2013年12月4日水曜日

リミニ・プロトコル「100%トーキョー」

2013年11月30日 15時開演 池袋東京芸術劇場プレイハウス
作・構成:リミニ・プロトコル(ヘルガルド・ハウグ、シュテファン・ケーギ、ダニエル・ヴェッツェル)
演出:ダニエル・ヴェッツェル
出演:統計に基づき選出された100名の人々
東京都の統計に基づいたいろいろな年齢、性別、国籍、住所の人が100名集められ、「イエス、ノー」で答えられる簡単な質問に答えていくことで、今のトーキョーを浮かび上がらせようとする試み。
世界各国で上演され、様々な反響を巻き起こしてきたそうですが、ここトーキョーではいかに。
結論を言えば、新鮮でとても面白かったです。舞台上で繰り広げられる普通の人々(役者ではない)の生き生きとした様に、涙さえ流しました。
そして、上演中ずっと、日本人と欧米の人の差について考えていました。外国のパフォーマンスアートを(私の場合は、ほとんどアメリカのものですが)見ると、「くどい」、「しつこい」、「このシーンはわかったから早く次のシーンにいってほしい」と思うことがよくあります。なぜあんなにしつこいのか長年疑問だったのですが、この芝居を見て少し理由がわかったような気がします。
日本人は、「一を聞いて十を知る」ことを喜ぶ傾向があると思います。芝居でもそれはよくあって、短い印象的なシーンをつなげて言いたいことを表現しがちだと思います。少し丁寧に追いかけていくと、説明的だと言われたりします。それに比べて、欧米人は、はるかに論理的です。「1+1=2」というような公理から始まって、理屈を組み立て、「だから、結論はこうです」という形が身についているようです。
その過程を日本人の私は、「くどい」、「しつこい」と感じてしまうのでしょう。
今回の公演のポイントは二つです。一つは、統計に基づいて選出されたという客観性(統計学的には、900万人に対して100人では、サンプル数が少なすぎて正しい統計とはいえないと思いますが、これは学問ではなくて演劇なので問題にならないと思います)、もうひとつは選出された人が次の人を紹介していくという関係性。これにより、見ている人は100人の人を一つの集団として見ることがたやすくなります。出演者同士にも連帯感が生まれているようでした。
このように、客観性とシンパシーを与えられた人々に、様々な質問を与え、答えさせる。
あたかも
単純な論理を繋いでゆき、その結果、単純な足し算の結果をはるかに上回る感動を作り上げる。
極めて実験的な作品と言われつつも、実は欧米的な演劇の作り方を忠実に行っていった結果の作品だと思います。


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