作・演出:山内ケンジ
出演:岸井ゆきの、石橋けい、ふじきみつ彦、成瀬正太郎、原田麻由、岩谷健司、島田桃衣、KONTA
最初に城山羊の会を見た時にこれは不条理劇だと書きましたが、それは私の勘違いだったようです。2回、3回と見ていくうちに、山内ケンジが描きたいのは人間の意識がふとずれる、いわゆる「魔が差す」瞬間なのではないのかと思うようになりました。
亡くなった夫を愛していたはずなのに、初めて会った怪しげな男に心を奪われる。そして、結婚までしてしまう。周りからも認めらる常識的な生き方から、突然スイッチが切り替わったように、別の世界にはいってしまう。そんな瞬間を舞台上に表すことに興味があるように見えます。
そんな役目を負わされて舞台に登っている役者たちは、皆少しだけ自信なさげに見えます。ただ、芝居をするだけでは許されないことが、プレッシャーになっているのでしょうか。その不安が周りを探るような芝居として表れ、いわゆる大人の会話的な雰囲気を醸し出して、城山羊の会の芝居らしさを作っているような気がします。
今回の芝居の最大のポイントは、三鷹市芸術文化センター職員の森元さんでした。彼は、前説として現れ、一般的な諸注意を述べた後、実は、城山羊の会の三鷹市芸術文化センターでの最初の公演の時、自分はすぐ殺される夫の役で出演したと話出します。そこに銃声の効果音。森元さんはまたもすぐ殺される役で出演していたの
でした。その上、ラストでは亡霊となって現れ、そのまま終演の挨拶までしました。
でした。その上、ラストでは亡霊となって現れ、そのまま終演の挨拶までしました。
最近見た芝居の導入部としては、最も面白いものでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿