2012年12月3日月曜日

イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」


2012年11月22日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:前川知大
事前にオムニバスのストーリーが錯綜してわかりにくいという噂が流れてきたので、少し心配しながら見に行きましたが、幸いなことにその心配は杞憂に終わり、心穏やかに楽しく見られました。
死んだ人間が成仏する前に立ち寄る図書館。ここにはすべての人の前世、現世、来世が書かれた本があるらしい。ただし、目録はなく、ひたすら読みつづけて、探すしかない。自分の来世を知りたい人、愛する人を探す人、様々な人が訪れる。そんなSF的な設定の元、六つのエピソードがイキウメ特有のデリケートなシーンのクロスフェードを繰り返しながら、語られていく。
賽の河原の鬼の話や、万引きのプロと懸賞で暮らしている女性のラブストーリーなど、ひとつひとつが、共感できやすい優しいエピソードに仕上がっている。前作のミッションが、クールでやもすれば突き放した冷たいともとれる印象だったのに比べ、今回の方がはるかに面白い。
イキウメ得意のSF的な設定も嫌いではないし、次回作も見る気になった。
その後、時々読ませていただいている「6号通り診療所長のブログ」の記事によれば、この作品が今までに上演したオムニバス短編集を再構築したもので、「謎の図書館に出入りした人達が、書架の本を開けた時、その本を読む役者以外の全キャストが、その本の内容を演じる。」という構成になっていることを初めて知りました。以前の公演を見ていないので、先入観なく見たのがよかったのかもしれません。

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