとえに役者の技量の差でしょう。
オープニングの歌で、丁稚役の若松朋茂が自分のソロパートの頭で大きく音を外して歌い出したときにはどうなることかと思いましたが、その後は何とか持ち直して進み出したときには、密かにほっと胸をなで下ろしました。
古典では、様々にディフォルメされたキャラクターをリアリティを持って演じることが要求されると思うのですが、七五調と現代語の入り混じったこの形式では、それがいっそう困難になっているようにも感じました。
一部では、この木ノ下歌舞伎の意義を高く評価する動きもあるようですが、私にはあまり意義が感じられませんでした。

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