2012年11月9日 19時30分開演 王子小劇場
作・演出:ボス村松
「鋼鉄村松」というふざけた劇団名と、バブルムラマツとか、サラリーマン村松という「劇団名」を名のるというわけのわからないシステムに惹かれて見に行きましたが、始まったとたんに後悔しました。正しくは、前説が始まったとたんに他の芝居を見に行った方がよかったと思いました。
前説は、作・演出のボス村松が何を言っているかわからないラップ調でやったのですが、完全にグダグダで滑りまくり、見かねた劇団員が袖から声をかけてやっと終わるという演出すらも決まらずに滑るという有様でした。
今にして思えば、この前説が芝居のつまらなさを象徴しているようでした。
おもしろい芝居をしたいという意欲があってアイデアも一応あるが、芝居のスキルは低く、戦略や方向性がないので、すべて不発に終わる。その繰り返しに、観客も失笑するしかない。誠に、残念な結果しか残らない。
ストーリーは、秋葉原無差別殺傷事件と死刑廃止論を組み合わせてたもので、犯人像はカミュの「異邦人」そのままという感じでした。
その脚本を、方向性も示さないままもっとおもしろく、もっとおもしろくと攻め続けるだけの稽古をして、その結果、てんでばらばらにオーバーアクションで演じ始める役者達。その交通整理もできないまま本番投入という感じでした。
結果、なぜかオーバーアクションを求められなかったダクト屋の親方、ミニ阿藤海みたいな松井さんと、ダクト職人の多田無情の普通の芝居だけが光って見えるという残念な結果になってしまったように見えました。
しかし、観客は通路までぎっしりの超満員で2時間休憩なしなので、途中で出ることもできず、終演後のアフタートークまで見る羽目になってしまいました。アフタートークの相手は、「8割世界」の主催者の鈴木雄太という人で、芝居のだめ出しと、冒頭シーンの再演出をするという内容でした。
時間的には15分くらいのものでしたが、これが本編よりもおもしろい。観客も一番笑っていました。
こんな芝居を20年以上続けてきたのだとしたら、その意志の強さには感服しますが、次回は見に行かないでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿