2013年6月26日水曜日

岡崎藝術座「(飲めない人のための)ブラックコーヒー」

2013年6月20日 19時30分開演 北品川フリースペース楽間
作・演出 : 神里雄大
出演:鷲尾英彰、稲継美保、小野正彦、藤井咲有里、大村わたる
この芝居で一番気になったのは、役者による照明のつけ消しでした。どのシーンも役者が幾つかぶら下がっている照明のどれかのスイッチを引いて始まり、そのシーンが終わると再度スイッチを引いて照明を消すということの繰り返しが基本でした。なぜそうなってしまったかというのは、この公演が始まる前に照明デザイナーと話す機会があって、地方公演があること、それらが通常の劇場空間ではないこと、予算のことなどで、照明がついていかなくても仕込めて、オペレートできるような形にする必要があることなどは知っていましたが、いざ、本番を見てみると文章上に無駄に多くの鍵カッコ「」があるようで、とても気になりました。もっとも、そんなことを気にするのは、照明家だけかもしれません。
岡崎藝術座は、2,3年前に「リズム三兄弟」の公演の仕込とリハに付き合ったことがあって、その時の印象は、「日本語の解体と、再構築により新しい文体を創り出す。」ことを目指しているのかなというものでした。その後の公演はすべてスケジュールが合わず、本当に久しぶりの観劇でした。
今回の内容は、アガサクリスティの「ブラックコーヒー」と、少女誘拐監禁事件と、ボストンマラソンテロ事件を下敷きにしたもので、特徴的なのは、すべて当事者ではなく、その周りの人々の証言という形で構成されていることです。その結果、浮かび上がってくるのは言葉の暴力性や、人間関係の暴力性です。それらの言葉は、時には力強く、時にはいやらしく観客に迫ってくるのですが、どうも演劇の言葉ではないような気がします。脚本を購入して読み込んだ方がより良いのではないのかという気がしてなりません。

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