2015年4月15日水曜日

マームとジプシー「ヒダリメノヒダ」

2015年4月9日 19時30分開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
作・演出:藤田貴大
出演:石井亮介、尾野島慎太朗、川崎ゆり子、仲島広隆、波佐谷聡、吉田聡子
ゲスト:山本達久/ドラマー
系統としては、「モモノパノラマ」に連なるような藤田貴大の自伝的な要素の強い作品でした。最近、私がマームとジプシーを好きなのは、単純に「センチメンタル」なところだと思うようになりました。その「センチメンタル」が、少し湿り気があって心地よいと言うことだと思います。その観点からしても、今回の芝居は、今ひとつだと思えました。このところ青柳いずみの主演が続いていて,彼女のちょっと不思議ちゃん系の語り口で物語られると、物語の出来不出来とは別に「少し湿り気のあるセンチメンタル」が十分に成立してある種の感動がありました。今回、青柳いずみは出演せず、その役割は吉田聡子に回ってきました。吉田聡子も湿っぽくならないセンチメンタルを目指してがんばったのだと思いますが、結果、ナイーブなヤンキーのようにしか見えませんでした。多方面から同じことを繰り返して語るという独特な手法も、当事者とその他の人々というようなざっくりとした分け方で語られて、その有効性を発揮できていませんでした。
「COCOON」で私小説作家から抜け出したと思われた藤田貴大ですが、明らかに後退してしまったに見えます。

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