原作:ミハイル・ゾーシチェンコ
出演:石村みか(てがみ座)、遠藤昌宏、大石貴也、近藤彩香(泥棒対策ライト)、桜一花、友野翔太、中井奈々子、野口卓磨、福原冠(範宙遊泳)、松浦佐知子(FMG)、三橋俊平、森一生(阿佐ヶ谷スパイダース)
野口卓磨、近藤彩香、大石貴也の3人の発案から始まった12人の役者、ダンサーの集団創作による公演というのが一番簡単な概要です。
「コムルナカ」というのは、1920年代のソビエト革命により始まった、都市部への爆発的な人口流入に対応する為のシェアハウスのようなもので、それまでのブルジョアのアパートを細かく区切り台所、風呂、トイレなどは共同で使用する生活形態です。
この共同生活を自分たちの集団創作になぞらえて「コムルナカ」と名付けたようです。
ミハイル・ゾーシチェンコはソビエトの風刺作家で、このコムナルカについて多くの短編を書いた作家です。
公演はこのミハイル・ゾーシチェンコの短編を元にした短いシーンと、皆で作ったダンスや詩の朗読を組み合わせた80分ほどのものでした。
嬉々として演じる役者たちを見ながらずっと考えていたのは、「この人たちはどこに向かおうとしていて、どこにいるのだろう」ということです。
その答えは最後の「めんどくさいゲーム」と名付けられたシーンにありました。これは、芝居の稽古の最初によくおこなわれるお互いをよく知るための「順番に指さしながら、相手の名前を呼び合う」という稽古そのものでした。
そのため全体の印象は、「ああ、この人たちは芝居の稽古場にいて、稽古をしている。ミハイル・ゾーシチェンコの短編もエチュードのための題材に過ぎない」というように見えます。全員がとてもリラックスして演じている様や、転換、音響操作、照明操作も役者自身がおこなっているのもその印象を強めます。
嬉しそうに演じている役者たちはとても好感が持てるものでしたが、芝居の稽古だけを金を取って見せられてもなあという想いも捨てきれない一夜でした。
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