2015年11月16日月曜日

カムカムミニキーナ「>ダイナリィ」

2015年11月16日 19時開演 座・高円寺
作・演出:松村武
出演:山崎樹範、清水宏、夕輝壽太、莉奈、田端玲実、未来、松村武、藤田記子、亀岡孝洋、米田弥央、長谷部洋子、吉田晋一、田原靖子、佐藤恭子、元尾裕介、藍山彩、正木航平、芹井祐文、本間茂樹、福久聡吾、菊川耕太郎、渡邊礼、大倉杏菜、芦原桐子、柳瀬芽美
劇団を旗揚げして25年だそうですが、私がカムカムミニキーナを見るのはこれが最初です。作・演出の村松武は他劇団への客演で何度か見ていますし、今回は出ていない八島智人はテレビでおなじみです。
村松武は日本の民話、神話に造詣が深いらしく、狐憑きを基にした新興宗教の存亡とそれにまつわる様々な人々の欲望を、時空や虚実にかかわりなくぶちこんでくるという混沌とスピード感にあふれる芝居に仕上げていました。その仕上がりは、面白いといえば面白い、結構好き嫌いの分かれるものでした。私にとっては、「面白いものではあるが所々に見える真面目さが気になる。もっと、ぶち切れてもよいのではないか。」というところでしょうか。もっとも下手にぶち切れると,げんこつ団のようになってしまうのかもしれません。
元々この芝居を見る気になったのは、清水宏が出演するからでした。彼の役柄は、記憶喪失の依頼者の僅かな手がかりを基にストーリーをでっち上げ、事件の解決を目指す演劇探偵を副業とする劇団「演劇革命」の主宰者にして,作・演出家というもので、その無理矢理な設定を具現化するのには、彼の熱量と勢いだけで舞台を成立させるキャラクターはぴったりです。というか、彼のためにあてがきされたとしか思えません。
しかし、いつもと少し様子が違いました。スタンドアップコメディの時は、彼の熱量と勢いは直接観客にぶつけられ、その反応を確かめながら話を進めていくので、客の反応が鈍いときには手を変え品を変え、時にはしつこく同じ話を繰り返したりして、舞台が進んでいきます。これが芝居となると、彼の熱量と勢いは周りの役者にょって,一も二もなく承認されてしまいます。そうしなければ、話が前に進んでいかないので当たり前です。その手応えのなさに、清水宏は少し寂しそうというか、物足りなさを感じているように見えました。
なにしろ、国家表現規制局や警察の弾圧に対し、対抗策を次々にでっち上げて仲間とともに実行するという狂言回し的な役柄なので、いつものようにサイドストーリーで他の役者とはひと味違う違和感を漂わせて、キラリと光ってみせるというわけにはいかなかったようです。

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