2012年11月9日金曜日

アンファンテリブルプロデュース「愛のゆくえ(仮)」

2012年10月30日 15時開演 上野ストアハウス
脚本:前川麻子・高木登
Aプログラム 演出:寺十吾 出演:前川麻子・瀧川英次
一つの脚本を何度かの試演会を重ねて、三つの配役、三つの演出で上演するという試み。3本で一つの世界を表しているような気がして、スケジュールの都合でAプロしか見に行けなかった私は、この覚え書きがかなり書きにくかった。しかし、ネット上の劇評や感想を読んでみると、三つの異なった世界の表現を目指していたようで、やっと、踏ん切りがついて、書いてみる気になった。
ストーリーは、兄と別れ弟と再婚した女が、夫を捜しに兄のアパートに現れるところから始まる。本棚や、テレビが倒れ、乱闘の後が残る室内で慌てて包丁を冷蔵庫に隠す男、乱闘の後を気にもせず、夫のゆくえを訪ねる女。男は、別れた女に未練たらたらで、女もまんざらざらでもない様子。そんな二人の関係が、簡潔な台詞の中で十二分に表されていく。さすがに何度も試演会を繰り返して、練り込まれた脚本、演出だけのことはある。
さらに、兄の弟に対する愛憎入り交じった感情が語られ、ついに弟を殺してばらばらにしたことが語られる。女はさして驚きもせず、死体の処理に協力して必要なものを買いに行く。ラストでは、オープニングでのぞき込んでいたいた押し入れの中から、物音がして実は弟がまだ生きていることが暗示される。
男と女の愛情関係が、狭いアパートの一室で濃密に描かれていた。

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