2015年9月16日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:詩森ろば
出演:板倉チヒロ、吉増裕士、金成均、杉木隆幸、永山智啓、荒木秀智、栗原茂、酒巻誉洋、桑原裕子、今藤洋子、とみやまあゆみ、川村紗也、たなか沙織
前作「Plenty Killing」で痛快にして密度の濃い傑作を上演した風琴工房の次回作は、一転して社会派ドラマでした。再演だそうですが、当然、私は前回の公演を見ていません。
安保関連法案が成立しそうな時期で、国会前には連日大勢のデモ隊が押し寄せています。そんなときに、大正時代の言論の自由をめぐる芝居を上演するのは、タイムリーと言えばタイムリーなもかもしれません。
Twitterの感想で、誰かが「教科書を読むような」というようなことをつぶやいていましたが、問題はそこにあるように思えます。日本の芝居でこのような理念に関することを扱うと、台詞が具体的なことを語っているにもかかわらず、すべて説明的に聞こえてきます。これは、日本が理屈を述べるのに向いていないためか、役者の力量不足なのか、よくわかりませんが、延々と理屈を説明されている印象だけが残ります。
この芝居でもそうでした。本文にあたる部分では丁寧に具体的事実とそれに対する人々の気持ちを語り、転換では一転して音楽に合わせて楽しく,スピーディに進めて、メリハリをつけるという工夫にもかかわらず、残った印象は、2時間オーバーの説明大会というものでした。
イギリスやフランスの演劇では、「舞台で哲学や思想を語る」ことが好まれ、それを可能にする文学的な蓄積があるのですが、日本文学は情緒や叙情を語ることには長けていても、理論の語る歴史はあまりありません。そこら辺の差が、こういう芝居にも如実に表れているようです。
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