2013年10月23日 14時開演 信濃町文学座アトリエ
作:松井周
演出:上村聡史
出演:大滝寛、加納朋之、南拓哉、南一恵、藤崎あかね、増岡裕子
松井周の書き下ろし戯曲と言うことで、普段は見にいかない文学座の芝居を見にいきました。文学座といってもアトリエ公演なので、普段の路線とは違い、新しめの戯曲を上演することが多いようです。つかこうへいさんが有名になるきっかけもこのアトリエ公演の熱海殺人事件でした。
ストーリーは、近未来の日本、行き詰まった人間はゴキブリの遺伝子を取り込むことができるクスリを開発し、それを注射して生き延びるか、このまま人間として死んでいくか、選択を迫られる、という「地下室」に続いての少しグロテスクな話でした。グロテスクではあるが、生きると何かということに向かい合った作品だと思いました。
テーマとは別に私が気になったのは、文学座の芝居の質についてでした。
演出は映像を多用したり様式的な動きを取り入れたりして、新しい戯曲を新しい演出で見せようとがんばっているようでしたが、それが逆目に出て演技が薄っぺらく見えて仕方がありませんでした。
以前、仕事で俳優座のゲネプロについたことがあったのですが、その時は久しぶりに見る新劇の演技が、余計な動きをしない、発声がよくていってることがよくわかることにびっくりして、少々感動したことがありました。今にして思えば、あれは、普通の市民会館のサイズと距離感と芝居の質が合っていたことが主な原因だったのではないかと思われます。文学座アトリエは劇場と言うよりスズナリくらいの小劇場です。そこで、7〜800人以上の会場での芝居をされても、余計な動きが少ない分薄っぺらく見えてしまうのでないでしょうか。
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