2015年4月16日 20時開演 3331 Arts Chiyoda/1F・ギャラリーB
構成・演出・DJ:金山寿甲
出演:佐々木幸子、森本華、牛尾千聖、宮部純子、村野瑞希、唐鎌将仁
入場時に延々と東京裁判の記録映像が流されていて、いったいどんな芝居が始まるのかとどきどきしましたが、始まった芝居は一切関係なく、「ヒップホップ演劇」もしくは、「ヒップホップミュージカル」をやりたいという女の子のお話でした。
というか、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と映画「桜の園」から、色々なシーンを抜き出してきて、映画の登場人物と会話をしたり、映画のシーンをまるまる流したり、それが終わると決してうまいとは言えないヒップポップを歌ったりするという、パクリというか、オマージュというか、コラージュのような90分でした。
なにしろ、オープニングシーンが「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の花びらが降りかかる中でビョークがDJをするシーンの再現なのですが、花びらを降らせるのは脚立に乗った
白タキシードに蝶ネクタイでタップシューズを履いた謎の男だし、サスは懐中電灯だし、少女が操っているのはオモチャのポータブルプレーヤーだというチープにして謎ばかりという有様でした。
その謎の男は、小道具を出したり、掃除をしたり、幕の開閉をしたりという裏方的な動きをするのですが、チラシをみると出演者としてカウントされていました。これも謎です。
ヒップホップのシーンになると、スクリーンに歌詞がスーパーインポーズされるのですが、そのタイミングをしょっちゅう間違えるのです。早かったり、遅かったり、映画のストップモーションも間違えるし、多分、主宰の金山寿甲が自ら操作しているのだと思うのですが、まあ、見事な間違えっぷりでした。装置も、上下からレールで緞帳代わりの幕と牢屋のシーンで使われるパイルが斜め前に手動で出てくるのですが、何しろそのレールが家庭用のカーテンレールを天井からバインド線で吊しただけなので、見事に動かないのです。牢屋のパイプは下手側が出ても来ませんでしたし、カーテンコールの時には同じく下手側の幕が全く開かず、役者が手で開けながらお辞儀をするという有様でした。
なのに、いやだからこそ、全体の印象は非常によいものでした。思わず笑ってしまう、面白いと言っていいでしょう。
昨年見たハリケーンディスコも、自分たちがやりたいことをやって何が悪いという態度でしたが、そこには虚勢をはっているというか、無理をしているという印象があったのですが、この東葛スポーツにはその頑なさはなく、あっけらかんと著作権も気にしないで、自分たちのやりたいことを自分たちの力でやるという、一種のすがすがしささえ感じました。
これがプロの大道具が仕込んだレールでスムーズに開閉したり、DJ/VJのオペレーターもプロでとちらなかったりしていたら,多分、面白さも半減していたと思うのです。へたくそな歌に感動することがあるようにへたくそな芝居に感動することもあるのだと、改めて思いました。
トラブルの多くはたまたま私が見た回に限って起きたことかもしれません。でも、その根本は東葛スポーツの基本的な考え方から来ていると思います。そして、その考え方は決して嫌いではありません。
スケジュールが合わず、なかなか見られなかった劇団ですが、次回を是非見たいと思います。
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