2012年5月15日 19時30分開演 すみだパークスタジオ
作・演出:東憲司
出演:中井理恵、稲葉能敬、鈴木めぐみ、大手忍、山本あさみ、川原洋子、外山博美、徳留香織、椎名りお、もりちえ、新井結香、原口健太郎、桑原勝行、深津紀暁、井上昌徳、橋本克己、板垣桃子
つい字面だけを見て、いきおいで「ざしきわらし」と読んでしまいますが、正しくは「さじきどうじ」だそうです。
私の中では、状況劇場→新宿梁山泊→桟敷童子とつながる唐十郎派閥の劇団というイメージでした。もちろん、そんな派閥があるわけではなく、あくまで私の中での勝手な想像に過ぎません。
今回、初めて見に行ったこの劇団に対する興味は、唐十郎好き三代目の演劇人が、どんな芝居を見せてくれるのか、ということでした。唐十郎の物語性、ロマンチックさを、どんな新しい地平で見せてくれるのかというのが、観劇前の私の勝手な期待でした。
観劇後の私の感想は、「これは演歌だ」という一言に尽きます。反戦、反体制にまで突き抜ける、息子を思う母の狂気をテーマに、ラストに大仕掛けな装置を出してお客を圧倒して終わらせる。
一見、ドラマチックでダイナミックなテーマと展開に見えますが、実際は先のストーリーがすぐ読めてしまう予定調和的な芝居になっていました。
きっと、作・演出の東憲司は確信犯なのだと思います。日本人の心情を揺さぶるエピソードを並べて、最後に大仕掛けな脅かしを見せてカタルシスを与えれば、オーケーを考えているように見えます。妙に前舞台が狭く、書き割りで奥を隠し続ける装置も、ラストに大物が出てくることが容易に想像できますし、それが飛行機であることも「希望の飛行機の塔」という台詞でわかってしまいます。何よりも、オープニングの竹槍訓練の場面が説明的すぎて、単調で退屈でした。あそこがもっと、わけがわからない演出なら先の展開が読めなくて興味が持てたのかもしれませんが、あそこで、70%くらいストーリーがわかってしまうのは、いただけません。
まるで、無法松の一生の母版のような「演歌」な芝居でした。次回公演は、見に行かないと思います。
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