2015年9月2日水曜日

砂地「唄わない冬」

2015年8月21日 19時開演 新宿Space雑遊
作・演出:船岩祐太
出演:小瀧万梨子、今國雅彦、梅村綾子、井手麻渡、松本光生
劇団のTwitterに「今日からミザン稽古です。」というつぶやきがありました。「ミザン」という知らない言葉を検索してみたところ正しくは「ミザンセーヌ」というフランス語で、ウィキペディアによれば「演劇界および映画界において用いられる表現であり、おおまかに「作品の筋、登場人物を作り出すこと」を表す語である。「演出」の訳語があてられる。もとは演劇から発生した言葉であり、字義通り訳せば「舞台に置くこと putting on stage」の意である。」と言うことでした。これを信じれば、「演出稽古」と言うことになりますが、そのほかの検索結果もふまえて考えると、役者の立ち位置などを整理して演出意図を明確にする稽古のようです。
この芝居は登場人物5人のうち3人が死んでしまっているところから始まります。芝居の流れは現実どうり未来に向かっていく流れと、過去にさかのぼっていく流れが交互に現れます。死んでいる3人には死者のポジションとでも言うべき立ち位置が壁際に各々あり、基本的に喋らないときはその場所にいます。それが芝居の構造を明確にするのにかなり役立っていますが、それがミザン稽古の成果でしょうか。
この芝居のポイントは、死んでしまう主人公の女の心の空虚さです。その空虚さを埋めるため自分勝手に他人を引きずり込んだり、過度に他人に依存したりしていきます。結局、その空しさは埋まることなく死んでいくことになります。
砂地の芝居の魅力は、演劇の理論的な研究から来る折り目正しさだと思います。その折り目正しさが、他の小劇場演劇とは全く違う肌触りとして一種独特の雰囲気を醸し出しています。

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