2012年11月13日火曜日

モダンスイマーズ「楽園」

2012年11月12日 19時30分開演 吉祥寺シアター
作・演出:蓬莱竜太
テレビの舞台中継で石田えり主演の芝居を見て、ずいぶん堅い、きっちりした脚本を書く人という印象だった蓬莱竜太でしたが、この芝居はとても柔らかい、やさしいという感じでした。
小学生の頃、男子なら誰でも夢見る「秘密基地」でのごっこ遊び。「いじめ」と「差別」が混在するごっこ遊びの最中に事故が起き、一人の女子の運命が大きく変わってしまう。
そんな物語です。
この芝居の肝は、役者が大人になった衣装で小学生を演じていくところです。台詞と動きは小学生、衣装は大人なっての職業を表す。所々でストップモーションと字幕により、その衣装の謎が明かされていきます。コンビニ店員、プロレスラー、工務店、警察官。この衣装と台詞、動きの異差が微妙なバランスを保って、大人が小学生を演じることの痛々しさから救っていると思いました。
もう一つの、そして最大の肝は、女子小学生役の深沢敦です。彼が出てきてから、それまで多少の不安定感、大人の衣装で小学生を演じることへの違和感は吹っ飛び、物語はいきいきとダイナミックに動き出します。大人なのか、小学生なのかという区別などは関係なくなり、ストーリーの中にぐいぐい引き込まれていきます。チビで、デブで顔もでかいのに、大きくてよく通る声と、演技力で見る者を引きつけてやみません。役者の力のすごさを思い知らされました。
次回作も是非見たいと思います。

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