2019年8月29日木曜日

Newyork2019 Vol.25「Broadway Musical」

2019年7月1日
6月9日にトニー賞の発表があってから約1ヶ月、続々とミュージカルの終了予定が発表されています。一番近いのが、7月7日の「My Fair Lady」まあこれは2018年の4月に始まったもので昨年のトニー賞の範囲なので、1年3ヶ月くらいの公演期間でした。
8月11日にしまるのが、「Be More Chill」と、「The Prom」の2本です。「Be More Chill」のオープンが今年の3月11日、「The Prom」が2018年の11月15日です。どちらも1年未満、「Be More Chill」は高校生くらいの若い観客が多く、ミュージカルとは思えない盛り上がり方をしていたので、新しい観客層をつかんでロングランかと思っていたのに意外でした。「The Prom」は、よくあるブロードウェイのミュージカル製作方法にうまく今のLGBT問題をのっけて、既成のミュージカルファンと若い層を取り込めるのかと思っていたのに、残念です。
続いて8月18日に終わるのが、「The Cher Show」と「King Kong」です。The Cher Show」が2018年の12月3日開始、「King Kong」は2018年の11月3日開始ですから、やはり1年未満でのクローズです。「The Cher Show」は最近増えてきた伝記ミュージカルですが、実際にあった「The Cher Show」というテレビ番組のスタジオという大枠を構えて、その中で年代別の3人のシェールが一人で、二人で、はたまた三人で歌い、踊り、芝居もするという構成がうまく聴いていて、最後まで飽きません。同じ伝記ミュージカルの「Beautiful: The Carole King Musical」と比べると、ミュージカルのできとしては「The Cher Show」の方がよくできていると思うのですが、かたや2014年以来5年のロングラン、もう片方は9ヶ月で終わりという結果になってしまいました。キャロル・キングの方は悪くいうと「懐メロ、そっくりさん物真似ショー」なのですが、こんなに続いたのは、ソングライターとしての偉大さのせいでしょうか?
シェールの方はエキセントリックな言動や、露出の限界に挑戦するような奇抜な衣装などで、名前を知る人こそ多かったものの、嫌いな人も多かったのかもしれません。
「King Kong」は斬新で大規模な仕掛けを見せるショーだと思うので、11ヶ月の長さはこんなものなのかもしれません。
聴いたところによると、ブロードウェイミュージカルの制作に投資された資金を回収するのに1年かかるそうなので、個々であげた作品は投資資金の回収に失敗していることになります。もっとも、「King Kong」は先にオーストラリアで制作されたものなので、ひょっとしたら、回収成功案件なのかもしれません。いずれにしても厳しい世界です。
ブロードウェイの超ロングラン作品を調べてみると、一番長いのが「Chicago」で23年、次が「Lion King」で22年、三番目が「Phantom Of The Opera」で21年でした。ぐっと離れて、「Book Of Mormom」が8年で四番手です。これらの作品は宝の山ということですね。
今後オープンが予定されているミュージカルの中で、パブリシティ的に注目を浴びるのは、ボブ・ディランの「Girl From The Nortu Country」でしょう。2020年の2月プレビュー開始予定です。一度ロンドンで上演されていますが、ブロードウェイでの評判はどうなるでしょう。
個人的にはディビット・バーンのファンなので、「David Byrne's American Utopia」も気になります。ディビット・バーンは、パブリック・シアターで「Here Lies Love」というフィリッピンのイメルダ・マルコス夫人をモチーフにしたミュージカルを見ましたが、内容がシリアスすぎてブロードウェイにはこれなかったという印象でした。
ミュージシャンの名前をタイトルにもってくるプロジェクトはうまくいかないという印象があるので心配です。
2020年の秋には、ヒュー・ジャックマン主演で「MUsic Man」のリバイバルも予定されています。「世界で一番善良な人」という印象のヒュー・ジャックマンですから、恋に落ちて、その町のために働く詐欺師なんてぴったりだと思います。
伝記ミュージカルでは、ティナ・ターナーの「Tina!」の予定もありますね。夫アイク・ターナーの家庭内暴力、キリスト教から創価学会への改宗など、ドラマティックな要素はたっぷりなので、面白くなるかもしれません。もっとも、改宗ににつては描かれないと思いますが。

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