2012年1月23日月曜日

劇団鹿殺し「青春漂流記」

2012年1月21日14時開演 紀伊國屋ホール
作:丸尾長一郎 演出:菜月チョビ 
出演:高田聖子、菜月チョビ、丸尾長一郎、オレノグラフティ、山岸門人、傳田うに、坂本けこ美、橘輝、円山チヵ、山口加菜、水野香奈子、鷺沼恵美子、峰ゆとり、近藤茶、浅野康之、富山恵理子、谷山智宏、村木仁、廣川三憲
真っ向勝負の青春ストーリーでした。90年代に一世を風靡したチャイドルグループ「モトコー5」は、レコード大賞を目前に、突然解散。22年たった今は、元町の高架下でほそぼそと月一のファンの集いを開くのみ。そんな彼らの前に、解散と同時に失踪した元リーダー波美(高田聖子)が突然、テレビ出演の話を持って現れる。
よくある痛い物語になっていないのは、ぎりぎり感傷的にならないモノローグで、短いコントのような芝居をつないでいくスピーディーな展開と、てらいのないパクリ(モトコー5は、ジャクソン5やフィンガー5だし、プロデューサーはボーイ・ジョージ、商店会会長は紅の豚、元リーダー波美の登場は梶芽依子そのもの)。隙あらば現れるかぶりもの(今回は、野菜と、将棋の駒でした)。
力業でぐいぐい話を進めていく、あっという間の2時間でした。休憩なし。
姉波美に対する妹凪子(菜月チョビ)の嫉妬や恐れという複雑な心情もほとんどモノローグで淡々と語られていくので、どろどろしません。そのほかの役の嫉妬やライバル心も、ポジティブに成長していく原動力になりこそすれ、やはりどろどろはしません。人間関係が、あっさりしているのはこの劇団の特徴かもしれません。
役者では、元リーダー波美を演じた高田聖子がぴかいちでした。モトコー5復活のために、20年以上様々なアルバイトをしながら(ヘルス嬢から便所掃除まで)がんばる様子を出せなかった手紙のモノローグで語るラスト近くのシーンは、特にすてきでした。

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