2013年7月4日木曜日

ピチチ5「はぐれさらばが"じゃあね"といった」

2013年7月2日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出 : 福原充則
出演:菅原永二、今野浩喜、野間口徹、植田裕一、三土幸敏、碓井清喜、三浦竜一、広澤草、仁後亜由美、古牟田眞奈、久ヶ沢徹
昨年秋のベッド&メイキングスの公演で、唐十郎ラブな脚本と演出を見せて、今年4月のブルドッキングヘッドロックでは、全体の中心となる主役の演技で芝居をまとめていた福原充則が主宰するピチチ5の芝居を見ました。
三鷹市芸術文化センターの太宰治をモチーフにした演劇シリーズの一環で、私が見るのはままごとの「朝がある」に続いて2本目です。ままごとの場合は、太宰作品の再構成と言った趣でしたが、今回は太宰治本人に注目した作品となっていました。舞台は、太宰が作家デビューする前と、有名になってから一回目の自殺未遂をする前後の2箇所を中心に、様々な時間と空間をシームレスに行ったり来たりします。脚本的にも演出的にも無理なく、わかりやすくシーンがつながって行くのですが、照明が所々つながっていかず、無理な変化をしているのが気になりました。
太宰治も宮沢賢治も、作品の朗読などを絡めて人物像がわかりやすく提示されているのですが、中原中也だけが、人物像が分かり難かったのが残念です。脚本、演出のせいというより演技のせいでしょうか。
出色なのは、貫さんという人物で、造り酒屋の杜氏で象に自分の酒を飲ませるために突進したり、川で鯨を捕まえたりするトリックスター的な人物。太宰治が自分が成りたかった理想像なのでしょう。

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