2012年5月2日 19時30分開演 駒場アゴラ劇場
作・演出:松井周
出演:羽場睦子・古館寛治・古屋隆太・奥田洋平・野津あおい・兵藤公美
第55回岸田戯曲賞受賞作品の再演公演だいうことは、観劇後に読んだパンフレットで知りました。先入観を持たずに見られたのは、よかったかもしれません。
自分の部屋にぬいぐるみの王国を作る引きこもりの男、徘徊症で夜は街角に立つ母親、殺人衝動を抑えられない兄、そんな兄に依存している妹、いもしない赤ちゃんの洗濯をし続ける隣の女、全員、現実と妄想の間で宙ぶらりんになり、身動きがとれないでいる。兄と妹は、引きこもりの王国に身を寄せることで再起を果たそうとするが、兄は隣の女のいもしない赤ちゃんの二代目になることで新しい妄想を獲得し、妹は引きこもりと結婚することで、新たな依存を獲得する決意をする。物語は、ラスト、現実と妄想の間で身動きできない彼らを象徴するように、ストップモーションで暗転する。妄想のツアーガイドをする宅配便の男は、母親と結婚すると表明することで、現実と妄想、両方を引き受けることを表しているようだ。それは、作者の意志を表しているのかもしれない。
次回公演もぜひ、見たい。
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