2015年10月20日火曜日

ロ字ック「鳥取イブサンローラン」

2015年10月6日 19時30分開演 下北沢シアター711
作・演出:山田佳奈
出演:堂本佳世、小林小倫、小川夏鈴、遠藤留奈、日高ボブ美、山田佳奈、那木慧、鈴木理学、圓谷健太、山田ジェームス武
一番印象的だったのは、ロ字ックの制作によるであろうTwitterのこの芝居の感想のリツィート攻勢でした。こまめにエゴサーチしてリツィートしているらしく,一時期、私のタイムラインは鳥取イブサンローランの感想であふれかえりました。それによると、「女性のいやなところを余すことなくさらけ出し、観劇後も体の震えが止まりませんでした。」とのことで、それだけ読むと大傑作のように思えます。
実際見てみると、それほどのととはないという感じです。確かに、「言いたいことはある。でも、どう言っていいかわからないまま、芝居にしてしまった。」というのが正しいところだと思います。
主人公の女性の「自分の性格のいやなところを考えると、うわーという感じになる。」という台詞などは、私が男だからもしれませんが、「なんじゃ、それ?」という感じにしかなりません。
決定的にまずいのは、手首を切って入院していたチーママ(山田佳奈)が復帰したウエルカムパーティーで、「私はこういう生き方しかできないから」という前置きつきで店の女の子達に「私のお客さんと寝ただろう。」と,問い詰めるシーンです。ここで今まで本音とお愛想が入り混じった生ぬるい空気が、一気に本音同士がぶつかり合う緊迫した空気に転換しなければいけないのに、山田佳奈の芝居が下手すぎてグダグタになり、壁をぶち破る激しい芝居も、段取りにしか見えなくなってしまいました。
当日パンフに作・演出の山田佳奈がご挨拶として、「初演の台本を読み返すと、ハチャメチャだったんだなと思う。行き過ぎた自意識と未熟な技量。パンクだった。自分のことを理解してくれない大人に,唾を吐く気持ちも強かった。でも、今は、そういう感情を忘れつつあるのです。葛藤することはまだまだ絶えないけれど、それでもいろいろ許すことができるようになりました。」と、書いています。
これを読んで芝居を見ると、初演の方が面白かったのではないかとさえ思えてしまいます。言いたいことを表現できる新しい方法論も見つけられないまま、年だけ取ったのかもとも思えます。

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