2013年5月21日火曜日

イキウメ『獣の柱 ~まとめ*図書館的人生(下)~』

2013年5月15日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
作・演出 : 前川知大
出演:浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、大窪人衞、加茂杏子、安井順平
前作に続いて、「まとめ図書館的人生」というタイトルがついているので、また、幾つかの作品をつなげたオムニバス的な作品かと思っていたら、丸々一本の作品でした。いわゆる再演ということなのでしょうか?最近になってイキウメを見始めた私にはよくわかりません。
話は、ある日、突然、空から大きな柱が降ってきて、それを見た人間は、意識を失い、硬直してしまう。外部からの刺激がないと目覚めず、目覚めてもその間の記憶がない。ただ、目覚めるととても幸福な気分に襲われる。経済は崩壊し、物流も止まってしまった世界で、人々は何とかそれに適応し、やがて神と崇めるようになる。やがて、何十年もその状況が続くと、柱を見ても気絶しない新しい人間が現れ、自分たちの世界を作るため、旅立っていく。とてもSF的なストーリーでした。その時間お流れと関係性を、プロジェクションで年号を映写することと、同じ役者が自分の子供や孫を演じることで、重層的に表していて面白かったです。
芝居の本質とは全く関係ないことですが、一つとても気になったことがあります。イキウメの一連の作品や、砂地の「disk」の照明デザインは、小劇場の芝居を数多く手がけている松本大介さんがされているのですが、どの芝居も基本的にストイックな芝居で、アクティングエリアを区切ることと、若干の状況的な説明をする照明(夕方とか、夜とか)を組み合わせることで事足りてしまいます。芝居に合わせたストイックな照明と言っていいでしょう。それにフラストレーションを感じるのか、ラストに必ずと言っていいほど、照明的な遊びのあるシーンがありました。「Mission」での虹の七色のビームとか、「disk」でのラストのオーストラリアでのモノローグでの大量の生のライトの方向性で、朝から夕方までを表すシーンとかです。同業者として、気持ちがわかるような気がして、シンパシーを感じてしまいます。

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